尾身朝子の発言 (文部科学委員会)
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○尾身委員 ありがとうございました。
今回は主に国内における博士課程学生を増やすことについてお聞きしましたが、もちろん、日本の若者が海外の大学で博士号を取得し、国際共同研究の場で活躍することも重要です。
現在、海外で学ぶ日本人留学生が減少していると言われています。若者が海外の大学への留学をためらうことには様々な理由が考えられますが、その大きな一つは語学であることは論をまちません。語学力の向上は日本人にとって永遠の課題なのかもしれません。しかしながら、この理由で海外留学をためらうというのは大変残念なことです。
私は、この解決の一助として、スーパーサイエンスハイスクールなどの修学旅行先として、沖縄科学技術大学院大学、OISTに行こうという運動を展開しています。OISTでは、まるで海外の大学のような、領域を超えてオープンで自由闊達な議論が英語で行われています。この環境を経験することによって、若者が進路を選ぶ際に海外留学や博士号取得を将来の選択肢の一つとすることを期待し、今後も継続していきたいと思っています。
また、私たちの働きかけで、中央省庁の皆さんの名刺にPhDの記述が増えてきました。さらに、省庁に入省した後に博士号を取得する方もおられると聞いています。私たちは、博士号を取る意欲のある方々を本気で応援しなければなりません。
次に、我が国における特定先端大型研究施設について伺います。
今週の土曜日、ナノテラスの運用開始記念式典が開催され、私も出席させていただきます。私は、昨年三月に運用開始前のナノテラスを訪問し、心臓部まで視察させていただきました。名実共に世界に誇るべき、世界をリードする施設です。この順調な滑り出しをお祝いし、関係された皆様に心より敬意を表します。
ここで忘れてならないのは、ノーベル賞学者の利根川進博士が述べた、分析機器の限界が研究者の研究の限界を決めてはいけないとの言葉です。未知のものに対峙するためにも、研究と計測機器開発を一体として進めるべきであると考えます。つまり、先端研究施設と計測機器は、常に先端であり続けるためにも、開発を継続しなければいけないということです。計測、解析手法のブレークスルーなしでは、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現やSDGs等の世界的な社会課題の解決はなし得ません。そのためにも、分析計測機器の精度の先端性を保ち続けることが重要です。
我が国には、SPring8という大型放射光施設があります。一九九七年十月に共用を開始してから、既に約二十七年が経過しています。また、世界に誇るべきスーパーコンピューター「富岳」は二〇二一年に本格稼働しました。現在でも世界最高水準の性能を有しており、線状降水帯の予測への活用を始めとして、国民生活に密接に結びついた効果を上げています。
これらは、世界の最先端の研究を支える貴重な研究施設です。設計から製造、運用に必要な期間を考えると、すぐにでもそれぞれの次世代機の開発に取りかかる必要があり、既にSPring8及び「富岳」次世代機の検討が始まっていると聞いています。
ここで、文科省に伺います。
特定先端大型研究施設の更新は、研究に限界を設けないためには必須の事項です。また、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律に基づいている施設であり、産業界もこの次世代機の開発には期待しているところです。国が責任を持って管理する特定先端大型研究施設のみならず、最先端の研究を支える先端的な分析計測機器の開発を国として支援することが重要だと考えていますが、この点についてどのように取り組んでおられますでしょうか。
また、共用開始以来約二十七年を経過しているSPring8次世代機の検討、開発状況について、どのような段階にあるのでしょうか。「富岳」についても、共用開始間もないことは承知していますが、次世代機はどのような検討段階にあるのでしょうか。それぞれお聞かせください。