満田夏花の発言 (経済産業委員会)

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○満田参考人 皆さん、おはようございます。FoEJapanの満田と申します。
 本日は、このような場にお呼びいただきまして、ありがとうございます。
 FoEJapanは、気候変動や森林保全、エネルギー政策などに取り組む国際的な環境NGOです。三・一一の後は、福島原発事故の被害者の支援に取り組んできました。例えば、福島の親子が自然の中で伸び伸びと遊べるような、そういった保養の場を提供するような、福島ぽかぽかプロジェクトというんですが、そういったことに取り組んでまいりました。
 それでは、GX脱炭素電源法案について意見を述べさせていただきます。
 まず申し上げたいのは、福島原発事故は終わっていないということです。事故原因の解明も完全には終わっていません。
 多くの人々がふるさとを失いました。なりわいや人とのつながり、四季折々の自然を分かち合う、そうした喜びを失いました。私の友人、知人、親戚も、断腸の思いで避難を強いられました。今もふるさとに帰れない人が多くいます。原発事故は終わっていないのです。
 原発事故はまた、日本全国の電力供給に影響をもたらしました。皆さんも御記憶のことと思います。当時、街の明かりは消え、計画停電が実施されました。つまり、電力供給の不安定化を招いたということを忘れてはならないと思います。
 原発事故に関する国及び東電の責任は曖昧にされたままです。原子力損害賠償法に基づく賠償措置額、千二百億円ですが、これは据え置かれたままです。賠償、廃炉、除染などの費用は、政府試算で二十一・五兆円にも上っています。東電は賠償を支払い切れないため、国は原子力損害賠償廃炉支援機構をつくり、それを通じて多くの公的資金、私たちの電気料金、そして将来世代からのお金を東電に回す、そういった仕組みをつくりました。万が一、次なる事故が起こったときに、原子力事業者だけでは賠償金を賄えず、国による手厚い支援が行われ、そのツケは再び国民及び将来世代に回されるということが繰り返されます。
 さて、事故当時、福島第一原発一号炉は、運転開始後四十年の高経年化技術評価による検査に合格したばかりでした。高線量が続き、立ち入れない場所が多いので、高経年化というものが事故の進展にどのような影響を与えたのかは今もって不明なままです。最近、ようやくカメラが入って、原子炉を支えるペデスタル部、土台部ですね、ここでコンクリートが溶けてなくなり、鉄骨がむき出しになっていることが分かりました。大変危険な状況だと思います。私たちは、まだ原発事故に対して人知が及ばない部分があることを謙虚に認識すべきだと考えています。
 ここで、是非皆さんにお願いしたいことがあります。国会主催で、福島での公聴会を実施してほしいのです。福島原発事故に対する真摯な反省に立つのであれば、国会主催で、福島で、たくさんの人たちの声、原発事故によってそれまでの生活を失った人たちの声を是非お聞きください。国会主催の公聴会の前例もあると思います。是非御検討いただければと思います。
 第二に指摘したいのが、プロセスに関する問題です。
 GX基本方針については、案が固まってから、年末年始に一か月のパブリックコメントが行われ、三千九百六十六件の意見が寄せられました。その内容について、GX実行会議など公式な場では検討されていません。
 また、今年一月から三月にかけて、全国六か所で経済産業省による説明、意見交換会が開催されました。参加者からは、原発推進政策、とりわけ運転期間の延長に関して、批判や疑問の声が上がりました。参加者からは、出された意見をきちんとGX基本方針に反映してほしいと述べた、そう言った方も多かったんです。しかし、経産省は、ここで出された意見はGX基本方針には反映しませんと言い切りました。このように、国民の声が反映されていないことは大きな問題だと思っています。
 また、国会審議のやり方も、今回のように束ね法案として一括して提案されているのは問題ではないでしょうか。
 原子力基本法のように原子力の根幹に関わる大きな改定や、今までの運転期間の規制の在り方を覆すような多岐にわたる論点がある中、これを束ね法案としてしまっては、丁寧な個別の審議を尽くすことができません。是非、個別の審議を行っていただければと思います。今からでも遅くありません。是非、国民参加の下で、開かれた議論を丁寧に行っていただきたいと思います。
 第三に、原子力基本法の改定について述べたいと思います。
 今回の改定は、国の責務を詳細に書き込みました。国の責務と書いてありますが、内容を見てみると、これは国による原子力事業の支援です。国民の理解の促進、地域振興、人材育成、産業基盤の維持及び事業環境整備などを含んでいます。これは、以下の観点から問題と考えています。
 エネルギーの安定供給やエネルギー部門における脱炭素化は、原子力のみならず総合的に考慮すべきです。現行のエネルギー政策基本法で十分に対応できるのではないでしょうか。
 また、例えば再エネ特措法において、ここまで詳細に国による支援が書かれていません。お手元の資料の二ページ目に、再エネ特措法との比較した表を掲載させていただきました。著しいアンバランスが生じていることはお分かりいただけると思います。原子力のみを特別扱いしているのではないでしょうか。
 本来、原子力事業者が自らの責任で実施すべき内容を、国が肩代わりすることになるのではないでしょうか。結果的に、原子力事業者を過度に保護する内容になっており、市場原理をゆがめ、公平性に欠くと思います。
 また、原発がエネルギー安定供給、自律性の向上に資するかは疑問です。例えば、大規模集中電源である原発の事故やトラブルは、電力供給に広範な影響を与えます。これは、現に福島第一原発事故が示しているとおりです。また、ウラン燃料は一〇〇%輸入に依存しています。つまり、国産エネルギーではありません。国際情勢の不安定化とは無縁ではないのです。
 第四に、原子炉等規制法の運転期間の上限に関する現行規定を削除することの問題点について述べたいと思います。
 二〇一二年当時、運転期間上限に関する定めは、明らかに規制の一環として原子炉等規制法に盛り込まれました。このことは、今国会において岸田首相が答弁しているとおりです。
 二〇一二年六月二十六日付の内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室の資料によれば、原子力安全規制の三本柱として、一、重大事故対策の強化、二、バックフィット制度、三番目として四十年運転規制の導入が挙げられています。この三つは福島原発事故の教訓を踏まえたものです。
 その後、運転期間の上限を撤廃する理由となる新たな事象が生じたわけではありません。すなわち、原子炉等規制法からこれを削除する立法事実はないのです。
 政府は、運転期間の上限は利用側の政策として整理したと説明されています。根拠として、原子力規制委員会の令和二年七月二十九日の文書、運転期間延長認可の審査と長期運転期間中の発電用原子炉施設の経年劣化の関係に関する見解を挙げています。しかし、当該文書の趣旨は、運転期間から長期停止期間を除外することに否定的な見解をまとめたものであり、策定過程において、運転期間の上限の撤廃の可否について、原子力規制委員会の委員の中で議論が行われたものではありません。これは、原子力規制委員会の石渡委員も御指摘なさっていることです。根拠とするには不適切です。
 運転期間の上限に関する規定を原子炉等規制法から電気事業法に移すことに伴い、原発の運転期間の延長をする認可権限は、原子力規制委員会から経済産業大臣に移管されます。認可に当たっての基準も、劣化評価に基づく安全規制から、利用上の観点に移ります。すなわち、電力の安定供給を確保することに資するか、事業者が業務実施体制を有しているかなどです。
 政府は、原子炉等規制法に三十年を超える原発の劣化評価を規定することにより、規制は強化されるとしています。しかし、従来から、原子炉等規制法に基づく規則で、三十年超えの原発に対する十年ごとの劣化評価というのは、高経年化技術評価として行われてきました。今回これを法律に格上げすることになりますが、基本的には従来の制度の延長線上で、新しい制度というわけではありません。つまり、今回の改定は、原子力規制委員会の権限を縮小し、規制を緩和するものとなります。
 第五に、運転停止期間の除外は合理性がありません。
 電気事業法の改正案で、延長申請の際、一、関連法令の制定、変更に対応するため、二、行政処分、三、行政指導、四、裁判所による仮処分命令、五、その他事業者が予見し難い事由によって運転停止を行っていた期間については運転期間に上積みできることとしています。
 運転停止が事業者にとってたとえ予見し難い事由に起因するものであったとしても、当然のことながら経年劣化は進行します。
 また、利用側の観点に立ったとしても、運転延長を認めるか否かの判断基準は、その時点及び将来における電力需給状況であり、過去における運転停止の事情はこれとは関係ありません。上記の停止期間を運転期間に上積みできるという合理的な理由はありません。
 ここに挙げられている運転停止事由については、運転停止を命令するか要請するべき社会的あるいは法令上の要請があり、法律に基づく権限に基づいて、それぞれの行政機関や司法により判断されたものです。運転停止の必要がなかったと経済産業省が認定することは適切ではありません。
 以上の理由により、私は、GX脱炭素電源法案を今国会で承認することは、福島原発事故の教訓をないがしろにし、国民の安全を脅かし、未来世代に大きな負担を負わせると考えています。将来にわたって大きな禍根を残すと言えるでしょう。
 是非、皆さん、慎重な御審議をお願いいたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 満田夏花

speaker_id: 7213

日付: 2023-04-14

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会