2023-05-19
参議院
脇紀美夫
政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会
脇紀美夫の発言 (政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会)
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○参考人(脇紀美夫君) ただいま御紹介をいただきました公益社団法人千島歯舞諸島居住者連盟理事長の脇でございます。個人的には、国後島の出身であります。
着席で失礼させていただきます。
本日は、三原委員長さんを始め委員皆様の御高配により、北方領土の元島民を代表して意見を申し上げる機会をいただき、厚く御礼を申し上げます。また、常日頃より、私ども元島民や後継者に対する支援措置を始め、当連盟の活動に対し御理解と御協力をいただいていることにつきましても感謝を申し上げる次第でございます。
私は、この委員会には平成二十九年の六月に参考人として招かれ、一日も早い北方領土の返還が実現するようお願いをいたしました。それから六年が経過しましたが、この間、ロシアとの平和条約締結に向けた交渉や北方領土の返還に関しては全く進展がありませんでした。進展どころか、昨今のロシアとの関係は戦後最悪と言っても過言ではない、そのように感じております。
本日は当連盟の主な課題や要望などを申し上げてまいりますので、皆様方には私ども元島民の思いをしっかりと受け止めてくださりますようお願いをいたします。
当連盟は、全国で唯一の元島民の団体として、昭和三十三年に社団法人として設立されました。それから六年以上が経過しています。当連盟では、北方領土返還要求に関する取組を始め、領土問題に関する理解を深めてもらえるよう、元島民とその後継者による語り部の活動や様々な啓発事業を行っています。また、元島民やその家族がふるさとの島を訪問する自由訪問や墓参の実施に関わるほか、今後の活動を担う二世などの後継者の育成や後継者が活動しやすい環境づくりなどにも取り組んでいます。
それでは、千島連盟の主な課題と要望について順次申し上げます。
皆様のお手元に、参考資料として、当連盟のあらまし、宣言案、決議案、コメント、知事と連盟の要望書などを配付させていただいております。このうち、宣言案と決議案は今月二十九日に開催する本年度の当連盟の総会において採択することとしております。宣言は領土問題や返還要求運動への決意を示すものであり、決議は、領土問題に関することを始め、国や関係機関への要望に関する事項を掲げております。
まず、領土問題に関してですが、宣言案を御覧ください。
当連盟では、これまで一貫して北方四島の早期一括返還をスローガンに掲げ、返還要求運動に取り組んでおります。私どもが島を追われてから長い年月が経過しましたが、領土問題の解決、四島の返還に至る道筋はいまだに見えないままです。領土問題は私ども元島民だけの問題ではありません。また、根室管内や北海道といったローカルな問題でもなく、国の領土、主権の問題であり、日本国民全体の問題です。国内の世論、国民の意識が四島の返還が必要だということで一致し、こうした世論を背景に外交交渉を進めることが重要と考えております。
また、ロシアによるウクライナへの侵略は、北方四島の現在の姿に相通じるものです。ロシアによる不法占拠という状況を元の正しい姿に戻すためには国際社会と協調していくことも重要だと思っております。
先月、ロシア最高検察庁が私ども千島連盟を望ましくない団体に指定しました。それ自体極めて一方的で断じて受け入れることはできないものですが、それ以上に問題なのは、指定した理由について、千島連盟の活動がロシアの領土保全を侵害していると説明していることであります。私ども千島連盟はロシアの領土を侵害する活動はしておりません。日本の領土である北方四島を返してもらうための活動をしているのです。
外務大臣は、今回の指定を受けて、元島民の方々の気持ちを傷つけるもので受け入れられないとコメントされていましたが、そんな生易しいものではありません。昭和三十一年に締結された日ソ共同宣言を始めとして、日本とソ連、ロシアの間では北方領土という領土問題があることを前提として、その解決に向けた話合いを続けてきました。今回の指定は、そうした歴史的な経緯を全て無視して、一方的に北方領土をロシアの領土だと宣言したのと等しいものであります。
国会及び政府には、そのような誤った前提に基づく対応は一切受け入れることはできないことを強く申し入れ、その上で、一日も早く四島返還のゴールまで結び付けていただくために、これまでに倍するほどの外交努力をお願いいたします。
一方で、四島の返還が実現するまでの間は、私ども元島民やその家族が自由に、そして安全に四島と往来できることが何よりも大事なことと考えております。
現在、ロシアとは、スポーツや芸術文化の交流事業を始め自治体同士の友好交流なども実施できない状況になっていますが、元島民の平均年齢は八十七歳を優に超えており、墓参や自由訪問などはロシアとの関係が改善されるまで待とうというわけにはいきません。私ども元島民やその家族にとって、墓参や自由訪問は島を訪れるための唯一の方法です。国においては、仮にロシアとの関係が難しい状況のままであるとしても、墓参や自由訪問は何としても再開する、実施するという強い思いで交渉を進めていただきたいと思います。特に、墓参についてはロシアも停止していないとしており、まずは墓参の早期再開に向け協議を早急に進め、できるだけ早く、そして安全に実施されることを願っております。
最後に、後継者の育成、活動への支援に関してです。
令和四年末で当連盟の正会員の数は約二千六百名、そのうち元島民は八百名ほどで、二世、三世といった後継者が約七割となっております。領土返還までに更に時間を要するとするならば、返還要求運動や我々連盟の様々な活動を絶やさないよう、後継者の方々にしっかりと引き継いでいかなければなりません。連盟としては、後継者による広報啓発活動の充実を始め、後継者が語り部の活動を引き継いでいくといった取組を進めていくことが重要と考えております。
またあわせて、後継者の一部にしか認められていない北対協融資について、後継者はひとしく融資の対象となるよう制度の改正を行うことが極めて大事なことだと考えております。委員皆様の御理解と御支援を切にお願いいたします。
私ども元島民に残された時間は本当に少なくなっております。一日も早く北方領土の返還が実現するよう、全国各地で返還要求運動に御尽力いただいている関係団体の皆様方と協力、連携しながら、外交交渉の後押しとなるよう力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ、私の陳述を終わります。
どうもありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。