徳永久志の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○徳永久志君 立憲民主党の徳永久志です。
 会派を代表して、先ほど報告がありました岸田総理のウクライナ訪問について質問いたします。(拍手)
 まずは、総理、インドから強行軍の中でのウクライナ訪問、お疲れさまと申し上げるとともに、御無事で何よりと申し上げたいと存じます。
 国会開会中の総理の海外訪問は衆参両院の議院運営委員会理事会で了承を得ることが慣例ですが、今回は、戦争が行われている国への訪問だから、情報を一定秘匿して対応せざるを得ないと我が党泉健太代表が発言されたとおり、事前の承認を省略するのは、例外的措置として、やむを得ないものと存じます。
 そして、時あたかも、中国の習近平国家主席がロシアを訪問していた日と重なり、アジアの二人の首脳が、侵略する国と侵略される国を結果的に同時に訪問したこととなり、その対比の中で、法の支配に基づく国際秩序を守り抜き、ウクライナへの支援をリードしていく姿勢を国際社会に発信できたことは、率直に評価させていただきたいと存じます。
 これで総理の念願がかなったわけですが、ただ訪問しただけではいけません。キーウの惨状を目の当たりにして得たもの、首脳会談の成果を、今後の対応、そしてG7広島サミットへとつなげていかなくてはなりません。その観点に立ち、以下、質問します。
 今回の訪問に際しては、事前の情報漏れを防ぐため、首相官邸と外務省のごく少数しか知らされず、政府は情報管理を徹底したと胸を張りますが、本当に大丈夫だったのでしょうか。
 例えば、複数のメディアが経由地のポーランドで岸田総理を乗せた車列を撮影しており、列車に乗り込む姿も報じられました。到着まで完全に秘匿されたバイデン米国大統領との差は否めません。当然ながら、列車に乗り込む場所や時間が分かれば、キーウへの通過地点や到着時間などが簡単に判明します。政権批判をするメディアへの規制は熱心なようですが、御自身の安全確保のために、報道の自粛要請はできなかったのでしょうか。
 さらに、飛行中の民間航空機の現在位置をリアルタイムで表示するウェブサイト、フライトレーダーには、総理が利用したと思われるチャーター機の記録が残っており、十九日に東京からインドへ、二十日にはインドからポーランドへ向かったことがはっきりと分かっています。組織的に航空機を追跡する能力のある集団なら、チャーター機の動きをリアルタイムで追跡することは十分に可能だったでしょう。事実上、丸裸と言われても仕方がありません。
 事は、日本国内閣総理大臣の安全に関わる問題です。国が威信を懸けて対応しなければなりません。また、万一、有事があった際には、ウクライナにも被害をもたらし、ゼレンスキー大統領の安全にも関わってきます。
 指摘した点も踏まえ、今回の訪問の安全確保、情報管理についての検証を早急に行うべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。
 ロシアのウクライナ侵略は、昨年二月に突如行われたわけではありません。二〇一四年、ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合したことから始まっています。
 クリミア併合時の安倍総理は、ロシアに対する制裁措置を、実効性のない、いわば形式的なものにとどめました。そして、クリミア併合から二年後の二〇一六年、安倍首相は、懸念を表明していたオバマ米国大統領の意向を無視してロシアを訪問し、プーチン大統領に八項目の日ロ協力プランを提示しました。二〇一六年から二〇一九年までの間に十五回の日ロ首脳会談が行われ、安倍首相のロシア訪問は八回に及んでいます。二〇一六年、安倍総理の地元山口県長門市の高級老舗旅館に招待しての首脳会談、二〇一九年の、ウラジミール、君と僕とは同じ未来を見ていると述べたウラジオストクでのスピーチは記憶に新しいところであります。
 この間、多数の政府間、民間の経済合意が結ばれ、二百件を超える民間プロジェクトが創出をされ、その約六割で具体的な投資に結びついたとされています。クリミア併合以降、欧米から厳しい経済制裁を受けていたロシアにとって、さぞかしありがたい支援であったことでしょう。そして、領土問題も二島返還に条件を引き下げたものの、交渉は一ミリも進みませんでした。
 こうした一連の対応は、クリミア併合の罪をあやふやにし、結果としてロシアを増長させ、ウクライナ侵略の遠因の一つとなり、外交の失敗と言わざるを得ません。二〇一四年以降の取組を厳しく総括し、安倍日ロ外交から岸田日ロ外交へと敢然とかじを切ると宣言するべきです。この間に外務大臣であった岸田総理の見解を伺います。
 また、今もなお、八項目の日ロ協力プランを遂行するためのロシア経済分野協力担当大臣が存在し、西村経済産業大臣が兼務しています。経済制裁を担当する大臣が経済協力のポストを兼ねるなど、何度理由を聞いても理解できません。
 ゼレンスキー大統領との会談では、日本は、一貫してロシアを強く非難し、厳しい制裁を行うとともに、ウクライナに寄り添った支援を行うと述べられました。この言葉を具体的に行動に移し、G7議長国として、広島サミットの主催者として、その重い責任を果たすためにも、二〇一四年のクリミア併合時の日本の対応及びそれ以降の対ロシア外交の総括を厳しく行うことに加えて、ロシア経済分野協力担当大臣のポストを廃止することが不可欠だと考えますが、総理のお考えを伺います。
 総理は、ゼレンスキー大統領との会談において、昨年来進めてきた総額約十六億ドルの人道、財政支援に加え、約五十五億ドルの追加財政支援を実施すると述べられました。また、NATOの信託基金を通じた殺傷性のない装備品支援に三千万ドルを拠出することを決定しました。現実を直視した妥当な判断です。
 ただ、日本は、防衛装備移転三原則があり、装備品移転については厳格な手続を設けています。NATOの信託基金を通じた装備品の購入について、政府として、殺傷性のない装備品に充てられているか否かを確認する必要があろうかと存じますが、いかがでしょうか。確認する方策は具体的に考えておられるのかを併せて総理に伺います。
 ゼレンスキー大統領との首脳会談において、同大統領から、G7広島サミットでは、ロシアによる核兵器使用の威嚇への対応や、原子力発電所の占拠についてもしっかり取り上げてほしい旨の発言がありました。まさに悲痛な叫びであり、日本として真摯に向き合うことが求められます。
 ここでは、原子力発電所について取り上げます。
 ロシアは、昨年のウクライナ侵略開始直後、北部にあるチョルノービリ、南東部にある欧州最大の発電能力を有するザポリージャの原子力発電所を攻撃し、占拠しました。
 特に、ザポリージャ原発は、占領を続けて軍事拠点化し、ウクライナの反撃に対して核の盾としました。同原発周辺にはその後も攻撃が繰り返され、送電線や変電所の損傷により外部電源が喪失し、非常用ディーゼル発電機による原子炉の冷却を余儀なくされる危機的状況が相次ぎました。まさに東京電力福島第一原発事故を思い起こさせる状況です。
 ジュネーブ諸条約第一追加議定書第五十六条は、原発への攻撃を原則禁止すると定めていますが、ほかの原子力施設は対象となっていません。また、同五十六条第二項では、当該施設が軍事施設の主要電源になっているなど、軍事的重要性が高ければ攻撃が許されるという解釈の余地があるとの指摘があります。
 今回のザポリージャ原発への攻撃、占拠によって、大規模な放射性物質の放出を伴う核リスクが顕在化する中、ジュネーブ諸条約第一追加議定書が定める原発への攻撃や占拠の禁止について、条約の改定や解釈の統一などに早急に取り組み、違反した国は確実に戦争犯罪に問える仕組みづくりを急ぐ必要があります。東京電力福島第一原発事故を経験し、原子力施設の損壊がもたらす影響をどこよりも熟知している日本こそが、こうした取組をリードしていくべきです。そのスタート地点は、被爆地広島で開催されるG7サミットであるべきであり、主要議題であるべきです。総理の見解を伺います。
 また、G7広島サミットでは、ウクライナ戦争の早期停戦、和平に向けた取組も議題に上がるはずです。
 前段に言及しましたが、総理がウクライナ訪問中に、中国の習近平国家主席がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談、中ロ関係を深めることを確認しています。中国は、ウクライナ危機の政治的解決に係る中国の立場と題する和平案のようなものを発表しました。中身的には、一見してもっともらしいことを羅列していますが、ロシアの主張がかなり肯定されており、和平交渉の土台になり得るのか、甚だ疑問であります。
 曲がりなりにも中国が動き始めた中、総理は、ゼレンスキー大統領と和平交渉についての意見交換はされたのでしょうか。また、日本が停戦交渉、和平交渉に果たすべき役割はどういうものがあると考えておられるのか、伺います。
 この戦争が始まって一年以上が経過しました。国際社会としてロシアへの経済制裁を進めておりますが、ここに来て、制裁疲れという面がかいま見えてきました。また、戦争の影響によるエネルギー価格や食料価格の上昇により、途上国を中心に、早急に停戦を望む声が出てきました。ウクライナは自国の主張ばかりせずに、妥協して即時停戦すべきという意見、ロシアが昨年二月に侵略をしかける以前の状況に戻れば停戦すべきという意見が出る一方、ゼレンスキー大統領は、二〇一四年に併合されたクリミアを含めたロシア軍の完全撤退を求めています。
 こうした二つの意見について総理のお考えがずっと気になっていたところ、今回のウクライナ訪問で、日本とウクライナとの間の特別なグローバル・パートナーシップに関する共同声明が発表されました。この中にこう書かれています。両首脳は、国際的に認められた国境内におけるウクライナの主権及び領土の一体性を完全に回復することが、世界の平和、安定及び安全にとって不可欠であるとの見解で一致した。
 ウクライナの主権及び領土の一体性を完全に回復することとあるわけですから、これは、ゼレンスキー大統領の主張、すなわち、二〇一四年に併合されたクリミアを含めたロシア軍の完全撤退が実現するまで戦うという主張を日本が支持したことを表明したと受け止めましたが、それでよいのか、総理にお伺いいたします。
 以上、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

発言情報

speech_id: 121105254X01220230324_029

発言者: 徳永久志

speaker_id: 5081

日付: 2023-03-24

院: 衆議院

会議名: 本会議