本庄孝志の発言 (経済産業委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○本庄参考人 公益財団法人地球環境産業技術研究機構、略称でRITEというふうに呼んでいただいておりますが、本庄でございます。
今日は、衆議院経済産業委員会におきまして、私どもRITEが長年研究開発しておりましたCCSについての考察を説明させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。
二ページを御覧いただきたいと思います。本日は、CCSの位置づけを始め、四点についてかいつまんで御説明させていただきたいと思います。
まず、三ページを御覧ください。本論に入る前に、ごく簡単にRITEの御紹介をさせていただきたいと思います。
私どもRITEは、一九九〇年に設立されました研究機関でございまして、地球温暖化防止の研究開発がメインの仕事でございます。特に、CCS技術、バイオリファイナリー技術といった研究開発に加えまして、温室効果ガス削減の将来目標を定めるシナリオ分析、この事業を三本柱として行っております。場所としては、京都府木津川市にございます、けいはんな学研都市に立地しております。現在百八十四名のスタッフがおりますが、そのうちの約半分がCCS関連の業務に従事しておりまして、そういう意味では、CCSについての知見は日本の機関の中でもかなり上を行っているのではないかと自負しております。
四ページをお願いいたします。まず、CCSの位置づけをざっと簡単に御紹介させていただきます。
国際エネルギー機関、IEAがつくりました持続可能なシナリオを掲げさせていただいております。二〇七〇年までにいろいろな技術を導入することによってCO2を削減しようというふうな見込みでございますが、IEAのシナリオでは、ここに書いてございますとおり、下のところに赤でございますが、全体削減量の一五%をCCUSで対応できる、二〇七〇年の断面で年間六十九億トン、これを実現しようということで、それだけの効果が期待されております。
次に、五ページを御覧ください。
昨年十一月にアラブ首長国連邦で開始されましたいわゆるCOP28、ここで、いわゆるグローバルストックテイク、パリ協定に基づいて各国が自主的に削減する削減目標を積み上げた、将来どうなるかということをみんなで評価をするという評価会が行われました。
その中でまとまったのが、この真ん中に赤字で書かせておりますけれども、ゼロ排出、低排出技術の加速、炭素回収、利用、貯留、CCUS、こういったことに世界全体で取り組みましょうということが強くうたわれておりまして、そういう意味で、このCOPの決定において化石燃料からの移行に言及したのは初めてですが、原子力やCCUSについてきちっと記載していただいたということは注目に値するのではないかというふうに思っておる次第でございます。
次に、六ページをお願いいたします。日本国内でのCCSの位置づけでございます。政府の目標として二〇五〇年カーボンニュートラルというものがうたわれておりますが、それを達成するための技術の積み上げをポンチ絵で記載させていただいております。
当然、省エネとかあるいはエネルギー需要の低減によって温室効果ガスの削減を図る、これが一番でございます。上の緑のところでございます。さらに、原子力、国内再生可能エネルギーの導入で一次エネルギー供給量を下げる、足らないところは海外から、再生エネルギーを活用したグリーン水素、グリーンアンモニアを輸入する、また、海外のCO2の貯留層の利用ということで、いわゆるブルー水素、ブルーアンモニアを輸入する、そういったことで国内の一次エネルギー供給量からの脱炭素化が図れるわけでございますが、下に書いてありますとおり、そうはいっても、やはり化石燃料はある程度使わざるを得ないだろうと。
その場合、CCSつきの化石燃料あるいはCCSなしの化石燃料の使用というのがございます。CCSつきの化石燃料は、右側に行きまして、国内で貯留する、場合によっては海外のCO2の貯留層を利用するということもありますが、CCSの、化石燃料につきましては、いわゆるオフセット、要するに、バイオマス発電によるBECCS、それから大気からのCO2の直接回収、DACでございます、そういったものによってオフセットをするということが必要になってまいります。
いずれにしましても、BECCS、DACCS、CCSつき化石燃料につきましては、どこかに貯留をしなければならない。国内に貯留をするか、あるいは海外の貯留層を活用する、要するに海外にCO2を輸出する、こういったことによってカーボンニュートラルが達成できるだろうというのが私どもがつくっておりますシナリオでございます。
次に、七ページを御覧ください。
そのCCSというのはどれぐらいのコストがかかるのですか、これはよく聞かれます。結論から言いますと、CO2の回収量、それから、どれだけ運ぶのか、どれだけ貯留をするのか、また貯留する場所も陸域なのか海域なのかによって、いろいろバラエティーに富んだ結果が出ます。
代表的な例で申し上げますと、足下で見ますと、パイプラインで国内に運んで陸上から入れる、これが一番安くて、CO2一トン当たり一万二千八百円と見ております。また、船舶輸送で、海上で比較的長距離を運んだ場合には二万二百円ということで、大体、今の足下のコストとして、CO2一トン当たり一万二千八百円から二万二百円というふうなのが私どもの試算でございます。
これをどう評価するかということでございます。カーボンプライシングとの関係で判断するのがいいのかなということで、次の八ページでございますが、カーボンプライシング、ちょっと日本国内ではきちっとしたものが見当たりませんので、一番使われておりますヨーロッパ、EU―ETSでのカーボンプライシングと比較してまいりました。
第一フェーズ、第二フェーズ、第三フェーズ、ずっと低迷しておりましたが、二〇二一年の第四フェーズからこのカーボンプライシング、EU―ETSのプライスが上がっておりまして、二〇二三年にはCO2一トン当たり百ユーロ。したがいまして、これは日本円に換算しますと一万五千円ぐらいになるんでしょうか。そうしますと、先ほど申し上げました今の足下の断面の日本国内のCCSコスト一万二千八百円から二万二百円と、まあまあ、どっこいどっこいといいますか、かなり近づきつつあるのではないかなと思います。さはさりながら、これを更に研究開発によってコストを下げなければならないということは必要だと思います。
続きまして、RITEの取組について御紹介させていただきます。九ページを御覧ください。
私ども、二〇〇〇年から基礎研究を始めております。後ほど触れますけれども、新潟県の長岡で、国内で初めての実証試験を開始しております。二〇一一年から基盤技術開発、安全に貯留をする、また経済的に貯留をするという基盤技術開発をしております。その成果を基に、二〇一六年から実用化、実用化というのは大体国際標準で年間百万トンのCO2の貯留をするということでございますので、そういった目標に向かって実用化に向けた研究開発に取り組みましたが、私どもRITEだけではなかなか難しいということで、二〇一六年に、右下にございますが、二酸化炭素地中貯留技術研究組合、これは、現在は民間企業九社と産総研さんとRITE、十一社でございますけれども、こういった民間企業の知見、あるいは、もちろんサイトも活用しながらの研究開発に取り組んでおりまして、二〇二四年度、今度の四月から新たな第三ステージの研究に移行するところでございます。
具体的に御紹介いたします。次の十ページを御覧ください。
二〇〇三年から二〇〇五年に、国内初でCO2貯留の実証試験をRITEが行っております。CO2の総圧入量が一万四百トンでございます。ここに写真で描いてありますような装置を使って、地下千メートルぐらいの圧入井にCO2を一日四十トンから六十トンくらいの量で貯留しております。圧入井の横に観測井というのを掘りまして、この井戸をうまく活用して地下のモニタリングをずっと継続しております。
その状況が次の十一ページでございます。十一ページを御覧ください。
坑井間弾性波トモグラフィーという技術を継続して実施しておりまして、二つの坑井の中に弾性波を飛ばすことによってその地下にあるCO2をモニターしております。この図にありますとおり、赤の中の緑の部分が、これがCO2でございます。二〇〇四年の中越地震の前に取った図、それから、圧入を終了してから五年九か月後の図ということでございますが、見ていただいて分かりますとおり、ほとんどCO2の移動が確認されていない。逆に言いますと、安定的にその場にとどまっているということが確認されております。
話が相前後して申し訳ございませんが、実は、CO2圧入を開始した翌年の二〇〇四年に中越地震がございました。このサイトも震度六強が揺れて大変だったりというふうに聞いておりますが、新潟県の御指導もあって操業はすぐ止めました。その後、CO2の漏えいが全く確認されなかったということもありまして、一か月半後に圧入を再開し、二〇〇五年にCO2の圧入を無事終了いたしました。やれやれと思っておりましたら、その翌々年に中越沖地震というのがまた起きまして、このときも、大変揺れましたけれども、CO2の漏えいは確認されておりません。さらに、その後もモニタリングをずっと続けておりまして、CO2の挙動についてはちゃんと安全にとどまっているということが確認されましたので、二〇二一年にモニタリングを終了して、圧入井も閉鎖しております。
このモニタリングでございますが、次の十二ページを御覧いただきたいと思います、新しい技術に我々はチャレンジしております。
CO2の圧入坑井と観測坑井、それぞれに光ファイバーケーブルをはわせまして、二種類の波長の光信号を送って、その波長の違いによって、何かイベントがあったときに戻ってくる時間が違うということで、どこでどんなイベントが起きているのかというのが分かる。具体的には、CO2の分布状態ですとか、それから地下の地層のひずみの状況、あるいは地下の温度変化、こういったものがリアルタイムでどこで何が起きているかというのが分かるという新しい技術をRITEが開発しております。
その技術については海外からも注目を浴びておりまして、次の十三ページを御覧いただきたいと思いますが、アメリカと豪州の研究機関から一緒にやろうよというお誘いがございました。
アメリカでは、ノースダコタ州のCCSプロジェクトサイトに光ファイバー観測システムを置いて、もう既にここでは三十万トンのCO2の圧入が行われておりますが、私どもの光ファイバー計測技術でCO2の挙動等を解析しております。また、右側の図は豪州でございますけれども、これもオーストラリアの方から共同研究の申出がありまして、ここはむしろチャレンジングで、断層の安定性評価をやりたいということで、断層に穴を掘って光ファイバーケーブルを垂らすことによってその断層についての評価を行おうということで、今、オーストラリアのパースの近郊で行っているところでございます。
続きまして、ちょっと観点が変わりまして、次のページを御覧いただきたいと思います。私どものこれまで培ってきたCCSについての成果を、二〇二五年、来年の大阪・関西万博で実証プラントを動かすことによって内外の皆さんに見ていただこうという試みでございます。
この図面にありますとおり、会場の右下、バックヤードの場所でございますけれども、RITE実証プラントを置く。何を置くかといいますと、次のページ、十五ページを御覧いただきたいと思いますが、実証プラントのイメージ、これは昨年の七月に博覧会協会さんの記者発表のときに使った資料でございますけれども、この実証プラントの中核になりますのは、この紙の左の上の方にございます、ダイレクト・エア・キャプチャーと英語で書いておりますが、大気からの二酸化炭素の直接回収装置でございます。要するに、博覧会会場の中の大気のCO2を回収する。
その回収したCO2をどうするのかというのが右に書いてございますけれども、まず、地中に貯留しましょう、ちょっと博覧会の会場の中には直接貯留できないので、ローリーで貯留サイトまで運んで、そこで地中貯留をするという計画がございます。それから、二つ目には、アスファルト舗装材に使って、会場の建設に使っていただくということ。それから、三番目は、これは、私どもではなくて、私どものサイトの隣にございますメタネーション施設、CO2と水素によってメタンガスを合成して作るメタネーションでございますが、大阪ガスさんがそれを動かされるということで、私どものダイレクト・エア・キャプチャーで回収したCO2もそのメタネーションに使っていただく。そこで作られたメタンガスは、パイプラインで、会場の中の迎賓館、RITE実証プラントの横、三百メートルぐらいのところにございますけれども、そこの迎賓館の厨房に持っていって、内外のVIP様のための料理を作るという構想でございます。
こういったことによって、日本の優れた環境技術を万博の場を使って内外の方にアピールしようという計画でございます。
続きまして、CCSの国際的動向を御説明させていただきたいと思います。十六ページを御覧いただきたいと思います。
これはグローバルCCSインスティテュートが昨年発表したものでございますが、昨年の段階で、稼働中のCCSプロジェクトが四十一、建設段階二十六、開発段階三百二十五ということで、開発段階がかなり増えて、プロジェクト総数でも前の年に比べて一〇二%増、ほぼ倍増しているということで、世界的にCCSが動き出したということでございます。日本も先進的CCS事業が昨年の七月に採択されたということもありまして、緑がいっぱい増えているというところでございます。
こういった世界のCCSプロジェクトを後押しするために、諸外国では早い段階からCCSの法制を導入しております。十七ページを御覧いただきたいと思います。
EU、英国、ノルウェー、豪州、アメリカ。大体二〇〇八年ぐらい、これは先ほど中島社長が御説明されておりましたが、二〇〇八年の北海道洞爺湖サミットで、G7でCCSをやろうじゃないかという合意があって、それを受けて各国が一生懸命法制の準備をしたということで、日本でも、今回、CCS事業法が導入されるということで、やっと諸外国と足並みがそろったなという感じがした次第でございます。
もう一つ、技術的に国際的に協力をしましょうというのが十八ページでございます。
国際標準、ISOを作ろうということで、ISOのTC265というコミッティーをつくりまして、その中に六つのワーキンググループ、回収、輸送、貯留等々でございますけれども、その六つの分野での標準化を進めているところでございます。既に十三の規格文書を発行済みで、八つの規格文書を現在審議中でございます。
国際標準化によって、やはりCCSの社会実装が進む、それから安全に運用される、経済的にもCCSができやすい、また、こういった国際標準に従って行うということで社会的受容性も得やすいということだと思います。
私どもRITEは、僭越でございますけれども、国内審議団体として、日本としての意見を取りまとめる役割が課されているところでございます。
十九ページを御覧いただきたいと思います。最後に、CCSについての私から見た今後の期待でございます。
まず第一が、今回御審議いただいておりますCCS事業法の整備によって、日本のCCS事業がいよいよ本格的に展開されるということでございます。それから、もう既に政府では政府支援が行われておりますけれども、さらに、先進的CCS事業の後の本格的な事業に対する支援の検討、また、コスト削減のために、分離・回収、地中貯留、そういった分野での研究開発を更に進めていただくということと、それから、CDR、カーボン・ダイオキサイド・リムーバル、要するに二酸化炭素除去という、先ほど御説明いたしましたダイレクト・エア・キャプチャーのような技術でございますが、こういった技術、もう欧米では本格的に研究が進んでおりますので、日本でも本格研究に是非着手していただきたいということでございます。
また、経産省の目標では、二〇三〇年までに年間六百万トンから千二百万トン、二〇五〇年までに年間一・二億トンから二・四億トンのCO2貯留という目標を掲げられておりますけれども、それを達成するためには、いろいろな施設の整備が必要、またインフラの整備も必要になっております。これは、逆に言い換えますと、そういう施設整備を行うということで、大きな経済波及効果、さらには雇用効果が日本全体にもたらされるのではないかと思います。
そういった観点から見ますと、そういったことを実施するいわゆるサポーティングインダストリーというのは、ちょっと用語は悪いかも分かりませんが、CCS事業を底から支える産業も育てていかなければならないと思いますし、何といっても人材の育成、確保、これが一番大事なことだと思います。私どもRITEも、微力ではありますけれども、人材の育成に御協力できればと思う次第でございます。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)