厚生労働委員会

2022-12-05 参議院 全153発言

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会議録情報#0
令和四年十二月五日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月二日
    辞任         補欠選任
     比嘉奈津美君     永井  学君
 十二月五日
    辞任         補欠選任
     石田 昌宏君     若林 洋平君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山田  宏君
    理 事
                こやり隆史君
                島村  大君
                川田 龍平君
                山本 香苗君
    委 員
                生稲 晃子君
                石田 昌宏君
                神谷 政幸君
                友納 理緒君
                永井  学君
                羽生田 俊君
                藤井 一博君
                星  北斗君
                本田 顕子君
                若林 洋平君
                石橋 通宏君
                打越さく良君
                高木 真理君
                窪田 哲也君
                若松 謙維君
                東   徹君
                松野 明美君
                田村 まみ君
                芳賀 道也君
                倉林 明子君
                天畠 大輔君
   衆議院議員
       厚生労働委員長  三ッ林裕巳君
   国務大臣
       厚生労働大臣   加藤 勝信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐伯 道子君
   参考人
       全国精神保健福
       祉センター長会
       会長       辻本 哲士君
       特定非営利活動
       法人日本障害者
       協議会代表    藤井 克徳君
       特定非営利活動
       法人東松山障害
       者就労支援セン
       ター代表理事   若尾 勝己君
       杏林大学保健学
       部作業療法学科
       教授       長谷川利夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○令和四年度出産・子育て応援給付金に係る差押
 禁止等に関する法律案(衆議院提出)
○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援
 するための法律等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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山田宏#1
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、比嘉奈津美君が委員を辞任され、その補欠として永井学君が選任されました。
    ─────────────
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山田宏#2
○委員長(山田宏君) 令和四年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院厚生労働委員長三ッ林裕巳君から趣旨説明を聴取いたします。三ッ林裕巳君。
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三ッ林裕巳#3
○衆議院議員(三ッ林裕巳君) ただいま議題となりました令和四年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 今般、政府は、妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援の実効性をより高めるため、令和四年四月以降に出産した全ての方に対し、出産・子育て応援給付金を支給することとしたところであります。
 本案は、令和四年度出産・子育て応援給付金の支給の趣旨に鑑み、その支給を受けることとなった者が自ら当該給付金を使用することができるようにするため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、令和四年度出産・子育て応援給付金の支給を受ける権利の差押え等を禁止するとともに、当該給付金として支給を受けた金銭等の差押えを禁止することとしております。
 第二に、租税そのほかの公課は、令和四年度出産・子育て応援給付金として支給を受けた金品を標準として課することができないこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 以上が、本案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
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山田宏#4
○委員長(山田宏君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 令和四年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
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山田宏#5
○委員長(山田宏君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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山田宏#6
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 三ッ林衆議院厚生労働委員長は御退席いただいて結構でございます。
    ─────────────
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山田宏#7
○委員長(山田宏君) 次に、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。
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加藤勝信#8
○国務大臣(加藤勝信君) ただいま議題となりました障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
 障害者、難病患者及び小児慢性特定疾病児童等の生活を、地域や職場等の様々な場面で総合的に支援していくためには、医療、福祉、雇用等の各分野の支援を充実するとともに、相互に連携しながら、当事者を支える仕組みを構築していくことが必要です。
 障害者等の地域生活や就労を支援するための施策の強化により、障害者等が希望する生活を営むことができる社会を実現するため、この法律案を提出いたしました。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、障害者の地域生活の支援体制の充実のため、共同生活援助の支援内容として、一人暮らし等を希望する者に対する支援や退居後の相談等が含まれることを法律上明確化するとともに、地域の相談支援の中核的役割を担う基幹相談支援センター及び緊急時の対応や施設等からの地域移行の推進を担う地域生活支援拠点等の整備を市町村の努力義務とすることとしています。
 第二に、障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上を推進するため、障害者の意向、適性等に合った働き方の選択を支援する障害福祉サービスとして就労選択支援を創設するとともに、公共職業安定所はこの支援を受けた者に、その結果を参考に職業指導等を実施することとしています。また、雇用義務の対象外である週所定労働時間が特に短い重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者について、実雇用率の算定対象とするとともに、障害者雇用調整金等の支給方法を見直しし、企業が実施する職場定着等の取組への助成措置を強化することとしています。
 第三に、精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制を整備するため、その家族等が同意、不同意の意思表示を行わない場合に、市町村長の同意により医療保護入院を行うことを可能とするほか、医療保護入院の期間を定め、医療保護入院者について、一定期間ごとに入院の要件の確認を行うとともに、市町村長の同意による医療保護入院者を中心に、入院者本人の希望の下、支援者の訪問により入院者本人の気持ちを丁寧に聞き、相談に応じる入院者訪問支援事業を創設し、精神障害者の権利擁護を推進することとしています。また、虐待防止のための取組を推進するため、精神科病院において、従事者等への研修、普及啓発等を行うとともに、従事者による虐待を発見した者が都道府県等に通報する仕組みを整備することとしています。
 第四に、難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の充実を図るため、これらの者に対する医療費助成について、助成開始の時期を申請日から重症化したと診断された日に前倒しすることとしています。また、障害福祉サービス等の各種支援の円滑な利用を促進するため、指定難病要支援者証明事業等を創設するほか、難病相談支援センターと福祉、就労に関する支援を行う者の連携を推進するなど、難病患者を対象とした療養生活環境整備事業及び小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を強化することとしています。
 第五に、障害福祉サービス、難病患者等の療養生活等の質の向上に資するため、障害福祉サービス等、指定難病及び小児慢性特定疾病に係る各データベースについて、大学や民間事業者などの第三者に対する提供の仕組み等の規定を整備することとしています。
 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和六年四月一日としています。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。
 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。
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山田宏#9
○委員長(山田宏君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
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山田宏#10
○委員長(山田宏君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
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山田宏#11
○委員長(山田宏君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に全国精神保健福祉センター長会会長辻本哲士君、特定非営利活動法人日本障害者協議会代表藤井克徳君、特定非営利活動法人東松山障害者就労支援センター代表理事若尾勝己君及び杏林大学保健学部作業療法学科教授長谷川利夫君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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山田宏#12
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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山田宏#13
○委員長(山田宏君) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の皆様から御意見を伺います。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚ない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしていきたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、辻本参考人、藤井参考人、若尾参考人、長谷川参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず辻本参考人からお願いいたします。辻本参考人。
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辻本哲士#14
○参考人(辻本哲士君) 本日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。辻本哲士と申します。全国精神保健福祉センター長会の会長をしております。法改正に全体として賛成の立場から意見を述べます。
 まず、私自身についてです。
 滋賀県立精神保健福祉センター所長として勤務しています。精神保健福祉センター、以下精保センターと略します、は現行の精神保健福祉法第六条に規定された精神保健福祉に関する中核的総合技術センターです。企画立案、技術指導、教育研修、普及啓発、調査研究、資料提供、精神保健福祉相談、組織育成、自立支援医療、精神障害者保健福祉手帳判定と、後述する精神医療審査会の審査に関する事務等を業務としています。
 最近では、統一教会やコロナ禍の心の相談窓口、コロナ感染症施設等の患者、支援者のメンタルヘルス対応など、地域の実情に応じ、精神保健福祉分野の技術的中枢として必要な活動をしています。精保センター以外に、県立の精神科病院、小児科病院、総合病院で外来当直その他をし、県庁では技監の立場にあります。
 今回、行政機関の精保センター所長、医療機関の一臨床精神科医、さらに、令和三年十月に設置された、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会、以下検討会と略します、の構成員の一人として、今回の改正案に関して八点お話しさせていただきます。
 一点目、精神保健医療福祉と地域包括ケアシステムについてです。
 実は、私は、平成二十九年の改正案提出時の参議院厚生労働委員会でも参考人として発言しております。その場でも、法改正が進まなくても、精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築、地域共生社会の実現、いい町づくりをしていく、精神障害者の孤立を防ぐ、退院後支援は続けていく旨お話ししました。このときの改正案は廃案になりましたが、確実に地域包括ケアシステムは進んでいます。
 入院患者の地域移行、地域定着に資する継続的、包括的な支援のイメージが医療、保健福祉機関の間に広がり、精神科措置入院退院支援加算等、診療報酬によるインセンティブもあり、多職種、多機関による共同指導、相談指導は包括的支援マネジメントとして実践されています。
 今回の法改正の大きな意義の一つとして、都道府県だけでなく市町村を中心に、地域で保健、医療、福祉、住まい、就労等の包括的支援を確保する旨の責務が明記された点が挙げられます。市町村は、自殺や介護、生活困窮者対策等で既に責任主体となっています。精神障害者は、心の病のみで困っているわけではありません。精神障害者の多くが、自殺や生活困窮に困っています。その他、引きこもりや依存、感染症を含めた災害弱者としても困っているのです。
 現状、市町村はサービス利用等の窓口にはなっていますが、法令上、精神保健に関する相談業務の規定がなく、専門職が配置されていないところもあります。実際は、自殺や生活困窮者対策として精神障害者と関わりを持っているのですから、今回の法改正で責務が明文化することにより、より適切で包括的な支援体制が確保できます。
 専門的な技術支援、バックアップの在り方、人材、財政的な裏付け等の課題に対しては、技術支援や人材育成などの精保センター、保健所等の業務の明確化、人員配置や予算措置などの手当て、診療報酬改定等が必要です。さらに、対象を精神障害者のほか、精神保健に課題を抱える者と広げているので、医療にかかる前のより早期の支援が実践できます。今回の法改正で、更に力強く、より早く、精神障害者の希望やニーズに応じた支援、心身の状態に応じた適切な包括的なアプローチが約束されます。
 二点目、医療保護入院に関してです。
 検討会では、医療保護入院の抜本的な見直し論から始まり、入院医療を必要最小限にするための予防的取組の充実に関しては早期から合意されていました。その上での医療保護入院の在り方検討として、精神障害としての判断能力、入院医療へのアクセス、人権擁護等様々な課題、意見が出されました。現実的な落としどころから、医療保護入院から任意入院への移行、退院促進に向けた制度、支援の充実の具体的な方策の一つとして医療保護入院の入院期間を定め、期間ごとに医療保護入院の要件の確認を行うとなりました。
 今回の法改正は、医療保護入院の適正化につながると考えています。医療保護入院の在り方は、精保センターが事務局を持つ精神医療審査会にも大きく影響します。
 三点目は、その精神医療審査会についてです。
 初めにお話ししたように、精保センターは、精神医療審査会、以降審査会と略します、事務局を担っています。全国六十九精保センターについてざっくり言うと、国民百八十万人に対し、精神科医一人、保健師三人、精神保健福祉士一人、心理職二人、事務職四人、一センター当たり十四人の人員で、最初に説明した多種多様な業務をこなしています。精保センター状況調査で、業務遂行に対応するために最も優先されるべきは人員体制の強化となっています。
 滋賀県の審査会の年間審査状況について、これもざっくり言うと、医療保護入院者の入院時届出千八百件、医療保護入院者の定期報告八百件、退院請求三十件、処遇改善請求十件です。審査会は、医療委員十五名、法律家委員五名、有識者委員五名で、事務局正規担当職員一人、補助職員三名とともに審査いただいています。審査会への合議体の出席は年六回、一回当たり、書面審査約百件プラス再審査約三十件で九十分程度掛かります。
 退院請求、処遇改善請求等に関してです。審査会事務局として、一、入院病院への担当者紹介と候補日の確保、二、各審査会委員と病院、家族等の面談日程調整、三、本人、病院、家族等の申請意見書受理、四、面談日程確定後、面接調査の実施通知書作成、郵送、五、調査に参加する委員会委員への資料郵送、六、面談日に面談同席、七、面談終了後、委員会委員と調査書の作成、委員会へ送付、八、審査会への審査同席、九、審査結果の県庁、本人、病院、家族への通知と流れます。
 審査会の退院請求等の調査は、年間約六回、九十分程度の面接で、毎回審査会委員二人によって行われています。一件当たり、精保センター職員の稼働時間は、勤務日約一日分となります。患者の権利擁護のためには、適切かつ迅速な審査会運営が求められます。審査期間の短縮は命題で、日程調整に関しては、各関係者に無理強いしながらも実施しています。審査会委員は専従ではなく、本来業務をこなしながらであり、日程調整は困難極まりない状態です。医療委員は精神保健指定医になります。私も指定医なので、本来業務と審査会業務、審査会委員業務のバランスの難しさは実感できます。審査会委員の確保は喫緊の課題です。
 今回の法律改正で、精保センター業務への影響についてです。定期病状報告書は廃止されますが、六か月以内に入院時の届出と同じ手続を踏むことになります。一年以上の入院になると、単純に書類枚数として二倍になります。審査においても入院時と同等の審査をするため、審査会の開催時間も二倍になります。措置入院も審査会での審査が求められ、医療保護入院以上に審議の時間を要することが想定されます。審査会委員に多大な負担と労力を掛けることが予測されます。
 対応として、審査会委員の増員、予備委員の活用、事務局の体制強化等が考えられます。審査会委員確保に、より積極的な協力、協力いただける体制をお願いします。事務局体制の強化についても、人件費、事務費の予算措置は必須です。
 四点目、家族が意思表示を行えない場合に、市町村長の判断により医療保護入院が可能になる点についてです。
 DVや虐待疑い等、運用上課題が多かった家族等同意に関して、市町村長同意の方向性が更なる検討として報告書にも明示されました。家族の精神的な負担や疎遠な状況などから、家族同意そのものを外してほしいという意見もあります。精神科救急の現場では、医療的にも患者の権利擁護のためにも、一刻も早く治療を始めたいところです。
 適切な医療が提供できるよう、家族等が同意、不同意の意思表示を行わない場合には、適切な運用を前提に、市町村長の同意による医療保護入院を行うことを可能とすることが望まれます。市町村として、次に話す入院者訪問支援事業を活用した患者への関わり、人員体制等の検討をお願いしたいです。
 五点目、その入院者訪問支援事業についてです。
 患者の退院促進、権利擁護に向けた体制整備は、最初にお話しした精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築のおかげで進みつつあります。精神科病院外部の人、空気が病院に入る機会が増えているのです。このことは、患者、病院、地域支援機関、全てに良い影響を与えています。個人、組織、全てにおいて、孤独、孤立感や自尊心の低下を防ぎ、地域づくりにも役立っています。入院時からそのような効果を生むであろう入院者訪問支援事業に期待します。しっかりとした体制整備をお願いします。精神科病院に対する地域援助、事業者との連携義務化も同様です。
 六点目、精神科病院における虐待防止のための取組についてです。
 精神科病院における虐待防止のための取組を、管理者のリーダーシップの下、組織全体で推進することは当然必要です。市町村長、都道府県等の指導、監視の強化も当然図られるべきです。実効的な制度となり、虐待防止に資することになると思います。
 七点目、不適切な隔離、身体的拘束をゼロとする取組についてです。
 不適切な行動制限が虐待の温床ともなるため、今回の法改正により虐待防止が確実に進むと考えています。必要な医療行為を行うための身体固定について、一定のルールの下行うこととすべき、精神病床以外の病床における身体拘束の現状や取扱いを含め幅広い観点で検討すべき、介護分野における取組を参考にするべき等の報告書意見も大事だと思います。
 八点目、附則第八条についてです。
 今回の法改正は、精神障害者の権利擁護に向けた第一歩を踏み出すものと考えます。更なる制度の改善に向けて、精神障害者やその家族の意見を聞きながら、精神保健医療福祉に携わる幅広い関係者による議論の継続が重要です。
 検討会では、様々な関係者が同じ場に集まり、昨今の重要課題について議論できたことは本当に有意義でした。参加した構成員は、賛成、反対の意見はあるものの、良い議論をしようとする姿勢は共通しており、話合いを重ねる中で、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に関し、おおむね同じ方向性を持てたように感じました。毎回構成員のほぼ全員が発言するため、一人五分でも、二十四人で二時間掛かります。十分に討議したとは言いづらいところはあります。今回の法改正を含め、今後も幅広く熱意ある議論が続くことを望みます。
 非同意入院について世界的に検討が進んでいると聞いております。身体科では、従来から、薬剤や手術、検査等、海外の多くの知見を取り入れて発展してきました。新型コロナ感染症対策も同様です。精神科においても、薬物療法、心理療法に関しては海外の知見が蓄積されていますが、制度、仕組みといった分野についてはいま一つだと感じてきました。他国にも非同意入院が必要な精神病状態にある患者は必ずおられます。精神科の様々な制度、仕組みについて、世界の情報をもっと取り入れるべきです。
 終わりに、検討会では、参考資料として全国精保センター長会から提言を出しました。その中には、精保センターは行政機関において多職種を有する専門的機関であり、かつ保健所との重層的支援を行う役割を持つ機関、退院後支援及び地域生活支援、権利擁護について幅広い知識と経験を備えていると書かれています。
 今回の法改正を通して、今後の地域精神保健福祉の機能の強化と精神保健指定医が福祉的な視点を持って精神医療を行えるよう、精神保健福祉指定医の人材育成と認定を望みます。
 以上です。ありがとうございました。
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山田宏#15
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
 次に、藤井参考人にお願いいたします。藤井参考人。
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藤井克徳#16
○参考人(藤井克徳君) 我が国幾十万の精神病者は実にこの病を受けたる不幸のほかに、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものと言うべし。これは「精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察」の中の一節であります。呉秀三らによってこの調査が行われました。これは日本で最初の座敷牢に関する疫学調査でありました。この有名なフレーズの後にこういう一文が付くことを御存じでしょうか。精神病者の救済と保護は実に人道問題にして、我が国目下の急務と言わざるべからず。この急務と言った時期から百五年が経過しています。まさに日本の社会は一体何をしてきたんでしょうか。
 この百五年間でどれくらい厚生大臣が替わったでしょうか。厚労大臣、当時は内務大臣と言っていました。調べました。加藤大臣も、今の加藤大臣の前まででいいますと、百十六人が大臣に就いています。誰一人として真の改革に結び付いた者は私はいないと断じていいと思うんですね。改めてそういう点でいうと、決して大臣だけの責任じゃありません。政府全体の責任であり、また立法府も含めて大きな責任があろうかというふうに思います。
 以下、お手元の発言要旨に従って簡潔に各論を述べてまいります。
 今、精神障害者の分野から話が始まりましたので、引き続き精神保健福祉法に関連して述べたいと思います。
 少しデータでこの国の精神障害者の実態を共有していこうと思います。最も象徴的なのは平均在院日数だと思います。
 厚労省の一番新しいデータによると、二百八十三・五日。二百八十三・五日。一般診療科といいますと十六・四日。約十七倍です。海外と比較するとどうでしょう。お手元にありますように、大半の国が三十日以内であります。ベルギー等は十日を割っています。そして、こういうデータもあります。五年以上の入院者がどれくらいいるか。八万七百八十六人、入院者全体の三〇・七%であります。五年以上というのは特殊じゃないんですね、ほぼ一般化しているわけなんです。これも海外とのデータを比べてみました。本年の八月に調べてみました。お手元の資料集の二十二ページを御覧ください。
 これは、OECDのデータを取ってみました。今、OECD、いわゆる工業先進国と言ってもいいと思うんですけれども、この圏域の中に八十七万ベッドがあります。このうち、何と三七・一%が日本に集中している。まさに精神病大国、こう言ってもいいかと思います。
 そのほか、身体拘束や監禁の問題、これは後で長谷川教授からありますので、数字をここに紹介しておきました。
 問題は、どうしてこういうふうなことが起こってくるかという背景です。もういろんな背景があると思うんです。今日は、二つのことを少し述べておこうと思います。
 一つは、優生保護法との関係です。
 お分かりのように、優生保護法というのは優生思想を公認してしまったわけですね。そして、障害者を不良というふうに呼称しました。その二年後に精神衛生法、今の精神保健福祉法の前身ですね、でき上がっています。この関係をどういうふうに見るのかということ。優生保護法の大半は、精神障害者と知的障害者であります、影響を受けたのは。
 また、もう一つは精神科特例。現在、この制度名は消えています。しかし、東京都の病院管理手引なんか見ると、精神科特例当時の計算式が使われています。医師は入院患者に関しては半分でいい、看護は三分の二で構わない、薬剤師は半分で構わない。看護は三分の二ですね、医師は、薬剤師は半分で構わない。こうした少ない陣容での精神科医療というのは、結局は治療処遇ということよりは収容処遇になってしまった。そして、閉鎖的な形態になってしまって、結局、外部から分かりにくく、様々な非人道的な行為の温床になっているということであります。
 こういうことを併せて、精神保健福祉法、もちろん今度の法案、いろんな議論は必要だけれども、時には歴史を振り返って構造的な問題をきちんと考えるべきじゃないでしょうか。
 二つ目です。これは、障害者総合支援法に関わってです。二つのことを強調します。
 一つは、六十五歳問題。介護保険優先原則の問題ですね。
 障害者の場合には、年齢によって様々な問題が起こってきます。かつては、六歳の春を泣かせるな、これは学校に入れなかったわけです。その後、十八歳の春を悲しませるな、卒業後は行き場がない。今、六十五歳の誕生日を苦しませるなということ、こう言ってもいいと思うんですね。やはり、基本的には介護保険を選ぶのか、又は総合支援法、障害者総合支援法を選ぶのか、あるいは併用でいくのかということを本人の選択で決めるということを、これを制度化していただきたいというふうに思うわけです。
 二つ目は、これも法案には今回入ってないんだけれども、非常に本質問題です。いわゆる公費の支弁方式、報酬の支払方式ですね。これが日払い方式になっていることの矛盾です。
 今般、コロナ問題で、あるいはコロナ問題以前から、風水害、台風等含めて、利用者が来た分だけお金が来るという方式に変わってしまったわけです、自立支援法以降はですね。職員の給料は固定費です。家賃も固定費です。やはり、この月額単位というふうな支払方式、それに加えて日払いということが、利用者の来た分だけということはあってもいいと思うんです。月額払いと日払い方式の二階建て構造、こんなことをきちんと展望すべきではないでしょうか。
 三つ目は、雇用関係の問題です。
 今般問われていたのは、福祉と雇用の一体的展開。これは、この資料にもありますように、参議院で二〇一九年に附帯決議で上がっています。具体的に言うと、障害者雇用促進法と障害者総合支援法の二つの法律の合体運用ということですね。更に踏み込みますと、通勤時のいわゆる総合支援法での移動支援事業、また職場での介護でのヘルパーの支援と。また、福祉的就労においては、B型事業等に対して、ヨーロッパの国が取っているように一部でも労働法規を適用するということ、これこそが福祉と雇用の一体展開ではないでしょうか。
 加えて、今度の議論で少し抜けていますのは中央省庁の水増し雇用。一体この総括が立法府として行われたのでしょうか。その後、一体どうなっているのかということのチェックですね、これもきちんとやはり捉えていく必要がある。
 また、最近広がっているのは雇用率代行ビジネスの問題、これについても当委員会としては評価をしていただきたい。まさに、このカーボンプライシングではありませんけれども、二酸化炭素をお金で買い換えると。しかし、こちらは人間です。このまま行ったらヒューマンプライシング、雇用率を市場で売り買いするという妙な現象が起こりつつありますね。
 こうして見てきますと、次のテーマは、この委員会の進め方、法案の審議の進め方についても意見を、希望を言わせていただきます。
 私は、ここで二つのことを強調しておきますので。私は実は全く目が見えません。ちょっと委員長の了解を得て一文を読んでもらいますが、委員長、よろしゅうございますか。
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山田宏#17
○委員長(山田宏君) はい、どうぞ。
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藤井克徳#18
○参考人(藤井克徳君) 代読いたします。
 二、国、厚生労働省は、障害者自立支援法を、立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担、定率負担の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らを始めとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案、実施に当たる。
 以上です。
 これは、その自立支援法問題のときの交わした締結書、基本合意文書なんです。やはり、単にそうじゃなくて、普遍的に、障害者関係の制度、法律を検討する場合の普遍的な姿勢を求めたわけですよね。この点に立ってきちんと議論をしていただきたいというのが一つ。
 もう一つは、この束ね法案の問題性です。
 今回、厳密に言うと八つの法律を一括審議する、極めて乱暴極まりない。つまり、一つ一つの法律が障害者の生命と人権と暮らしと、そして社会参加に影響する。ある面では、やっぱりこれはもう少し丁寧にということ。まあ現実的にはもうあしたから審議が始まるわけなので、そういかないかも分かりませんが、今後のやはり反省も含めて、この点については委員会等でもしかし深めておいてほしいということを強調しておきます。
 最後に、国連の総括所見の件について触れたいと思います。
 去る八月の二十二日、二十三日に、ジュネーブの国連欧州本部で、障害者権利委員会による、そして障害者権利条約に基づく初の国際審査が行われました。日本の障害者政策が国際評価を受けるのは初めてのことで、極めて歴史的なことだったと思います。私も傍聴に行ってまいりました。
 この審査は、審査で終わるんじゃなくて、後にそれを文章で出すんです。これを総括所見あるいは勧告文といいますが、これが出されました。この内容は、七十五段落のうち六十三段落が懸念事項及び勧告ということで、そういうふうな構造になっております。
 時間がありませんから、何がポイントだったかということと、どうこれに向かうべきかということを述べて終わっていこうと思います。
 まず、何がポイントだったかということで、象徴的な文章があります。それは第七パラグラフ、第七段落です。
 ここでも、じゃ、代読をしてもらいます。
 代読いたします。
 障害者への父権主義的アプローチを伴うことにより、障害関連の国内法及び政策が、条約に含まれる障害の人権モデルと調和していないこと。
 これで、パターナリズムを父権主義と訳すのがいいかどうかということは分かりません。まだ実は公定訳が出ていないんですね。したがって、これは機械翻訳を使っていますけれども。いずれにしても、パターナリズム、パターナリスティック、これが日本の障害者政策の基調に座っていると、こういうふうに言っているんですね。と同時に、人権モデルとの調和をしていないというふうなことを言われました。
 これは非常に大事なことで、つまり、このパターナリズムというのは、やっている方がよかれと思ってやっているけれども的外れであるということですね。あるいは、言い換えれば、障害者を保護の対象として、同情的、温情的な視点からアプローチをすると。やはり、権利の主体として位置付けるようにということを厳しく見抜いたわけです。同じように、人権モデルとの不調和ということについても問題点を強調していると。
 二つ目は、この優生保護法問題の全面解決なども含めて、あるいはやまゆり園問題の真相究明を含めて、日本においては、優生思想又は健常者優先主義ということの視点がまだまだ残っているんじゃないかということですね。
 三つ目は、分離処遇。入所施設にしても学校教育にしても働く場にしても、まだまだ分離が多い、これへの警鐘。これは、今後いろんな議論が要るところかも分かりません。現実的にどうするのかという議論も必要かも分かりません。と同時に、これはある面では社会へのイエローカード、地域で受け入れてくれるんですか、普通学校は大丈夫ですか、働く場大丈夫ですかということですね。こういうふうに言っていること。
 四つ目は、今度の法案審議でも大事な精神科医療問題です。これは相当紙幅を取っています。厳しくこれは問うていますね。是非、今日お手元に資料を配りましたんで、特に第二十四パラグラフ、第三十四パラグラフ、御覧ください。
 さて、時間が参りましたので、かつて国際障害者年時にこういうフレーズが国連から言われました、決議されました。障害者を締め出す社会は弱くもろい。逆に言うと、障害者をしっかりと大事にする社会というのは強靱でしなやか。私は、それよりも、障害者を大事にするという社会というのは尊敬される国だと思います。
 参議院は、衆議院と違って大変任期が安定しています。障害者問題を是非、一回一回の国会ではなくて、中期的なそういうふうな議論を含めて、議論、本当にしていただきたい。このことを強調しまして、私の意見陳述を終わります。
 ありがとうございました。
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山田宏#19
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
 次に、若尾参考人にお願いいたします。若尾参考人。
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若尾勝己#20
○参考人(若尾勝己君) 埼玉県東松山市にあります特定非営利活動法人東松山障害者就労支援センター代表理事の若尾です。
 初めに、この度の厚生労働委員会におけるこのような貴重な意見陳述の機会をいただきましたことを感謝申し上げます。
 私ども特定非営利活動法人東松山障害者就労支援センターは、平成十四年十一月、法人化いたしました。この十一月でちょうど二十年を迎える団体でございます。団体の実施している主な事業活動は、障害者就業・生活支援センター事業、訪問型職場適応援助者助成金事業、障害福祉サービスにおける就労移行支援事業並びに自立訓練事業多機能型として、かつ就労定着支援事業も併せ実施しているところでございます。
 また、都道府県事業として、埼玉県障害者雇用総合サポートセンター事業、県職業能力開発事業として、知識技能習得コースや精神障害者等向け実践能力習得コースなどの障害者委託訓練も実施しております。そのほか、法人独自事業として、障害のある方の就労アセスメントを提供する事業所を県内に二か所設置、運営をしているところです。従業員数僅か三十名程度の非常に小さな団体ではありますが、就労支援に関わる様々な事業を多角的に運営、実施をしてまいりました。
 この度の総合支援法改正案に関しましては、そのような立場から、改正概要の二、障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進に関する三点、一、就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化等、二、短時間労働者、括弧、週所定労働時間十時間以上二十時間未満に対する実雇用率算定等、三、障害者雇用調整金等の見直しと助成措置の強化等について御意見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず初めに、就労アセスメントの手法を活用した支援の制度等についてですが、見直し内容に示されている就労選択支援の創設につきまして、おおむね賛成でございます。
 障害福祉サービスの利用に際しましては、サービス等利用計画の策定に基づいた支給決定が必須となりますが、就労系障害福祉サービス事業の利用決定プロセスにおいて、一般就労の経験のない障害のある方の就労継続支援B型事業の利用には、就労移行支援事業所等による就労アセスメントにより、その利用の妥当性について検討することとなっております。
 しかし、地域の様子を俯瞰してみると、非常に形骸化している現状があると感じております。特に、特別支援学校卒業と同時に利用を希望する場合の就労アセスメントは、利用を前提とした免罪符的なプロセスとなっており、ともすれば、意中の就労継続支援B型事業の利用にストップが掛けられてしまうことを危惧した担当する進路指導教員から、このプロセスは進路指導の妨げになっているんだと、そういうことを市町村行政へ意見するという場面も散見しておりました。
 私どもが運営する障害者就業・生活支援センターは、平成二十四年度から二十六年度に実施された国の障害者就業・生活支援センターによる就労アセスメントのモデル事業に参画させていただいたところ、障害者就業・生活支援センターが行う就労アセスメントを、地域の協議会、これは障害保健福祉圏域自立支援協議会の就労支援連絡会議に当たるものなんですが、その中で、そのアセスメントの結果を協議するモデルを実施いたしました。地域における就労アセスメントの体制の構築にも貢献いたしました。現在も一部その役割を残し、その妥当性を地域で検討することとしております。
 このような経験から、就労アセスメントによる一つの結果を地域でしっかりとその妥当性について検討することや、仮に就労継続支援B型事業の利用が妥当であると判断されたとしても、継続的にその方の希望や可能性を完結させないための定点観測をすることを地域がしっかりと保障する、そんな仕組みづくりがとても重要であると考えております。
 このような観点からも、新たに制度化を検討されているこの就労選択支援サービスには期待するところですが、一方で課題もあると感じております。
 このサービスを行う事業者の該当基準はどのようになるのでしょうか。これまでも課題となっていた、自身の事業継続のためにあらゆる手で利用者獲得のための利益誘導をしようと考える事業者は少なくない中、新たに創設を検討されているこのサービスについても、同様の利益誘導のために活用しようと考える事業者が出現するということを否めません。
 そして、就労アセスメントの方法や実施するアセスメントの基準となる指標や共有のためのコンセンサスシートなど様々に氾濫している現状の中で、何を基準としてどのように評価することが妥当性のあるアセスメントとなり得るのか、また、従来の相談支援の仕組みと連動し、かつ就労支援の専門機関がその専門的な知見から障害のある方の働く力やその可能性についてアセスメントを実施した結果を地域の様々な機関が共有し、そして活用できる地域の就労アセスメント体制の構築の必要性についても、この制度化と同時にしっかりとその方向性を示唆していただきたいと考えております。
 次に、短時間労働者、括弧、週所定労働時間十時間以上二十時間未満に対する実雇用率算定等についてですが、見直し内容に示されております、週所定労働時間が特に短い精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、特例的な取扱いとして事業主が雇用した場合に雇用率に算定できるようにするにつきましては、おおむね賛成でございます。
 最初にお伝えいたしましたが、私どもは三十名程度の非常に小さな団体でありますが、身体障害者二名、知的障害者二名、精神障害者二名の計六名を雇用しております。
 この中で、身体障害者二名については重度身体障害のある方で、一名は筋ジストロフィーによる筋力低下の障害をお持ちの方です。現在は週平均労働時間二十五時間で就業していただいております。採用から約六年が経過いたしましたが、採用時よりも機能低下が見られ、当初の週平均労働時間三十時間から、御自身の申出により、現在の週所定労働時間まで漸減いたしました。
 もう一名は、脳性麻痺が主となる筋硬直の障害をお持ちの方です。現在は週平均労働時間九時間から十二時間ですが、やはり採用当時からは体力的な低下が見られております。特に最近では、終業後に筋硬直の度合いが高くなる日が多いことから、体調の維持のために就業と休暇を交互に確保していただいて、その休暇時には定期的にリハビリを利用する状況となっております。このようなことから、現在の週平均労働時間数がぎりぎりの状況であるということも、御本人や御家族からもお話をいただいているところです。
 このように、お伝えした私どもの従業員の様子からも、雇用率該当の短時間労働者の基準が引き下げられることは、働く機会に恵まれる可能性のある重度身体障害の方が、マイノリティーかもしれませんが、まだまだいらっしゃるのではないかというふうに考えております。
 その他、重度知的障害の方や精神障害の方も同様で、新たに働きたいと考えている対象となる方にとっては、この要求される拘束時間が引き下げられ、かつ事業主の雇用率の算定に加えられることは、働くことへの不安や自信を失った方であっても、スモールステップとなり得る可能性のあることが考えられます。
 また、既に雇用されている障害のある方にとっては、加齢や疾病による段階的な機能低下による障害の重度化が、これまでの労働時間数を下回ってしまうことで継続的な雇用を諦め、雇用から福祉へと流れざるを得なかったのが現状です。
 しかし、前述したとおり、障害のある方の段階的な機能低下に合わせた段階的な労働時間数の引下げが可能となれば、少しでも長く働く場での活躍を維持することができる、そんな可能性があると期待しているところです。
 しかしながら、一方で、課題も散見していると考えております。
 週所定労働時間数が引き下げられ、その対象となるということは、大局的に見れば、労働という社会活動参加の時間数が漸減するということでもあり、先述させていただいた就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化等における見直し内容に示されております、就労中の就労系障害福祉サービスの一時利用に関連し、この労働者として確保される時間数と就労系福祉サービスの利用を通じた社会活動への参加の時間数の確保は、まさしく労働と福祉サービスの併用という観点であり、とても重要であると考えております。
 特に、より障害の重たい方々にとって、この障害は固定されているものであり、時間経過で軽減されるものではないという点からも、従来からある働く障害のある方の福祉サービス併用に関して、地方自治体の行政機関によってその対応が異ならないよう改めて事務処理に関する通達をお願いしたい、そして更なる柔軟な運用をお願いしたいと考えております。
 また、特定の企業における、雇用率ありきとする雇用機会に質が伴わないところでは、カウント確保の目的から、働く力が伴っているにもかかわらず、あえて短時間による労働にとどまらせてしまう可能性について、最初に述べさせていただいた就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化等における見直し内容に示されております、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援する新たなサービスを創設し、ハローワークはこの支援を受けた者に対してアセスメント結果を参考に職業指導を実施するものとするに関連し、対象となる範囲であり、かつ短時間雇用である必要性をしっかりとアセスメントできる職業リハビリテーション機関や地域の就労支援機関等によって、短時間雇用が妥当であるという背景因子や障害特性等のエビデンスに基づくことが重要であると考えています。しっかりとその是非をフィルターに掛け、企業都合優先となる雇用にならぬよう具体的なプロセスを示唆していただきたいというふうに考えております。
 三つ目になりますが、障害者雇用調整金等の見直しと助成措置の強化について見直し内容に示されております、限られた財源を効果的に運用し、雇用の質の向上に向け、事業主による障害者の職場定着等の取組に対する支援を充実させるため、当該超過人数分の調整金や報奨金の支給額の調整、事業主の取組支援のための助成金の新設につきまして、こちらもおおむね賛成でございます。
 中小企業における障害者雇用の促進はとても重要であると考えておりますが、私たちの地域を見渡していても、なかなか進んでいないのが現状です。地域における中小企業の状況から見れば、中長期的な伴走型の支援が提供されることで障害者雇用へシフトする企業も少なくありません。助成金の措置とともに、中小企業の障害者雇用促進のための具体的な仕組みづくりについても期待しているところです。
 また、障害者の納付金制度における調整金や報奨金の状況を鑑みると、規模の大きい企業に流用されている状況があることは、需給バランスの観点から見ても是正が必要と考えております。限りある財源の有効活用のためにも、雇用の質への助成という新たな局面について、是非とも進めていただきたいと考えております。
 最後に、これら障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進には、良質な就労支援サービスを提供できる人材が必要不可欠と考えております。
 雇用と福祉施策の連携強化においても議論されてきております、雇用、福祉、横断的な就労支援専門人材の養成につきましては喫緊の課題であり、障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者、生活支援担当者、訪問型並びに企業在籍型職場適応援助者、就労系障害福祉サービス事業所における就労支援員や就労定着支援員、その他障害のある方の就労支援に関わる人材や、企業における職業生活相談員等のより専門的な就労支援、雇用支援スキルを付与する研修の体系化や実施の早期実現、並びに、就労支援専門人材の一つでもありますジョブコーチの国家資格化へのロードマップの実現についても切にお願いしたいと考えております。
 また、制度や施策を運用するのは人でございます。現場では、障害福祉並びに障害者就労支援に携わる人材の確保が大変困難になっております。この障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進に必要となる人材の確保や養成に関しても、併せて力強く推進していただけることを期待しております。
 以上、私の意見陳述について終了とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
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山田宏#21
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
 次に、長谷川参考人にお願いいたします。長谷川参考人。
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長谷川利夫#22
○参考人(長谷川利夫君) 杏林大学の長谷川と申します。
 本日は、お招きいただき、ありがとうございます。私は、こちらのパワーポイントの配付資料を主に使いながら御説明いたします。
 これ、一枚目の方に、私自身が精神科病院のベッドで身体拘束されている写真が写っております。二〇一三年に、この二ページ目にある青い本を出しました。身体拘束が徐々に増えているときでした。しかし、それ以降、身体拘束は増え続け、このグラフにあるように十年で二倍になり、現在も一万人以上の方が身体拘束を受けています。
 二〇一七年五月に、ケリー・サベジさんという男性が、神奈川県内の精神科病院で身体拘束を十日され続けた後に心肺停止になり、その後亡くなりました。しばらくして、地震学者でニュージーランド在住の母と日本在住の兄が私の大学の部屋を訪ねてこられました。確かに家では具合が悪かった、しかし、病院に着くと、医師はケリーさんに診察室にあるベッドに歩いて横になるように命じ、横になるとすぐ看護師は身体拘束をしました。兄のパットさんは、自分の足でベッドまで歩ける人をなぜ身体拘束するのかと思いながら、従わざるを得ませんでした。身体拘束を受けて十日後にケリーさんは心肺停止の状態で発見され、その後、転送先の病院で亡くなりました。
 その後、外国特派員協会でも会見が行われ、イギリスのガーディアンを始め国内外で広く報じられました。このこともあり、当時、塩崎厚生労働大臣が、身体拘束に関する調査を行うことを約束しました。昨年二月に取りまとめられ、さきの十月二十七日にこちらの委員会で大臣が答弁なさっている調査はこの調査なのです。
 このケリーさんの死をきっかけに、私は、遺族と一緒に二〇一七年に精神科医療の身体拘束を考える会を立ち上げ、私の携帯番号を全国に公開しました。そうすると、精神科病院で行われている様々な相談を受けることになりました。
 そのような中で、こちらに情報がもたらされたのが、石川の大畠一也さんの身体拘束死でした。二〇一六年に石川の精神科病院に大畠さんは入院しました。二週間後に突然御自宅に電話が入り、お母さんが電話を取ると、一也さんが亡くなりましたと言われ、病院に駆け付けると、そこで初めて身体拘束をしていたことを知らされます。解剖の結果、肺血栓塞栓症、いわゆるエコノミークラス症候群でした。
 御家族は実名で記者会見をして社会に訴えました。そして、二審で原告の逆転勝訴。そのときに、スライドにあるワシントン・ポストで大きく報じられています。医師の裁量の逸脱を認め、身体拘束開始時からの違法性が全面的に認められました。
 被告の上告受理申立てについて、最高裁は昨年の十月にそれを受理せず、判決は確定しました。判決文では、生命の保護や重大な身体損傷を防ぐことに重点を置いたものだということを強調しています。
 しかし、この判決が最高裁で確定した一か月後に、日本精神科病院協会は、会長自らが記者会見をし、声明を発しました。引用します。こちらに書いてあります。「このような非専門家による判断によって精神科医療に対して法的強制力を伴う制限を加えることは、患者に対する行動制限としての身体拘束の要否についての専門的判断は、精神保健指定医という格別の専門資格者しか行い得ないとされた精神保健福祉法の立法趣旨に正面から抵触するものである。」としました。
 しかし、これは大きな勘違いをしていると言わざるを得ません。専門家が専門性によって判断に一定の幅があるのは当然のことです。しかし、それが無制限になされることはあり得ず、違法性が問われ、違法とされることもまた当然あり得ることです。日本の千以上ある精神科病院を取りまとめるアソシエーションがこのような主張をされているということは、非常に恐ろしいことだと思います。
 しかしながら、事もあろうに厚生労働省は、検討会の中で、今年の三月に、身体拘束の大臣告示を三十年以上ぶりに改変する、しかも、今までには隔離にしか認められていなかった要件を加える提案をしてきました。
 そこで、身体拘束の基準というのを見てみます。これは十ページの下の方からです。
 精神保健福祉法の三十七条では、処遇の基準を定めることができるとしています。その中に、通信・面会、隔離、身体的拘束、任意入院の開放処遇の制限となっています。
 十一ページの上にあるように、第四、身体的拘束についてで、基本的な考え方として、やむを得ない処置として行われる、できる限り早期に他の方法に切り替えるよう努めなければならないとなっています。これは、下にあるように、非代替性、一時性を表します。
 しかしながら、十二ページの上にあるように、三月十六日、厚生労働省は、検査及び処置等を行うことができない場合というふうに変えようとしてきました。その後、赤字にあるような、議員会館で院内集会を三回開催しました。そうすると、最終的には下にあるような、患者に対する治療が困難でありというところに取りまとめられたということです。
 しかし、ここで注意しなければならないのは、十三ページの上にあるように、石川の大畠さんの身体拘束を行った日のカルテです。これは、医師は何と記入しているかというと、昨日もスタッフへの暴力があり、検温等関わりも難しい、抑制の上フォローするしかないと書いてあります。これはまさに、三月十六日の厚生労働省案の検査及び処置等に該当します。すなわち、もし三月十六日の案で大臣告示が書き換えられていれば、このような身体拘束は適法化されてしまう可能性があります。
 衆議院の附帯決議はどう書いてあるでしょうか。「大臣告示の改正を速やかに進めること。」と書いてあります。なぜ速やかに進めなければいけないんでしょうか。
 もし十四ページの上にあるように要件を狭めるならば、切迫性、非代替性、一時性の要件の三要件をそのまま書き込めばいいだけの話です。あるいは、イ要件とウ要件をかつでつなげる、そうすれば確実に狭くなります。しかし、私は、その医師の裁量を広げる方向の改定には最大限の強い言葉をもって反対いたします。そもそも人身の自由に直接関わることを大臣告示で定めているのはいかがなものかというのは、十月二十日の予算委員会でも申し上げました。
 そもそも大臣告示には非常に問題があります。十四ページの下にあるように、常時の臨床的観察であるとか頻回に診察と書いてあります。十五ページに行きますと、常時の臨床的観察とはどのようなものなんでしょうか、頻回とは何回でしょうか。これらは曖昧で、法律的に事実認定しにくいものとなっています。治療が困難という言葉も同様です。
 つまり、人権の問題が医療化してしまいます。常時の臨床的観察は誰が判断するのか。医療者以外が客観的に見ることが極めて困難になりがちです。医療者がそうだと言えばそうなってしまう。人を拘禁する要件として、非常に問題が大きいと考えます。
 しかも、厚生労働省は、今、十月から野村総研に研究を委託しています。その事業実施計画書では、処遇基準の告示の見直しを含む要件の検討ということが書かれています。なぜ人身の自由のことや人の拘禁に関わることを野村総研に委託してしまうんでしょうか。これは、濫用されないようにグリップを利かせなければならないはずです。もっと議会に監視していただきたいと思っています。
 十六ページに行き、精神保健福祉法の内容に入ります。
 先ほども話にありましたように、束ねている問題です。なぜ束ねてはいけないのか。精神保健福祉法は人身の自由の問題を含みます。総合支援法は、主にサービス、給付に関する法律です。そもそも方向性の全く逆の内容を含みます。
 十七ページに行きます。
 イギリスの政治哲学者のリンゼーは次のように述べています。討論の目的は、互いに異なった見解の中から正しい意味での統一された目標をつくり上げることである、民主政治においては、国家の目的を遂行するために強制力を必要とすること、しかもその強制力は、共同社会の内での不一致とか対立というものを是が非でも法的、制度的な方法によって解決するためにこそあるということと述べています。すなわち、討論というのは時間が掛かるものです。それを分かっていながら束ねて出すというのは非常に良くないと思います。
 次に、精神保健福祉法の改正案の第一条です。
 「精神障害者の権利の擁護」という言葉が入ったことは一定の評価ができると思います。しかしながら、「その発生の予防」という言葉が残っています。この「その」というのは、その前段には精神障害者と障害者しかないことから、これは精神障害者の発生の予防というふうに考えられます。これは、十八ページにあるように、障害者権利条約十七条の、「心身がそのままの状態で尊重される権利を有する。」、これと真っ向から反する、合致しないと思います。
 三十五条二、三の入院者訪問事業です。
 ここでは、誠実かつ熱心に聞くというふうに書かれたり、精神科病院の協力を得てということが書かれています。
 十九ページに行きまして、私は、病院に異なる風が入ること自体は期待したいと思いますが、精神科病院は二十六万人中約半数の十三万人が医療保護入院という強制入院であり、拘禁する側と拘禁される側というのが根本的な関係です。しっかりとしたリーガルな視点による解決が必要であるにもかかわらず、現状それが抜け落ちている、あるいはその考えが今後及ばなくなることを危惧します。
 四十条五では、虐待防止法が織り込まれました。ここでは、通報があった場合に、当該職員若しくはその指定する指定医が立ち入る、精神科病院に立ち入るということになっています。
 二十ページに行きます。
 何年かにわたって、虐待防止法によってこれは行われるべきだとの議論がありました。しかし、結果として精神保健福祉法に盛り込まれたところ、虐待の通報があった際は、今述べたような当該職員若しくはその指定する指定医に立ち入らせることになってしまっています。指定医が前面に出れば同僚審査になってしまいます。
 二〇二〇年三月に、神戸市にある神出病院で、看護師六名が入院患者に対する準強制わいせつ、暴行、監禁等で逮捕される神出病院事件が起きました。患者さんを裸にしてトイレで放水する、柵付きベッドを逆さにしてその下の狭い空間に患者を閉じ込める、床や患者の陰部にジャムを塗って他の患者になめさせるなどの行為を繰り返していました。しかも、これは、内部からは全く話が漏れることはなく、犯人が外部で捕まったときに押収されたスマートフォンの中からこの動画が出てきて、職員同士でそれを回して楽しんでいたという状況でした。
 このような虐待は、医療者でなくても外形的に見て虐待と判断できます。むしろ、長期間の身体拘束などの行動制限について、指定医が立ち入ることで医療的に必要と判断され続けてしまうこともあるでしょう。虐待の判断においてイニシアチブを取るのは指定医ではないと思います。
 それから、今日申し上げたいのは、「精神保健福祉法詳解」は誰が書いているのかという問題です。
 こちらの本は御覧になったことがあるでしょうか。私は何度か厚生労働委員会を傍聴したことがあって、そうすると、大臣席の後ろの方で厚生労働省の方がこの本をよく持っているのを見かけたことがあります。これは精神保健福祉法のバイブルのような本で、いろんなところで引用されたりします。
 しかし、これは一体誰が書いているんでしょうか。これを見ると、精神保健福祉研究会監修としか書いてありません。しかし、幾らインターネットで調べても、どう調べても何も分かりません。このような誰が書いたのか分からないものをなぜ根拠に政策を立案したり決定したりできるんでしょうか。これは一体誰が書いているんでしょうか。学者でしょうか、官僚のOBでしょうか。著者が分からなければ、学問的検証も議論もできません。まさしく魔術のようなものです。
 私は、今後、この本を参照して物事の根拠にする場合は、執筆者を明らかにしてほしいと思っています。誰が書いたか分からないものを根拠に政策立案をされたのではたまらないからです。私は真面目に言っています。これは、議論や討論の前提になることです。
 次に、検討会、政策決定に関わる検討会の人選についての問題です。代表性の問題と言ってもいいです。
 厚生労働省の検討会の構成員は厚生労働省が選びます。しかし、例えば当事者といっても、あくまでも厚生労働省が一本釣りした当事者です。法律家が入っているといっても、それは厚生労働省の一本釣りです。果たしてそれは公平公正なのでしょうか。議会においては、国民の代表たる与野党の先生方の合意により、こうやって意見陳述をさせていただくことも可能です。当事者なら当事者団体とか、法律家なら実務法律家団体に推薦を求める方が公平公正な在り方だと思います。
 続いて、医療保護入院のことです。これは二十一ページの下の方です。
 医療保護入院は、厚生労働省の検討会において、本年三月に、基本的には将来的に廃止も視野に縮小というふうに廃止の方向性が出ました。しかし、四月には、将来的な継続を前提とせず縮減となり、そして、とうとう六月の最終報告書には、課題の整理に取り組み、具体的かつ実効的な方策を検討することが必要というふうに、全く訳が分からないものになってしまいました。もう大変な大後退です。
 しかも、検討会の終盤では、日本精神科病院の会長が、三十分の予定のところを一時間十五分話をするに及びました。なぜ話を止めないんでしょうか。もしもそれが許されるならば、他の発言者や参考人にも認められるべきです。極めて公平性や公正性に欠けた検討会だと思います。これは、先ほどの精神保健指定医の行動に違法判断が下ったことに対しての声明が出たことと同様の態度だと思います。
 二十二ページです。
 社会学者のフリードソンが、「医療と専門家支配」ということでこういうことを述べています。これは五十年以上前の本です。専門家にしても官僚にしても、決して悪意の人物ではない、両者は他の人々と同じように自分自身の視点のとりことなっているが、これらの視点は、訓練や献身によって、そして仕事上での個人的な経験から学び取った教訓によって制約を受けている、このような専門家の行為は簡単に矯正されるようなものではなく、社会生活の本性に由来するものであり、その矯正には、個々の専門家が善意を持つ以上に、専門家以外の視点によって専門家の視点を相殺することが必要であると述べています。
 今求められているのは、行政に対する議会の民主的統制だと思います。非常に政策決定のプロセスが不透明です。
 法案がもうかなりでき上がってきて、厚生労働省の検討会でも方向性が出て、そして社会保障審議会でもうほぼほぼできてしまう。そして、衆議院を通る。そして、もう参議院に回ってきたときは附帯決議を少しいじるしかできないなんというのは、それはそもそもがおかしい話であって、討論を尽くすべきだと思います。
 もう一度繰り返しますが、行政に対する議会の民主的統制を強めるように是非お願いしたいと思います。
 私の発表は以上です。御清聴ありがとうございました。
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山田宏#23
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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こやり隆史#24
○こやり隆史君 自民党のこやり隆史でございます。
 四名の参考人の先生方、本当に今日は貴重なお話を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。改正法案の審議に当たりまして、様々な視点、あるいは、特に現場の視点、先生方の目から少し御意見を頂戴できればというふうに思います。
 まず、辻本参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 辻本参考人は、私のふるさとであります滋賀県におきまして、精神保健分野で様々現場の立場からいろいろ活動していただいております。また、何より私の高校の先輩でもございますので、忌憚のない御意見を頂戴できればというふうに思います。
 まず、適切な精神医療、これを確保するための改正事項というのがこの法案には入っております。先ほどの御説明の中にも、入院訪問支援事業の創設であるとか虐待防止の取組の推進であるとか様々、またそれ以外にも、精神医療審査会での審査についての課題、そうしたものもお話を頂戴をいたしました。こうした新たな取組であるとかこれまでの取組の改善、こうしたことを進めていく。特に、参考人は、人員の体制の強化であるとかということについて言及をいただいております。
 なかなか、事務局の体制を増強していくとか、比較的容易に進めていける問題と、あと、専門性の高い人員をいかに確保していくかとか、様々できることから着実に進めていくことが大事なのかなと、御意見を聞いて、拝聴して考えておりました。
 この精神医療を、適切な精神医療を確保していく、その上で、今回の改正事項も含めて、人員の体制の強化以外に、これがやっぱり重要、新しい、例えば入院訪問支援事業であるとか虐待防止、こうしたものについて特にこうしたことを強く政府として進めていってほしいということがありましたら教えていただければと思います。
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辻本哲士#25
○参考人(辻本哲士君) 御質問どうもありがとうございます。
 ちょっと妙な言い方になるかもしれないんですが、精神医療を特殊化、特別化しないことだと思います。
 今日、皆さんのお話聞いていて、やはり精神科は特殊、特別なところがあるんかというところを感じたりはするんですが、私は日々の臨床の中で、同じ人というか、私も具合悪いときもあったりするのでというところで、今回の法改正でも、精神保健に関する相談支援について、精神障害者のほか、精神保健に課題を抱える者も対象にできるようになっているわけですね。これは、誰でも精神障害になり得る、精神障害は特殊、特別ではないという認識が広がることを非常に期待します。
 コロナ禍とかでも、非常に追い詰められてうつになったり経済的な問題でうつになったりされる方を、精神障害だからというのではなくて、それ以外のいろんな要因を踏まえて、その中で医療ができるところは医療がしていくと、社会がしていくことは社会がしていくということをちゃんと包括的にやっていく姿勢が大事だと考えております。
 さらに、精神保健福祉法が今回障害者総合支援法の一つの中に入ったというのを前向きに捉えていただいて、他の障害と同様に考えていくと、そういうふうなスタンスも重要だと思っております。
 以上です。
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こやり隆史#26
○こやり隆史君 ありがとうございます。
 そういう意味では、今回、引き続き辻本参考人にお伺いをいたします。
 今回の法案で、相談支援体制をしっかりとやっていく、特に市町村の位置付けを明確にして、幅広い観点から相談支援を行っていくということが盛り込まれています。法案にも、精神保健あるいは福祉が連携しながら対応していく、体制をつくっていく、そうしたこともその精神に入っていると思うんですけれども、私も、厚労省の政務官していたときに引きこもり対策の各省連携PTの座長をやっておりました。
 様々な課題、これまさに、今回の法改正の分野だけではなくて、様々、生活の貧困の問題だとかいろんな問題で、市町村を始めとして窓口ができていて、相談体制ができています。入口は違うかもしれないけど、それが引きこもりにつながっていたりとか、そういう意味ではいろんな、入口は多様だけれども、それの根本を考えていくと、それをいかに総合して対応していくかということ、いけるかということが大事である。
 他方で、それを一言で、言葉では簡単なんですけれども、それを実際にやっていこうとすると、いろんなやっぱり組織の壁もありますし、情報の壁もありますし、いろんな連絡体制がやっぱり弱いとかいろんな課題があって、総合的な支援を今つくっていこうとするけれども、なかなか現実的に難しいという面があると思います。
 そういう意味で、まさに辻本参考人がこれまで取り組んでこられて、そうした相談体制をしっかりつくっていく、市町村中心につくっていくとした上で、やっぱりこれが一番今課題となっているというようなことがありましたら教えていただければというふうに思います。
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辻本哲士#27
○参考人(辻本哲士君) どうもありがとうございます。
 私は一応県の職員ではあるんですが、もちろん市町の職員だとか民間だとかと一緒に現場で動いているわけですよね。だから、現場ではそうやって動いても、やっぱり縦と横の軸がちゃんとしていかなければいけないというふうには思います。
 今回、市町村の責務というのがしっかり書かれたことは非常に有り難いです。その上で、都道府県の責務としては、市町村のバックアップ体制の充実になります。すなわち、市町村による相談支援の体制の整備が適切かつ円滑に行われるような必要な助言、情報の提供、その他の援助を行うことがあります。
 先ほども言いましたように、市町村はまだまだ専門職がいるとは限らないというところで、そこでも市町村の中にそういう専門職が入っていただくのとプラス、入ったからすぐ全部できるわけじゃないので、その辺を、精神保健福祉センターとか保健所とかが市町村との共同によって、精神保健医療福祉のニーズや地域の課題、地域自体は市町村がよく知っていますんで、強いところ、弱いところを把握した上で、障害保健福祉圏域等の単位で、要するに、精神科の医療機関が市町にない場合もあるわけですよね、そしたら、より広域な視点で支援をしなけりゃいけないとしたら、やっぱり保健所とかほかの病院との兼ね合い等もあって、やっぱり医療機関としては保健所の方が関わりが強いので、そういうところを保健所がバックアップして、重層的な支援というところですね。だから、どこかにもう投げてしまうんじゃなくて、市町村もやりながら、県もやりながら、精神保健福祉センターもやっていくという、重層的に継続的な支援を構築することが大事です。
 それと、今回、市町村がやることになったことで、市町村の規模や資源によって支援のばらつきが生じないようになっていくように思います。熱意のある市町村は頑張るけど、ほかのところはなかなかということにならないように、人員体制を含む体制整備が求められるところであります。
 以上です。
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こやり隆史#28
○こやり隆史君 ありがとうございます。
 次に、若尾参考人に御質問させていただきたいと思います。
 就労選択支援のところで、参考人の方から、地域におけるアセスメントの仕組み、これを構築していくことが大事であるという趣旨のお話があったかというふうに思っています。いろんな懸念点、客観性の確保であるとか様々な懸念点がありますし、またそれを地域として、全体として受け止めていく、そうしたことが大事であるのかなというふうに思っております。
 そうした仕組みなりアセスメントの評価の体制を現実的につくっていかないといけないということだと思いますけれども、現実的につくっていく上で何が一番大事と考えておられるかというのを教えていただければと思います。
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若尾勝己#29
○参考人(若尾勝己君) 御質問をいただき、ありがとうございます。
 私の今の立場からお話をさせていただくとすれば、相談支援事業の仕組みづくりのところに非常に課題があるんではないかというふうには感じております。
 従来の相談支援事業の役割は、一般相談とそれから特定相談というふうに分かれていると思います。障害福祉サービスの事業を利用していくプロセスというのはこの特定相談の方が役割としては担っているはずなんですが、これまでのやっぱり数の対応に追われていく相談支援事業所の様子を見ていますと、やはり当てはめにつながっているというふうに私自身は感じているところです。
 それから、一般就労だけがやはり就労ではないというふうに私どもも思っていまして、働く可能性を、どのぐらいの期間、どういうふうに御本人の状態に合わせてつくっていけるかということ、ここに相談支援事業所、相談支援事業の仕組みがなかなか伴走ができていないというのも大きな原因だというふうには思っています。
 それともう一点は、相談支援専門員の方々の就労支援の知見や経験のなさというのがひとえに大きいということも考えております。この辺は、相談支援事業所の皆さんがそれを全て担えばいいということではなく、地域の中にある様々な機関が融合してここに関わっていくということが大事ではないかというふうに考えております。
 ただ、その点に関しましても、先ほどお話のあった市町村の行政とどういうふうにこの相談支援事業の方、それから周辺の就労支援機関がコミットできるかということが非常に大きな課題ではないかというふうには考えております。
 そういう意味で、この就労選択支援が入ったことによっての期待感というのはあるところです。
 以上です。
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