原田泰の発言 (厚生労働委員会)

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○原田参考人 名古屋商科大学の原田泰と申します。
 本日は、このような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
 本日の目的は生活困窮者自立支援法の一部を改正する法律案についての参考人質疑というように理解しておりまして、こういう法律改正が必要だということも理解しておりますが、その上で、あえて抜本的な見直しの考え方を提起してみたいと思います。それは、ベーシックインカム、基礎的所得と言われているものですけれども、それによって、全ての人に最低限の健康で文化的な生活をするための所得を給付して、貧困をなくすことを提案したいというように思います。
 まず、現状の生活保護制度の問題点とユニバーサルベーシックインカム、これは全ての人にというわけですけれども、それ以外に部分的なベーシックインカムという考え方もあると思います。それについては順次御説明してまいりますが、まず、現状の生活保護制度の問題点について幾つか指摘してみたいと思います。
 生活保護が無年金、低年金者を救う方策になっていて、年金制度の不備を助ける制度になっております。これは私は非常におかしなことではないかというように思っております。
 二番目は、生活保護は本当に貧しい全ての人を助けているのかという疑問があります。生活保護水準で生活している世帯が生活保護受給世帯の十三倍ぐらいあるのではないかというように考えております。先ほど、住宅など、その支援員の年収が二百万円ちょっとというお話がありましたが、そういう人々はかなり貧困に近いのではないかというように思います。
 それからまた、日本の貧困はシングルマザーの問題なわけですけれども、シングルマザーの数についても、厚労省の数字と内閣府の数字でかなり、かなりというか非常に大きく違いまして、内閣府ですとシングルマザーは百十九万世帯あると。この中で生活保護水準で生活している人は三十万から四十万世帯、あるいはもっといるのではないかというように思います。生活保護制度は、シングルマザーの貧困を見逃しているのではないかというように考えております。
 四番目は、生活保護制度が壁をつくってしまうこと、むしろ自立を妨げること。つまり、働いて余計に稼ごうとすると、ほとんど全部取られてしまうということになっております。生活保護の不正受給と言われるものは、ほとんどがこっそり働いたということなんですね。しかし、こっそりでも働きたくなるのはやむを得ないことであって、それを禁止するということ自体が、私は、ちょっとおかしいのではないか、せっかく自立しようとしている人の足を引っ張ることになるのではないか。また、不正受給を摘発するコストというのは大変なものであると思います。
 五番目は、貧困とはお金のないことではなく、社会から排除されること。貧困者にきめ細かく寄り添って指導することが大事だというのが生活保護を支える方々がおっしゃることなんですけれども、きめ細かく寄り添うことはもう不可能なのではないかというように思います。生活保護世帯は百六十万世帯おりますけれども、この百六十万世帯に寄り添うのもあっぷあっぷではないかというように思います。私の考えによれば、その十倍以上の人が貧困世帯というべきではないかというように思いますので、寄り添うことは不可能だというように思います。
 まず、次のスライドに参りまして、生活保護と年金なんですけれども、黄色が失業率で、青が生活保護を受けている世帯の数ですけれども、今までは、失業率が下がると生活保護が下がる、生活保護世帯が減るという関係がありましたが、その関係がもうなくなっている。今、高止まりしているわけですね、失業率は下がっておりますので。これはなぜかというと、高齢者世帯が増えているからで、そもそも働くことが非常に難しい人たちが増えているので、雇用ができなくなっているということです。母子世帯とか、障害者、傷病者世帯でも、失業率が低下しますと生活保護受給者は減っております。
 あとのグラフはほぼ同じメッセージですので、省略いたします。
 九ページに移りまして、生活保護世帯は、全ての貧困を救っているのかということを考えますと、恐らくその十三倍の人が生活保護水準以下で生活しているのではないかと思います。これは九ページと十ページに書いておりますけれども、どうやってそういう数字が出てきたかというのを説明しますと時間がなくなってしまいますので、省略させていただきます。
 十一ページに参りまして、実際に扶助を受けている人は生活保護基準以下で生活している人の十三分の一だというのは、正直言ってラフな計算です。本当は十倍かもしれないし、十五倍かもしれません。しかし、橘木俊詔京都大学名誉教授は、生活保護水準以下の所得で暮らしている人は人口の一三%だということを試算しております。
 生活保護の問題点というのはその水準が低いことではなくて、国際的に見れば、そう低いわけではなくて、日本のレベルは高いと思うんですね。高いにもかかわらず、多くの人がその恩恵にあずかれていないことが問題です。
 次は、母子世帯、シングルマザーの問題なんですけれども、十二ページですが、母子世帯の就業率は八六%と極めて高く、世界的にも母子世帯をこれほど働かせている国というのはないんじゃないかと思います。働いていても貧しい。だから、これはワーキングプアの問題でもあるわけです。
 次の十三ページですが、日本の一人親世帯の相対的貧困率は世界一高いんですね。四八・六というのが相対的貧困率の数字でありまして、例えばデンマークですと九・七でしかないという関係があります。
 これは、日本で子供が生まれない大きな要因なのではないかと思います。つまり、下手をしてシングルマザーになってしまうとともかく貧困になってしまうから、ともかくシングルマザーにならないように、結果として、結婚しない、子供を産まないということになってしまうのではないかと思います。
 相対的貧困率が世界一高い国、これはもちろんOECDの中ですけれども、その中で、日本が一番高くて、その次に高いのが韓国なんですね。御承知のように、韓国も日本も非常に出生率が低い国であります。韓国は日本より貧困率が小さいのに日本より出生率が低い、だから例外じゃないかと言われるかもしれませんが、傾向があるということです。
 日本の貧困はシングルマザーで問題でありまして、日本の生活保護制度はシングルマザーを見逃しているというように思います。
 それから、生活保護制度が壁をつくってしまい、むしろ自立を妨げるという問題がある。
 それから、貧困とはお金のないことではなく、社会から排除されるという発想ですけれども、これは、そうかもしれませんが、じゃ、現実にそれに対してどう対応できるんだというと、そもそも人がいないという問題に突き当たってしまいますということです。
 今、財政問題については何も申し上げませんでしたけれども、一応、私の試算によれば、財政的にも何とかなるということが十六ページの下に文献を挙げております。
 以上です。どうも大変御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 原田泰

speaker_id: 33069

日付: 2024-03-26

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会