尾上定正の発言 (外交防衛委員会)
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○参考人(尾上定正君) 伊波先生、ありがとうございます。
ミサイル、あいくちを突き付けている中国に対してというふうにおっしゃったんですけれども、中国は既に千五百発から二千発のミサイルを日本に対して突き付けてきたわけです。それに対して、じゃ、どうやって日本の国民を守るのかということが一番重要な政治としての責任ではないかなと、我々国民も考えなければいけないことかなというふうに思います。
昨年八月、ペロシ・アメリカの下院議長が台湾を訪問された後、中国は台湾を取り囲むように六か所の演習区域を設定をして、数え方にもよりますけれども、十発程度のミサイルを現実に打ち込んできたわけですよね。そのうちの何発かは与那国島の目と鼻の先に着弾をしていると、こういう事実がやっぱりあるわけなんです。この事実に対して、じゃ、どうやって沖縄の人を守るのか、日本の安全を、平和を担保していくのかということをやっぱり真剣に考えるのが必要なんだろうと思います。
したがって、今回のその安保三文書、昨年の十二月に閣議決定された、まあこれまでの安全保障政策、戦略の大きな転換と言われますけれども、これはそういった現実に対応するためには必要不可欠な決断だったんだろうと私は思いますし、自衛隊としてはそれを実効的に一刻も早く対応できるような形にしていく必要があると思います。
よく中国の軍拡に対して日本が張り合っても仕方ないんじゃないかとか、あるいは逆に、日本が反撃能力を持てば、それはもっともっと中国や北朝鮮の軍拡を招くんじゃないかという、その安全保障のジレンマを指摘される方もいらっしゃいますけれども、日本は、過去二十年、三十年にわたってずっと平和主義でやってきて、しかも防衛費もほとんど横ばいの状態だったわけですけれども、それが中国の場合は、過去三十年で三十倍、四十倍の防衛費に増やしてこれだけの装備を整えてきているということなので、安全保障のジレンマというのが本当に中国に対して有効なのかどうかというのはよく分からないところがあります。
それからもう一つ、抑止のパラドックスというのがありまして、抑止は破綻をして初めて抑止が効いていなかったということが分かるんですね。抑止が効いているかどうかは、相手がどのように考えているかどうかということを考えながら、一番うまく機能させるにはどうすればいいかということを考えていかなければいけない。
したがって、非常にパラドックスではあるんですけれども、抑止が破綻した場合でも、相手が達成しようとするその目的を拒否する、達成させない、大きなコストを強いるということによって、相手にその行動をちゅうちょさせるということが抑止の基本になります。したがって、抑止が破綻した場合も想定をしつつ、その対処を備えることが抑止を一番信頼性を持たせることにつながるというパラドックスがあるんですね。
したがって、日本が独自のミサイル能力を持つですとか、持続性、継続、継戦能力ですとか抗堪性を高めていくということ自体が、仮に抑止が破れた場合であっても、そんなに簡単に相手の目的を達成させることはありませんよという姿勢、決意、能力を示すことにつながるわけなんですね。
したがって、今回のその安全保障三文書の決定というのは、まさに、遅きに失したとは言いませんが、辛うじて間に合ったかなというふうな認識を私は持っております。
それから、冒頭、先生がおっしゃられましたウクライナの状況ですね。ウクライナは、残念ながら、ロシアに攻め込む能力を持っておりません。したがって、今のような惨状がウクライナの国内で広がっているわけです。私は、あのような状況を日本の国内で絶対に起こさせてはいけないと思っておりますので、この三文書を早く実効性のあるものにしたいと願っております。