吉田樹の発言 (国土交通委員会)

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○吉田参考人 皆様、おはようございます。福島大学から参りました吉田でございます。
 本日は、こういった場にお招きくださいまして、ありがとうございます。
 私の方から、資料に沿いましてお話しさせていただければというふうに思ってございます。
 まず、今回の地域公共交通活性化再生法、地活化法と略されることもありますが、私は公共交通法と最近呼ぶようにしておりますけれども、これの一部改正案に向けてということで資料を作成してございます。大きくは四点ほどお伝えできればというふうに思っております。
 まず一点目でありますけれども、この地域公共交通に対する公的関与というものは不可欠であるということでございます。
 私も今、福島という地方大学に籍を置いておりますけれども、地方都市あるいは農山村地域を中心として、車の保有、これが前提となっている町の構造、町のつくりになっているという課題があります。そうなりますと、やはり車を運転をできるかできないかということによって活動機会、つまりお出かけの機会ですね、これにやはり大きな差というものが生まれてくるわけです。
 一方で、皆様に図の一というグラフをつけておりますけれども、これは、二〇〇〇年と比較をいたしました、総務省の家計調査から得ました公共交通の運賃に対する支払い額と、それから車の維持、これは購入に関するものは入ってございませんが、それに関わる価格の推移ということになります。支出の推移でございます。そうしますと、車は二十年間で支出三割ほど増えておりますけれども、コロナ禍もあり、公共交通は四割減、コロナ禍がなくても二割減ということになるわけです。
 したがって、もはや、地域公共交通、独自、独立採算、自立採算ということで、いわゆる内部補助を前提としたサービスの維持は限界を迎えておりますし、やはり家計に重くのしかかっているということが、やはり車保有を前提とした生活の中の一つの大きな問題であるというふうに思っております。
 そこで、次に、二番目でございますけれども、地域公共交通、この政策を地域戦略として位置づける、こういうメッセージというものも発していく必要があるだろうというふうに思っております。
 表の一を御覧いただければと思いますけれども、こちらは二〇一九年、コロナの直前の家計調査で得た、同じように公共交通の運賃、それから自家用車の保有や利用、ここに関わる家計支出の比較でございます。
 特別区ですとか政令市ですと、やはり公共交通の運賃、相対的に大きいわけですが、一方で、車の維持、保有に関わるコストが少ないですので、交通分野に関する家計支出というものは少なく済んでいる。ところが、人口五万を割ってくるような小規模自治体ですと、政令市、特別区と比べますと、年六万円大きい。それだけ家計にかかる負担の割合が大きいという構造があります。
 一方で、こうしたことが高齢者の免許の返納というところにも大きく関わってまいります。
 図の二がございますけれども、これは七十五歳から八十四歳、こちらの年齢層を対象にした、縦軸が免許返納の割合であります。これは二〇一九年でございます。横が家計支出比とありますが、これは表の一にございます公共交通の運賃の支払いを自家用車の維持、利用で割ったものということになりますので、横軸、パーセンテージが高くなるほど公共交通の支出が大きい土地柄ということになってまいります。そうすると、公共交通が選ばれる、選ばれやすい地域ほど、やはり車を手放しやすいという構造というものがあるわけであります。
 一方で、東北のような農業が盛んな地域ですと、実は、これとはまた別に、農業の従事者が多いと免許が手放せないという構造があるわけです。
 そういたしますと、一台はあったとしても、二台目、三台目という車の保有から移行できる手段を用意できるかどうかということが住民のウェルビーイングにもつながっていきますし、やはりそうした環境というものを若い世代も求めます。
 私も、福島大学、就職支援の担当もしておりますけれども、やはり学生中心に地元になかなか残りません。それは働き口があってもです。それは、車を中心とした生活で、自分自身が今度は親御さんのように送り迎えをしなければいけない生活というのが非常に負担がかかります。そうしますと、少なくても仙台、あるいは首都圏という形で、交通の利便性が高いところ、ここが就職の糸口になってしまっていますので、実は、地域戦略として、地域公共交通、捉え直していただきたいというところがございます。
 続いて、二ページ目でございます。
 三番目ですけれども、では、その中で、今回改正案として提出されている制度をどう生かしていくのかというところの点でございます。
 私自身、この三番に書いてございます楽しさと信頼性、これが地域公共交通に求められる大切な役割だというふうに思ってございます。
 信頼性という言葉ですけれども、これは市民の皆様、利用者の皆様に信頼されるサービスであるかどうかということになります。私自身、よく、品質、それから性能、これを保証するという言葉を使う場面が実はございます。
 品質保証と書いてありますが、例えば、地方都市のバスであったとしても、運行間隔が平準化され、つまり、最大の待ち時間が短縮され、高い頻度で運行されている区間というものは利用を増やすことができている、そうした成功例というのもあります。私が関わっている中でも、青森の八戸、こちらは二〇〇八年に取り組みましたが、六%乗客を伸ばしておりますし、前橋は昨年の四月から同じような形で実施をしておりますが、こちらは一〇%増ということで伺っています。
 これらは、実は、協議運賃制度であったり、あるいは共同経営であったり、これまでの地域公共交通の関連法に関わるような制度をフル活用して実現できたものということになりますので、こうした取組というものをやはり制度上も後押しをしていく、あるいは予算面でも後押しをしていくということを是非ともお願いしたいというふうに思っております。
 一方で、性能保証という点ですけれども、やはり農山村など密度が低いような地域、そこではやはり自宅から通院できる、通学できる、そういうところを重視していくということが必要になってきますし、そのための財源の確保ということも必要かと思っております。
 一方で、ローカル鉄道の議論というのも今回出ておりますけれども、やはり課題としては、運行頻度が低い、あるいはどんどん整備されていく並行道路と比べるとローカル鉄道の方が遅い、こういうところがあります。今回、社会資本整備総合交付金の基幹事業化等のところがあるわけでありますけれども、それで打ち手が増えていくということを期待したいというふうに思っております。
 例えば、鉄道かバスかというところで、いわゆるバス転換ということがよく表明されるわけでありますけれども、鉄道自体を高度化するという選択肢があってもいいと思いますし、バスに転換をするといっても、やはり遅いバスだと勝負できませんので、できれば高速化というところも、例えば道路側の制度の改正というところも含めて期待したいところです。
 一方で、これは既に行われていることでもありますが、鉄道とバスの共創で事実上増便させている、例えば徳島のような事例というのもあります。こちらも、いわゆる共同経営のような、こちらの活性化再生法の制度などをうまく使いながらやっているということになりますから、こうした取組というものを後押ししていくということも必要かと思っております。
 最後、大きな四番でありますけれども、地域公共交通のリデザインに向けたガバナンス、ファイナンス、コミュニティーと片仮名が三つ並んでございますけれども、この三つというものがやはりこれから実務上でのキーワードになってくるだろうというふうに思っております。
 今回、法改正が仮にかなうといたしましても、やはり現実の私たちの地域交通というものが改善される、活性化される、そして地域のウェルビーイングに結びつく、そこに持っていかなければいけません。
 そのためには、やはりガバナンス、これは法定協議会における意思決定というものが基本になってくるかというふうにも思っておりますけれども、これは何も地方圏に限った話ではなく、大都市圏でも今路線バス等の廃止、減便が進んでございます。全国共通の課題かというふうに思っております。
 一方で、今回の改正案の中にデジタルトランスフォーメーション、DXというキーワードも出てまいります。どちらかといいますと、従来の地域交通の取組というのは勘と経験と度胸という、こういう従来型のKKDに基づくようなものが多かったわけですけれども、それの精度を高める、やはり仮説、検証、データ分析、そういうものが結びついて、そういう人材育成というものも是非ともお願いしたいというふうに思っております。
 それから、ファイナンス、これは運賃負担と公的負担の組合せというものが前提となりますが、そもそも、地域交通、利用者以外にも便益が及びますし、運行内容で決定される費用と利用者の支払い意思額との間に差というものが生じてくるわけです。従来、総括原価方式に基づく価格設定が基本だったわけですが、不採算の地域交通においては、そこを続けていくということが限界。ですから、今回、協議運賃というものが創設されようというふうにしているわけですけれども、どういうふうに運賃、値づけを決めていけばいいかどうか、そういうガイドラインを作っていくということも重要かというふうに思ってございます。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 吉田樹

speaker_id: 19402

日付: 2023-03-17

院: 衆議院

会議名: 国土交通委員会