榛葉賀津也の発言 (本会議)
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○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました帰朝報告に対し、岸田総理に質問します。
今回の、グローバルサウスに照準を合わせ、その代表格でG20の議長国であるインドへの訪問、G7議長国としてのウクライナへの訪問は、日本を取り巻く安全保障環境の点からも重要な会談となり、国民民主党はその外交政策を、外交成果を率直に評価します。
総理のウクライナ訪問に関して、我が党は従前より、国会ルールを柔軟に見直し、訪問を実現すべきだと提言をしてまいりました。今後も、立法府として、国会審議の充実と我が国の実りある外交交渉との両立を目指すべく、議院運営委員会や国会対策委員会などで与野党の垣根を越えた国益の全体最適を模索すべきと考えます。
まず、インド訪問についてお伺いします。
ロシアによるウクライナ侵攻のあおりを受け、物価高やエネルギーの高騰により食料やエネルギー資源の確保に苦労し、貧困にあえいでいる途上国の脆弱性が浮き彫りになっています。中国は、この機に乗じて広域経済構想一帯一路などを掲げてそれらの国々を取り込もうとしておりますが、スリランカや一部のアフリカ諸国に巨額の債務を残すいわゆる債務のわなが火種となり、中国への逆風も吹き始めています。
G7議長国の日本とG20議長国のインドが経済と安全保障の両面で途上国にアプローチをすることは極めて重要です。欧米や中ロのどちらにも付かないグローバルサウスや、今や世界の百三十か国以上の国々が名を連ねるいわゆるG77に寄り添い、今後、G7側に引き込むことが外交上の鍵となると考えますが、岸田内閣の具体的な外交戦略についてお伺いします。
総理は、FOIPの実現に向けた新たな推進計画で、インド太平洋地域のインフラ整備のために、二〇三〇年までに官民で七百五十億ドル以上を投じると表明し、地理的概念もASEAN、中東、アフリカにまで拡大しました。総理、数字や地域の拡大ありきではなく、その具体的な内容を御説明ください。
また、ODAを拡充し、日本の強みを生かしたオファー型の協力も提起をし、さらに、日本の外交史上初めてとなる同志国への軍への無償協力、無償資金協力にも言及しました。統合抑止力を重視するアメリカ・バイデン大統領に歩調を合わせたものと推察しますが、中国に近いASEAN諸国の中からはこのような日本の提案に対し懸念の声も聞こえます。
同志国の軍への無償資金協力とはいかなるものなのか、具体的にどのような国をイメージされているのか、また懸念を持つ国々への不安をどのように払拭するのか、併せて総理にお伺いします。
次に、ウクライナへの総理訪問についてお伺いします。
まず、総理の移動や現地での警護について、浜田防衛大臣は記者会見で、自衛隊は関与していないと説明されました。他のG7首脳たちのウクライナ訪問時の警護にそれぞれ自国の軍隊は関与されたのでしょうか。また、今回自衛隊が関与しなかった理由は、自衛隊法に要人保護のみを目的に自衛隊を海外に派遣する規定がないからですか。あるいは、戦時下の国に公然と他国軍の要員が入ることにより様々な危険が伴うことを避けるためですか。総理にお伺いします。
在外邦人等の保護措置を定める自衛隊法第八十四条の三では、緊急事態に際し、現地の治安が一定程度維持され、現地機関の協力が得られる場合には、邦人の警護、救出その他の措置をとり得ることを規定しております。今回のケースのように要人自らが現地に赴く場合においても、同法を適用することは法文上不可能ではないように思いますが、総理の認識をお伺いします。
警務隊や陸上自衛隊の特殊部隊は、要人を警護する能力も実績も十分に兼ね備えています。現行法での対応が厳しければ、真正面から自衛隊法を改正して、あらゆる場合に自衛隊を活用し得るようにしておくことも慎重かつ徹底的に検討すべきだと考えますが、総理の認識をお伺いします。
今回の総理のウクライナ訪問は、中国の習近平国家主席がロシアを訪れてプーチン大統領と会談をする仲介外交と同時期という絶妙なタイミングとなり、我が党の玉木雄一郎代表が指摘をするように、日本と中国のどちらがアジアのリーダーとして民主主義、法の支配の守護神であるかを世界にアピールする絶好の機会となりました。G7の首脳としては最後となりましたが、総理がキーウを訪れ、日本の揺るぎない連帯を伝え、四億七千万ドルの無償供与を含む具体的な数字を明言し、五月のG7広島サミットにつなげたことは評価に値します。
総理、これからは日本のプレッジをどのように迅速かつ確実に履行するのか、我が国の本気度と実行力が問われます。総理はゼレンスキー大統領に今後も日本ならではの形で切れ目なくウクライナを支えると話されたとの報道がありましたが、具体的などのような支援をどのようなタイミングで行うお考えか御説明を願います。
ロシアのウクライナ侵攻で甚大な被害を受けているのは、ウクライナ国民だけではありません。多くのウクライナ避難民を受け入れている周辺国も、物価の高騰や避難民流入による財政負担の増大などにより極めて厳しい状況にあります。
とりわけ、EU非加盟国であるモルドバの状況は深刻です。モルドバには人口の二割を超える十万人もの避難民が流入し、財政が逼迫するなど国内経済が大きな打撃を受けています。親ロシア派の前政権から親欧州派のサンドゥ政権に移行したものの、エネルギー源のほぼ一〇〇%をロシアに依存しているため、電気代はこの一年で六倍以上に高騰しています。また、同国のトランスニストリア地域では、親ロシア住民が旧ソ連の崩壊直後から分離独立を宣言し、いまだに千五百人以上のロシア軍が駐留し続けている状態です。先日行われたミュンヘン安全保障会議においても、欧米各国からロシアによるモルドバ侵攻が共通の懸念として示されました。
親日国であるモルドバを第二のウクライナにしないためにも日本の支援が重要だと考えますが、総理の御認識をお伺いします。
中国は、先月、ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場、十二項目の提案を発表しましたが、和平に積極的な仲介者を演じ、欧米と距離を置くグローバルサウスへの影響力を強める狙いがあるのは明らかです。
中ロの会談を受けてブリンケン国務長官は、ウクライナの領土からのロシア軍の排除を含まない停戦の呼びかけは、主権を持つ隣国の領土を武力で奪おうとするロシアの試みを認めることになると非難しています。さきのミュンヘン安全保障会議においても、ロシアがウクライナから完全撤退することなしの停戦交渉は、ロシアによる核の脅威を、核の脅しが功を奏したことになり、西側がロシアの脅しに屈したとの間違ったメッセージになるばかりか、中国や北朝鮮といった核保有国をミスリードすることになるとの懸念が各国から示されました。
総理、中国の十二項目の提案とロシアの完全撤退を要求する欧米の共通認識についてどのように考え、G7広島サミットの議長国としてウクライナ戦争の出口戦略をどう日本が描くかを最後にお伺いします。
台湾海峡の平和と安定、北朝鮮の拉致、核、ミサイル、そして北方領土問題を抱える我が国にとってウクライナ侵攻は対岸の火事ではありません。自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値や国際秩序を揺るがす蛮行を絶対に許してはならない、そのことを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕