柳本岳史の発言 (厚生労働委員会)
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○柳本参考人 おはようございます。ボストンコンサルティンググループ、柳本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本件に絡みまして、本日、私からは二点、創薬力強化というところと後発品のあるべき産業構造というところに関してお話ししたいと思っております。
本件に関しまして、厚労省が主催しておりました創薬力強化に向けた薬事検討会及び同じく厚労省が主催しておりました後発品産業のあり方検討会議の委員も務めておりました。また、創薬力構想会議においても、プレゼンテーションを通じた情報提供などで協力をさせていただいておりました。
早速中身に入りたいと思います。
一点目、創薬力強化に向けてというところでのエコシステムの必要性ということになります。
三ページを御覧ください。
皆様も御存じのとおり、創薬力構想会議の中間取りまとめにおいて、創薬力の強化においてはエコシステムの強化が必要だということがうたわれております。
なぜかと申しますと、創薬というものは、研究から実用化、そして上市というところに向かって、幅広い能力、研究開発の能力に加えて、さらには社会制度、そういったものが必要になってくるという中で、エコシステム全般にわたる人材ですとか臨床の基盤、そういったものが必要になってくる、それを、国際的な視点も踏まえながら、我が国ならではの道を模索していく、これが必要だということがうたわれております。
具体的な例として四つほど挙げられておりまして、多様なプレーヤーとの連携、出口志向での研究をリードできる人材ですとか、国際的な水準の臨床試験制度、さらには、新規モダリティー及びその他医薬品の国内製造体制の整備というところ、最後に、アカデミアやスタートアップからの絶え間ないシーズの創製、こういったものがうたわれておりました。
翻って、諸外国において特に成功しているエコシステムを見たときに、どのような特徴があるかというところを四ページにまとめてございます。大きく五つございます。
当然ではありますけれども、やはり世界的な水準のアカデミアが存在するというところ、一点目。二点目は、高度な臨床試験を支える医療体制ですとか制度が存在するというもの。さらには、豊富なリスクマネー。そして、そういった人材、知見が集積してコミュニティーを形成していること。これは、単にそこに集積しているだけではなく、しっかりとコミュニティーを形成し、そこで人や企業がつながり、シーズからニーズにつながる、そういったことが必要ということ。最後に、それらをしっかりと海外リソースを最大限に活用して実現しているということになります。
特に、最後の点ですね。我が国において過去には余り意識されていなかったところかなというようには思いますけれども、最も先進的なエコシステムを形成していると言われている米国においても、ボストン・ケンブリッジにおいても、ベイエリアにおいても、海外からの人材、そして資金、技術、企業、そういったものを、全て海外からそれなりの規模で入ってくることを前提としてエコシステムを形成している。こういう点に関しては、より規模の小さい我が国はしっかりと見習うべきだというように思っております。
五枚目、そういったエコシステムをどのように形成していくかというところになります。
下半分、丸いところに主なプレーヤーを書かせていただいております。スタートアップですとかアカデミア、製薬企業といった実際に研究開発を行う方々、そして、臨床基盤、臨床研究ですとか臨床試験を実施する医療機関、さらには、スタートアップ等を支援するようなCRO、CDMO、受託の製造ですとか臨床試験を請け負うような機関に、いろいろな生成AIですとかそういったテクノロジーを提供する企業、あとは、ファンドを提供する公的、民間のプレーヤーというところ。
ただ、こういった下側のプレーヤーが自律的に頑張れば勝手にエコシステムができるかというと、世界的に見ても、なかなかそういうことは起こらない。最も有名なボストン・ケンブリッジにおいても、二〇〇〇年代初頭にマサチューセッツ州政府が相当力を入れて発展に尽力した。こういったことを我が国としても見習いながら、しっかりと政府が旗を振っていく必要があるというところ、それが上段になります。
具体的には、戦略の策定というところと、実現に向けて不足している基盤の整備、人材の育成ですとかプレーヤーの招致、様々な基盤の整備ということが求められます。そういったことを実現していくために、今回の薬機法改正の中でも基金の設置ということが求められている、うたわれているのかなというように理解をしてございます。
続いて、安定供給の確保に向けた後発医薬品産業の在り方ということに関してお話ししたいと思ってございます。
こちらは、そのままの言葉で薬機法にうたわれている、1、2と書かれたような、製造管理、品質管理体制の確保、安定供給能力の確保といったことに加えて、持続可能な産業構造の在り方ということに関しても、後発品の検討会の方で議論されてまいりました。
具体的には、1、2といったところに対してしっかりと対応していこうとすると、やはりそれなりのコストがかかる。さらには、市場もこれから大きく成長しないことが見込まれている中で、そのコストを捻出していくためにも、これまでのような低いシェアで多品目を売るというよりも、一定のシェア確保を目指し、そして品目も適正化していく、それによって生産性、収益性を担保し、将来に向けた投資、安全性確保に向けた投資ということをしていく必要があるというようにうたっております。
今、どれほど本当に少量多品目生産になっているかといいますのが、八ページになります。横軸に、企業がどれほどの成分数を保有しているかというところを示しております。
成分といいますのは製品とは同一ではなく、あくまで成分に対して様々な規格、錠剤ですとか注射剤ですとか、錠剤の中でも五ミリ以上、二十ミリ以上みたいな、そういった様々な規格、それぞれ一つ一つが製品ですので、実際取り扱っている製品はこの数倍というところになりますけれども、こういった横軸に成分数を取り、縦軸に日本国内で最も売れている三十成分における各社の平均シェアを取っております。
御覧いただきましたら分かりますとおり、専業大手は三百を超える成分数を誇りながら、主要成分における市場シェアというのは五%から一〇%にとどまるというところで、各市場においても非常に細分化されておりますし、各社の観点におきましても、その小さな細分化された部分に多くの製品を提供するために、何度も何度も生産体制、交換を繰り返しながら供給しているという非常に非効率な状況になっていることになります。
参考として、九ページ、米国の状況を紹介しております。上位十成分の中で、緑で示している上位三社がどれほどシェアを占めているかといいますところ、大体五割を超えるところのシェアを上位三割で占めている。より集約的な市場形成になっているということが言えるかなと思っております。これが必ずしも正解かというと、当然、各国それぞれいろいろな問題はございますけれども、一つの例として学ぶべきものかなと思っております。
そういったものを目指していく上で、やはり企業間での提携、再編というものが重要になっているというように考えております。十ページが、我々が耳にしている、目にしているような、幾つかの再編ですとか提携の取組の例でございます。
一つ目は、ジェネリック企業同士が様々な提携、機能的、品目的な提携をすることによって、より効率的な経営を目指すというもの。二つ目が、大手の企業が少し規模の劣る企業を買収していくというもの。三つ目は、企業同士ではなく企業の一部、後発品事業のみを他社に譲渡するというもの。四つ目が、それらの取組を後発品企業そのものではなくファンドが主導するというようなもの。最後は、川下のプレーヤーと呼ばれる薬局ですとか医療機関、若しくは物流企業みたいなものが需要側を集約することによって、川上にいる供給側、後発品企業を緩やかに収れんしていく、こういったモデルが見られております。
ただ、こういった取組は、あくまで取組であったりですとか、まだ検討段階で顕在化していないものは多くございます。理由といたしましては、やはり、後発品企業、それほど現時点で収益性が高くない企業も多く、体力もない企業が多い中で、検討はしながらもなかなか先に進めない、資金も知見も経験もないというようなことが多い中で、今回の薬機法の中で設置される基金は、こういった企業の取組の後押しをするものだというように理解をしております。
以上、私からの発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)