宮下修一の発言 (消費者問題に関する特別委員会)

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○参考人(宮下修一君) ただいま御紹介にあずかりました中央大学大学院法務研究科の宮下と申します。
 大学では民法と消費者法の授業を担当しております。また、先般、消費者庁で開催された霊感商法等の悪質商法への対策検討会では座長代理を拝命しておりました。
 本日は、先日の衆議院に引き続き、参議院でもこのように発言の機会を与えていただきましたことに御礼申し上げます。
 それでは、現在、当委員会において審議されている消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案に関して私の意見を申し上げます。
 まずもって、先般の検討会での議論の結果を受け止めていただき、国会においてこのような形で法案の成立へ向けて真摯な審議を進めていただいていることについて、心から感謝申し上げます。
 まず、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案についてでございます。
 本法律案のうち消費者契約法の改正案については、現行の消費者契約法四条三項六号、本年改正された法律が施行された後は八号となりますが、この適用範囲につき、一つ目に、当該消費者だけではなく親族の生命、身体、財産その他の重要事項、二つ目に、将来生じる可能性があるものだけではなく現在生じている重大な不利益、三つ目に、将来の不安をあおるだけではなく現在不安を抱いていることに乗じた状況にまで拡大した点は、被害者救済の観点から前進したと評価すべきであると考えております。とりわけ、乗じたという、いわゆる相手の現在の状況に付け込んだ形での勧誘を対象とした点は高く評価できます。
 さらに、取消し権の行使期間の伸長につき、短期はもとより長期の行使期間を伸長したこと、また、二〇一八年の改正法が施行された後の部分に遡る形で網を広げた点は、被害者救済の観点からやはり評価すべきです。
 もっとも、国会における審議の中では、例えば、契約の締結を必要不可欠とするという要件があることで適用範囲が狭められるのではないかという危惧も示されております。この点を含めて、被害者救済の対象を狭めることがないように、消費者庁が公表している消費者契約法の逐条解説においてその内容を丁寧に解説をするとともに、周知徹底することが必要であると思います。
 また、資料として配付させていただいた霊感商法等の悪質商法への対策検討会報告書の六ページにある、いわゆる付け込み型の不当勧誘に関する取消し権の法制化については、幅広い被害者救済の観点から何としても実現する必要があると存じます。
 もっとも、こちらは、二〇一六年、二〇一八年、二〇二二年の消費者契約法改正においても議論がなかなかまとまらなかったところですので、十分に時間を掛けて議論をしていく必要があります。逆に言えば、時間が掛かる可能性が高いとも言えますので、早急に検討を開始することが望まれます。
 また、国民生活センター法の改正については、重要消費者紛争解決手続、ADRの迅速化、事業者名の公表、適格消費者団体への支援は、被害者救済の観点からいずれも重要であり、早期の実現が期待されるところです。
 次に、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案についてです。
 こちらも、契約だけではなく単独行為も対象としたこと、寄附者への配慮義務の新設、禁止行為、すなわち不当勧誘行為の明確化と取消し権の新設、借入れ等による資金調達の要求の禁止、債権者代位権の行使の特例の新設、いずれも被害者救済の観点から一歩前進と評価すべきです。
 さらに、昨日、衆議院で可決された修正案についても一定の評価が与えられるべきです。
 まず、三条の配慮義務を十分に配慮しなければならないと修正した点は、配慮義務の程度を一段高めて厳格にしたものとして評価すべきです。また、三条の配慮義務を、第一章総則から、表題を寄附の不当な勧誘の防止と変更した第二章に移動し、第一節配慮義務として独立した形に修正した点は、一般的な配慮にとどまらず、寄附の不当な勧誘の防止に必要なものとして禁止行為と並んで明確に位置付けたことにより、配慮義務の程度を一段高めて厳格にしたものとして評価すべきだと考えます。
 これに加えて、六条一項の配慮義務の遵守に係る勧告と、三項のそれに必要な報告の求め、さらに、二項の勧告に従わない場合の公表に関する規定の新設も、行政措置の強化により遵守義務の実効性を高めるものとして評価すべきです。
 ただ、債権者代位権など、本法には一般の方々にとってなじみが余りない法制度も含まれております。この法律を活用するためには、一般の方々に向けてその内容を分かりやすく伝えるとともに、丁寧に説明をし、また啓発をしていくことが必要です。
 ところで、被害救済に向けた法制度の整備については、検討会においても忌憚のない意見がございましたし、今回の法律についてもいろいろと御意見があることは承知しております。しかしながら、これまで何もなかったところに立法という形でまずは道を切り開く、そして、この切り開いた道に実際の運用という形でまずは一歩踏み出すことが大事です。
 もっとも、道はできればそれでよいというものではありません。実際にでき上がった道を進んでいけば、様々な課題に直面することになると思います。そこで、今後は、制定された法律の具体的な運用状況を踏まえた上で、必要に応じて見直しを検討していくことが求められます。その意味で、昨日可決された衆議院修正案の附則五条において検討の期間が三年から二年をめどに短縮されたことは、迅速な被害者救済へ向けた対応を可能にするものとして高く評価するものです。
 今回の法案が速やかに可決、成立し、被害者救済の新たな道が切り開かれ、そして、それがますます充実して大きな道となっていくための大きな第一歩を踏み出せるようになることを心から念じまして、私の意見とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 宮下修一

speaker_id: 22213

日付: 2022-12-09

院: 参議院

会議名: 消費者問題に関する特別委員会