松浦一夫の発言 (憲法審査会)

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○参考人(松浦一夫君) 残念ながら、私、原子力政策の専門家でもございませんけれども、全廃してという話はエネルギー政策全般にわたる問題でありますから、止めることを前提として議論するというのは難しいんですが、ただ、山本先生がおっしゃったように、様々な、特に軍事的な目標にされるようなところに攻撃があった場合にどのように対応すべきかということはもう予想できることでありますから、それに対応した避難計画なりなんなりを整備するというのは、これはもちろんのことだと思うんですね。それで不可能であれば立法を考えるし。しかしながら、その一方で、この原発の問題はおくとして、緊急事態に対応する場合に人権の制限というものが常に伴ってくるわけですね。
 災害対策基本法なんかでその緊急政令で委任されているものというのはほとんどが経済的自由権の制限に関わる問題がほとんどでありまして、それ以外の人権については非常に微妙な問題がありますので、なかなか触れられないというところがある。非常にその委任の範囲が狭いということがあるわけですね。
 ほかにないかといってその検討を進めましても、なかなかこれ立法府が人権の制限を大幅に認めるような委任立法を行うというのは、国民の理解も得られにくいし、なかなか進まないというところがあります。
 予想できるそういった危機に対応するための委任立法がもう完璧にできているというのだったらいいんですが、しかし、現状、様々な危機の状態があり、それに対応するだけのものを立法府が全部抱え込んで事前にそれを想定するということはほとんど不可能。なので、緊急事態においてそのときに必要な措置を一時的に緊急政令、これは法律の委任によらない、法律と同一の効力を持つ委任命令というものを一時的に認めて、それを国会が完全な形でチェックするというやり方が最も効率的だと私は思っております。
 ちなみに、私はドイツの専門家なんですが、ドイツの場合には、この委任命令のやり方を戦後やめました。やめまして、できる限り憲法の中に緊急事態の類型を全部組み込んで、あらかじめその委任政令といいますか、法規命令とドイツでは言うんですが、それに委任できることを全部法律でだあっと挙げたんですね。冷戦時代にそういうことをやったんですが、ただ、今日、サイバー戦であるとか宇宙戦であるとか、そうした新しい戦場が増えてまいりますと、もうそれでカバーできない部分も出てきている。そこをどうするかということで、今まさにその憲法の類推解釈とかいうようなことでカバーしようとしているんですね。
 やはりその想定できることというのは、もうそのときそのとき頑張るんですが、だけど、新しい時代になってくると想定できないことが次々に出てくると。それをどうカバーしていくかということは、暫定的には政府に一時的に任せて、それを国会が有効にチェックするというやり方しかないのではないかと思います。

発言情報

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発言者: 松浦一夫

speaker_id: 12646

日付: 2023-05-31

院: 参議院

会議名: 憲法審査会