成田幸隆の発言 (国土交通委員会)
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○参考人(成田幸隆君) おはようございます。
運輸労連中央執行委員長の成田でございます。
本日は、このような場で意見陳述の機会をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
運輸労連は、運輸産業に集う仲間が結集している労働組合でございます。中央本部登録は四百組合で十万九千名でありますが、加盟四百組合には十五万五千名の組合員を抱えており、その多くはトラックドライバーであります。日々現場最前線で活躍をしている運輸産業で働く仲間の立場から、業界の状況、課題について意見を申し上げたいと思います。
まず、今回提出された法案については、いわゆる物流の二〇二四年問題への対応に当たり必要不可欠な法案であると理解しており、私たち運輸産業で働く仲間の労働環境改善にもつながると考えており、早期の成立を求めるものであります。
トラックドライバーは、コロナ禍においてコロナを運んでくるななどと罵声を浴びせながら、厳しい、悔しい思いもいたしましたが、物流は経済、国民生活を支える重要な社会インフラであり、決して物流を止めてはいけないという思いで、日々、日夜業務に就いていることをまず申し上げておきたいと思います。
そこで、お手元に配付している資料を御覧いただけますでしょうか。
まず、運輸労連の二〇二四年春季生活闘争における解決状況についてであります。
昨年は、平均賃金引上げ額が単純平均で前年を千八百四十六円上回る四千九十三円となり、この四千円台の解決は二十七年ぶりの高水準での解決となりました。
今年については、この四月十七日現在、解決組合の単純平均賃上げ額は六千七十七円となり、加重平均でも八千三百九十円となりました。昨年に引き続き、大きく前進はしています。
上昇率は、平均で四八・五%であります。千名以上の従業員を抱える組合では、昨年大幅な賃金引上げもあり、今年については五%の上昇率でありますが、一名から二十九名の組合では四〇・三%、そして三十名から九十九名の組合では四一・九%、百名から二百九十九名で六三・二%、そして三百名から九百九十九名の組合では三七・九%となっております。特に、百名から二百九十九名の中堅の組合で大幅な上昇率となっております。加盟組合に聞きますと、お客様企業の理解を得て価格転嫁が進んだ結果、大幅な賃上げにつながったということも聞いております。
ただ、メディアでも報道されていますように、四月十八日段階での連合全体の賃上げ平均額は一万五千七百八十七円、五・二%となっており、運輸業界の労使でこれまで以上に真摯に交渉をいただいておりますが、他産業と比較すると更に格差は拡大をしているのが実態であります。
次に、一九九〇年以降の加盟組合の賃金引上げ解決額の分布図、そして夏季一時金、年末一時金の解決額の分布図であります。
一九九〇年に物流二法が施行された以降、賃上げ解決額及び一時金の解決額は低位に移行しているのがお分かりだと思います。一九九〇年代半ばから、日本の多くの製造業が海外進出をしていったことなどもあり、日本国内の貨物輸送量は減少傾向となっていきました。
一方、いわゆる規制緩和をきっかけに新規参入事業者数は反比例して増えていった結果、事業者間の過当競争が激化し、今に至る多重下請構造を生み出し、現在のような荷主の優越的な商慣行が醸成されたと考えています。
次が、六ページでは産業別と営業貨物自動車運転者の賃金、労働時間の実態であります。
まず、年間の収入でありますが、産業別の計では、一番下の一九九二年、五百四十四万一千円、貨物自動車運送業は、次のページにありますが、四百七十三万八千円であります。同様に、二〇二二年、一番上でありますが、産業計では五百五十四万九千円、貨物自動車運転者では四百五十五万六千円となっており、この三十年間変わっていないというような現状であります。さらに、貨物自動車運転者では総収入が下がっているというのも現実であります。
次に、年間労働時間では、産業計で一九九二年は二千二百六十八時間、貨物自動車運転者は二千六百七十一時間であります。同様に、これも二〇二二年では産業計で二千百七十時間、貨物自動車運転者では二千五百四十時間となっており、徐々に短縮はしておりますが、とりわけ貨物自動車運転者はいまだ長時間労働であります。
次に、中小企業庁のフォローアップ調査の結果ですが、価格交渉、価格転嫁との比較ということで書いてありますが、業種別に比較しても運送業は低位な状況であります。価格交渉のテーブルにもなかなか着けていないのも現実であります。そして、価格転嫁は最下位ということになっており、今後更なる取組の強化が必要であるというふうに考えています。
そこで、このような課題をどのように改善をしていくかでありますが、冒頭申し上げましたが、物流は経済、国民生活を支えるインフラであり、物流事業者のみならず、荷主企業や一般の消費者を含め物流に関わる全ての方々の理解と協力が必要であると考えます。
これまで日本の物流は、長時間労働、そして全産業と比較して低い、厳しい労働条件で業務に当たっているトラックドライバーに支えられてきたと言っても過言ではありません。このようなことなどにより、トラックドライバーは、脳・心臓疾患による労災支給決定件数が統計開始以降ワーストワンの状況にもあります。事業継続に向けてはこうした状況の改善は不可欠であり、トラックドライバーの労働時間の管理の変更が急務と考えます。
今、トラックドライバーは、慢性的な人手不足に加え、高齢化も著しく、一九八九年の大型トラック運転者の平均年齢は四十・三歳であったものが、二〇二一年には四十九・九歳、既に五十歳という状況であります。今後更に高齢化と労働力不足に拍車が掛かることは想定できるため、若い入職者を増やすためには、賃金の引上げを始め、労働条件の改善は不可欠であります。
加えて、私たちの産業では長らく労働時間の長さで給与収入を維持してきましたが、今後、労働時間の長さや歩合給に依存する賃金体系から脱却を図っていかなきゃならないとも考えています。
とりわけ、今回の法改正では、全ての荷主や物流事業者に対し、荷待ち・荷役時間の削減等の取組について努力義務を課すほか、一定規模以上の事業者には中長期的な計画策定を義務付けることとされており、国が取組状況をしっかりとフォローアップする仕組みとなっております。これにより、荷主と物流事業者が協力して効率化に向けて取り組むこととなり、その結果、トラックドライバーの労働時間や労働環境の改善につながっていくものと考えております。
また、元請事業者に対し実運送体制管理簿の作成が義務付けられますが、多重下請構造が明らかにすることはその是正に向けた第一歩であり、さらに、先月告示されました新たな標準的運賃では、運賃表が平均八%引き上がっているとなっていることに加え、下請手数料が新たな運賃項目として設定されており、元請事業者は、荷主から収受した運賃からこの下請手数料を差し引くのではなく、必要な運賃を上乗せして収受することになります。
そのためには、管理簿による下請構造の把握が不可欠であり、法律と標準的運賃が相まって、実運送を担う下請事業者が適正運賃を収受できるようになると期待をしております。このことで、若い人たちに選んでいただける業界へ変革をしていきたいですし、持続可能な物流の実現につながるものと考えております。
繰り返しになりますが、物流産業の持続性のためには良質なドライバー確保が必要であり、そのためにも、安全、安心とともに、労働条件、賃金の引上げが大前提であります。そのためには、労務費、物流費がサプライチェーン全体の中で適正に価格転嫁されていく仕組みが有効に働くことが大切だと思います。既に、物流事業者のみならずお客様企業も、これまでライバル同士の企業が共同配送を行うなど、物流の効率化に向け、積極的に取り組んでいただいています。今後も運び方の改革が更に進んでいくことを期待をしています。
加えて、私たちは二〇二四年問題の解決に向けては、先ほどから申し上げているとおり、働き方の改革であると考えています。したがって、運び方の改革と働き方の改革をセットで進めていくことが重要だと思っています。
最後になりますが、先ほど説明をいたしました全産業との比較では、労働時間が二割長く、年間の収入が一割から一割五分程度低い現状は変わっておりません。労働組合としては、こうした現状の改善を図り、年間労働時間は全産業と同水準になるようにしていきたいと思っていますし、そして、年間の総収入は全産業を上回るような水準になるよう、様々な課題にチャレンジをしていきたいと考えています。是非、今後も、国、行政のこれまで以上の環境整備をお願いしたいと考えております。
以上であります。