滝澤三郎の発言 (法務委員会)
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○滝澤参考人 お答えいたします。
UNHCR事務所と受入れ国の政府との関係というのは、基本的には緊張関係にあるんですね。UNHCRはやはり難民の人権を守る、それに対して政府の方は治安等も考えるということで、基本的には緊張関係にある。
したがって、駐日代表又はUNHCRのカントリーダイレクターは、非常に難しい、政治的な判断といいますか、難しい交渉なんかが必要なんですね。それがうまくいっている国は難民政策もうまくいく。うまくいかない、つまりUNHCRの事務所と受入れ国政府がこうやっているところでは、UNHCRが何を言っても聞いてもらえない。したがって、UNHCRの効果が薄いということですね。
私は、二〇〇七年の一月にこちらに来たんですけれども、これは実は志願して来たんですけれども、そのときは非常に関係が悪かったんですよ。駐日事務所と入管庁がプレスリリースでお互いに批判し合うと。つまり、クルド人の強制送還、アフガンでしたっけ、その時期があって、コミュニケーションがゼロだったんですね。お互いの不信感が物すごく強いということで、そういう中に来ました。
やはり、一番の大切なことは、お互いの言い分を言いっ放しにしないということです。それをすると、要するに言いっ放しですから何にも変わらない。結果的には政府のものが通っちゃうんですね。ですので、UNHCRとしては、やはり政府がどういう問題を抱えているかについての理解が必要だと思うんですよ。それをしないままに、いや、難民申請者がこう言っているんだから、我々は正義の代弁をしているんだから、あなた方だって聞くべきでしょう、聞かないのはあんたが悪い、そういう姿勢を取っている限りは、これは別に日本だけではなくて、どこの国に行ってもうまくいきません。
ですので、まずUNHCRとしては、各国の違ったいろいろな問題がありますので、それを理解して、そういう中で、私たちは、世界各国の難民状況の中で、こういう方法がありますという具体的な提案をするということですね。批判よりもまず提案する。
実際に、一つの提案をしても、それが実行されるまでにはいろいろな問題がありますし、さらには、その提案自身が新しい問題を作るということもあるわけです。その典型としては、これはUNHCRが主導したかは分かりませんけれども、送還停止効もその一つですね。送還停止効が導入されたときに、まさかそれが濫用される、誤用されるとは誰も考えなかったと思う。善意だったんですよ。でも、結果的には濫用された。
同じく、難民申請をして、半年後には自動的に難民が働くことができる、申請者が働くことができるという、これを導入したときも善意でやったんですよ。困っているんですよ、働けないのにどうやって生きていくの。善意なんですけれども、それが濫用された。
ですので、ある政策を導入するときには、それがどういう結果になり得るかというのをよく考えないといけないんですね。ですから、UNHCRとしてもそれを考える必要があります。ただ、いや、これが難民条約だからやりなさい、やらないのはおかしいというアプローチは駄目です。
他方で、政府の方は、これは、UNHCRが国際機関であって、加盟国全部の総意を表しているということですね。特に、国際人権の原則を広げようという、そういう機関であるということを鑑み、ちゃんと傾聴する、聞く必要があると思います。ともかく、いや、UNHCRが何言ったって我々は聞かないよじゃ駄目ですね。やはりUNHCRの言うこともきちんと聞いて、その中で情報を得て折り合いをつけていくということだと思います。
今、日本では、入管庁と、それからUNHCR、プラス支援団体の間に信頼感がありません。コミュニケーションが成り立っていないというふうに私は考えています。ですので、これが一番問題です。お互い、何を言っても相手が聞いてくれないという不信感の中で、断絶があって、これを超えないことにはどんな法案を作ってもうまくいかないと思いますね。
最後ですけれども、私が駐日代表だった頃は、ともかく、コップに水が半分あるのか、コップが半分空なのかということについて、我々としては、UNHCRとしては、コップに半分ある、これはいっぱいにできますよ、そういう評価ができますよという姿勢を取りました。それが入管庁、当時の入国管理局のトップに評価されて、第三国定住は思いがけなく非常に順調にいきました。この第三国定住は今少しずつ大きくなっていますけれども、その例を見ましても、お互いに相手の問題を理解して歩み寄るという姿勢が大切だろうと思っております。