辻邦夫の発言 (厚生労働委員会)

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○辻参考人 日本難病・疾病団体協議会の辻邦夫と申します。
 本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私ども日本難病・疾病団体協議会、JPAは、資料一にございますように、昭和四十七年の難病対策要綱の前後に、続々と難病の患者団体が誕生し、その全国組織が幾つか集まった中で、二〇〇五年に大人や子供の難病それから長期慢性疾患の団体が一つに集まった、加盟、準加盟、今九十八の団体で構成される全国組織でございます。
 本年も貴院で採択いただきました国会請願や難病患者サポート事業などを始め、個別の患者団体や地域難病連単体では解決が難しい課題について様々に活動しており、先週末も難病フォーラム二〇二二を開催し、たくさんの議員の先生にも御参加いただきました。誠にありがとうございます。
 私自身は、JPAで常務理事をしておりますが、指定難病の一つである慢性炎症性脱髄性多発神経炎という神経難病の一患者であり、また、全身性エリテマトーデスという指定難病の娘を持つ当事者の家族でもあります。
 さて、今回の難病法、児童福祉法の改正案では、患者も参加いたしました難病対策委員会等で検討が進められた結果をおおむね反映しており、治療研究と福祉の両面の推進を図る点が盛り込まれている点で、その成立に患者としても大変期待をしております。また、コロナ禍で、当初の五年以内の見直しが、ほぼ七年後の見直しになっている点にも鑑み、早急に御審議をいただきたいと考えております。
 一方、まだまだ積み残された課題が多いのも現状です。本日はこれらの点につき、意見を述べさせていただきたいと思います。
 最初に、難病法の成立経緯でございますが、若干振り返らせていただきます。
 資料二の、二〇一一年の十二月、中間的な整理、また、厚生労働大臣の基本方針にもあるように、難病は、その確率は低いものの、国民の誰にでも発症する可能性があり、難病の患者及びその家族を社会が包含し、支援していくことがふさわしいことを基本認識とするとされております。
 また、資料三にありますとおり、治療研究の推進と、なかなか光の当たってこなかった難病患者への福祉、両面の推進を基本理念として法制化が進められました。その過程で、患者の意見はもちろん、医療、福祉、行政の担当者や有識者、そして超党派の議員の皆様の御支援、後押し、御賛同を得て成立に至ったものです。
 そして、今回の五年以内の見直しにつきましても、コロナ禍により何回か中断を余儀なくされましたが、難病対策委員会とそのワーキンググループでの検討、各地でのヒアリングや患者へのアンケート、医療者、支援者、行政担当の意見なども踏まえた上で、制定時と同様、検討が進められた結果である点は評価できるものというふうに考えております。
 では、今回の改正案の具体的なポイントについてですが、まず一点目、資料四にございます、重症化した際に迅速に医療を受けられる制度については、発症後、更なる重症化を防ぐ、あるいは遅らせる治療をできるだけ早く開始することが、医療の観点からも、本人の日常、療養生活の観点からも大変重要であることは、医療関係者、患者双方が認めるところであります。
 今回、医療費助成の開始を、申請時から重症化時点まで一定期間遡ることは、実際に助成が治療開始に間に合わないという例が多くある中、重症化や治療控えを避けるためにも法の趣旨に沿う改正であり、患者としても早急に是非実現していただきたいと考えております。
 ただし、資料では、遡りの期間の案が原則一か月となっており、患者が安心して適切な治療が開始できるよう十分な期間が保障されるよう設定していただきたいと考えております。
 といいますのは、指定医が申請に必要な臨個票というものを作成する期間は、通常二週間から一か月かかると言われており、指定医のいる病院は決して身近な医療機関ではないことを考えますと、とても一か月では余裕がないことは明らかです。患者としては、原則三か月をお願いしたいところでございます。
 二点目として、資料五になりますが、各種支援を円滑に利用できるようにするための登録者証を発行する点につきましては、患者としても、生活の質の充実と向上、治療研究や根治療法の研究促進に資するものとして、こちらも大変期待するものです。
 なお、登録証の情報を基に、希少疾患への偏見や差別などにつながらないように十分配慮するとともに、個人情報の保護と安全管理措置を十分に行っていただきたいと思います。その点からも、法案説明にありますマイナンバーカード連携への不安はまだまだ大きく、そのデメリットやメリットの丁寧な説明を行い、しっかりとした検討の上で、慎重に進めていただく必要があると強く考えております。
 また、今回の登録証は、指定難病ではない総合支援法の対象疾患の患者は含まれておりません。それらの患者も同様の利便性が持てるよう施策を早急に考えていただき、同じ法律での支援に差異や谷間が生じないよう、十分な対策を講じていただきたいというふうに考えます。
 そのほか、資料六にあります、難病患者の療養生活支援の強化などなどについては、福祉と治療法開発の研究の両面を推進するものとして、患者の立場からも是非お願いするものです。
 さて、以上、改正案について述べてまいりましたが、そのほか、前回の附帯決議も多くが現在課題として残っており、今回の法改正に盛り込まれていない点や、法の運用面についても、これから述べる点について、課題として残っていることを述べたいと思います。
 これらの点については、五年以内の見直し規定を再度定めていただくとともに、資料七、八の難病法制定時の附帯決議を引き続き継続して政府に要請していただきたく、また、資料九の点について政府に検討を要請していただきたいと強く考えております。
 一点目は、トランジションの問題始め小慢対策についてです。
 トランジションの問題始め小慢における医療や福祉に対する対策について、患者やその家族の要望の多くは、今回の改正法案には反映されない、若しくは不十分なものでした。要望は、他の法律との関係や福祉政策とのバランスなど、難病法、児童福祉法だけでは解決できないものも多いため、大変難しい課題ですが、是非、患者、家族の声に耳を傾け、引き続き早急に小慢対策の充実を図るようお願いいたします。
 難病患者の約半数は、障害者手帳等の手帳を未所持でございます。そのため、法定雇用率の対象とならず、特にその就職時の困難性は一律に非常に高いと考えております。難病患者を法定雇用率の対象とし、難病患者の特性を踏まえた就職支援、就労継続支援を、また、他の病気を持つ者への支援策との連携を図るなどして、適切に講じていただきたいと考えます。
 また、難病患者就職サポーターは、概して県に一人しかおらず、その質のばらつきも、多くの患者団体が指摘するところです。増員のほか、身分、処遇の改善、支援の質と量、双方の向上を図るとともに、ハローワークでの難病患者支援の充実を図っていただきたいというふうに思います。
 国民皆保険の下、国民目線に立った医療政策や欧米に負けない研究開発、患者本位の医療を実現するためには、医療全般へ広く患者参画を進め、健全な患者視点を入れることが必須と考えます。難病法の下であれば、難病患者の日常生活又は社会生活の支障の評価ですとか、難病ゲノム医療等新たな医療の進展への対応などへの患者参画を推進するとともに、社会資源としての患者活動を適切に支援して、産官学に患が加わった連携かつ協業して医療の健全な発展に寄与するよう、有効な施策立案が必要と考えます。
 難病患者の最も身近なところにあるべき難病相談支援センターですが、保健師や看護師である支援員とピアサポーターの連携が薄かったり、行政や医療、福祉、また就労や教育等の機関との連携についても地域差があるのが現状です。患者の意見を十分に反映して、地域格差のない質の高い支援につながるよう、職員の増員、身分や処遇の改善、福祉専門員の配置なども行っていただきたいと考えます。
 指定難病の中でも、比較的希少な疾患や歴史の浅い疾患は、一時的であれ、その治療法や適応薬が、そうでない疾患に比べて非常に少なかったり、研究者も少なく、研究が進みにくいという点が挙がっております。比較的希少な疾患に対する治療法研究を促進するよう、予算と施策の充実を検討していただきたいと思います。
 最後に、地域においては、障害者基本法に基づく障害者施策推進協議会はもとより、総合支援法に基づく自立支援協議会においても、難病患者は当事者としてほとんど参加できていません。支援法と同様に、障害者基本法にも難病等が対象であることを明記し、国の障害者に対する諮問委員会や地域の協議会等において、目標設定や実現への道筋を明らかにするなどして、当事者としての難病患者の参加を促進し、真の共生社会の実現を目指せるようにしていただきたいと思います。
 意見は以上となります。
 その次に、参考資料として、法改正を速やかに実施していただきたいという本年四月の要望書を添付しておりますので、御参考にしていただければと思います。
 今日はどうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 辻邦夫

speaker_id: 31342

日付: 2022-11-16

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会