西田実仁の発言 (憲法審査会)
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○西田実仁君 公明党の西田実仁です。
憲法審査会が活動を開始したのは二〇一一年です。それから十一年が過ぎました。その間、私は、参議院の在り方については、特にその役割と選挙制度について議論してきました。この審査会でもたくさんの発言の機会をいただきました。その際、いつも心にあったのは、主権在民、党派を超えてということです。
そこで、一番記憶に残っている発言を会議録で再度読み直してみて、今日皆様にお話をすることにしました。二〇一六年十一月十六日の発言です。一部そのまま会議録を読み上げさせていただきます。
国民主権に基づく二院制と議院内閣制という仕組みの中で、第二院の参議院は第一院の衆議院を具体的にどうバックアップすればよいのか。国民主権が参議院改革の基本の視点であり、改憲論議においてはなおさら国民主権の徹底が必要です。
そう考えれば、当然、衆議院議員も参議院議員も全国民の代表という性格付けが適切ではないかと私は考えます。主権は国民全体にあるからです。参議院議員も全国民の代表であるからこそ、参議院には、衆議院が解散されていても、国に緊急の必要がある場合の緊急集会の規定が置かれていると言えます。緊急集会が参議院に置かれることとなった経緯や規定の制定理由を見れば、緊急集会は第二院の参議院が第一院の衆議院をバックアップする典型であることは明らかです。
参議院改革については、これまでも様々な議論がありました。二院制を支持する者の共通認識は、参議院は行政監視機能をより重視すべきであるということです。良識の府である参議院は、公共の利益の実現を目指し、党派を超えて努力すべきです。特に、解散のない六年という長い任期を与えられている参議院は、行政の組織、人事に対する統制という観点が重要であり、政府と官僚機構をつくる衆議院、それを監視する参議院という新たな視点から国会の行政監視機能を見直すべきではないか。
この考え、特に行政監視は参議院を中心とすべきという点については全く変わっておりません。しかし、幾つかの点で憲法審査会として注目すべき議論の進展が見られますので、それについてお話をします。
第一に、行政監視とは何か、定義についてです。驚くべきことですが、学説で行政監視の定義がないというのであります。これは大変におかしな話でありますので、この憲法審査会の場で定義を明らかにすることにしました。
行政監視とは、簡単に言えば公務員の働きぶりを見張ることを意味しますが、これを憲法規定と法令用語に合わせて言えば次のようになります。行政権の行使について国会に対し責任を負っている内閣が、法律を誠実に執行するという憲法上の義務に違反していないかどうかを国会が常時注意して見ること、これが行政監視の定義ですが、更に本質的な説明がされています。公共の利益の実現のために、主権者である国民に代わって国権の最高機関である国会が政府と官僚機構の活動を法の誠実な執行の確保の観点から常時注意して見ること、これが日本国憲法の下での行政監視であると。以上は、二〇一六年二月十七日、参議院憲法審査会で参考人出席した荒井達夫元参議院憲法審査会首席調査員、現千葉経済大学特任教授によるものです。
荒井説による行政監視の定義と本質的な説明で、行政監視はどのような活動をどのような体制で行えばよいか具体的に考えられるようになります。例えば、行政監視機能において、行政監視強化において、衆参でどのような役割の違いがあるかという非常に重要な問題を議論できることになるわけです。
第二に、行政監視と参議院の選挙制度の関係についてです。
参議院を行政監視のための院とすることで選挙制度との関係が明らかになります。投票価値の平等と全国民を代表する議員を基本条件とする選挙制度です。行政監視は、公共の利益の実現のために、主権者である国民に代わって国権の最高機関である国会が行う活動であるからです。
この点、参議院を地方のための院であることにして、一票の較差拡大も認めようとする意見も一部にありますが、疑問です。
参議院が地方のための院なら、衆議院は国のための院としなければなりませんが、衆議院で国の問題だけに限定する議論が可能とは考えられないからです。その必要性もなく、コロナ対策一つ取っても不合理で、公共の利益に反する結果を招きます。
また、一票の較差拡大を認めることを基本とする考えは、主権が国民にあるとの憲法思想に反します。全ての国民は憲法の下に対等の条件で政治参加が保障されるというのが民主主義の基本の考え方であり、そうでなければ本当の主権在民とは言えないからです。
第三に、憲法保障の議論の重要性について触れたいと思います。
私は、参議院の将来像を描くに当たり、行政監視と並んで憲法保障の議論が非常に重要ではないかと考えています。行政監視はすなわち法律の誠実な執行の監視、憲法保障はすなわち憲法の誠実な執行の監視で、どちらも法が主権者国民に対して誠実に執行されているかどうかを見張るという意味があるからです。
憲法保障に関しては、参議院憲法審査会の客員調査員をされた桃山学院大学の田中祥貴教授が著書「参議院と憲法保障」で、本年度、日本公共政策学会の著作賞を受賞されました。間違いなく参議院改革のための有益な資料になると思いますので、ここで紹介させていただきました。
私の発言は以上でございます。