青木愛の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○青木愛君 立憲民主党の青木愛です。
 私は、立憲民主・社民・無所属を代表して質問をいたします。
 現在、マスコミでは百三万円の壁問題が大きくクローズアップされています。国民の可処分所得を増やすということは、極めて重要かつ必要なことだと考えます。しかし、税と社会保障の仕組みは複雑ですから、正しく理解していない国民が多いのではと危惧します。
 税制面では、配偶者の壁問題はほぼ解決していると認識しています。百三万円を超えると所得税が掛かりますが、それは僅かであり、課税前と比べて手取りが逆転するという崖はありません。世帯主の配偶者控除額は、給与年収百五十万円までは配偶者特別控除として百三万円までと同額の三十八万円を受けられます。百五十万円を超えた場合でも、控除額は段階的に引き下げられ、収入と手取りの逆転現象は起こらない仕組みになっています。
 問題は、百六万円と百三十万円の社会保険料に関わる年収の壁です。
 百六万円の壁は、従業員五十一人以上の企業などで働く人が対象で、年収百六万円を超えると配偶者の扶養から外れ、厚生年金や健康保険の保険料の支払が発生します。しかし、メリットとして、将来受け取れる年金が増え、また、傷病手当金や出産手当金を受け取れるなど、病気や将来への補償と安心が増します。
 しかし、従業員が五十人以下の企業などで働く人の場合、年収が百三十万円を超えると扶養が外れ、国民年金や国民健康保険の保険料の支払が発生します。百三十万円を境に、手取りが約三十万円減少します。しかも、国民年金のままですから、厚生年金と比較して上乗せ額のメリットはありません。この百三十万円の壁こそが問題になるのです。
 立憲民主党は、社会保険料の支払による減収分を給付で補うための就労支援給付制度の創設を柱とする対策法案を提出しています。この百三十万円の壁について政府の御見解を石破総理にお伺いいたします。
 また、課税最低限の引上げによって国と地方は税収減となります。特に、地方の税収減は住民サービスの低下を引き起こすのではないかと心配いたします。国の責任において地方サービスの低下を防ぐよう、政府に要請します。総理の御見解をお伺いします。
 さらに、社会保険料の支払において、特に中小零細企業に過度な負担を掛けないよう配慮が必要と考えています。政府の御対応を総理にお伺いいたします。
 高度経済成長期においては専業主婦世帯が多くを占めており、社会保障を考える際、夫が働き、妻は専業主婦、子供は二人の四人世帯を標準モデルとしてきました。しかし、現在では、家族の形やライフスタイルの多様化などにより、単身世帯、共働き世帯が増加する一方で、専業主婦世帯は大きく減少しており、かつての標準モデルは五%にも満たない状況です。時代に合った多様なモデルを採用すべきです。総理の御見解を伺います。
 しかも、今議論されている様々な年収の壁は、サラリーマンの世帯主に扶養されているパートタイムの労働者の方々に関する壁の議論であって、元々扶養されていない単身者やシングルマザー、自営業の方の配偶者などに影響するものではありません。今後は、このような様々な立場の方々も対象として税と社会保障の在り方について議論が必要になるものと考えます。
 有識者の中には、配偶者控除そのものを廃止すべきとの主張もあります。長期的な視野においては、扶養という考え方を改め、男性も女性も自立した個人として社会に参画し、それに伴い税や社会保障の在り方を抜本的に見直すための議論の必要性を感じています。石破総理の御見解をお伺いします。
 その上で、希望する人が皆安心して子供を産み育てられる環境の整備には、十分な予算を確保し手当てすべきと考えます。高等教育の無償化を目指し、授業料などの家計負担を大胆に軽減し、学生が過度なアルバイトをせずとも学業に専念できるよう、国は対策を講ずるべきです。こうした教育費に係る大胆な家計負担の軽減は、日々の生活におけるゆとりと活力を生み、ひいては社会全体の経済活力を高める原動力にもなるはずです。石破総理の御所見をお伺いいたします。
 今議論が始まっている可処分所得の向上も、ガソリンの旧暫定税率の廃止も、高等教育の無償化も、各党が目指してきた重要政策です。さきの衆議院選挙での民意を受け止め、足並みをそろえたら、もっと大胆に、もっと確実に国民の生活に資する政策を実行できるはずです。今後に期待し、本日の本題である令和五年度決算について、会計検査院提出の令和五年度決算検査報告について質問をいたします。
 まず、令和五年度一般会計歳出決算では、翌年度への繰越額は十一・一兆円、不用額は六・九兆円となりました。正常な予算執行とは言えない水準です。また、会計検査院より、予算執行に係る不適切な支出や改善を求めたものなどについて三百四十五件、金額にして約六百四十八億円が指摘されました。これらの現状と指摘について、石破総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、今後の補正予算の執行について伺います。
 会計検査院は、一般会計の補正予算の執行状況等について、令和四年度補正予算のうち全額が補正予算によって追加された予算科目の十兆九千百二十三億円のうち、その半分以上の五兆九千三百十八億円が五年度に繰り越されて、四年度内に支出されていなかったことを明らかにしました。補正予算は緊要となった支出の追加を目的とするものですが、その年度内に執行されず繰り越されたという事実は、緊要性を有していなかったことの証左です。
 平成二十七年度決算検査報告においても、今般と同様に、多額の歳出追加とその高い繰越率から、適正かつ効率的、効果的な執行に努める必要があるとの指摘を受けており、政府はこの間、会計検査院の指摘を軽視し、額ありき、繰越しありきの補正予算を続けています。二度も同じ指摘を受けた事態についての受け止めと、今般成立した令和六年度補正予算の執行に当たり会計検査院の指摘をどのように反映していくのか、総理に伺います。
 また、会計検査院の指摘を踏まえれば、補正予算における各事業の積算根拠や、想定している年度内の執行スケジュールを事前に公表すべきではないでしょうか。財務大臣の御見解を伺います。
 予備費については、国会からの検査要請に基づく会計検査院の指摘を踏まえ、政府は特定使途予備費の執行状況を公表しています。補正予算についても、将来的な事業効果の検証に資するべく、予備費と同様に歳出追加額を特定して執行状況を公表すべきと考えますが、財務大臣の御見解を伺います。
 次に、防衛費についてです。
 政府は、令和四年十二月に防衛力整備計画を策定し、防衛力整備に必要な水準額を、中期防衛力整備計画、いわゆる前中期防における二十七・四兆円から四十三兆円へ大幅に増額させました。
 他方、会計検査院が令和元年度から五年度までの防衛予算及び決算について検査したところ、防衛費に関する情報公開が不十分であることが明らかとなりました。
 例えば、前中期防において整備予定の数量が示されていた主要装備品のうち、装甲車、哨戒艦及び艦載型無人機は計画期間内に契約が締結されておらず、その公表もされていませんでした。また、防衛費における人件・糧食費、一般物件費及び歳出化経費のいわゆる三分類、並びに予算の積み上げをよりきめ細かく行うために整理した十五の分野についても、決算段階における執行実績の把握が行われていなかったことが判明しています。
 今回の検査結果により、政府は国民に多額の防衛費の増額を求めながら、情報公開には極めて消極的であることが分かります。今回、会計検査院が指摘した主要装備品の契約状況、三分類別や十五の分野別の決算額などについてはすぐにでも公開すべきです。これらの情報公開に向けた対応方針について、総理に伺います。
 さらに、地方防衛局による不適切な契約変更についても指摘されています。建設工事に係る契約において、一般競争入札に付すべき別の工事を契約変更によって追加していた事態が明らかとなりました。防衛省の不適切な契約や調達については毎年のように会計検査院から指摘されており、参議院決算委員会も、防衛省における不適切な事態をただし、再発防止を求める決議を三年連続で議決しています。
 今回の事態の発生原因及び今後同様の事態を繰り返すことがないよう、防衛省職員に改めて会計法令遵守を徹底させるための具体的な取組方針について、防衛大臣にしっかりとした御答弁を求めます。
 次に、マイナンバーの活用について伺います。
 政府は、個人情報を行政機関がシステムでやり取りするマイナンバー情報照会が行われることで行政手続における添付書類や煩雑な入力作業が不要となり、国民の利便性向上や行政運営の効率化が図られるとしています。そして、このシステム整備等のために令和四年度までに国費として計二千百四十九億円が投じられてきました。
 しかし、一千二百五十八の事務手続を対象として令和四年度の実施状況を検査したところ、地方自治体の半数以上が利用していたのは僅か三十三手続にとどまり、全体の約四割に当たる四百八十五手続は全く利用されていませんでした。各事務手続の所管府省庁は地方自治体の状況を十分に把握しておらず、把握していたデジタル庁も所管府省庁に情報提供していませんでした。
 このような実態は、まさに国が現場の声を聞くことなく、マイナンバー制度導入ありきで多額の費用を投じ、拙速に事業を進めてきたことの結果です。マイナンバー制度を推進する国と実務の担い手である地方自治体との認識と実態に乖離が生じた原因と責任の所在、実態の改善について、事態の改善について、総理にお伺いをいたします。
 最後に、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施するサービス等生産性向上IT導入支援事業についてお伺いします。
 この事業は、生産性向上に資するITツールを導入する中小企業に対して、その経費の一部を補助するものです。
 会計検査院が令和二年度から四年度までに交付された補助金を検査したところ、補助金を受けた中小企業がIT導入支援事業者等からキックバックを受けたり、補助対象外のITツールを導入したにもかかわらず、虚偽申請を行うなどの不正が判明しました。その多くは、悪質なIT導入支援事業者、いわゆる不適正ベンダーからの不当な働きかけを契機に行われたと指摘しています。
 会計検査院の抽出検査で発覚したキックバックによる不当な補助金交付額は四十一事業の一億八百十二万円ですが、これは氷山の一角にすぎず、不適正ベンダー十五者は実に一千九百七十八事業に関わっているとされ、不正の全容はいまだ明らかとなっていません。
 また、機構や当時補助金の事務局を担っていた一般社団法人サービスデザイン推進協議会、サ推協は、警察からの照会等により相当数の不正の疑いを把握していたにもかかわらず、IT導入支援事業者や中小企業に対して一度も立入調査を実施していなかったことも明らかになっています。
 このサ推協は、令和四年に本院決算委員会が措置要求決議を行った持続化給付金事業における不透明な委託契約等の当事者でもあります。さらに、中小企業庁及び機構も不正の有無を確認するよう指導を行っていませんでした。不正を行った者の非はもちろんでありますが、制度設計のみならず、事後対応にも問題があったことが明らかです。
 今回の事態に至った原因、国が責任を持って不正の全容を解明する決意と再発防止策について、経済産業大臣の見解を求めます。
 決算審査は参議院の重要な役割です。会計検査院の報告から明らかなように、額ありきでの補正予算を編成し、会計検査院の指摘を軽視し、情報公開も消極的、不正の疑いもそのままにする、これまでの政府の姿勢は看過できるものではありません。次期常会に続く決算審査においても厳しく精査していく決意を申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121615254X00720241220_008

発言者: 青木愛

speaker_id: 10067

日付: 2024-12-20

院: 参議院

会議名: 本会議