藤井克徳の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(藤井克徳君) 我が国幾十万の精神病者は実にこの病を受けたる不幸のほかに、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものと言うべし。これは「精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察」の中の一節であります。呉秀三らによってこの調査が行われました。これは日本で最初の座敷牢に関する疫学調査でありました。この有名なフレーズの後にこういう一文が付くことを御存じでしょうか。精神病者の救済と保護は実に人道問題にして、我が国目下の急務と言わざるべからず。この急務と言った時期から百五年が経過しています。まさに日本の社会は一体何をしてきたんでしょうか。
この百五年間でどれくらい厚生大臣が替わったでしょうか。厚労大臣、当時は内務大臣と言っていました。調べました。加藤大臣も、今の加藤大臣の前まででいいますと、百十六人が大臣に就いています。誰一人として真の改革に結び付いた者は私はいないと断じていいと思うんですね。改めてそういう点でいうと、決して大臣だけの責任じゃありません。政府全体の責任であり、また立法府も含めて大きな責任があろうかというふうに思います。
以下、お手元の発言要旨に従って簡潔に各論を述べてまいります。
今、精神障害者の分野から話が始まりましたので、引き続き精神保健福祉法に関連して述べたいと思います。
少しデータでこの国の精神障害者の実態を共有していこうと思います。最も象徴的なのは平均在院日数だと思います。
厚労省の一番新しいデータによると、二百八十三・五日。二百八十三・五日。一般診療科といいますと十六・四日。約十七倍です。海外と比較するとどうでしょう。お手元にありますように、大半の国が三十日以内であります。ベルギー等は十日を割っています。そして、こういうデータもあります。五年以上の入院者がどれくらいいるか。八万七百八十六人、入院者全体の三〇・七%であります。五年以上というのは特殊じゃないんですね、ほぼ一般化しているわけなんです。これも海外とのデータを比べてみました。本年の八月に調べてみました。お手元の資料集の二十二ページを御覧ください。
これは、OECDのデータを取ってみました。今、OECD、いわゆる工業先進国と言ってもいいと思うんですけれども、この圏域の中に八十七万ベッドがあります。このうち、何と三七・一%が日本に集中している。まさに精神病大国、こう言ってもいいかと思います。
そのほか、身体拘束や監禁の問題、これは後で長谷川教授からありますので、数字をここに紹介しておきました。
問題は、どうしてこういうふうなことが起こってくるかという背景です。もういろんな背景があると思うんです。今日は、二つのことを少し述べておこうと思います。
一つは、優生保護法との関係です。
お分かりのように、優生保護法というのは優生思想を公認してしまったわけですね。そして、障害者を不良というふうに呼称しました。その二年後に精神衛生法、今の精神保健福祉法の前身ですね、でき上がっています。この関係をどういうふうに見るのかということ。優生保護法の大半は、精神障害者と知的障害者であります、影響を受けたのは。
また、もう一つは精神科特例。現在、この制度名は消えています。しかし、東京都の病院管理手引なんか見ると、精神科特例当時の計算式が使われています。医師は入院患者に関しては半分でいい、看護は三分の二で構わない、薬剤師は半分で構わない。看護は三分の二ですね、医師は、薬剤師は半分で構わない。こうした少ない陣容での精神科医療というのは、結局は治療処遇ということよりは収容処遇になってしまった。そして、閉鎖的な形態になってしまって、結局、外部から分かりにくく、様々な非人道的な行為の温床になっているということであります。
こういうことを併せて、精神保健福祉法、もちろん今度の法案、いろんな議論は必要だけれども、時には歴史を振り返って構造的な問題をきちんと考えるべきじゃないでしょうか。
二つ目です。これは、障害者総合支援法に関わってです。二つのことを強調します。
一つは、六十五歳問題。介護保険優先原則の問題ですね。
障害者の場合には、年齢によって様々な問題が起こってきます。かつては、六歳の春を泣かせるな、これは学校に入れなかったわけです。その後、十八歳の春を悲しませるな、卒業後は行き場がない。今、六十五歳の誕生日を苦しませるなということ、こう言ってもいいと思うんですね。やはり、基本的には介護保険を選ぶのか、又は総合支援法、障害者総合支援法を選ぶのか、あるいは併用でいくのかということを本人の選択で決めるということを、これを制度化していただきたいというふうに思うわけです。
二つ目は、これも法案には今回入ってないんだけれども、非常に本質問題です。いわゆる公費の支弁方式、報酬の支払方式ですね。これが日払い方式になっていることの矛盾です。
今般、コロナ問題で、あるいはコロナ問題以前から、風水害、台風等含めて、利用者が来た分だけお金が来るという方式に変わってしまったわけです、自立支援法以降はですね。職員の給料は固定費です。家賃も固定費です。やはり、この月額単位というふうな支払方式、それに加えて日払いということが、利用者の来た分だけということはあってもいいと思うんです。月額払いと日払い方式の二階建て構造、こんなことをきちんと展望すべきではないでしょうか。
三つ目は、雇用関係の問題です。
今般問われていたのは、福祉と雇用の一体的展開。これは、この資料にもありますように、参議院で二〇一九年に附帯決議で上がっています。具体的に言うと、障害者雇用促進法と障害者総合支援法の二つの法律の合体運用ということですね。更に踏み込みますと、通勤時のいわゆる総合支援法での移動支援事業、また職場での介護でのヘルパーの支援と。また、福祉的就労においては、B型事業等に対して、ヨーロッパの国が取っているように一部でも労働法規を適用するということ、これこそが福祉と雇用の一体展開ではないでしょうか。
加えて、今度の議論で少し抜けていますのは中央省庁の水増し雇用。一体この総括が立法府として行われたのでしょうか。その後、一体どうなっているのかということのチェックですね、これもきちんとやはり捉えていく必要がある。
また、最近広がっているのは雇用率代行ビジネスの問題、これについても当委員会としては評価をしていただきたい。まさに、このカーボンプライシングではありませんけれども、二酸化炭素をお金で買い換えると。しかし、こちらは人間です。このまま行ったらヒューマンプライシング、雇用率を市場で売り買いするという妙な現象が起こりつつありますね。
こうして見てきますと、次のテーマは、この委員会の進め方、法案の審議の進め方についても意見を、希望を言わせていただきます。
私は、ここで二つのことを強調しておきますので。私は実は全く目が見えません。ちょっと委員長の了解を得て一文を読んでもらいますが、委員長、よろしゅうございますか。