谷口将紀の発言 (政治改革に関する特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○谷口参考人 東京大学の谷口将紀でございます。
 長年政治改革を研究してきた者として、また、三期九年にわたりまして総務省政治資金適正化委員を務めさせていただいた経験も踏まえまして、この度提出をされました政治資金規正法の一部を改正する法律案等につきまして、意見を申し述べさせていただきます。
 本日は、今国会において是非実現していただきたい事項と、本委員会を始めとする皆様の御議論を通じて今国会中に実現に向けたロードマップを描いていただきたい事項に分けて申し上げることにいたします。
 まず、今国会において是非実現をしていただきたい、すなわち、事件の直接的な再発防止策に関わる事項について申し上げます。
 一般に、政治資金パーティーの来場者数は政治資金パーティー券の売上枚数を下回ると言われております。このため、政治資金パーティーを開催した者が故意又は過失により政治資金パーティーの収入額を実際よりも過少に政治資金収支報告書に記載したとしても、外部からは誤記載又は虚偽記載を気づきにくい問題がございました。パーティー券購入者の公開基準が一回につき二十万円と寄附に比べて高く設定をされていることも、自分はパーティー券を購入したけれども該当する収入が収支報告書に計上されていないという形で、問題が明らかになるのを妨げている側面がございました。
 また、今般の事件の捜査の過程においては、東京地検特捜部による取調べに対して、議員秘書等が、政治資金収支報告書の不記載に関しては、当該政治団体の代表又は事実上の幹部である政治家からは会計者任せにしていて知らなかったという弁解がなされたことや、過去の同種事件とのバランスが考慮されたとはいえ、不記載額が三千万円を超えた議員は立件をされた一方、それを下回った場合は、不記載額が五百万円を超えた議員に対しては党内処分が行われたのみで、あとは政治資金収支報告書の訂正にとどまったことも、国民の疑念を招いたところでございます。
 かかる事態の再発を防止するためには、第一に、政治資金パーティーを開催する者に対して、預貯金口座への振り込み以外の方法による政治資金パーティーの対価の受領を禁止することにより、会計帳簿の記載と客観的な政治資金パーティーの対価の支払い記録を突合できるようにすることが必要です。
 第二に、パーティー券購入者の公開基準を引き下げることにより、購入者が自らの購入履歴が正しく収支報告書に記載されていることを確認できるようにし、特に、購入者が政治団体である場合は、当該団体における支出に関する記載と政治資金パーティーを開催した政治団体における収入に関する記載が一致しているかどうかを広く国民が監視できるようにすることが必要であります。
 第三に、政治団体の代表又は事実上の幹部である政治家及び会計責任者に対してより正確な収支報告書の記載を促すために、現行法においては、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときは罰金に処すると、政治家本人の責任を問いにくい規定になっているものを、少なくとも国会議員関係政治団体に対しては、政治家本人に過失責任を問いやすい仕組みに改めることが必要と考えます。
 そして第四に、政党が行う組織活動費、なかんずく政策活動費の使途が明らかでないことは、一九九四年に政治資金規正法の改革が行われた当初から繰り返し指摘をされてまいりました。政策活動費の原資に政党交付金が充てられていないとしても、政党交付金があるからこそ寄附収入等を政策活動費の支出に充てられるとも言えます。
 また、個人による政治献金には課税上の優遇措置が講じられており、また、法人が行う政治献金についても、一定の範囲内で損金算入が認められております。さらには、政治資金は原則非課税となっております。
 自由民主党においては、かつて、いわゆるそうめん代や餅代等を組織活動費として支出していたところ、指摘を受けて、寄附、交付金とすることに改めた前例がございます。
 今般の問題を受けて、自民党、立憲民主党・国民民主党・有志の会、日本維新の会からそれぞれ、政策活動費改革に係る提案がなされておりますが、各会派御協議の上、政策活動費の透明性を向上させる、実効性のある措置が講じられることを望みます。
 ただし、以上の策を講じただけでは、政治不信を回復することは難しいかと考えます。国民はもはや、政治資金パーティーだけではなく、政党、政治家による金の集め方、使い方全体に不信感を持っているからであります。この際、長らく指摘されてきた政治資金制度の問題を一掃なさる御覚悟で、今国会における政治資金規正法の一部を改正する法律案等の審査を通じて、以下の事項につきましても、改革の方向性を明らかにしていただくことを希望いたします。
 まずは、収支報告書のオープンデータ化です。
 総務省が提供しております収支報告書等作成ソフトはそれなりに利用されているようでございますが、領収書の処理の煩雑さなどから、結局は、プリントアウトした紙版での提出が多いと聞きます。また、国と多くの都道府県選挙管理委員会においては収支報告書がインターネットで公開されているものの、利活用しにくいPDFデータであったり、公開対象が国会議員関係政治団体にとどまっていたり、中には、いまだにインターネット公表を行っていない選管も存在しております。公職の候補者による収支報告書の作成及び提出並びに国及び都道府県選挙管理委員会による報告書の公表のそれぞれにおいて、国民の範となる取組をお願いしたく存じます。
 次に、企業・団体献金に対する規制の強化であります。
 企業・団体献金の廃止につきましては、必要がございましたら後ほど御質問いただくことにいたしまして、政治資金規正法第二十一条は、会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に政治献金をしてはならないと定め、同条第四項において、一以上の市町村、特別区の区域又は選挙区域を単位として設けられる支部は、それぞれ企業・団体献金を受けられる政党とされております。
 ところが、この一以上の市町村、特別区の区域を単位として設けられる支部の定義につきましては、一九九三年十月二十日の衆議院政治改革に関する調査特別委員会及び一九九四年一月六日の参議院政治改革に関する特別委員会での担当閣僚の答弁等を通じて、一以上の市町村の単位さえ守れば、第一支部、第二支部、青年支部、女性支部等々、それぞれが企業・団体献金を受け取ることができると解されたところでございます。
 もとより、どのように支部組織をつくるかは各政党の自主的な判断に委ねるべきことではありますが、同じ市町村内に何百何千、企業・団体献金を受けられる支部をつくり得るというのは、政治資金の透明性を著しく引き下げ、行き過ぎではないかと思われ、各会派においては御検討いただきたいと考えます。
 第三は、政治資金、政党助成金等を監督する、独立性の高い第三者委員会、内閣府設置法第六十四条に基づく、いわゆる三条委員会の設置を御検討いただきたく存じます。国会指名、実質的には、与野党が共に委員を推薦をしている総務省政治資金適正化委員会を格上げするイメージであります。
 現在の政治資金監査は、収支報告書における支出の記載と領収書の突合を外形的に行うだけにとどまっておりますが、収支報告書の記載に疑義が生じた場合、収入の監査や収支の妥当性を含めて質問や監査、現地調査などの実質的調査を行ったり、違反行為には行政罰を科したりする権限を持つ、超党派で、行政からの独立性が高い機関の設置が必要であります。
 第四に、政党助成制度の点検と見直しであります。
 国会議員が政治資金規正法に違反した場合には、当該議員が所属する政党に対する政党助成金を減額すること、さらに、今回のように重大な違反があったときには翌年の政党助成金を不交付とすることも含めて、制度の見直しを求めます。
 現在、自民党からは、収支報告書の不記載、虚偽記入に係る金額を国庫に寄附できるように公選法の特例をつくること、立憲民主党、国民民主党、有志の会からは、政党交付金の交付停止の制度の創設が提案されておりますが、こうした、政治家本人が罰金刑に処せられ公民権を停止することと、収支報告書の訂正で済ませられてしまうことの落差を埋め、過失の程度に応じた適切な処分を行うためにも、独立性の高い第三者委員会の設置が有用と考えます。
 我が国の政治は、これまでも失敗から多くを学んでまいりました。ロッキード事件を受けて、一九七五年に政治資金規正法を改正し、同事件一審判決後の一九八五年には衆参両院が政治倫理綱領を定めました。リクルート事件を繰り返さないため、自民党は一九八九年に政治改革大綱を党議決定し、一九九四年に政治改革関連法を成立させました。
 今般の政治資金問題からは何を学び、そしてどのような成果を世に問うことができるでしょうか。現在生きている国民はもちろんのことながら、令和の政治家の見識と良心を、将来の国民、すなわち歴史が注視しております。
 今国会において、各会派の皆様の建設的な御議論により我が国民主政治の健全性を内外に宣明していただくことをお願いいたしまして、私の意見陳述とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 121304575X00620240527_002

発言者: 谷口将紀

speaker_id: 33668

日付: 2024-05-27

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する特別委員会