末澤豪謙の発言 (財務金融委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○末澤参考人 どうも、SMBC日興証券、末澤でございます。よろしくお願いします。
私の方からは、資料、「二〇二三年の経済・金融市場の動向」というものを御用意しました。ただ、何分時間が極めて限られております関係で、今回はパーマクライシス、危機の長期化、こちらを中心に御説明させていただきたいと思います。
パーマクライシス、これは、パーマネント、永続化、長期化という言葉と、クライシス、危機の造語でございまして、イギリスのコリンズ英語辞典、こちらの二〇二二年のワード、単語として選出されております。コリンズは、長期にわたり不安定で安心できない状態と定義しておりまして、私は、このパーマクライシスが今後長期化し、世界の経済金融市場にも大きな影響を与えるのではないかと懸念しております。
続きまして、一ページを開けていただきまして、本日は、世界経済と金融市場の動向、あと、パンデミック、ウクライナ情勢、ねじれ議会、インフレ高進、世界経済の回復シナリオ等を御説明させていただきます。
二ページ目でございますが、これは、端的に申し上げますと、二〇二〇年、パンデミックが起きて世界経済は一旦後退局面に入りましたが、その後、空前絶後、未曽有の金融緩和、財政出動によって世界経済は着実に回復していました。ただし、その間にウクライナ戦争も起き、また、供給制約もあって、足下では、物価上昇、インフレですね、あと、それに対応した世界の中銀の金融引締め、これが大きな問題となっております。
三ページ目に行っていただきたいんですが、三ページ目右側。
今、実はマーケットが注目しておりますのは、五月の二日、三日、アメリカのFRBが利上げをするかどうか。私は、〇・二五利上げして、政策金利を五パー、五・二五という水準に持っていくと思っておりますが、ちょうど一年前、去年の三月に利上げを開始しております。そのときは〇―〇・二五から上げているんですね。つまり、一年ちょっとで五%の利上げになります。この利上げペースは、一九八一年、第二次オイルショック以来の水準になります。
四ページ目でございます。
この背景となったのが、やはりインフレですね。これはIMFの世界経済見通しでございます。四月十一日に出たものでございます。ちょっと細かくは説明できませんが、左側のIMFのコメントのところだけ御覧いただきたいと思います。青字ですね。インフレ率は当初予想より高止まっている、地経学的な、これはジオエコノミクスでございますが、地経学的な分断化の本格的な脅威がますます高まり、分断化されたブロック間でのイノベーションとテクノロジー採用のペースが遅くなっている、こういうふうに評価されております。
五ページ目でございます。
五ページ、六ページは米国経済の動向ですが、一言で申し上げると、まだ米国経済は堅調です。個人消費のウェートが七割。その個人消費の原動力となっている資産効果、これは右上でございますが、過去最高水準にあり、雇用もこの一月は三・四%と、これは一九六九年以来の低水準になっておりますから、現時点ではまだ好調です。
ただし、やはりインフレに対応した金融引締めの影響は出てきておりまして、六ページ、やはり住宅市場はやや失速しかけている、こういう状況でございます。
七ページ目。
三月にアメリカの地銀二行が破綻しまして、これはどうなのかということなんですが、時間がないのですが、これについて申し上げると、金融システミックリスクにつながる可能性は低いと思っております。ただし、中長期的に世界経済後退局面になれば、これは、不良債権の増加という形で、影響は不可避だと思います。
八ページ目でございます。
我が国も今、経済再開でこれから成長率の上昇が期待できますが、ただ、今年の一月には全国コアCPIが前年比プラス四・二%、これは、一九八一年九月以来、四十一年ぶりの高水準、やはり第二次オイルショック以来の水準になっています。
九ページでございまして、我が国の今の経済の動向なんですが、やはりバブル期との大きな違いは、グローバル化、特に新興国の台頭と、あと少子高齢化の進展。特にインフレの関係で申し上げますと、九ページの右下なんですが、雇用の不足感が相当高まってきております。多分、このままいくとバブル期を超える人手不足になるだろうと。
十ページ、十一ページは、これは為替と株価の動向でございますので省略させていただきます。
十二ページまで行っていただいて、十二ページで申し上げたいのは、昨年の十月でございますが、実質実効為替相場、このグラフですと左下になります。これはインフレ調整した世界の通貨に対する円の立ち位置を示したものですが、これは、一九七〇年八月以来、つまり一ドル三百六十円以来の円安になったということでございます。
十三ページ、これは我が国の金利と株価の動向でございまして、省略します。
十五ページ、パンデミックのところなんですが、ここでは二点申し上げたいと思います。
一つは、十五ページなんですが、通常、パンデミックと言っていますが、WHOの正式な今回の危機に対する名称は国際的な公衆衛生上の緊急事態、PHEIC宣言でございまして、これは、実は、二〇〇九年以降、七回発動されておりまして、二年に一度。背景に、やはりグローバル化と気候変動が影響している可能性があるということでございます。
十六ページ、十七ページ、十八ページは、これは足下の感染者や死者の世界及び日本の動向でございますが、一言で申し上げると、収束傾向にあるということです。これは、東アジアで昨年暮れ、中国を中心に感染爆発が起きて、やはり集団免疫が相当確保できた、これがある。
十九ページ、二十ページです。
ただし、我が国に関して言うと、今アメリカでXBB系統がもう九九%に比率が上がっていますが、日本でも東京都で五割を超えています。
二十ページですが、我が国では、やはり、諸外国と比べて自然感染率が低いということを鑑みますと、この夏に第九波が発生する可能性は十分あると思う。
二十二ページでございます。ウクライナ情勢です。二十二ページはここまでの経緯。
二十三ページまで行っていただくと、一言で申し上げると、これは長期化必至と。ちょうど三月、四月にリークされましたいわゆるディスコード・リークと言われていますが、ここでも、アメリカのDIA、国防情報局のペーパーで二〇二四年まで戦争は続くと評価されておりますが、やはり、ここまで戦争が大きくなると、サンクコスト、埋没コストが大きくなって、勝敗が明らかになる、両国が消耗し厭戦気分が高まるか、世界の警察官が仲裁に入らないと、なかなか戦争は終わらない。このどれにも当たらないということでございます。
二十四ページ。
そうしたところでやはり重要なのは、原油価格の動向だと思うんですね。かつて、ソ連邦が崩壊した一九八八年―九一年、またロシア危機が発生した九八年、いずれも原油価格が暴落しておりました。やはり、エネルギー価格の動向が、これはウクライナ支援に対する西側の支援疲れ、これも含めて重要だと思います。
二十五ページ以降はアメリカの今の政治状況でございまして、二十六、二十七は、これは中間選挙に至る過程の話でございまして、二十八ページまで行っていただきます。
結果でございます。一言で言うと、ねじれ議会。上院は一議席増となりましたが、下院は共和党が取るということで、今、実はマーケットで心配されているのは、六月以降、アメリカの資金繰りは尽きるんじゃないかと。いわゆるデフォルトですね、このリスクがあるんですが、これについてうまく法案が成立できるのか、また、来会計年度の歳出法案の行方、こういったところが懸念されております。
三十ページですね。
インフレ高進と欧米中銀の金融引締め加速とございまして、冒頭申し上げましたが、アメリカはまだ、利上げを一年続けておりまして、多分、今年の五月までは利上げする。これは、背景には、三十ページの右下でございますが、昨年六月のCPIが前年比九・一%、第二次オイルショック以来の上昇幅となったことがありまして、今日、第二次オイルショック以来という言葉をよく使っていますが、三十一ページを御覧いただくと、これは欧州でもそうでございまして、左上を御覧いただくと、主要国の消費者物価は、欧州では一〇%を超えているというところもあります。イギリスは三月分が出ましたが、これでも一〇パーを超えているところでございまして、いずれも第二次オイルショック以来。そうした中で金融引締めが続いているわけですね。
最後、三十三ページでございます。まとめでございます、ここはちょっとゆっくりいきたいと思うんですが。
今日申し上げたいのは、COVID―19パンデミックは収束、経済は正常化する、ただし、新たなリスクが浮上している、しかも、これはパーマクライシス、相当長期化すると考えられています。オミクロン株の感染爆発で、中国を含め世界中で集団免疫を獲得し、経済は正常化します。ただし、感染収束も終息せず、供給制約もあり、中長期的にはレジーム転換の可能性も考えられます。
まず、パンデミックなんですが、通常、経済学的にはデフレ要因とされています。ただし、百年前のスペイン風邪のときも、実はこれはインフレになっているんですね。その後、ハイパーインフレになっています。当時、これは第一次世界大戦と同時で起きた要因があるんですが、実は、スペイン風邪では二千万人ほど、最大五千万人亡くなったと言われていますが、大半が若者が亡くなっているんですね。ですから、それが労働制約、いわゆる労働参加率の低下要因になっておりまして、これは実は今回も似ています。欧米でも若者は働かなくなってきている。ですから、なかなか失業率が上がらないという状況ですね。
また一方で、中長期的なリスクということで、東西冷戦再燃とグローバル化の巻き戻し、地経学、ジオエコノミクス的な分断の深化が懸念されます。
私は、二十世紀から二十一世紀に替わって、世界経済はよくなったと思います。なぜかというと、ベルリンの壁崩壊、中国の改革・開放政策で、二〇〇〇年以降、安い労働力や商品の供給、生産が可能になり、市場も急拡大する、軍縮で軍やNASAなどの技術者や技術が民間に移転する、こういう軍縮の影響ですね、ICT化が進展しました。結果、低インフレ、低金利、高成長という新たなビジネスモデルが生まれたんですね。
では、今何が起きているかというと、そこら中で壁をつくっているわけでございます。今日も報道で、対ロシア向けの貿易をストップするような話もちょっと出ておりますが、やはり、中国の新体制も鑑みると、かつての大戦前、冷戦期のようなブロック経済化が部分的であれ進展する可能性がある。そうするとインフレが長期化する。また、気候変動問題は、この間、深刻化しております。グリーンフレーションの問題もある。一方で、我が国は、少子高齢化の進行、南海トラフ地震等巨大地震、火山噴火、スーパー台風等のリスクも、これは全く減っていない、むしろ増えてきていると考えられます。
そうしたことを考えると、やはり、今回の法案なんですが、私の所見を最後に申し上げますと、私は、防衛力の抜本的強化と申し上げても、これは、言うはやすく行うは難し、一朝一夕でできるものではございません。本日御説明しましたように、我が国を取り巻く環境は、国際情勢、経済金融市場などを含めて、今後急激な変化が予想されます。まずは、二〇二七年度に向けて大幅な強化策が必要と思われます。
一方、防衛装備品等も、新たな開発、調達は長期化が予想されます。例えば、我が国が英国やイタリアと進める次期戦闘機の開発計画はGCAP、グローバル戦闘航空プログラムですね。フランスやドイツ、スペインの計画はFCAS、ここのFはフューチャーですが、フューチャー・コンバット・エア・システム、将来戦闘航空システム。米空軍と米海軍が各々進めている計画はNGAD、これはネクスト・ジェネレーション・エア・ドミナンス、次世代制空優勢とよく訳されていますが、いわゆる第六世代戦闘機の開発計画にはファイター、戦闘機という文字が入っておりません。背景には、無人機やAIの活用等、次元が異なる装備となることが想定されているということであります。
こういった装備品はほかにも多数ございまして、やはり環境面、装備面を取っても、当面の対応には、加えて、やはり従来以上の長期の戦力計画、そして予算が必要になることは確実であり、今回の財源確保法案の立法化が必要と考えております。
以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)