浅田正彦の発言 (外交・安全保障に関する調査会)
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○参考人(浅田正彦君) 冒頭でも私申し上げましたが、国際法が無力といいますか、そもそもルールはあるわけですね。武力行使は禁止されていると。これはもう国連憲章の二条四項というところで、国連憲章、百条以上ありますけれども、最も重要な規定というのは二条四項の武力行使禁止ですね。このルールを疑問視する国はありません。しかしながら、ロシアの場合にはこれを完全に無視したと。
そうすると、じゃ、無力なのかといいますと、違反があれば無力ということではないと私は思っています。例えば、国内においても刑法があります。殺人は毎日のように、毎日と言ったら言い過ぎですね、非常に頻繁に起こっています。じゃ、刑法は無力かと。そういったことは聞きませんよね。
ですから、何が大事かといいますと、そういうルールがあるにもかかわらずそのルールを破る人や国がいる場合に、それに対してどういう対応ができるかということでありまして、国内の場合には裁判所とか警察を含めた執行機関というものがしっかりしていますので対応はできるわけですけれども、国際社会にはそういったものが基本的には存在しないと。そうであるべき国連の安全保障理事会というのがありますけれども、そこのP5というのは拒否権を持っているから自分のところには関わってこないというのが根本的な問題でありますけれども。
ただ、冒頭の発言でも申し上げましたように、拒否権によって機能しない場合であっても、問題を総会に移して、総会の、例えば最初の侵略の認定の場合には百四十一の国が賛成しているわけですね。反対したのは僅か五ですかね。そういった国際社会の大きな声というものはやはり重要だと思います。ですから、今後、そういったP5が拒否権によって動かないという場合、その場合には総会を中心に物事を判断していくというふうな、そういったメカニズムができれば、これはかなり大きなことになると思います。
今まで五つ国連総会の方でウクライナ問題の決議が採択されていますけれども、最後の五つ目というのは賠償を扱っています。これはウクライナが実はかなり水面下で動いて作った決議なんですけれども、そういったものを作るということによって、国内社会のような警察、裁判所は存在していないけれども、それに代わるようなメカニズムとして国連総会をもう少し重視していくということは重要かなと思っています。
それプラス、国連の外においても有志国によるメカニズムをつくるということで、第二次世界大戦後のP5のような存在というものの、かなり国力も落ちている国もありますけれども、そういったものの弊害、拒否権を中心とする弊害というものをどうやって変えていくかということを少し知恵を出して考えるべきかなというふうに思っております。