上岡直見の発言 (国土交通委員会)

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○上岡参考人 おはようございます。上岡でございます。
 本日は、発言の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
 お配りの要旨に従って、五点ほど口頭で述べさせていただきます。
 一点目は、料金徴収期間延長の時期についてです。
 これは、先ほど御指摘ありましたように、令和九十七年というような長期予想は余りにも不確実要素が多過ぎて、なかなか合理的な説明は困難ではないかと思います。
 今、道路公団民営化から二十年弱経過しておりますけれども、その間だけでも、相当な、いろいろな社会経済的変化が起きているわけであります。
 その前に、なぜこのような繰延べが繰り返されたのか、大きなイベントだけでも三回ほどあったかと思いますけれども、その原因の明確な説明とか是正が伴わなければ、やはり、利用者の方、あるいは国民の方の理解を得られないのではないだろうかということであります。
 二点目は、事業に関する予測の不確実性についてです。
 これは、資金計画、償還計画等に大きく影響するわけでありますが、一つ具体的な事例を取り上げて説明いたします。
 私、横浜市に在住しておりますけれども、現在事業中の横浜環状南線という事業がございます。事業延長九キロ弱のところです。
 この事業、平成七年の都市計画決定で、そのとき、事業費二千億円とされていたところ、つい先日、監視評価委員会で、令和五年一月、七千九百二十億円と約四倍に膨張しています。この間、物価指数はたかだか一〇%程度の変化ですから、インフレというようなことではないわけです。
 最近は資材高騰等も挙げられておりますけれども、以前から、数年ごと、事業監視評価委員会のたびに、変更や追加として一千億、二千億と積み増しが報告されて、結局今、四倍ということになってしまいました。しかも、いろいろな遅延要因が発生しておりまして、供用時期が不明というような状況であります。
 事業延長僅か九キロほどの一つの事例でこのような状態ですから、これではやはり、令和九十七年というような、長期的には余りにも不確定要素が多過ぎて、合理的な説明は難しいのではないかと思います。
 三点目は、需要予測等に関する疑問についてです。
 これも、資金計画、債務償還計画に大きく影響いたします。そもそも、道路公団民営化の発端となったように、過大な需要予測とか楽観的なGDP予測というものが指摘されておりました。
 現在は、当時より更に二十年近く経過して、人口減少等の環境は更に厳しくなっております。また、施工環境も今後はより難しい場所に造るところが多くなってくると思います。例えば、大深度工法で、調布の事故等、問題も発生しているような状況があるわけです。
 横浜環状南線の事例を再度を挙げますと、平成十七年、第一回事業監視評価委員会がありましたが、そのとき、費用便益比、いわゆるBバイC、これが二・二とされておりましたが、それが令和四年、第六回のその委員会では、BバイCが〇・八に低下しています。すなわち、一・〇を割ってしまったわけです。
 現在は、高速道路イコール有料道路ではなくて、いろいろな財源スキームがつくられております。今後、高規格幹線道路を整備する区間というのは、非常に不利な状況が増えていくわけであります。将来的な人口動態は、社会保障・人口問題研究所、社人研等によって予測されておりますけれども、大都市以外では人口の減少が非常に顕著であると予測されているわけであります。
 今延ばしているところ、これは有料道路事業でない枠組みもありますけれども、いずれにしても、数十年のうちに、言い方は悪いですが、道路ができた頃には誰も使う人がいない、無人地帯に向かって高速道路を延ばしているようなものではないかという懸念もあるわけです。
 このような点から考えましても、令和九十七年というような遠い将来の評価ではなく、もう少し現実的な評価というのが必要ではないかと思うわけであります。
 四点目は、事業評価に関する疑問についてです。
 もちろん、事業評価というのは、費用便益比だけではなく、国土強靱化とか防災とか、その他いろいろ経済効果等から総合的に判断すべきであるということはいいんですけれども、元々評価基準に不明瞭な部分が多い、あるいは、恣意的な評価が可能な部分が多いというように思われます。
 例えば、便益を算出する場合、便益を集計する道路ネットワークの範囲をどこまで取るかというようなことによって結果が大きく異なってきます。
 国交省では費用便益マニュアルを提供しておりますけれども、そこには標準的な算出手法が記述されてはいるんですが、抽象的な文言になっておりまして、ある意味では恣意的な運用ができるようになっています。
 事業評価監視委員会、あるいは、それに類するいろいろな評価の場ですね、委員の方々から様々な議論が出ているのですが、それが事業にどのように反映されているのか、前述の事例のように、事業費が四倍にもなって、チェック機能が実質的に機能しているのかということについても疑問があるわけであります。
 なお、付言いたしますと、利用者に対する説明もそうなんですが、やはり、事業実施に際して、住民の方が直接影響を被るわけであります。有料道路事業に限らず、全国で紛争が起きております。制度的には土地収用法なども関連します。本日はその議題ではありませんので言及しませんけれども、やはり、道路事業全体についての評価、情報公開、住民の意見反映というような点からも、これをしっかりしないと、全体的な、合理的な説明というのは難しいのではないかと思います。
 それから五点目は、道路は全体ネットワークとして捉えるべきということであります。
 そもそも、高速道路を利用するには、必ずその前後に一般道路の通行、あるいは、自宅の周辺で街路の通行が必ず介在するわけであります。実は、こうした一般道路、街路の走行環境というのはかなり貧弱なわけであります。歩道もない、子供が車にひかれるとか、そういうこともしばしば起きている状態であります。
 先ほども触れましたが、現在は、高速道路イコール有料道路ではなくて、いろいろな財源スキームがあります。大きく分けると四つぐらいでしょうか。
 日本では有料道路という言い方がありますけれども、そもそも無料道路などというものは存在しないわけでありまして、これは、先ほど参考人の先生方から何回か御指摘がありましたように、費用と財源の負担をどうするかというスキームの違いであるわけです。
 利用者は、今自分が走っている道路がどの財源スキームかなどと意識して走っているわけではありません。日本の道路全体をネットワークとして捉えるべきであって、本日の議題ではないとしましても、有料道路事業の無料化云々だけの議論では済まないのではないかと思います。
 また、付言いたしますと、今後数十年のスパンで少なくとも考えるわけですから、そうすると、化石燃料を使用しない自動車、特に乗用車についてはですが、置き換わっていくわけです。そうしますと、今の燃料課金による道路財源調達というのはできなくなるわけで、早晩、距離課金に移行せざるを得ない、そういうことも出てくると思います。
 このような状況になりますと、単に有料道路事業だけの問題でない、財源スキームを日本の道路ネットワーク全体について大きく組み替えるということが不可避なわけでありますし、また、国土強靱化とか防災等の観点でも、有料道路事業だけの問題では済まないと思います。
 いずれにしましても、有料道路事業をいつ無料化するかという点だけではなく、本日の議題ではありませんけれども、やはり、日本の道路ネットワーク全体をどうするのかということについての全体的な議論を広げていくことが必要であり、また、それをしないと、本件の議題についても国民の方々の了解を得られることは難しいのではないかというふうに思うわけであります。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 上岡直見

speaker_id: 4840

日付: 2023-04-04

院: 衆議院

会議名: 国土交通委員会