荒木和博の発言 (北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会)
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○荒木参考人 本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
私は、お手元にクリップで留めて配っていただいております衆議院拉致特委メモというものについてお話をいたします。
その前に、二十日に、林官房長官兼拉致問題担当大臣に、大澤さんを含めまして特定失踪者の御家族がお会いになられました。そのとき、実は二人、直前まで参加するつもりで参加できなかった方がおられます。お一人は生島馨子さんと言われまして、東京で昭和四十七年に失踪した生島孝子さんのお姉さんです。お配りいただいている私どもの「救出!」と書いたパンフレットの中で、八ページの上から二段目に赤い枠のついている方が生島さんです。ちなみに、その右下の、隣のページの赤い枠が大澤孝司さんでございます。
行けなかった理由というのは、生島さんが内閣府まで来られてから体調を崩しまして、救急車で緊急搬送されたということでございます。軽い脳出血がありまして、幸いにして対策本部のスタッフの皆さんに協力いただき、私どももいましたので、もう一人、特定失踪者山本美保さんの妹さん、森本美砂さんが救急車に同乗して東京逓信病院に行きました。
その生島さんから先週電話がかかってまいりまして、調子は比較的いい、先生に何とかお願いして今日のこの委員会の傍聴に行きたいと言っていたんです。ですけれども、先生の許可は得られなかったということで、私が生島さんの言葉をメモしてまいりました。それだけ御紹介しておきたいと思います。
調査会が発足してからでももう二十一年になります。政府は認定の有無にかかわらずと言うけれども、その間、どんな扱いをしてきたのでしょう。疑いがあるというだけで、ほっておかれたのではないでしょうか。国交がなくても様々な形で情報を精査できたはずです。是非それを進めてください。これが生島さんのお言葉でした。
生島さんについては、呉吉男さんという韓国人の方で、平壌で恐らく生島さんと思われる女性を見たという証言があるわけですけれども、それについて政府の方で特段の対応をしたという話は聞いておりません。これは大澤さんの情報も同様でございますが、そういう問題があるということを御理解いただきたいと思います。
私のメモの方へ戻ります。
まず、この間官房長官にも申し上げましたが、この拉致問題特別委員会でも度々、答弁は差し控えさせていただくということの連発でございます。これはある意味で国権の最高機関たる国会に対する冒涜とも言えることでありまして、逆に、積極的に答弁して、そして、それが北朝鮮へのメッセージとなるということを是非とも御理解いただきたいと思います。
多少興奮しておりますので、不適切にもほどがある発言がこの後続くと思いますけれども、御了承ください。
先ほど横田さんのお話にも大澤さんのお話にもありましたが、被害者にとっても家族にとってももう時間がございません。それで、全拉致被害者の即時一括帰国というのは、北朝鮮側に言うのはもちろんそれが当たり前のことでありますけれども、しかし、現実にそれができるとは到底思えない。日本政府が拉致被害者がどこまでいるのかということについて認識していない以上、北朝鮮側が、例えば政府認定の拉致被害者だけ出してきて、これでおしまいと言ったら、ああ、そうですかという話になるか、あるいは逆に、政府認定の拉致被害者は全て死んだと言っているから、特定失踪者を何人か出してきて、これでおしまいと言ったらば、それで認めるということになるのか、これは分かりません。ですから、いずれにしても、分からない状態では、取り返せるところから取り返すしか方法がないというふうに考えます。
それから、既に何人かの方がこれまでも御質問いただいております、田中実さん、金田龍光さんを十年前のストックホルム合意のときに北朝鮮側が出してきた、そしてそれを突き返したということについては、既に各関係者が認めており、それは事実であることは確認されている。であれば、その判断が正しかったのか、あるいは間違っていたのかということについて、政府の方で明確な答弁をするべきであろうというふうに思います。私どもは日弁連に対しまして人権救済申立てを行いましたが、今後も更にこの問題を取り扱ってまいりたいと思います。
それから、生存を前提としてということについてでございますが、お配りしている中で、特定失踪者家族会で作ったリストがございます。このリストの中で、裏面に「残された時間は少ない!」と書いてあります。特定失踪者、拉致被害者の現在の年齢です。高齢者が圧倒的なわけでございます。ということは、幾ら生存を前提としてやる、これは当たり前なんですけれども、北朝鮮で亡くなっている方が存在することは当然に想定されます。寺越昭二さんなどは拉致途中で殺害されたというふうな説もあり、そうなれば、もちろん生存を前提としてやるわけですけれども、現実の問題としては、そういうきれいごとで済まされる問題ではありません。
あえて申し上げます。明らかになった場合には、北朝鮮側からの補償を要求するのはもちろんですが、北朝鮮に対して相応の報復をするべきであるというふうに思います。
次に、私どもがやっております短波放送の「しおかぜ」、これについては、ここにおられる各委員も大変いろいろ御協力をいただいているところでございますが、現在これを送信しているKDDI八俣送信所の百キロワットの送信機二機が、全施設を借り上げているNHKの方針によって廃棄されようとしております。この切替えによる工事のために、現在、妨害電波対策で二波同時に出している私どもの送信が、一定期間一波送信になると言われております。
この百キロワットが三百キロワットに切り替わればよくなるんだというふうに思われるかもしれませんが、現実にはオーバースペックで、遠方のほかの局と混信してしまうことが起こり得ます。アジア周辺に送るためには百キロワットが最も適切な送信機なのでありまして、短波の目的としては、安全保障上、在外邦人の安全を守るということが絶対に必要でございます。
そのためには、これはNHKに任せておくべき問題ではないと思います。私どもがいろいろな形で交渉しておりまして、NHKに国民を守るという意思は、この短波放送に限って言う限りはないというふうに判断せざるを得ません。私どもが幾ら様々な形で要望しても、それに対してまともに応えようとはしておりません。
海外向けの短波放送は、北朝鮮に限らず、世界中で危機に遭った邦人を保護するために絶対に必要なものでございます。この二機を更新しても十数億のお金でできるんです。それは人の命を考えたら非常に安いものだと思います。是非ともこれを政府の責任によって維持していただきたいと思います。
六点目、拉致被害者救出に対して自衛隊を使うということに関してです。
これは、これまでも国会で何度か質問が行われております。これに対して防衛省の答弁は、憲法、自衛隊法の制約があってできないというものであります。
しかし、そもそも、この間ずっと助けることができない、五人が帰ってきてから二十二年間誰一人として拉致被害者は帰ってきていない、そして、松本京子さんが認定されて以来十八年ですか、ただの一人の拉致認定すら行われていないというこの現状を考えると、これこそがまさに憲法違反の基本的人権のじゅうりん、国家による、国家というのは北朝鮮ということではなくて、我が国による人権のじゅうりんではないだろうかと思います。
私は、調査会と別に、予備役ブルーリボンの会という自衛隊の関係者でつくっております会で代表をやっておりますけれども、ここでは、様々な形で、自衛隊を使って拉致被害者の救出を行う、あるいは何らかの形でその活動に参加することについての研究をずっと行っております。
六月二十二日にも都内でシンポジウムを行っていく予定ですけれども、これは本当にあえて申しますが、憲法、自衛隊法がどうこうなんという話ではなくて、命を守れるかどうかという問題でございます。そのために実力の行使というのが必要に応じて使われるべきである、少なくとも、そのような選択肢を明確にすることが北朝鮮に対して明らかなメッセージにもなると確信しております。
是非とも御協力をよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。(拍手)