池上清子の発言 (政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会)

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○参考人(池上清子君) 池上です。
 今日は、こういうチャンスをいただきまして、ありがとうございます。
 皆様のお手元にも、書類というかパワーポイントのスライドを印刷していただきましたカラーのものもございますけれども、一応こちらでもスライドを一緒に映しながら皆様にお話を聞いていただきたいと思っております。(資料映写)
 今日のお話は大体こんなふうな流れでいきたいと思うんですけれども、今、オーバーオールの話というのが加藤さんの方から詳しくありましたので、私は、今日は、保健医療の話とそれに関連するジェンダーについての話をしたいと思っています。
 開発に関わって、私、四十年以上、ばかの一つ覚えのようにそれだけをやってまいりましたけれども、その経験に基づいた形で、アフリカに何が今必要なのか、保健医療、ジェンダーの分野で何が必要とされているのかという私なりの観察というかオブザベーションを聞いていただければと思います。
 まず、幾つか私が関わっておりますところ、大学ですとかNGOのアフリカとの関連というのをまず御紹介したいと思います。
 日本の大学で公衆衛生というのは結構学部もあるんですけれども、熱帯医学という形で一つの学部があったり研究科があるという大学は二つしかございませんで、日本の中に。一つは長崎大学で、もう一つは琉球大学です。この二つの大学が一応開発途上国の保健医療の問題にかなり特化した学部や学科を持っているというふうなことが言えると思います。
 これもそうなんですけれども、ここで一つ、日本の感染症のこと、BSL4ということについては皆様も御承知のことと思いますけれども、九州地方では長崎大学の医学部の中にBSL4のラボができております。最初は反対運動もありましたけれども、今は着実にラボができているという状況です。
 二つ目に御紹介したいのは、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンというNGOです。
 ここは一九八三年にできましたNGOで、主に女の子、開発途上国の女の子の支援というのを行っております。アフリカでは、こういった国、この地図を見ていただいてブルーに塗ってあるところが特に活動をしているところと言えるところです。
 なぜ女の子の支援なのかといいますと、紛争なり干ばつなりのそういった自然災害も含めてですけれども、一番影響を受けるのは弱い子供であり、女性であり、女の子。これらのグループの人たち、子供、女の子、それから女性が影響を受けるという意味で、少なくとも自分たちの足で立って生活ができるような方向に女の子を、一緒に考えながら、それぞれの地域でできることを考えていくということを実施しております。
 三つ目に御紹介したいのは、これも公益財団法人ですが、アジア人口・開発協会というところです。
 先生方にちょっと見ていただきたいのは、二行目に書きましたけれども、ODAの事業の国会報告というのが今まで義務付けられていなかったという開発途上国が結構ありまして、その中で、ウガンダとザンビア、この二か国でODAに関しての報告を国会にするということが義務付けられる法律が通りました。これは、アジアや日本の国会議員の方たちが働きかけるという形で成功したものです。こういった活動をしておりますというので見ていただければと思います。
 四つ目ですけれども、アフリカ協会です。
 アフリカ協会は、TICADに向けて独自の提言書というのを今まとめていて、六月には出るのではないかというお話を聞いています。ここは、企業や一般の市民の方たち、特にアフリカに興味のある方たちが集まって協会をつくっているというところです。
 今年はTICADがあるということで、実はアフリカの感染症を知りましょうと。今まで私たち、余り一般の市民は、感染症について又はアフリカについて知らないことが多過ぎるということもあり、この一月から感染症について学ぶということを始めました。一月は、顧みられない熱帯病というので、二十あるんですけれども、その熱帯病について話を長崎大学の医学部の医者から聞きました。この四月に終わったばかりですが、仲佐先生という、この方も医者ですけれども、エボラウイルスのときにコンゴ民主共和国にちょうど滞在していらしたので、そのときにどのようなコントロール、活動をしたかという話を、現場からの話を伺ったところです。
 こういった話も含めてですけれども、次のトピックは、アフリカの保健医療の現状と課題ということについて、二つに大きく分けて話をさせていただきます。
 一つはCOVID―19、新型コロナの話、それから次が母子保健の話です。それ、なぜ二つを取り上げるかというと、やはり死亡率が非常に高かったりするものですから、それについて話をさせていただきたいと思います。
 この図は、インスティチュート・オブ・ヘルス・マトリックス・アンド・エバリュエーションという、IHMEという団体なんですが、ビル・ゲイツ財団が資金を出してつくった研究所です。
 その研究所がそれぞれの地域又は国でどういう疾病があるのか、全体の中でどのくらいのその疾病が占めるのかというふうな、その疾病の割合を書いて報告をしているものを取り上げました。サブサハラ・アフリカの感染症の比重が非常に大きい、全体の疾病の中で四二・一%に上ると。これ、二〇一九年度です。なので、まだコロナが入っておりません。それでも既に四二%ということになります。
 一方で、じゃ、日本はどうかという話なんですが、日本の感染症の関係というのは、右上にあります赤い色のところだけが感染症の関係で、全体の四・三%にしかならないという感じになります。
 では、アフリカ全体で今現状どうなっているのかという話ですけれども、ここに書きましたが、一番下のところを見ていただきたいんですが、アフリカでは、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、全人口の二〇・五%が少なくとも一回、一五・四%が二回のワクチン接種を受けているということです。
 では、二つ目の課題、母子保健とジェンダーのことについてお話をさせていただきたいと思います。
 妊産婦死亡というのが乳児死亡率と比べてなかなか下がっていないというのが現状です。これはアフリカだけではなくて、どの地域でも共通して言えることです。
 この背景には多分ジェンダーがあるのではないかというふうに保健の専門家は皆言っているわけですけれども、それは何かといいますと、例えば乳児死亡率というのが下がるのは、皆様御存じのように、混合ワクチンがかなりアフリカでも行き渡るようになりました。ですので、ワクチンによる予防接種が接種されますと、子供の命というのがかなり格段に良くなって、命が救われるという状況になっています。
 一方で、お母さん、妊産婦の死亡というのがなぜ減らないのかという話なんですけれども、これには原因として三つの遅れというのが言われています。コロンビア大学などが中心になってアフリカ三十五か国で調査をした結果、スリーディレーズ、三つの遅れが原因なんだということが言われました。
 その原因は何なのかといいますと、まず第一、三つあるんですけれども、一つは、妊産婦の方が自宅にいるわけですけれど、自宅で保健教育が十分行われない、つまり保健に関して十分な必要な情報がお母さんたちに行き渡っていないということが言えます。それを改善するにはどうしたらいいかというと、やはり女子教育、女の子も学校に行くというところを推進したり、それから、妊娠、出産に関しては、助産師さん、きちんと訓練を受けた助産師さんがそれぞれの家を回る、これは日本も、そういう形を取った上で妊産婦死亡が日本でも格段に下がったという経験を持っています。
 二つ目は、保健医療の機関へのアクセスが悪い。つまり、インフラが悪いという意味なんですけれども、それは何かというと、例えば大きな川があって保健施設が川の対岸にある、でもそこに橋が架かっていないということで、橋のあるところまで移動して橋を渡ってその医療機関まで行くとなるとかなりの時間を要して手遅れになってしまうというふうなケースが多々あるというふうに聞いています。これは、インフラを整備するという意味で、保健医療の問題ではないんですね。どちらかというと、これは開発全体に関わってくる問題です。
 三つ目、これがやっと保健医療の話、直接的な設備の話になります。保健医療の施設というのは、一番草の根のところではクリニックというよりは保健所ですが、保健所よりもその下の段階で、つまり医者がいないという、そういう施設が一番数としては多くなっています。保健所に医者がいるわけですけれども、何か問題があったときに保健所まで行っても、午前中しか開いていない。なぜかというと、医者は午前中分の給料しかもらっていないので、午後は自分のクリニック、私立のクリニックを開くというふうなことがあって、システムとしてうまく機能していないということが言えます。
 ですから、医療体制をうまく改善するとか、又は、妊産婦の命を救うためには最終的には帝王切開ということが手段がありますが、帝王切開をするためには、輸血、安全な輸血のシステムがないと帝王切開できません。安全な輸血のシステムがある開発途上国というのは非常に少ないと言わざるを得ないのが現状です。
 ジェンダーとの関連ということになりますと、社会的なアクセスを女性にも保障していく。だから、どこにも一人で行ける、何をしたくても自分でそれができるというふうな社会的なシステムを確立するということが非常に大きな、ちょっと一日、二日でできるような話ではないんですけれども、それが一番大きなネックになっているとは思います。保健医療の話でいいますと、母子手帳が、女性が保健所には自分一人でも行けるというようなときに役に立っているという話を聞いております。
 お母さんというのは家族全体の健康の管理者であり、出産間隔を空けて母体の保護をしないといけないということになっていますが、どういう方法がそれについてあるのかといいますと、一つは、三つの遅れの中で、家族でみんなで健康教育を考えるというふうなことですとか、頻繁な妊娠を防いで母体を保護するために家族計画を推進してスペーシングを取るというふうなこと、それとあと、男の子も月経教育などにもきちんと関わっていくということが必要になります。

発言情報

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発言者: 池上清子

speaker_id: 13156

日付: 2022-04-22

院: 参議院

会議名: 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会