西田実仁の発言 (憲法審査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○西田実仁君 災害等の緊急事態は政府に権限が集中することから、その活動を国会で適切に監視するため、むしろできる限り選挙を通じて議員の民主的正統性を確保する必要性が高いと考えます。
 なぜ憲法に議員の任期が定められているのか。それは、定期的な選挙によって国民代表性の付与を更新するためであります。にもかかわらず、選挙をせずに議員の任期延長をすることは、その間、解散は禁止され、総選挙が実施されないことから、国民から選挙の機会を奪うことになります。それゆえ、災害等でもできる限り総選挙を実施すべきであり、公職選挙法では繰延べ投票の規定が設けられています。
 しかし、繰延べ投票では公平公正な選挙の実施が困難ゆえ、緊急事態が収束するまでの間、議員の任期延長等を行い、全国一律に投票を行うべきではないかとの指摘があります。しかし、一、現行制度において認められている繰延べ投票制度そのものを否定するわけにはいかない、また、二、議員の任期延長がなされている間は総選挙が実施されないとすれば国民から選挙の機会を奪うことにならないか、三、そもそも全国一律に投票を行うべきとの憲法学説は見当たりません。
 衆議院解散後でも緊急事態においては前衆議院議員の身分復活を認めるという議論も衆議院で行われていますが、内閣不信任決議が可決されたこと等を受けて憲法第六十九条に定める衆議院の解散がなされた場合、内閣と衆議院が解消し難い対立関係にもあるにもかかわらず、元衆議院議員が身分復活することで果たして機能するのか。また、衆議院の解散は、内閣不信任決議の可決等におけるもののほか、内閣が国政に対する新たな民意を問うために行われるものであるところ、衆議院の解散により身分を失った元衆議院議員が復活して国政に関わる判断に関与することが適当と言えるのか、慎重な検討が必要であります。さらに、衆議院の解散は、衆議院議員としての身分を失わしめる重大な行為であることからこそ、天皇の国事行為として国民に広く知らしめる形で確定的に行われるものであるにもかかわらず、容易に身分復活を認めてよいのかどうかについても検討が必要です。
 一方で、災害等で一部の地域で投票ができない場合に公選法に定める繰延べ投票を行うことは、比例区の当選者が確定せず、また、被災地等から選出された議員が不在になるという点において問題ではないかとの指摘があります。
 しかしながら、一、全ての国会議員は全国民を代表する存在であり、また、参議院の選挙制度は選挙区選出と全国比例による選出から成り立っており、被災地等の事情を含めた判断をし得る立場にあると言える、二、我が国の国会では定足数制度が取られており、そもそも特定の選挙区選出議員等が一定期間不在であったとしても定足数を満たしていれば議会の構成そのものには瑕疵はないとするのが基本ではないか、三、現行の選挙制度の下でも議員に欠員が生じるたびに必ず補欠選挙を行うとはされていないことも踏まえる必要があります。
 ただし、これまでの議論にもあったように、現行憲法が二院制を前提として、参議院の緊急集会が後に衆議院の同意がないときには失効するという意味で一時的、限定的、かつ暫定的であることは否めません。
 そこで、いかなる緊急の事態でも参議院の緊急集会プラス繰延べ投票で対応し得るという考え方を基本としつつも、原則緊急集会で対応するとしても、衆議院議員選挙が相当数の選挙区において長期間実施できないという極めて例外的な場合に衆議院議員の任期延長又は前衆議院議員の身分復活を認めるという考えはどうか。ただし、その場合であっても、重要なことは民主的正統性をできる限り維持することである。
 解散後、若しくは任期満了後の前衆議院議員の身分復活には、内閣の求めに応じて参議院の緊急集会を開催し、そこでの議決を伴うべきではないか。選挙で選ばれた参議院議員による議決により、その議決は民主的正統性を有することになります。
 任期を延長した場合や前議員の身分復活をした場合におけるその権能の範囲は、十分な民主的正統性を認めることができない以上、暫定的、一時的なものとして位置付けるべきであり、憲法改正の発議や内閣不信任案の決議などは当然に不可能であります。
 また、議員の任期延長や身分復活の期間の上限についても、民主的正統性の観点から一時的な期間に限定すべきであります。
 以上です。

発言情報

speech_id: 121114183X00420230510_010

発言者: 西田実仁

speaker_id: 26049

日付: 2023-05-10

院: 参議院

会議名: 憲法審査会