谷口将紀の発言 (政治改革に関する特別委員会)

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○谷口参考人 本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 企業・団体献金の在り方について、所見を申し述べます。
 結論から申し上げますと、企業・団体献金の禁止について、この度、与野党間に幅広い合意が成立するのであれば、私も反対するものではございません。ただ、ここまでの国会審議の状況を拝見する限り、そのようなコンセンサスが形成される見込みは必ずしも高くはないように思われます。与野党それぞれの法案が相打ちになり、何も変わらずに国民の政治不信を深める事態だけは避けていただきたい。そのための与野党の現時点での合意可能領域は、企業・団体献金規制の強化、抑制というふうに考える次第であります。
 三十年来、政治改革を研究テーマの一つとしてまいりまして、この度、私も改めて一次史料を確認いたしましたが、平成の政治改革当時に、政党に対する企業・団体献金を全面禁止する合意が与野党間に成立をしていた事実はございません。他方、企業・団体献金の規制を強めるという方向性については、確かにコンセンサスが存在をしておりました。その延長線上に着実にステップを踏むことが、現在求められていることと考えます。
 そこを一足飛びに企業・団体献金を全面禁止してしまうと、中選挙区制時代のような金権腐敗政治こそなくなったとはいえ、それでも政治には一定のお金がかかりますから、政治資金パーティー、もしパーティーを禁止したのであれば機関紙誌の発行その他の事業に事実上迂回をしてしまいます。文字どおりの迂回献金をしたり、あっせんをしたりしたら違法になるにしても、あうんの呼吸で企業の幹部や団体のメンバーが特定の政党支部に個人献金を行って、かえって透明性を引き下げてしまうおそれがあります。
 御案内のとおり、この週末も、閣僚が受けた個人献金の一部が、政治資金収支報告書の住所欄に寄附者が代表を務める企業や団体の所在地を記載をしていた、あるいは同一の企業グループの幹部たちが同じ日に閣僚に献金をした、かような報道がなされているわけであります。
 このように、形だけ企業・団体献金を禁止しても、実質的に企業や団体から政党、政治家に寄附が流れる実態までを変えることができなければ、国民の失望は深まるばかりであります。企業・団体献金への規制を強めつつ、税制優遇による個人献金の促進や、後ほど申し上げる政党交付金基金制度の創設などの策を講じることによって、実質的に企業・団体献金を縮小、フェードアウトさせていく道筋を整えていくことが肝要と思われます。
 まず求められる規制強化は、企業・団体献金を受け取ることができる政党支部の限定であります。政治資金規正法第二十一条第四項は、一以上の市町村、選挙区を単位として設けられる政党支部は、党本部や政治資金団体と同様に企業・団体献金を受けられることと定めています。
 この点につきまして、一九九三年十月二十日の衆議院政治改革特別委員会において、山花貞夫政治改革担当大臣は、法律上、幾つでも政党支部をつくることは可能であるが、常識的には、当時存在していた支部の数よりは少なくなるだろうと答弁をされておりました。
 結果的にこれは見込み違いでございまして、実際には何千もの企業・団体献金を受けられる政党支部が存在をしていることは、今国会における質疑でも話題になったところでございます。
 どのような単位に支部を設置するかは各党の自由でありますが、そのうち企業・団体献金の窓口を限定することにより、政治資金の透明性を高めるべきです。特定の政治家に寄附をしたいのであれば、その政治家が所属する党本部に誰々議員の政治活動のためと使途を指定して寄附を行って、党本部がその責任を持って配分をすればいいのであって、十分可能な策と考えます。
 次に、現在は資本金の額や組合員数等に応じて年間七百五十万円から一億円とされている企業・団体献金の総枠制限の引下げも考えられます。一昨年、自民党に対する献金の最高額は、一企業で五千万円、業界団体は七千八百万円でありましたから、総枠制限の引下げはそれほど困難なことではないはずです。
 企業・団体献金を制限すると同時に、個人献金を促進することも必要です。これにつきましては、税額控除の適用対象となる寄附の範囲を拡大するとともに、その税額控除率を引き上げる提案がなされておりますから、速やかに可決されることを望みます。
 現下の政治、経済、財政状況からして、税金を原資とする政党交付金の増額は国民の理解を得にくいと思います。
 そこで、例えば、政党交付金基金という制度をつくって、そこに個人そして企業や団体が寄附できるようにして、集まったお金を政党交付金に加算して各党に配分するようにしてはいかがでしょうか。特定の政党や政治家を支持するのではなく、日本の政党政治、日本の議会制民主政治全体を支える仕組みをつくるのであります。御関心がございましたら後ほど御質問いただければと存じますが、この仕組みは、企業献金に関する八幡製鉄事件最高裁判決の欠点を補うものでもあります。
 以上、企業・団体献金の廃止、存続をめぐって各党が対立している状況にあって、合意可能領域はどのようなものであるか、あるいはどのようなものであるべきかを述べさせていただきました。よろしく御検討賜りますようお願い申し上げまして、私の発言とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 121704575X00820250317_008

発言者: 谷口将紀

speaker_id: 33668

日付: 2025-03-17

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する特別委員会