西田亮介の発言 (政治改革に関する特別委員会)
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○参考人(西田亮介君) 日本大学の西田と申します。この今、国民の関心が高い事項に関して意見陳述させていただく機会というのをいただきましたことを大変光栄に思います。どうぞよろしくお願いします。
私自身は、政治とメディアの研究者でございます。政治とメディアの分野中心にしながら、政治と社会全般に係る研究をしております。また、情報通信分野を始め、様々この間、規制実務に関わってくるという経験をバックグラウンドとして有しております。
本日でございますが、この国民の関心の高い事項ということも踏まえて、やや幅広に問題の所在の検討ということに時間を充てさせていただきたいというふうに考えております。その後、今般の改正法に関して、法案に関して評価と問題提起ということで、時間も限られておりますことから、三点中心に申し上げさせていただきたいと思います。
その三点というのは、いわゆる第三者機関と呼ばれているものに関して、早期設置の必要性ということを中心に述べさせていただきたいと思います。その後、収支報告書の確認書の問題に関して、評価ということを述べさせていただき、政治資金パーティー券の購入者や個人寄附者のプライバシー保護等に関しても意見の方を述べさせていただきたいというふうに考えております。
その後、これら踏まえた上で簡単に取りまとめさせていただいて、今後の展望ということで、各党の皆様におかれましては、この改革というものを切磋琢磨しながらやっていっていただきたいというようなことを述べさせていただきたいと思います。
早速でございますが、問題の所在の検討ということで言及させていただきたいと思います。
既に参考人の先生方からも言及いただいておりますとおり、この問題、大変国民の関心とそれから不信感というのが高まっているというふうに認識しております。とりわけ法案が衆議院を通過してこちら参議院にやってきてから、各社の世論調査というのが公表されているところでございますが、余り説得力を持っていないというのか、納得感を持って受け止められていないというふうに認識しております。その背景には、長期の課題とそれから短期の課題というものが存在しているというふうに認識しております。
長期の課題から言及させていただきたいというふうに思いますが、既に言及いただいているところでもございますが、改めて述べさせていただくと、この政治と金の不適切な利用に関する疑惑というのは、長期間繰り返されてきたことで、日本の政治の宿痾と言ってもいいような問題だというふうに認識しております。この間、様々な角度から、それから、様々な研究者それからジャーナリストの皆さんが指摘を繰り返してきておられますが、その一九八〇年代以降、特にこうした指摘というのが盛んに行われるようになってきているというふうに認識しております。不適切な利用というのも増してきたんじゃないか、そういう認識を持っております。
その背景には、国民のある種の成熟というのがあると言っていいのか、だんだん孤立、個人化していって、組織化されるというところがなくなっていって、ある種、団体に加入しないという人たちが増えているということも研究者の中からは指摘されておるように、政治が国民に対して影響力を持つというのが難しくなってきて、もしかすると、金に依存するというような背景というのが醸成されてきたんじゃないか、そんな問題意識を持っておるところでございます。こうした問題というのが中長期の政治不信の原因になっているんじゃないか、そのような認識も持っております。
これもまた様々な調査で指摘されておるところでございますが、例えば、内閣府が行っております、定期的に行っている調査でございますが、社会意識に関する世論調査という調査がございます。国の政策への民意の反映程度という項目を昭和の終わりから令和の現在に至るまで定期的に取っておる調査でございます。
御承知のとおりではございますが、政治の環境に目を向けてみても、様々大きな変化が起きてまいりました。政権交代も幾度かございました。国民の政治への関心の在り方なども様々変わってきているところでございますが、一つ指摘できることというのは何なのかというと、この国の政策に民意が反映されていないという否定的な回答というのが肯定的な回答を大幅に上回る形で一貫しているということが示されております。
というように、国民の中には、政策に民意が反映されておらず、政治参加というのはある意味無駄だというような認識が広がっているんじゃないか。しかも、これ、昭和の時代から現在に至るまでずっと続いているというところでございます。
さらに、こうした問題、解決の方向に向かっているのかというと、そこにもやや疑わしいところというような認識を持っております。
というのも、これまで、先ほども言及あったかというふうに認識しておりますが、政治倫理綱領や、それから自民党が掲げた政治改革大綱の中で脱派閥や政治と金の透明化等が宣言され、政治倫理綱領の中でも、政治腐敗の根絶と政治倫理の向上ということが言及され、真摯な態度をもって疑惑を解明し、その解明、責任を明らかにするということが宣言されてきたわけでございます。それから、民間においても、民間臨調など中心にしながら、多数の改革案というのが示されてまいりました。
ところが、相当の年月が経過していると、時間が流れているというにもかかわらず、恐らくは十分に改革というのは達成していないということなんじゃないでしょうか。そうであるからこそ、今日のような機会というのも設けられているというふうに認識しております。
そのように考えてみますと、そうした構造的な問題を踏まえてみた上で、直近の各社の世論調査、これ改めて目を向けてみると、当該問題に対する国民の不満と怒りというのは深刻なものがあるという認識を持っております。
国会議員の皆さんというのは国民の代表であり、この政治資金規正法の、先ほども出てきたところでございますが、この規正という独特の概念の上でも模範的な存在であることが期待されながら、今日まで十分にその自浄作用というのは働いているとは認め難いというような認識を持っております。
これらをまとめると、国民の政治不信と、それから自浄作用の方、機能不全に対する懸念と、それから問題の矮小化、今回もうまく改革に結び付かないんじゃないかというような懸念というのはある程度合理性があるんじゃないか、そのように理解することができるというふうに感じておるところでございます。
その上で、ここから、今回の法案に関して、評価と問題提起ということで三点言及させていただきたいと思います。
この中でも、第三者機関というものが提案されておるというふうに認識しております。ただし、この第三者機関というのは、ありようというのは多様だというふうに認識しております。ただ、一点申し上げることができることがあるとするならば、早期の設置というのは必須であろうということでございます。検討ということが続くようでは困るということです。
さきに、既に三条委員会方式の案なども提起されているというふうに認識しておりますが、三権の分立だとか、それから立法府の自律権等の観点を踏まえると、まずは同等の機能というものを立法府内で、独立性を担保し、自律し、中立を、これどのように確保するのかというのは大変難しいところではございますが、強力な調査権限を付与し、それから公開していくということを原則としながら実現できないのかということを考えておるところでございます。
前述の国民の自浄作用に対する疑義ということを踏まえると、恐らく国会議員の先生方だけでやっていただくということでは不十分だろうと、それから同時に、第三者機関ということにもならないというふうに考えております。
そんなことから、どのようにこのような機関を設置するのかというのは難しいところではございますが、国会議員の先生方と、それから有識者、それからやはり監査に類するような作用というのを実現するためには専門の知識というのが必要なことから、その専門なワーキングと、それから事務局等の体制から構成できないかということを、アイデアベースということでここで申し上げさせていただきたいというふうに思います。
それから、二点目でございますが、収支報告書の確認書添付という問題について言及させていただきたいと思います。
今回の法案の中である種の目玉というところだというふうに認識しておりますが、この問題に関して、政治家本人の責任明確化ということで、現状と比べて相当程度改善に寄与するものだというふうに認識しております。それから同時に、疑惑の立件の障壁を引き下げる可能性を有しているものと認識しております。そんなことから、総合的に見て、政治家本人への抑止力というものも、これまで十分機能していなかったんじゃないかというふうに考えるところでございますが、相当程度改善するものというふうに認識しております。
それはどういうことかというと、従来、収支報告書にも不記載違反だとか、それから虚偽記載違反というものがございました。しかし、その立件、かなり難しいというところが認識されているところだと理解しております。というのも、ここに二段構えというのが必要だったからだと思います。会計責任者の立証と、それから政治家本人との共謀性の立証というのが必要で、これ大変難しいということではないかと。今回出ている疑惑においても、疑惑の数に対して立件に至った当事者の数がかなり少ないということから、かなり難しかったんじゃないかというふうに認識しております。そのようなことから、政治家本人によるこの確認書添付ということを通じて、ある種、善管注意義務的制度というものがある程度具体的に実現できるのではないか、そのような認識を持っておるところでございます。
それから、ややまとめさせていただきますが、政治資金パーティー券の購入者や、それから個人の寄附者に関して、これはプライバシーの保護というものに関して、やはりこれ原則透明化ということを堅持していただくということと、それから、個人の常識的な範囲における、これいかほどかというのは議論の分かれるところではございますが、少額寄附者に関しても、それからその他の者についても、住所等の個人情報に限定した配慮というのはある程度合理的だというふうに認識しております。
というのも、将来、この一層の透明化というものが進んでいくというふうに認識しておりますが、そのようなものが進んでいくということであれば、良くも悪くも、この政治に対する、政治参加とか政治的主題というのは強い関心を持たれるというところがございます。そうした中で、過剰にプライバシーがつまびらかにされるといったようなことは起きがちでございますので、両立というその在り方が求められるところだというふうに認識しております。
その上で、最後、これらを踏まえた上で、小括と展望、関連する論点ということで言及させていただきたいというふうに考えております。
今回、議論になっておるところというのは、政治資金規正法などを中心とする改正案についてだというふうに認識しております。ただ、やはりこれ対症療法的にとどまっているという認識を持っております。既に参考人の先生方からも言及あったとおりだというふうに認識しておりますが、問題を全体的に見直していくということが必要だと考えております。それから、今回のこの改正案というのは、専ら将来の不正に対する抑止力を有するような内容であって、直近の疑惑の解明には直接つながらないというところで、それらも踏まえても、例えば国民の政治不信、そういったものを払拭するというところに至らないのではないか、満足できる内容になっていないというふうに認識しております。引き続き不断のない改革というのが求められるところだと認識しております。
既に言及したところではございますが、国民のある種の政治不信とか、それから本当に自主的にこの問題解決されるのか、世論調査通じても疑問というのが提起されているところでございますが、これはある程度合理性もあると、妥当な内容だというふうに認識しております。また、本日のこの意見陳述というのが政治資金規正法等に関するものであることは明らかでございますが、国民の期待と比較してみると明らかに狭くなっていて矮小化されているということから、と同時に、根本解決へのアプローチの端緒として見ても不十分な内容だというふうに考えております。
というのも、これ国民の理解というのが十分進んでいないという背景もあるという問題意識を持っております。なかなかこの法案の内容というのを理解するのが難しいと、全体的にも、公選法などを含めても、全体像を把握するのが難しいという事情があると思います。その上で、この法案を理解し、比較し、メリット、デメリットを検討すると、これ大変難しいと。
そういった中で、政治家の先生方自ら襟を正していただくのみならず、これ積極的に発信していただくということも重要になってくるというふうに認識しております。そんな中でも、野党の先生方中心に、それぞれの御主張というものを発信いただいているというふうに理解しておりますが、どうも当事者の先生方からの発信というのはこれ不十分ではないかという認識を持っております。当該問題に関する当事者、それから政党からの情報発信というのを継続いただきたいと認識しております。
それから、もう一点でございますが、これ、政治倫理審査会についても言及させていただきたいというふうに思います。
これ、原則について非公開となっていることや、それから当事者の自主性ということに重きを置かれていることから、これ認識を深めるということからも機能不全を起こしていることは明らかだというふうに考えております。この点の改革というのも関連して御検討いただきたいというふうに、この場を借りて言及させていただきたいと思います。
ただ、ここまで述べてきた内容というのは、ともすればコスト削減に係るような内容を中心に言及してきたような節があるかと思います。あるいは、透明化中心ということで言及してきたかもしれません。そのような観点で申し上げるとすると、政策調査能力、立法調査能力、それから、もっと平たく申し上げると、国民の声を聞く力というものが弱体化しかねないと、そうした懸念あるのは当然だというふうに考えております。
そんなことから、政策秘書、それから公設秘書、それから事務所費用等を、むしろかえって追加で公費で措置をすると、こうした費目を明確にして措置をするといったことを通じて、立法府の力というのが弱まらないということを踏まえて議論いただくということが重要ではないかと思います。
そろそろ時間となってまいりました。
このような内容を踏まえて、各政党においては、包括的な議論とともにビジョンを検討、構想していただいて、分かりやすく国民にお伝えいただく努力というのをお願いしたいところでございます。
以上でございます。