林芳正の発言 (本会議)
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○国務大臣(林芳正君) 音喜多議員にお答えをいたします。
ゼレンスキー大統領による国会での演説についてお尋ねがありました。
昨日、ウクライナ政府より、我が国の衆参両院議長に対して、ゼレンスキー大統領による国会での演説を行いたいとの正式な要請が寄せられたと承知をしています。政府としては、是非国会において御議論、御検討いただき、前向きに対応していただければ有り難いと考えております。
次に、米国による日本の防衛と米国議会の承認についてお尋ねがありました。
米国は、累次の機会に日米安全保障条約の下での自国の対日防衛義務を確認してきており、この点を本年一月の日米首脳テレビ会談においても、バイデン大統領が改めて表明しました。日本政府として、米国が条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いています。
また、日米安全保障条約の締結は、米国においては米国議会によって承認されたものであり、米国は、行政府のみならず、議会を含めて日米安全保障条約上の義務を負っています。したがって、日米安全保障条約第五条に規定する米国の対日防衛義務について、この義務を承認した同じ議会がこの義務の履行を妨げるかのごとき措置をとるようなことは考えられません。
次に、ウクライナ情勢を踏まえた我が国の安全保障政策についてお尋ねがありました。
今般のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為です。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難します。その中で、ロシアが核抑止力部隊の態勢を引き上げたことについては、情勢の更なる不安定化につながりかねない危険な行動であると認識をしております。
我が国を取り巻く安全保障環境や、現実に核兵器が存在していることを踏まえれば、核抑止力を含む米国の拡大抑止は不可欠であり、米国と緊密に協議、協力していくことが重要です。先般実施された日米2プラス2においても、日米間で米国の拡大抑止の重要性について改めて確認しています。
今回のウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更の試みを、インド太平洋、とりわけ東アジアで許してはなりません。このような中、我が国は、新たな国家安保戦略等を策定し、我が国自身の防衛力の抜本的強化に取り組む決意です。その上で、外務省としては、日米同盟の抑止力、対処力の強化をしっかりと図っていくとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を関係国や地域のパートナーとの間で一層強化をしていきます。
次に、米国核戦術及び核戦略における意思決定への日本の関与についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日米間では、同盟の抑止力、対処力強化に向けた様々な取組について、様々なレベルで日頃から緊密かつ幅広く意見交換を行っています。
本年一月の日米2プラス2においても、日米両国が、米国の拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けることを確保することの決定的な重要性を確認していると同時に、米国は、核を含むあらゆる種類の能力を用いた日米安全保障条約の下での日米、日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントを表明しています。今後とも、日米拡大抑止協議の場を含め、あらゆるやり取りを通じて日米同盟の深化を不断に進めていきます。
次に、台湾有事における行動指針についてお尋ねがありました。
台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要です。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場です。この点、日米間でも、日米首脳テレビ会談や日米2プラス2などにおいて、台湾海峡の平和と安定の重要性について認識を共有してきています。
その上で、あくまで一般論として申し上げれば、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、政府としていかなる事態に対しても対応できるよう、平素からの体制の整備を含め、万全を期していくことは当然です。
次に、特別協定交渉における政府の交渉姿勢についてお尋ねがありました。
政府としては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、我が国自身の防衛力を抜本的に強化するとともに、平和安全法制の下、引き続き、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための我が国としての主体的な取組を進め、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化しています。米国も、こうした日本の取組を累次の機会に支持、歓迎してきています。
本特別協定の交渉に際しては、こうした防衛力強化に向けた我が国自身の様々な努力も含め、政府として、主張すべきは主張しつつ、協議を重ね、合意に至ったものです。
次に、在日米軍駐留経費負担に関する特別協定の方式についてお尋ねがありました。
今般の交渉に際しては、日米両国を取り巻く諸情勢を総合的に勘案し、日米地位協定第二十四条に定める経費負担の原則は原則として維持しつつ、あくまでも暫定的、限定的、特例的な措置として、期間を五年間とする地位協定の特則である特別協定を締結することが適当との判断を改めて行ったものです。政府としては、現時点において、地位協定第二十四条に定める経費負担の原則それ自体を変更することは考えておりません。
このような枠組みの下で、今後とも、国民の理解を得られるよう、我が国の厳しい財政状況や我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素の推移に応じて、日本側の適切な負担の在り方について不断に検討をしてまいります。
次に、同盟強靱化予算の日米の協力関係への影響及びその評価の指標についてお尋ねがありました。
在日米軍駐留経費負担は、在日米軍の円滑かつ効果的な活動、米軍の地域への前方展開を確保する上で重要な役割を果たしてきています。在日米軍駐留経費負担によって日米関係にもたらされる具体的な影響は多面的であり、かつ定量的な評価になじまないものと言わざるを得ません。
その上で、我が国の負担規模については、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるとともに、日米同盟の抑止力、対処力を強化する同盟強靱化予算が引き続き重要である点を踏まえ、我が国の厳しい財政状況や我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を総合的に考慮し、主体的に判断してきています。
今回の特別協定においてどのように日米同盟が強靱化されるかについてお尋ねがありました。
今回、米国との間では、第一に、日米同盟の抑止力、対処力強化への貢献が直接的に見えにくい光熱水料等については大幅に削減することで意見の一致を見ました。第二に、在日米軍のみならず、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化にも資する訓練資機材調達費の項目を設けるとともに、第三に、今後は、在日米軍の即応性及びその施設・区域の抗堪性強化に資する施設整備を重点的に推進していくこととしました。
今回このように日米双方が真摯に交渉を行った結果、議員御指摘の増額となりましたが、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるだけではなく、自衛隊を含む日米同盟の抑止力、対処力をより一層効果的に強化していくことに資する、また、厳しい財政状況を踏まえ、めり張りを付けた同盟強靱化に資する経費負担の合意を得ることができたと考えております。(拍手)
〔国務大臣岸信夫君登壇、拍手〕