釜萢敏の発言 (厚生労働委員会)

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○釜萢参考人 日本医師会常任理事、釜萢でございます。
 今日は、このような機会を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。
 資料を持ってまいりましたので、資料に沿って申し上げます。
 今、かかりつけ医機能に関する議論が盛んに行われておりますが、我が国において、かかりつけ医という考え方、あるいは国民の皆さんの御認識は、もうずっと古くからあるわけでありまして、特に、戦後、公的医療保険で原則として国民全体が医療保険に加入し、そして必要なときに医療提供を受けられる体制が整ってから、国民の皆さんが受診をされる医療機関というのは、それぞれの国民の皆さん、あるいは受診される側が選んで、そしてかかってこられたという長い経緯があります。そして、それは、場合によっては、医療機関の方が代替わりをしても、受診される側も、おじいさんが受診しておられたところに子供の頃から行っているとか、世代を通じて受診されてきたという経緯があります。
 それで特に余り不都合を感じる場面がなくて長く過ごしてきたということがありますが、今回、特にコロナ禍で、我が国の医療体制からすれば、必要なときにすぐに医療機関に受診できるというふうに思っていたらば、受診しようと思ったらなかなか受け入れてもらえなかった、検査が必要なときに受けられなかったというようなこともあって、これは何とかもっと改善しなければいけないという議論が起こったというふうに理解をしています。
 この件については後で触れますが、やはり、想定をしていなかったような新たな感染症などの有事において、日頃からどういう準備をしておくかということは極めて大事でありますので、今回、このかかりつけ医機能の議論が高まってきて、またいろいろ深められてきていることを大いに役立てていかなければいけないというふうに感じております。
 一ページは、これまでのかかりつけ医機能に関する議論の流れを整理してみましたけれども、最終的には、昨年の六月に骨太の方針二〇二二で、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うということが閣議で決定されまして、そのことを受けて、法案の提出が今行われているというふうに理解をしております。その中で、いろいろな御意見が出る中で現在の法案が作られたというふうに感じます。
 二ページは、かかりつけ医の定義、それからその次のページ、かかりつけ医機能のことを日本医師会がどういうふうに考えて、これに対応してきたかということを整理しておりますが、そもそも日本医師会でかかりつけ医という名称をはっきり使い始めた時期としては、平成四年に当時の会長が、就任のときの方針の中にかかりつけ医という文言を入れたということがありまして、その前に、当時の厚生労働省から、そのことに関する、家庭医の在り方等の検討がそれ以前に行われていて、それを踏まえてということであったというふうに思います。
 直近では、二ページにありますように、これは、平成二十五年に、日本医師会が四病院団体協議会と合同で作りました、かかりつけ医の定義でありまして、「「かかりつけ医」は、以下の定義を理解し、「かかりつけ医機能」の向上に努めている医師であり、病院の医師か、診療所の医師か、あるいはどの診療科かを問うものではない。そして、かかりつけ医は、患者のもっとも身近で頼りになる医師として、自ら積極的にその機能を果たしていく。」ということでありまして、かかりつけ医の定義として、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師。」というふうに定義いたしました。
 三ページでありますが、かかりつけ医機能として、そこに、少し長くなりますので省略いたしますが、非常に大事なかかりつけ医機能について整理をし、それを、先ほど申しましたように、平成二十五年に提言として取りまとめてきております。この考え方は、現在振り返ってみても、現時点の我が国の状況にも極めて合致する適切なものであるというふうに考えております。
 四ページは、かかりつけ医機能研修のことを触れておりますけれども、我が国においては、特に地域において診療所を開設する医師は、大学病院等において、それぞれ専門の領域を研さんし、そして、ある程度その経験を積んだ上で地域において開業するという方が多いです。しかし、地域において開業するに当たっては、自分の専門領域だけでは十分地域の皆さんのニーズに応じられませんので、いろいろな研修をしなければならない。そのためのかかりつけ医機能の研修というのをしっかり行うためのプログラムを作ったということであります。
 五ページを御覧いただきますと、そのプログラムの受講をして、そして、しっかり研修を行っているという実績が、そこに数が書いてありますけれども、五万八千四百三十七名という方が研修を修了したということでありますが、これは非常に重要な取組であると認識をしております。
 そして、六ページ以降が、これまでの骨太の方針でありますけれども、それに至るまでにいろいろな議論があったわけです。
 日本医師会として、七ページに整理をしておりますが、特に、この医療機関、七ページの右上でありますが、医療機関の対応としては、それぞれの医療機関が果たせる役割をしっかり更に深め広げていくということ、これを、たて糸を伸ばすというふうに表現をしました。そして、さらに、一つの医療機関、あるいは一人の医師が全ての機能を担えるわけではないので、地域においてしっかり連携をして、そして、地域で必要な医療機能をちゃんと確保するということが大事だ、そういう意味で、よこ糸というふうな表現を取りました。この面としてという意味の、面の広さがどのくらいかということもきちっと捉えておく必要があると思いますけれども、面としては、これは地域によって実情が違いますので、医療資源の多いところ少ないところでも違いますが、日常受診をできる、受診可能な広さの中で必要な機能がしっかり発揮されるということでありまして、これは、地域医療構想における考え方、あるいは調整会議の広さ等とも関連をしてくるというふうに思います。
 二次医療圏程度の中で必要なエリアがどのくらいあるのかというようなことも大事ですし、少なくとも、二次医療圏あるいは中学校区域という狭い区域の中でも、ある程度のしっかりした機能が必要ですし、二次医療圏として考えた場合には、その中である程度のきちっとした機能が必要だろうというふうに考えます。
 八ページに参りますが、地域に根差した医師の活動としては、非常に多岐にわたる活動を医師は担わなければなりません。これらはそれぞれ大事な機能でありまして、一人の医師が全て担えるわけではありませんので、それをいかにその地域において確実に確保するかということが大事になります。人口も減って、医師も極めて限られたという地域において、全てこれを確保することは難しいと思いますので、その場合に、どのようにそれを整えていくかということを考えなければならないというふうに思います。
 九ページでありますが、今回のコロナに当たって、特に、医療機関を受診したいのに受診できなかったという御不満が非常に国民の皆さんに増えたことは十分承知をしておりますが、これは、コロナという病気の本態が分からなかったということが当初ありましたことと、それから、感染防護をして立ち向かっていくための道具が最初の段階で十分に調達できなかったということが大きくて、このために、対応可能な医療機関が非常に限定されてしまったということがあります。
 検査の象徴的なPCRについても、当初は一日に可能な検査回数が極めて限られていましたので、現状においては、随分改善されて体制が整ってまいりましたけれども、そのようなことが、今回の有事において、我が国が持っていたはずの本来の機能が十分発揮できなかったという大変具合の悪い事態になったという、これはきちっと対応しなければならないと思いますが、十ページ以降に出ております、日本の医師や医療制度に対する信頼に関する村田ひろ子先生のこの調査結果を見ますと、二〇一一年に比べて、二一年の調査では、医師あるいは医療制度に対する国民の皆さんの評価はむしろ改善をしているということについて、是非御理解を賜りたいと思います。
 十二ページ以降は、各国とのコロナの対応の比較ですが、御案内のとおり、我が国は、もちろん改善の余地、改善すべき課題はたくさんありますけれども、諸外国に比べて決して後れを取ることなく、しっかり役割を担ったというふうに結果として出ていると思います。
 十六ページのかかりつけ医機能の、面としてということは先ほど申し上げました。
 十七ページと十八ページの比較ですけれども、我が国において受診できる医療機関をしっかり御自身が選んで受診できるという仕組みは非常に重要でありまして、あらかじめ、この人はまず最初にどこを受診しなければいけないというようなことを決められてしまうということは、我が国の国民にとっては非常にマイナスが多いのではないかというふうに考えます。
 十九ページは、既に、外来の機能をしっかり分化し、また連携することで、大病院ばかり受診するという事態については随分改善してきているというふうに思います。
 二十ページ、二十一ページは、これまで御検討いただいた内容で、結論は二十二ページです、少し項目が多いですけれども。かかりつけ医はあくまで国民が選ぶもので、国民にかかりつけ医を持つことを義務づけたり割り当てたりすることは、日本医師会としては反対です。診療科やあるいは専門の観点から、いろいろな、複数のかかりつけ医が必要であって、一つの医療機関が全部担うことはできなくても、しっかり連携を取るということが必要で、そして、かかりつけ医機能を発揮する医療機関は、診療科や病院、診療所の別を問うものではなく、そして、かかりつけ医とかかりつけ医以外を区別するという考え方は、むしろ国民の皆さんにはマイナスだろうと思います。そして、自らもしっかり研さんに励んでまいりたいと思います。登録制は、決して我が国では国民のためにならないというふうに感じております。
 私からは以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 釜萢敏

speaker_id: 3191

日付: 2023-04-04

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会