宮下修一の発言 (消費者問題に関する特別委員会)
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○宮下参考人 ただいま御紹介にあずかりました中央大学大学院法務研究科の宮下修一と申します。
本日は、このような貴重な機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
私の方からは、本日、二つの法案について審議されるということでございますが、そちらに対して意見を述べさせていただきます。
私は、専門は民法と消費者法というのをやっておりまして、先般、消費者庁において開催されました霊感商法等の悪質商法への対策検討会では、座長代理を拝命しておりました。その関係で、本日は、私の資料、一枚紙でございますが、こちらをお配りさせていただくと同時に、霊感商法等の悪質商法への対策検討会の報告書を資料として添付させていただいております。
この霊感商法等の悪質商法への対策検討会、七回にわたって、大変密度の濃い議論をさせていただきました。その議論の中で、いろいろな御意見がありましたし、私もいろいろな意見を述べさせていただきましたが、最終的にまとまりました提言というのが、もう先生方御承知かと思いますが、報告書四ページのところにまとめられているところでございます。
その中で、本日関係するところは2及び3であるというふうに承知しておりますけれども、こちらについて若干の意見を述べさせていただきます。
まず、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案についてでございます。
こちらについては、中心となりますのは消費者契約法の改正案かと存じますけれども、四条三項六号、これは現行でございまして、二〇二二年、本年改正されました消費者契約法では八号になる予定でございますが、この対象範囲につきまして、今般の改正では、当該消費者だけではなく、親族の生命、身体、財産その他の重要事項、そして、将来生じる可能性があるものだけではなく、現在生じている重大な不利益、さらに、将来の不安をあおるだけではなく、現在の不安を抱いていることに乗じた状況にまで拡大した、この点は、被害者救済の観点から、私は評価すべきであるというふうに思っております。
まさに相手方の弱みにつけ込むという、この乗じたという言葉が入るということが、今回は非常に大きな意味を持っているのではないかなと個人的には考えているところであります。
ただ、御承知のように、この条文は、多少いろいろなことを盛り込んでおりますので、読みにくくなっているところがございます。消費者契約法の逐条解説と言われるものが消費者庁から公表されておりますけれども、その内容については、丁寧に解説するとともに、周知徹底していくということが必要であろうかと思います。
特に、必要不可欠という言葉についていろいろ議論があるというふうに承知しておりますけれども、消費者契約法では、これまでも逐条解説において、例えば、事業者の不退去というようなところで、退去すべき意思表示をせよ、こういうようなことが条文には書かれておりますけれども、これは、口頭で帰りなさいと言わなくても、身ぶり手ぶりでも構わない、あるいは契約はもう結ばないと言うことでも構わない、こういったような形で、広く逐条解説というところで解釈をされているところでございます。そういったことを考えると、逐条解説で丁寧に解説をするということによっていろいろな誤解というのも解けるのではないかなというふうに考えております。
それから、続きまして、取消権の行使期間の伸長につきまして、短期については一年から三年、長期については五年から十年への伸長がなされました。この点については、やはり、短期というところも大事でございますが、長期というところが非常に大事であるというふうに認識しております。
こちらは検討会の議論でもございましたけれども、短期のところは、いわば困惑から脱したときというところを少し広げて考えることによって比較的救済の幅は広がるわけでありますが、やはり、消費者契約から五年ということでは余りにも短過ぎるのでないか、こういった議論が検討会でもあったところでございます。
その点について、今般、十年まで広げていただいているということで、これも被害者救済の観点からは一定の評価をすべきであるというふうに考えております。
また、二〇一八年に、この消費者契約法四条三項六号というのが改正法によって導入されましたが、それが施行された後のものにも遡って、網を広げてカバーしていこうという点については、これもやはり被害者救済の観点からは評価すべきだろうというふうに思います。
それから、もう一つ、国民生活センター法の一部を改正する法律案というのもございますが、こちらについては、重要消費者紛争解決手続、いわゆるADRの迅速化、あるいは事業者名の公表、それから適格消費者団体への支援、こういったことについて、予算も措置をしながら強化していくということでございますので、こちらについてはまさに早期の実現を期待しているところでございます。
ただ、検討会の報告書では、詳しく見ますと、報告書六ページのところでございますが、そちらの上から五行目のところに、いわゆるつけ込み型の不当勧誘に対する取消権というものについても法制化に向けた検討が必要であるという提言をさせていただいております。こちらについては、私も、なお引き続き国会の場で議論をいただいて、是非実現をしていただきたいというふうに考えております。
ただ、こちらについては、二〇一六年、二〇一八年、二〇二二年と、三回の改正に際して様々な場で議論をいただいてきたところですが、なかなか成案というのを得られなかったという状況もございますので、今般、拙速に議論するのではなく、時間をかけて議論して、より使い勝手のいい法律になるようにしていただければというふうに考えているところでございます。
続きまして、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案というものがございますが、こちらは、いずれも非常に重要な提案がなされているというふうに考えております。
契約だけではなく単独行為というものも対象としていること、また、寄附者への配慮義務というものを新設したこと、そして、不当勧誘行為を禁止行為として明確化した上で取消権というものも、それに伴って取消しをできるように新設をしていること、そして、借入れ等による資金調達の要求の禁止、さらに、債権者代位権というものを使うことを前提にした特例の新設ということで、こちらはいずれも、被害者救済の観点からは一歩前進であるというふうに評価すべきであると考えております。
ただ、今後、いろいろな状況というのが起こることも予想されますので、具体的な運用状況というものを踏まえた上で、必要に応じて見直しを検討していく必要があろうかというふうに思っております。
それから、この法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案を一読いたしますと、とりわけ、債権者代位権等、一般の方々には少し分かりにくい概念というか、そういった法律の用語が使われているということでございます。こういったことについては、一般市民の皆様に向けて丁寧な説明、それから啓発というのをして、被害の防止というものにつなげていく必要があろうかというふうに考えております。
私ども、私を含めまして、検討会では委員が全員、それぞれの立場から意見を交わしまして、そして忌憚のない、まさに先ほど委員長からもありましたが、検討会の場でも忌憚のない意見をぶつけ合って、その成果として出た報告書というものを、今回、法案という形でいろいろ取り入れていただいているというところについては、私としては、座長代理という立場にあった者として、心から感謝申し上げます。
それと同時に、先ほど申し上げました、つけ込み型の不当勧誘等のまだ残された課題があるということは、私も指摘をさせていただければというふうに考えております。この検討課題を含めて、今般のこの改正案というものにおいて提案されたことだけで終わりということにするのではなく、この後、またいろいろな形で、恐らく世の中でも問題が生じてくるかと思いますが、そうした問題について皆様にもいろいろと議論をいただいて、また更に使い勝手のよい法律にしていただくというようなことが必要かとは思います。
ただ、その第一歩として、何もなかったところから法律を作るということも、これは大変な、大事な作業かと存じます。いろいろな御議論があることは私も検討会の最中から承知をしておりますけれども、まずは、大きな第一歩、立法という形でこの第一歩を踏み出した上で、更にその内容を精査して、そしてよりよいものに発展させていくということが大事かと思います。
その意味では、今回、様々な形で被害を受けている皆様の救済ということを考えたときに、是非とも、この法律案というものを制定していただければというふうに考えております。
以上、拙い意見でございますが、私の意見とさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)