伊藤周平の発言 (厚生労働委員会)

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○伊藤参考人 鹿児島大学の伊藤と申します。
 本日は、このような機会を与えていただいて、非常にありがたく思っております。
 私は、今回の法案について、廃案を求める立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
 そこに書いてあるとおりです。ずっと、医療、かかりつけ医とか、そういった内容についてはここでは割愛させていただいて、高齢者の負担を増やすこと、高齢者の保険料負担も含めて、そういう高齢者の負担を増やすことについて十分議論されていないんじゃないか。
 今まで、私のレジュメにある一ページに書いてあるように、一括法案というのが多いんですね。私は、今、法律を専攻していて、ロースクールでも教えていたことがあるんですが、社会保障法、行政法をやっているんですが、こういう一括法案の場合、今回は十一ですが、十九の一括法案だったのが、名前が長いんですよね、何なんですか、地域における医療及び介護の総合的な。今回も長いですが、医療介護総合確保法なんかは十九。しかも、重要な改革はどんどん行われている。十分審議を尽くしたのか。高齢者の生活実態を十分把握した上での議論なのか。全世代対応型あるいは全世代型社会保障改革と言われますけれども、結局、私は高齢者いじめじゃないかと思っています。
 今まで、高齢者の方に非常にお金がかかっていた。一人当たりの社会支出で見るとそれほどでもないんですが、ただ、実際に、確かに、ある程度資産を持って裕福な高齢者の方もたくさんいらっしゃいます。私も年金裁判というのをやっていまして、ロースクールで教えていた教え子が弁護士になって、私に証人で来てくれと。教え子に証人尋問されました。そこで、やはり、高齢者の人の生活実態を見るととても裕福ではない。
 今回も、その前ですかね、窓口負担が七十五歳以上、一定所得以上は二割になった。今回の出産育児一時金に係る、その分、後期高齢者医療制度から支援するという案ですが、それを見ても、それについてはちょっと時間がないので余りしゃべれないんですが。
 ずっと行って十三ページのところに書いたんですけれども、一応、年収百五十三万円以上の被保険者について、そういった保険料の負担増。だけれども、能力に応じた負担と言われますけれども、これは経済的に余裕があるんですか、年収百五十三万で。年金収入だけですけれども。
 更に問題なのは、こういった、そもそもそっちから持っていくかな。出産育児一時金について、健康保険であれば、健康保険の方の財源ではなくてこっちから支援する、それはそれでいいんだろうと思うんだけれども、だけれども、なぜ高齢者にこれだけの負担を押しつけるのか。それを全世代型社会保障という形ですごく正当化しているんじゃないかと思います。世代間対立をあおっていますよね、と私は考えますが。
 いずれにしても、かかりつけ医について、私、特に問題がある部分、もちろんちょっとあるんですけれども、一括法案だと、非常に問題のある法案が出てくるのと、そうでないのが一緒に出てくるわけですね。私も官僚をやっていたから分かるんですけれども、そんな、一緒に出しちゃうと、完全に反対というのはなかなかできない。制度が後退する部分と制度が改善する部分の法案を一緒に出しちゃうんですね、一括法案というのは。そういうやり方、私は、それも一つ大きな問題じゃないかと。
 それはともかく、こういった一括法案の問題と、特に財源の問題ですよ。これはずっと見ていると分かるんですけれども、結局、今までの公費負担を高齢者の負担にコストシフティングしているんです。つまり、公費負担が減るわけですよね、国の負担が九百十億ぐらい今回減るという試算が出ているんですけれども、これはどういうことなのか。結局、そういうコストシフティングをやっている法案。
 じゃ、高齢者の生活実態はどうなのかというのは、ちょっとなかなか、誰も代弁する人がいないのでこの場でお話ししたいと思うんですが、まず一つは、今回のコロナで、先ほど死者は少ないと言われましたけれども、今年の一月、一万人ぐらい出たじゃないですか、ほとんど高齢者です。しかも、超過死亡が多いので、実際にコロナで亡くなった人もコロナでないと思われているかもしれません、二〇二二年は非常に多かったです。それを、私、背筋が寒くなったんですけれども、何も言わないですよね、マスコミ。亡くなっているのが高齢者だからですか。何でしたか、その論文については、私の知り合いの和田さんという人が「世界」に書いていらっしゃるので、後ろで見てもらったらいいんですけれども、何と、最大の医療崩壊が起きて最多の死者を起こしたのに、三年ぶりの行動制限のない年末年始と。高齢者が死んでいるから無視しているんですか。もしこれが若い人だったら大問題になっているんですよね。だから、本当に、私、背筋が寒くなりました。
 しかも、高齢者の年金をどんどん減らしている、マクロ経済スライドで。今回も、また保険料を上げる、窓口負担を上げる。高齢者の生活実態については、七ページからずっと書いてあるんですけれども、年金裁判をやったときに、高齢者の人は言うんですけれども、もう早く死にたいと言っていました。もうこんなにお金がなくて、また医療費が上がって、窓口負担がまた上がって、年金が削られて、物価が高いのに。何もいいことないな。これを言わせていいんですか、政治として。
 社会保障は非常にお金がかかる、だから削らなきゃいけないというのは分かるんだけれども、でも、本来、社会保障は国民の生活に必要なお金じゃないですか。それを何で削るんですか。いや、それは無駄な部分はあるかもしれない。だけれども、自然増の部分まで削っているんですよ、今。何もしなくても増える部分ですよ。社会保障というのは、本来、国の財政が苦しいから社会保障を削減すべき、そういう論理は成り立たないと思うんですよね、三ページのところです。特に生活保護基準、これも裁判をやっていますけれども、私も関わって。意見書も出しましたが、生活保護基準引下げについては、今回、各地裁で勝訴判決が連発しています。健康で文化的な最低限度の水準を決める生活保護基準を国の財政が苦しいからと引き下げていいんですか。
 国の財政赤字や歳入不足を理由に、社会保障の費用を自然増の部分まで、何もしなくても増える部分まで削られているというのが問題で、本来、お金がないから社会保障を削るというのは成り立たないんですよ。社会保障は必要なんだから、お金がなきゃどこかから持ってくるんです。それが政治家の仕事なんですよ。それを全くしないで、どんどんどんどん削って、公費負担を削っていくというのは、私は非常に間違っていると思います。防衛費のことは余り言わないですけれども、それを非常に引き上げた上で、どんどん高齢者や本当に声が出しにくい人たちに負担を押しつけている、そういう法案じゃないかなと思っています。
 あと、じゃ、どこに財源があるのかとよく言われますけれども、後期高齢者医療制度について言えば、ずっと八ページから九ページに書いてあるんですけれども、今回のそういった法案を含めて、特に後期高齢者支援金の問題があります。
 支援金について、今回、後期高齢者なども支援金は既に総報酬割になっているんですけれども、前期の方に、今度、また総報酬割を入れるという案が入っています。これは先ほど健保連の方がおっしゃったように、三分の一なんですけれども。ただ、支援金制度は、私は協会けんぽの鹿児島支部の方の評議員もやっていて分かるんですけれども、もうこれは限界です。毎月毎月年貢のように取られるわけですよね、各医療保険者が。そして、医療保険者の中には、保険料収入の半分ぐらいがこの支援金に取られる。もう支援金制度はなくすべきですよ。
 だから、最終的には、私は税方式でやるしかないと思っています、社会保障の、元々の、後期高齢者についてはね。税方式でやるか、あるいは、全部、政府を保険者として、全ての人を入れる医療保険にして窓口負担をなくす、保険料は住民税非課税の人からは取らない。
 つまり、住民税もかからないような低所得の人から取っているんですよ、保険料。日本は、そのために、何と所得再分配がほとんど機能していない。つまり、本来取るべきでない人から保険料や税金を取って、本来取るべきところから取っていないわけですね。それで、再分配するための手当や年金が極めて少ない。だから、貧困率は非常に高いですよ、高齢者の。OECD諸国の中でも突出して高いです。特に、単身女性高齢者。独り暮らしの高齢者は、生活保護を受けている人が多いんですけれども、そういう人たちの生活は、だって、年金は三万とか、そんなもんです。暮らしていけませんから。
 そういう人たちに、後期高齢者保険料をまた増やして、更に窓口負担も今後全員二割にするんですか。今は一定所得以上ですけれども、これを二割にしていって、それで、受診抑制して、現役世代の負担の軽減をされると言っていますけれども、十一ページのところですけれども、最も削減されるのは公費負担です。だから、これは何なんだろうと。一部負担金というのは、本当にすごい、一応減免はあるんですけれども、国民健康保険にもあるんですが、それは突発的な事由とかになってからです。だから、恒常的な生活困窮者に対しては、一部負担金も保険料の免除はありません。それは制度としておかしいと思います。
 そもそも、後期高齢者医療制度はおかしいと。だって、社会保障のそもそものお話をしますと、社会保険というのはリスク分散が必要なんです。お金のある人もない人も全部含めて、病気になりやすい人もなりにくい人も全部集めて、それで、リスクを分散するのが社会保険です。病気になりやすい人や、年金だけで保険料負担がない人ばかり集めてどうするんですか。リスク分散できないじゃないですか、後期高齢。
 だから、保険料は一割、今度その保険料の負担率を上げるというんですね、介護保険に倣って。今は一三%ですかね、後期高齢者医療制度に占める割合は。全体の医療費に占める割合。それを、介護保険だと二五%ぐらいになりますよ、第一号被保険者の保険料。じゃ、今のその率を介護保険並みにした場合に、確かに支援金は減るかもしれません。だけれども、高齢者の負担は倍になるわけですか、単純計算すれば。それは私はおかしいだろうと。そういうことをやっていて、コロナになって、見捨てるんですか。高齢者が死んでも、何も、誰も、マスコミも余り騒がない。本当に背筋が寒くなるんですね。
 我々、私なんかも将来高齢者になるので、もうちょっと現場の高齢者の生活実態を見た上で制度設計していただきたいと。何も、余り声が出ないから高齢者にどんどん負担を押しつければいいという問題ではないでしょう。社会保険というのは、強制加入なので、保険料を払えない人がいるわけですよ、生活困窮で。そういう人のために免除をすべきであって、先ほど言いましたように、住民税非課税の人は、すぐ税方式に移行しろというわけじゃないですよ。
 財源がないと言われるけれども、結局、社会保障・税一体改革の下では、財源は消費税しかないでしょう。だから、子育て支援重視したいと岸田首相が言っているけれども、それは財源は消費税を上げると言えないですよね、今。だから、どこか社会保険料から取るとか言っていますよね。いや、だから、この社会保障・税一体改革の消費税に依存した財源確保をやめて、法人税や所得税の累進性を強化していけばいいんじゃないんですか。それで十分財源確保できるという試算も出ています。
 だから、私は、そういったいろんな選択肢があるにもかかわらず、六ページのところですけれども、不公平税制を是正すれば、特に金融所得に対する課税、これは岸田首相が総裁選挙のときに言い出して、株が下がったので引っ込めましたけれども、これを強化したり、あと、法人税の租税特別措置などの大企業優遇税制を見直していけば、四十六兆円確保できるらしいですよ。これだけあれば、消費税減税して社会保障を充実するのは十分可能じゃないですか。だけれども、これをやらない。
 本当にお金のある人たちから、だから、お金のある人たちからたくさん取って。そうでしょう。手当だってそうだと思うんですけれども、私、児童手当の所得制限は廃止すべきだと二年前の内閣委員会で言ったんですけれども、年収千二百万円以上の人は特例給付はなくなりました。その法案、法律を通しておいて、何か最近言い出しましたよね、岸田氏は、異次元の少子化対策で児童手当の所得制限をなくすと。えっ、何だったんですか、あれは。二年前、私が言ったのに、今になって言い出すのかと、何なのとか思いましたけれども……

発言情報

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発言者: 伊藤周平

speaker_id: 28140

日付: 2023-04-04

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会