西田実仁の発言 (憲法審査会)

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○西田実仁君 参議院の緊急集会の権能の範囲については、内閣によって緊急の必要のある案件として提案される限り、法律の制定や予算の議決について別段の制限はないと解されております。そして、大規模災害対応のために、参議院の緊急集会において、今回説明があったような補正予算を処理することは当然に認められると考えます。
 なお、本予算については、そもそも本予算を議決しないまま衆議院が解散されるケースは想定しにくいが、仮にそのようなケースが生じた場合には、緊急性の要件との関係から、まずは暫定予算により必要な措置が講じられ、長期に及ぶ場合には暫定予算の補正により対応することになると思われます。
 もちろん、緊急集会による措置は暫定的なものでありますが、衆議院解散時に大災害により総選挙や衆議院の構成ができない場合においても、国民生活のための国政運営はなされなければなりません。憲法制定時の考え方、すなわち行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくする、国会制度の趣旨を徹底するには参議院があり、その参議院は国民の代表であることを踏まえると、その根幹である本予算についても、内閣の専断を抑制し、衆議院が構成されていない間にあっても民主的統制を及ぼすため、全国民の代表と位置付けられている参議院の緊急集会によって決めていかざるを得ないと考えます。
 緊急集会において議員が発議できる議案の範囲は、内閣総理大臣から参議院の緊急集会の請求の際に示された案件に関連のあるものに限り議案を発議することができると国会法第百一条に定められております。実際、大規模な自然災害等の緊急事態においては、内閣が開催要求時に示すべき案件も包括的なものにするほかなく、それに応じて参議院議員の議案発議権等が及ぶ範囲も広範になりましょう。
 実際、東日本大震災の折は、ここにおられる片山さつき議員を主査として、私も加わり、被災した中小企業の二重ローンを解消する議員立法を第百七十七回国会に参議院から発議し、成立させております。このほかにも多くの議員立法が提出され成立しており、このような被災者や被災事業者のための緊急の立法措置における議員立法の果たす役割は大きい、参議院の緊急集会においても、大規模災害への対応のための議員立法は案件に関連のあるものとして広く認められていると考えます。
 仮に、首都直下地震が発生した場合、令和四年の参議院議員選挙で設置された投票所のうち南関東、東京、北関東の全てが失われたとすると、計一万三百七十三か所、全国四万六千十六の二三%、南海トラフが発生した場合には、東海、近畿、四国の計一万三千八百四か所、全国の約三割の投票所が滅失する可能性があります。
 こうした大災害に見舞われ、衆議院総選挙が実施できない、あるいは長期にわたって実施が困難な場合、すなわち選挙困難事態に置かれた場合に、とりわけ首都直下地震の場合に、参議院の緊急集会がそもそも開催できるかという参議院のBCPの議論と、選挙困難事態が長期にわたる場合に民主的正統性の観点から必ずしも完璧ではない参議院の緊急集会によって対応し続けてよいのかという議論を深める必要があります。現行憲法上では当面は参議院の緊急集会で対応するしかありませんが、可能な範囲で総選挙を実施し、できるだけ早期に民主的正統性を備えた二院制に復元する必要があります。
 ゆえに、問われるべきは、大災害時においてもできる限り選挙を行うことができる災害に強い選挙制度をどう整えるかではないでしょうか。選挙困難事態のような大災害に見舞われても、選挙人名簿のバックアップや郵便投票の拡大、ネット選挙の導入などにより、できるだけ速やかに選挙が実施できるように検討していくことが大事です。
 中でも、現行法令上、明示的には義務付けられていない全ての選挙人名簿のバックアップの必要性を指摘したい。大規模災害が発生し、仮に住民票のある市町村の庁舎が被災したとしても選挙人名簿の滅失を防ぐため、また、遠方に避難した場合、被災地に戻らずとも避難先の最寄りの市町村役場で投票できるようにするためにも、選挙人名簿のバックアップを取ることを法的に義務付けるとともに、本人確認と格納された選挙人名簿との照合によって住民票のない避難先の自治体において投票が可能となる仕組みも検討すべきです。
 以上です。

発言情報

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発言者: 西田実仁

speaker_id: 26049

日付: 2024-05-29

院: 参議院

会議名: 憲法審査会