大林ミカの発言 (経済産業委員会)

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○参考人(大林ミカ君) 御紹介ありがとうございました。自然エネルギー財団事業局長、大林でございます。本日はお時間いただき、大変ありがとうございます。
 私ども自然エネルギー財団は、脱炭素を実現し、さらに、自然エネルギーに根差した社会実現のための政策研究、政策提言を行っております。今般、日本政府から提案されておりますGX基本方針、GX推進法案についての私どもの考えを述べさせていただきたいというふうに思います。
 まずこちら、今日提出させていただいている資料一枚目でございますけれども、私ども、GX基本方針、推進法案に関しまして、まず、基本方針は再生可能エネルギーの主力電源化を掲げていますが、G7水準の導入を目指すものになっていないのではないかというふうに考えております。
 さらに、基本方針のカーボンプライシング構想は世界標準の制度と乖離し、企業の努力が正当に評価されるものなのかどうか。さらに、GX推進法案に関しては、構想の弱点を固定化してしまうのではないかというふうに考えております。
 三番目、GX基本方針、推進法案で世界からの投資を日本に呼び込むことが果たしてできるのかどうか。
 さらに、GX移行推進戦略は経済産業省のみの主導ということになっておりますが、一省庁のみで策定してよいのかどうかということに懸念を抱いております。
 一枚めくっていただきまして、世界の潮流と日本のGX戦略との相違点を簡単にまとめさせていただいております。
 まず、GXの中心となるものの一つがカーボンプライシングというふうに考えております。G7等他国での議論を見ますと、多くの国で既に規制として導入済みになっております。日本のGX、今回提案されているものは、自主的な排出量取引と、そこへのクレジットの無制限活用が許されているということ、そもそも本格的な開始時期が遅いということがございます。
 さらに、その中心となるべき、どういったエネルギー転換を行っていくのかということで申しますと、やはり多くの国が自然エネルギーの目標を大胆に上げて、八〇%以上の自然エネルギー電力比率を目標にしております。ところが、日本の場合は、二〇三〇年自然エネルギー比率は三六―三八%と、G7では大変低い水準になっております。
 また、先ほど来コメントされております移行債に関してですが、EUのタクソノミー、アメリカのインフレ抑制法でも投資対象や税額の控除対象は定量的にゼロ排出であったり、削減率の閾値が設定をされております。日本の場合はグレーのアンモニアも補助の対象となっておりますので、グレー水素、アンモニアについては世界全体では排出量は微減にとどまってしまうのではないかと、そういったような懸念がございます。
 一つめくっていただきまして、では、ほかの国と比べてどうなのかということで考えますと、つい先般取りまとめられましたG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の共同声明がございます。
 これ、非常に注目すべきは、排出削減、特に世界の温室効果ガスの排出量を一九年比で三〇年までに四三%、二〇三五年までに六〇%削減というふうにうたっております。こちら世界全体になりますので、特に先進国の責務といたしましては六〇%以上の削減ということになりますので、日本にとってはかなり厳しい声明になったのではないかというふうに思っております。この後ろに書いておりますのは、どこの節に書かれているかという、四十四節ですね。
 炭素市場及び炭素の価格については、持続可能な経済成長を促進するための重要な措置であるとして、まさにカーボンプライシング、そういったものを極めて重要であるということを再確認しております。
 また、自然エネルギー目標でございますが、二〇三〇年までにG7で洋上風力の容量を合計で百五十ギガワット増加させると、さらに、太陽光発電の容量を合計で一テラワット以上に増加というふうに言っております。これはG7の目標値なんですけれども、世界の自然エネルギーの状況を見ますと、太陽光発電に関しては、昨年二〇二二年に既に一テラワットに達しておりまして、二〇一〇年から比べますと、もう二十五倍の増加率で太陽光発電が拡大をしているという状況です。この背景にありますのは、太陽光発電の価格が過去十年で九割下がっているということが大きなドライバーになっているというふうに思います。
 また、風力発電に関して申し上げますと、陸上風力が中心ですけれども、二〇一〇年に二百ギガワットだったものが、昨年末には約九百ギガワットになっております。このうち洋上風力はまだ五十五ギガワットといったような状況なんですけれども、今後どんどん増えていくということで、G7もこれから増えていく大規模な自然エネルギーの対象として洋上風力を百五十ギガワットということで考えているというふうに思います。
 また、重要なのが、電力セクターに関しては、二〇三五年までに電力部門の完全又は大宗の脱炭素化ということを述べております。
 めくっていただきまして、こちらG7各国で自然エネルギーに関する現状、目標でございますが、こちら、二一年末で比べまして、ほかの国々、自然エネルギーが非常に今拡大をしているところでございます。そして、それを三〇年、三五年に向けてほぼ自然エネルギーで電力部門を賄っていくという目標をG7の国、例えばカナダ、ドイツ、イギリス、アメリカ、イタリアなどは掲げております。原子力もこちらの方に入っている、脱炭素化の中に入っているんですけれども、フランス以外の国は原子力に関してはさほど大きな目標値を持っていないというふうに理解をしております。
 一枚めくっていただきまして、欧州各国の目標値の比較でございます。
 さらに、ではこれ、GXに当てはめまして、成長志向型カーボンプライシングがどういった形、世界標準に比べてどうなのかというところを見ていきたいというふうに思います。
 こちら経済産業省の資料でございますが、GXのカーボンプライシング、これは排出量取引の部分でございますけれども、まず自主参加、さらには削減目標の自主設定、そして自主の遵守ということになっております。こちら、長所、短所を述べられておりますけれども、これは経済産業省の資料の中でも短所として、GXに向けた取組に対する負担の偏りが生じ得る、公平性に疑義が生じ得るということで、企業間でなかなか公平性が保たれないのではないかといったような懸念が既に示されております。こういった自主的取組制度というのを今後十年も継続する計画になっておりますので、これをやはり規制に変えていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 次ですね、実は、日本政府、これまで長い間、このカーボンプライシング、排出量取引制度の検討というのを行ってきております。既に二十年以上この議論をやってきましたので、今回、伊藤先生、また小堀副会長おっしゃったように、法制度としてこういったカーボンプライシングが日本の中に入ってくるというのは、ようやくかということで非常に期待は抱いておりますものの、中身をやはり実効性あるものにしていく必要があるのではないかというふうに思います。
 衆議院の議論も聞いておりましたけれども、こうやってようやく入ってきたときに世界はもっと先に行っていたというのが現状ではないかというふうに思っておりますので、中身を拡大していく必要があるというふうに思っております。
 また、次、日本のGXの場合は、税金ではなくて賦課金、低い炭素価格の設定というのが基準になっております。
 国際エネルギー機関、IEAが、ネットゼロ・バイ・二〇五〇ということで、世界の脱炭素に向けた報告書を出しております。こちら、先進国で必要な二〇三〇年の炭素価格を大体百三十ドルとしております。一ドル百三十円の基準でいうと、大体トン当たり一万七千円ということですが、政府案から試算できる水準ではIEAの想定の十分の一程度にとどまるのではないかという、低い価格ということが言えるというふうに思います。やはり政府案というのは、既存の税制度の見直しをせずに、経産省主導の賦課金で対処しようとするものではないかという懸念がございます。これ、やはり世界での企業の競争力高めていくためには、世界レベルの炭素価格というものを日本も考えていく必要があるというふうに思っております。
 次、こちら御参考ですけれども、世界銀行が出している現在のカーボンプライシング制度による炭素価格。日本は地球温暖化対策税というものがございまして、これで見ますと大体約二ドルであるということで、右側見ていただきますと、世界はもうかなり炭素の取引が進んでいて、これやはり、先ほど伊藤先生おっしゃったように、社会全体で進むフレームワークづくりというのをこういったプライシングによって指し示しているということが言えるというふうに思います。
 さらに、次のページに行きまして、有償のオークションを導入するんだということを言っておりますけれども、これ、実は電力事業者だけを対象とする有償オークションになっておりまして、例えば、日本の中で排出が電力セクターに次いで大きな鉄鋼業であったり、そういった部分については今回はオークションの設定というのがされておりませんので、私は、やはり重工業を含めてやることが、先ほどの公平性の問題、また社会全体を脱炭素に向かわせるためにも必要ではないかというふうに思っております。
 そして、次でございます。こういった形で世界全体の方向性とずれている場合に、果たして投資を日本に呼び込めるのかという問題がございます。
 まず最初の、やはり呼び水となります約二十兆円規模の政府支援というのが非常に重要だというふうに思いますが、これ、世界全体ではやはり自然エネルギーの促進というのはかなり中心になっているわけですけれども、非化石エネルギーでは新技術の研究開発というのが中心になっておりますので、自然エネルギーでは浮体式洋上風力とペロブスカイトということで、やっぱり今現在進みつつある自然エネルギーについての投資を進めていく、もう研究開発は非常に重要なんですけれども、それが今すぐ求められていることではないかというふうに思います。
 次に、アメリカのインフレ抑制法を御参考までに御紹介したいというふうに思っています。
 これ、史上最大の気候変動政策というふうに言われておりまして、昨年八月に導入をされました。エネルギー安全保障と気候変動対策への投資、法人税の増税、医療費削減等によって財政赤字を三千億ドル以上圧縮していくと、インフレに対抗するとともに、二〇三〇年までに二〇〇五年比で約四〇%の温室効果ガスの削減を目指すとしております。
 この成立に当たってのバイデン大統領の声明でございますが、エネルギー安全保障を強化し、米国内で米国の労働者が太陽光パネル、風力タービン、電気自動車を生産する雇用をつくり出すということで、まさにアメリカ国内に向けての投資を呼び込むための政策となっておりまして、これまで脱炭素の政策としてはヨーロッパが非常に世界でも進んだ状況だったわけですけど、実はEUはこのIRAというのを非常に今恐れておりまして、多くのEUの国、あるいは日本の企業でもこれ対象となり得るものですので、たくさんの投資がアメリカに集中してしまうのではないかということを恐れております。
 こういった強力な政策を取ることによってエネルギー安全保障と脱炭素を実現していくという、まあすごい政策だなというふうに思いますが、日本もこういったところで協力ができないのか。例えば、IRAと同じような政策の、まあクライテリアですね、そういったものを日本の中で定めてGXの柱とすることができれば、アメリカとも協調しながらEUとも協調しながら国内への投資を拡大していくことができるのではないかというふうに思っております。
 また、次でございます。GX移行債の対象が水素、アンモニアということになっておりますので、なかなか投資がしにくいグリーンウオッシュとみなされるのではないかというふうに懸念を抱いております。
 次、十五ページでございますけれども、現在の企業の取組、私ども企業のアライアンス持っておりまして、気候変動イニシアチブという、七百八十の企業、団体が参加をしている気候変動、脱炭素に向けてのアライアンスなんですけれども、そこのいろいろな企業の懸念を申しますと、日本が現在、当面、グレー水素、アンモニアということであれば、脱炭素移行を行う企業にとってはなかなか使いたくない電源と、エネルギー源であるというふうな声を聞いております。カーボンプライシングについても、自主的で曖昧なので価格水準も低水準が予測されていてなかなか難しいのではないか、こういったところに投資をしていくのが難しいのではないかというような声が聞かれております。また、再エネ目標が低い、スピード、規模が遅いということで、今、再エネが欲しくても買えないといったようなことが言われております。
 次、日本の企業、多くの企業、今七十七の企業がRE一〇〇ということで、自然エネルギーの、もう自ら使う電気、全部自然エネルギーにしていくと、そういった宣言しておりますが、各国比較していきますと、なかなかそういった宣言をしている企業の中でも自然エネルギーの達成率が低い、なかなか買えないということが言われております。
 また、次、参考でございますが、私ども、G7に向けまして、洋上風力の企業を中心に意見広告を出させていただきました。これ、企業と一緒にお金を出し合って出したものですが、洋上風力発電の話をしてほしいということで、今回百五十ギガと定められましたことを大変喜んでおります。また、右側、これ、気候変動イニシアチブ七百八十のうち三百三団体が、再生可能エネルギーをもっと多く、カーボンプライシングもっと早く導入してほしい、こういったような意見書を出しております。
 次のページは、経済産業省だけでいいんですかといったような問題提起でございまして、G7が合意した二〇三五年までの電源の全て、大部分の脱炭素化を日本だけが実現できないのではないか。また、政府案では、公平性が疑われるという自主的制度を今後十年も継続していくと。三三年度からの有料オークションも電力部門だけで金額が低いと。まあなかなか、日本企業が国際的評価を、三三年、あと十年後受けられるのかどうか難しいのではないかというふうに考えております。また、技術の対象がグリーンウオッシュとみなされるのではないかという懸念を抱いております。
 次、日本も脱炭素へ向かうことは十分可能といった私どものレポートもございますので、是非御参考にしていただければと思います。
 御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 大林ミカ

speaker_id: 25831

日付: 2023-04-20

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会