大曲貴夫の発言 (内閣委員会)
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○大曲参考人 国立国際医療研究センターの大曲貴夫と申します。
本日は、このような場を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
私は、現場で実際に患者さんを拝見する医師という立場におりますが、その立場から見えるところということで、今回の法案に関して意見を申し述べたいと思います。よろしくお願いいたします。
私ですけれども、二〇二〇年の一月、それ以降、病院の現場でCOVID―19の対応に当たってまいりました。その中で思い返しますと、二〇二〇年の一月の終わりには、武漢からの帰国邦人の受入れということを行いました。端的には、帰国された方々全員の検査を行って、必要な方には隔離等々を行うといったことを行ったわけであります。その次に起こったのは、二月のいわゆるダイヤモンド・プリンセス号の対応でありました。これは本当に大変なミッションだったと思っております。
その後、日本ではこれまでのところ第八波までの流行を経験してきておりますし、私たちも対応してまいりました。そこで強く感じましたのは、この感染症の対応、これは本当に災害と同じく有事対応そのものであるというものであります。
当初は、一か所に大量の資源、人、物、それを投与すべき状況でありました。それは武漢のミッションもそうですし、まさにダイヤモンド・プリンセスの対応がそうだったわけなんですが、その後、感染が本当に日本中に広がっていきました。そして、日本中の方々が医療の現場でも、それ以外の場でも大変な思いをされました。
それだけではなくて、非常に厳しいのは、対応が長期化しているというところでもあります。コロナ対応も、もう四年目に入っております。これを見ますと、災害、特に自然災害などとの対応とはやはり様子が違うと言わざるを得ないと思います。何よりも違いますのは、相手が新しい感染症であるというところです。
私たちも、日本の最初の事例からほぼ見ておりますが、本当に、最初は全く何が起こっているか分からない、どういう病気なのか分からない、どういう広がり方をするのか分からない、重症になった場合にどうなるのか分からない、そもそも重症化するのかどうかも分からないという状況で対応したわけでありますが、時間とともに状態は明らかとなっていきます。
ただ、問題は、病気そのものが時間とともにどんどん変わっていくというところがあります。それを受け止める医療の現場なり、あるいは社会の現場なりというところもどんどん変わっていきます。こうやって変わっていく中で、新しいものを対応しながら、これは遅滞なく対応する必要があります。
じゃ、どうすればいいのかというところでありますが、これに対応するには、本当に、絶え間なく迅速に感染症に関する知見を広く得て、そして、その知見を基にして対処法を考えて対応していく、国として対応していく必要があります。
これらの経験を踏まえて、私自身は、感染症も災害等と全く同じく、国の危機管理の対象として明確に位置づけることが必要と考えています。
じゃ、そこをきちんと行うにはどうすればいいかといいますと、これはやはり危機管理ですので、明確な指揮命令系統が確実に必要であります。更に必要なことは、そこに対応するために必要な専門的な知見を的確に迅速に打ち込んでいく、そのような必要があることを痛感しております。
よって、私は、今回の法改正が極めて重要であると考えております。
今申し述べましたように、感染症というものは時間とともに、病気そのものもそうですし、取り巻く状況というものも著しく変化していきます。その感染症が新興感染症であれば、そもそも全く知見がないところから、それこそ迅速に、いわゆる感染症の状況を示す疫学情報、患者さんの情報を示す臨床情報、そして患者さんの中にいる病原体の情報を得るための検体、これらを得て、それらを解析をして、知見を得て、その知見を基に対策を検討していく必要があります。
最も大事なのは、これを迅速に行うということであります。そこを迅速に回転させていくことによって、結果的に、ワクチンあるいは治療薬、診断薬といったものが出てきます。このような流れがうまく機能することによって、最終的に、必要とされる患者さんのいらっしゃる医療の現場にこうしたものが迅速に送り出されていきます。
今回、国立健康危機管理研究機構を設置するための法案が提出されております。私は、その母体となる国立国際医療研究センターの一職員であります。この新組織に与えられた責務に応えるべく、現場でしっかりと準備を進めてまいる所存であります。
何よりも大事な、専門家の組織と、そして行政組織の間の迅速かつ緊密、密接な連絡、そして検討、これが行われることによって必要な対応が迅速に行われるようになる、そのように考えております。
最後に申し上げたいのは、仕組み、行政的な仕組みをつくる、専門家組織をつくるということの重要性は、これはもう言うまでもないわけですが、これらを支えるための人材がこの国には多数必要である、今は足りていないということを申し上げておきたいと思います。特に、感染症の危機管理に対応できる感染症の人材は全国的に不足しています。実はこれは、二〇〇九年、新型インフルエンザがありましたけれども、その頃からもう反省として出ていることなのですが、現状、二〇二三年の今でもなかなか足りていないという状況があります。
これは、例えば中央ですとか都道府県といった行政の場でも不足があります。例えば、新型コロナの感染症で各地の保健所が人材不足で大変苦慮されましたし、都道府県レベルでも、専門知識を持つリーダー人材の不足というもので大変苦慮されたということを伺っております。
また、臨床の場を見ていきますと、感染症の専門家の不足、これは以前から大きな問題でありましたし、これは、実際に対応する中で、十分なキャパシティーが確保できないということで、顕在化したと思っております。
今回の法改正で指揮命令系統は明確化されます。ただ、この命令系統と、そして組織、これらがうまく機能するように、その中で働く専門人材の育成、これは中央の機能、中央の組織だけではなく都道府県、そして現場の保健所、病院も含めてなのですが、そうした専門人材の育成と、そして、そうやって育った人材を中央そして地域で確実に受け入れていただくための枠組み、ポジションがやはりなかなかないという問題がありまして、この受け入れていただくための枠組みづくりを、是非、先生方にはお願いをしたいと思っております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)