金子勝の発言 (財務金融委員会)

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○金子参考人 金子でございます。
 レジュメが三枚ほどありますので、それを見てお話をしたいと思います。
 私は、一人の財政学者として、この法案をそのまま通すことは非常に歴史に禍根を残すのではないかという意見を持っております。国会議員の方に是非意見を聞いていただくと同時に、実行していただきたいことを述べたいと思っております。
 まず第一に、この防衛費の増大がウクライナ侵略や台湾有事が本当の理由なのかということに疑問を持っております。図一を見ていただければ明らかなように、安倍政権が誕生して、後年度負担が三兆円前後だったものが、今や五兆円を超え、六兆円近くになろうとしております。そもそもその時点で、GDP一%を守ることが不可能になるようななし崩しの防衛費増大政策が行われてきた結果なのではないかということを私は危惧しております。
 同じように、なし崩し的な増大が財源においても行われようとしていることにも危惧を抱いております。
 財源は、皆さんが御存じのとおり、中期防衛整備計画五年分の対象経費二十六兆円弱に対して、四十三兆円に満たない約十七兆円をどう捻出するかということになっております。防衛力強化資金、決算剰余金、歳出改革、建設国債、残る四兆円が増税になります。
 四分の三が税外収入とされていますが、実は、ほぼ公債、国債、財投債、為券と言われる政府短期証券が主であります。一旦予備費や基金を経由しておりますので見えにくい。ほとんど防衛費と異なる財源であり、単年度予算主義からは外れており、かつ、多年にわたって支出されるにもかかわらず、国会のチェックが非常に甘い。言葉は悪いですが、透明性が乏しいので、ある種のマネーロンダリングに近いのではないかというふうに私は考えています。
 二〇二〇年のコロナウイルスの大流行以降、予備費又は基金の形を通して使途不明の予算を大きく膨らませて、かつ、それを大量に余らせているという予算の運営が行われております。予備費は、当然のことながら、本来、災害など例外的な場合に限り国会審議を経ずに支出できるということで、東日本大震災でさえ二兆円規模だったのが、二〇二〇年から二二年まで、二枚目の表一で明らかなように、これは一部繰越しがあるのでダブりがありますが、単純合計で三十兆円を超えるような予備費が計上されていて、そこから決算剰余金が出てくるのは当然であります。
 そのような予算運営がいいのかということに関しては、昨年十一月、二〇二一年度の会計検査院の決算報告によれば、コロナ事業に対して、十八事業のうち法律違反に当たる不当事項が十事業あり、未執行が実は約十八兆円あり、繰越金額が十三・三兆円あり、そして国庫に残った不用額が四・六兆円もあったということが報告されております。
 新聞、ジャーナリズムでも、昨年十二月一日、実は、十一の特別会計で、二〇一四年から二一年にわたって約六兆円の、毎年八千億円の余剰金があり、四月二十二日付の日本経済新聞によれば、コロナ予備費十二兆円のうち九兆円が具体的にどう使われたか特定することができないというくらい、国会のチェックが甘くなっております。
 さらに、今年の三月十日付東京新聞によれば、二一年度の十二省庁での百七十六の基金があるうち、休眠基金は実は二十七もあり、残高が十二兆九千億円もあるということを指摘されております。
 これらの財政運営をそのまま放置して、これを防衛費に流用するということであれば、これは、この法案をこのまま通せば歴史に本当に禍根を残すことになるのではないかということを強調したいと思います。
 昭和十一年に二・二六事件があって、そして昭和十二年、日中戦争のために臨時軍事費特別会計が国債で運用されて以降、一度の決算もないまま戦争が終結されて、その後、終戦とともにハイパーインフレーションになったという歴史を我々は知っております。
 今の日本の状況はどんどん似てきているのではないでしょうか。戦時中に匹敵する一千兆円もの国債を発行し、そのうち五百八十兆円も日銀が長期国債だけでも抱えており、中央銀行が金融政策の柔軟性を完全に失っている。こうした防衛費倍増の方針を続ければ、少子化対策や社会保障の歳出を出すこともできなくなってくる。
 更に言えば、このような後年度負担を積み上げてなし崩しに防衛費を拡大する運営を行った上で、多年度にわたる支出で、国会のチェックも利かないような予備費や基金、特会や財投、こういうものを運用目的を無視して意図的に余らせてなし崩し的に財源をつくり出すということを、止めなければいけない。
 次の四つを是非実行していただきたいというふうにお願いをして、最後の話にしたいと思います。
 一つは、五年後、後年度負担が幾らになるのか、そのための財源はどのように設定しているのか、このきちんとした見通しを明らかにするべきではありませんか。なし崩しの防衛費増大が今日の事態を招いたとするならば、四年の任期しかない国会議員が、歯止めをかけるためのきちんとした国会のチェックの機能を果たさなければいけないというふうに私は考えています。
 第二に、巨額の予備費の、あるいは基金の形を取ったものが、その使途が一体どうなっているかを明らかにするべきではないか。予備費の使途を明らかにできないならば、予備費は直ちに削減するべきではないか。二兆円に対して三十兆円は、余りにも野方図な財政運営であると言わざるを得ません。少なくとも、新型コロナウイルスが五類へ移行するというふうに政策をしている一方で、二三年の五兆円の予備費がいかなる根拠で計上されているのか。この点も矛盾すると思われるので、直ちに精査するべきであるというふうに私は考えています。
 第三に、膨大な貿易赤字は、二二年度、二十一・七兆円まで積み上げていて、産業衰退が非常に憂えられている。その中で、やがて経常収支の赤字になりかねないような状況で、マイナス金利の政策で短期国債の財政負担が軽いからといって、外為特会を隠れ財源として流用していいのかということは、議論が残る点だと私は思っています。少なくとも、将来の日本経済の状況に対するリスクに対する甘さというのを私は危惧しております。
 四番目に、歳出改革の具体策が明らかになっておりません。もしそれが基金などの余った余剰資金の圧縮であれば、それは決算剰余金と出どころは同じになりますし、あるいは、外為特会以外の特別会計の余剰金を使ってやるならば、これまた、国債発行を意図的にマネーロンダリングして出していくような、つまり、見えにくい形の資金を防衛費に充当させるというやり方であります。
 少なくとも、こういう野方図な財政運営は、憲法八十三条の財政民主主義に最も反する事態であります。それを抑えながら、真に国民に役に立つような予算運営というのに心がけていただきたいというのが、私が持っている願望であります。是非私の願いをお聞き届けいただくようにお願いして、発言を終わりたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 121104376X01520230421_008

発言者: 金子勝

speaker_id: 29845

日付: 2023-04-21

院: 衆議院

会議名: 財務金融委員会