林芳正の発言 (本会議)
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○国務大臣(林芳正君) 小西議員にお答えをいたします。
米国にとっての日米同盟の重要性についてお尋ねがありました。
議員の御指摘のとおり、日米同盟は米国にとっても極めて重要な存在であり、その点は米国も十分に理解してきていると考えます。
例えば、かつて駐日大使を務めたマイク・マンスフィールド大使が、日米関係はほかに並ぶもののない最も重要な二国間関係であると述べたのは有名な話であります。
また、在日米軍の施設・区域は、極東のみならず、米軍のこの地域における前方展開を支えており、これを可能ならしめているのが日米安全保障体制です。具体的には、御指摘の横須賀に空母ロナルド・レーガンを含む第七艦隊がプレゼンスを維持していることや、嘉手納飛行場を拠点に第五空軍が警戒監視等を実施していることなどは、インド太平洋地域全体における米国の利益の確保に大きく貢献しており、その意味で、米国もこの体制から極めて大きな恩恵を享受していると認識をしております。
次に、米国の対日防衛義務の履行についてお尋ねがありました。
仮定の質問についてお答えをすることは差し控えますが、その上で、米国は、インド太平洋戦略において、この地域へのコミットメントを改めて明確に示し、日米が共有する自由で開かれたインド太平洋のビジョンの実現に向けて一層の役割を果たす決意を示していると認識しています。
また、米国は、累次の機会に日米安全保障条約の下での自国の対日防衛義務を確認してきており、本年一月の日米首脳テレビ会談においても、バイデン大統領がこの点を改めて表明をいたしました。日本政府として、米国が日米安全保障条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いています。
次に、米国の核抑止力の実効性及び核共有の必要性についてお尋ねがありました。
米国は、累次の機会に日米安全保障条約上の義務を確認してきており、本年一月の日米2プラス2において、米国は、核を含むあらゆる種類の能力を用いた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントを表明しています。日本政府として、米国が条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いております。
その上で申し上げれば、NATOで行われているような核共有は、我が国については非核三原則を堅持していくことから認められないと考えております。
次に、核共有と憲法九条との関係に係る政府統一見解についてお尋ねがありました。
従来から、政府は、憲法第九条と核兵器との関係についての純法理的な問題として、我が国には固有の自衛権があり、自衛のための必要最小限度の実力を保持することは憲法第九条第二項によっても禁止されているわけではなく、したがって、核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとすれば、それを保有することは必ずしも憲法の禁止するところではないが、他方、必要最小限度を超える核兵器の保有は憲法上許されないものであり、このことは核兵器の使用についても妥当すると解しているところであります。
いずれにせよ、御指摘の核共有については、我が国については非核三原則を堅持していくことから認められません。
次に、平和安全法制と日米安全保障体制の関係についてのお尋ねがありました。
日米安全保障条約は、第五条において、我が国への武力攻撃に対して日米が共同で対処することを定め、第六条において、米国に対し、我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために我が国の施設・区域を使用することを認めています。日米両国の義務は同一ではないものの、全体として見れば日米双方の義務のバランスは取られています。
平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする観点から検討を行ってきた結果であり、我が国としての主体的な取組です。平和安全法制により、日米安全保障条約及びその関連取決めに基づく権利及び義務が変更されるものではありません。
次に、米国から集団的自衛権行使を容認するよう求められたことがあるかについてお尋ねがありました。
日本国憲法と集団的自衛権との関係については我が国自身が判断する問題であり、米国政府から集団的自衛権行使を容認するよう求められたことはありません。岸田内閣においても同様の事実認識です。
次に、米軍による在日米軍施設・区域からのミサイル発射が事前協議の対象となる戦闘作戦行動に含まれるか否かについてお尋ねがありました。
日米間では、岸・ハーター交換公文により、日米安全保障条約第五条の規定に基づいて行われるものを除き、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は事前協議の対象であるとされています。
ここに言う戦闘作戦行動については、昭和四十七年の政府統一見解において、その典型的なものに言及した上で、そのような典型的なもの以外の行動については、個々の行動の任務、態様の具体的内容を考慮して判断するよりほかないとされています。議員御指摘のような米軍の行動が戦闘作戦行動に該当するか否かは、この政府統一見解の基本的な考え方に基づき、実際の個々の行動の任務、態様の具体的内容を考慮して判断することとなります。
次に、同盟強靱化予算への名称変更についてお尋ねがありました。
今回、米国との間では、第一に、日米同盟の抑止力、対処力強化への貢献が直接に見えにくい光熱水料等については、大幅に削減することで意見の一致を見ました。第二に、在日米軍のみならず、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化にも資する訓練資機材調達費の項目を設けるとともに、第三に、今後は在日米軍の即応性及びその施設・区域の抗堪性強化に資する施設整備を重点的に推進していくこととしました。
これまでは在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でしたが、今回の合意により、本件経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤を構築することで一致しました。このような経費負担の内容の変化を踏まえ、今回の合意に基づく在日米軍駐留経費負担の性質を端的に示すものとして、その通称を同盟強靱化予算とすることとしたものです。
次に、特別協定による訓練資機材の調達についてお尋ねがありました。
在日米軍の訓練資機材調達費は、今回の特別協定で新たに項目として追加したものです。訓練を通じて米軍が各種技能の維持向上を図ることが、即応体制という軍隊の機能を維持する上で不可欠の要素であり、軍隊として当然に行うことを前提としている諸活動の一つであることに鑑みれば、訓練資機材の調達のための本経費は、日本に合衆国軍隊を維持することに伴う経費の一部と考えられます。
そして、そのような経費は、あくまでも日米地位協定の下では米側に負担義務があるため、これを日本側で負担するに当たり、同協定の特則である特別協定を締結するものです。
自衛隊においても訓練のために必要な資機材を自ら整備していると承知しておりますが、その上で、本経費により米側が調達する訓練資機材についても、日米共同訓練の際などに活用することにより、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化が更に図られると考えております。
次に、提供施設整備の目的や影響についてお尋ねがありました。
提供施設整備は、日米地位協定の範囲内で、個々の事業ごとに、日米安全保障条約の目的達成との関係、我が国の財政負担との関係、社会経済的影響等を総合的に勘案の上、我が国の自主的判断により措置してきています。
我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、在日米軍があらゆる事態に適時適切に対応できるよう、必要な基盤をしっかり整備していくことは極めて重要です。かかる観点から、提供施設整備についても、例えば、航空機掩体や整備用格納庫等の整備といった在日米軍の即応性の向上及び施設・区域の抗堪性強化に資する事業を重点的に推進することとしたものです。
次に、同盟強靱化予算に関する米国からの要求と、この通称が導入された理由についてお尋ねがありました。
今般の交渉に際しては、日米両国を取り巻く諸情勢を総合的に勘案し、日米地位協定第二十四条に定める経費負担の原則は原則として維持しつつ、あくまでも暫定的、限定的、特例的な措置として、期間を五年間とする地位協定の特則である特別協定を締結することが適当との判断を改めて行ったものです。
その上で、呼称については、これまでは在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でしたが、今回の合意により、本件経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤を構築することで一致しました。このような経費負担の内容の変化を踏まえ、その通称を同盟強靱化予算とすることとしたものです。
いずれにせよ、在日米軍駐留経費負担の将来の在り方については、引き続き国民の理解を得られる内容となるよう、我が国の厳しい財政状況や我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を考慮しつつ、真剣に協議を重ね、適切に対応してまいります。
国防、安全保障、外交を包含する平和創造戦略についてお尋ねがありました。
今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為です。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をいたします。
このように厳しさを増す安全保障環境の中にあって、我が国が憲法の命ずるところに従って外交・安全保障を展開することは当然であります。
憲法に掲げる平和主義の下、平和国家としての歩みを引き続き堅持し、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与をしてまいります。(拍手)
〔国務大臣岸信夫君登壇、拍手〕