梶原貴の発言 (文部科学委員会)
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○梶原参考人 おはようございます。日本教職員組合で中央執行委員長を務めております梶原貴と申します。
本日は、このような機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
私からは、今回の改正法案や学校の働き方改革に関して、学校現場が求めていることについて意見を述べさせていただきたいと思います。
こちらの資料を御用意ください。
私は、三十四年前に山梨県で中学校の教員として採用され、二十一年間全て、学級担任、理科の授業、運動部顧問を務め、時に生徒会担当を仰せつかり、運動部では、幸いに子供たちの頑張りで全国大会も引率をさせていただきました。三十代前半には、文科省の派遣で香港日本人学校に派遣され、現地校やインターナショナルスクールとも交流し、クラスサイズの違い、そして業務量の違いも実感してまいりました。二十一年間、学校は最高の職場だと思って勤務してまいりましたけれども、このままでは日本の学校教育は崩壊するのではないかと危機感を覚え、何としても学校の長時間労働を是正したい、そういう思いで組合に移り、今に至っております。
まず冒頭、これまでいかに教職員の業務が増え、いかに人が増えてこなかったか、その結果として、定時に退勤できないことが当たり前、教職員の長時間労働がいかに放置されてきたかをお伝えしたいと思います。
二ページを御覧ください。
まず、業務量ですけれども、この間、学校現場は、校内暴力、貧困、虐待、不登校等、社会の課題を全て引き受けてまいりました。授業についても、学習指導要領が改訂されるたびに内容は付加され、部活動に関わっては、子供のサポートにとどまらず、競技力の強化や大会運営までも担ってまいりました。
三ページ、四ページを御覧ください。
一方、人員増でいえば、国の定数改善計画が二〇〇五年の第七次で止まったまま、人がなかなか増えず、加配教員が配置されたとしても、子供の数や課題の数に比較して余りにも少数しか配置されてきませんでした。詳細は、先週の佐久間参考人の陳述のとおりでございます。
五ページを御覧ください。
そうした業務削減も定数改善も進まない中、文科省も、二〇一六年に勤務実態調査を行い、それを受けて、二〇一九年に給特法を改正して、労基法適用者と同様に、月四十五時間、年間三百六十時間に時間外勤務を抑えようとしました。しかし、三年後に実施した二〇二二年の勤務実態調査では、在校等時間は三十分程度しか減っていませんでした。
つまり、告示されて三年がたっても、公立学校の教員の約三分の二が上限指針を超える中、実質労働規制がかからないまま放置されている数少ない職種となっているのが実態です。いつまで我慢すればいいんでしょうか。
七、八、九ページを御覧ください。
一方、日本の子供たちの置かれている近年の状況は、不登校数、児童虐待数、いじめの認知件数が過去最多を更新し続け、子供の自死の増加も歯止めがかかっていません。それが子供の数が減少している中で起こっている極めて深刻な事態で、早期に解消されなければなりません。
しかし、その子供たちに寄り添うべき教員不足が深刻です。二〇二一年の文科省の調査では、二千五百五十八人が不足。それ以降、公の調査は行われていませんが、全国では深刻さが増しております。
十ページを御覧ください。
そんなぎりぎりの状態で何とか回っている学校ですから、様々な要因で精神疾患を患い、病気休職に追い込まれる教員が、二〇二三年度で七千百十九人と、過去最多を毎年更新し続けています。
本日のネットニュースにも流れていますが、昨年度の東京都の新採用の教員が、既に六%近くが退職をしている。非常に深刻な状況です。
事務職員に至っては、教員よりも出現率が高いのが実態で、学校全体が厳しい状態です。
十一ページを御覧ください。
現在、日教組では、学校の働き方改革に関する意見投稿フォームを設け、現場の声を集め、現在、三千五百件を超えております。その中には、しんどい子供に寄り添いたくて教員になった、丁寧に関わりたいができておらず、何のために教員になったのか心が痛い。全体に関わる業務を優先し、一番やりたい、やらなければならない授業準備が間に合っていない、子供たちに申し訳ない。どうせ社会は変えられない、こんなメッセージを子供たちに伝えているようなものです、高学年になると、先生は働き過ぎなんでしょうと言われ、苦笑いで返すのみ、私たち教員が毎日毎日そういった思いを子供たちに塗りつけているようなものです、五十年以上前の給特法を廃止するしかないと現場は声を上げても、検討、検討で何も変わりません、小学生も、身近にいる教員の働き方が変わらないことに疑問を持っています。このような意見が寄せられております。
十二ページを御覧ください。
また、子供たちの自律的に学ぶ自信が低いのも大きな課題です。学校の勉強の予定を立てる、言われなくても学校の勉強にじっくり取り組むなどに自信がないと回答した割合が、OECD加盟三十四か国の中で最も高い結果となっております。
子供たちのやる気を引き出すには準備が必要で、やる気をなくさせてしまうのは、準備不足の授業を続けてしまうことが要因の一つと考えられます。理解の深まりは、目の前の子供の実態に合わせて、いかにオーダーメイドの授業づくりができるかであります。授業準備を勤務時間内にできる体制整備をし、子供たちの知的好奇心を高めることが今求められています。どうかお力をかしていただきたいと思います。
十三ページを御覧ください。
では、現場は何を欲しているのか。私どもの三本柱、業務削減、定数改善、給特法の廃止又はそれと同等の抜本的見直しです。
まず、業務削減についてです。十四ページを御覧ください。
三分類の移行のために、予算がまず必要です。そのほかは、そこに記載のとおりであります。
二番目、定数改善であります。十五ページを御覧ください。
教材研究や授業準備が勤務時間内にできるよう、授業の持ちこま数に上限を設けて、それができるだけの定数改善が必要です。そのほか、そこの記載にあるとおりです。
十八ページを御覧ください。給特法の廃止又は同等の抜本的見直しについてです。
現在審議されている給特法の改正案は、教職調整額を段階的に一〇%に引き上げるということですが、これは早期に引き上げるべきだと考えております。
しかも、今回の法改正は応急処置であって、教員の処遇改善としても、長時間労働是正としても、不十分であります。割増し賃金や罰則規定のないこのままでは、今回も業務削減や定数改善は大きく進まないのではないか。今回も、二、三年経過して三十分程度しか是正されない可能性は大であります。
十九ページを御覧ください。
これは石破総理も課題を認識されております。三月二十八日の参議院予算委員会において、学校現場出身の水岡俊一議員の質疑に答えております。
水岡議員、学校は働き過ぎて過労死がいまだに絶えない、これは何とかしなきゃいけないと総理思われませんか。
それに石破総理が答えて、何とかしなければなりません、抜粋ですけれども、子供たちにそういうようなしわ寄せが行くことは、もう我々としてはもう取り返しのつかないことをやることになりますので、子供たちの問題であり、そしてまた教師の人権の問題であることをよく認識しているというふうに答えていらっしゃいます。
二十ページ、二十一ページを御覧ください。
既に、長時間労働是正は、二〇一九年の時点で文科省も危機感を持っており、今回の答申でも触れております。一九年の中教審答申において次のように記載されております。
子供のためであればどんな長時間勤務もよしとするという働き方は、教師という職の崇高な使命感から生まれるものであるが、その中で教師が疲弊していくのであれば、それは子供のためにはならないものである、これまで我々の社会はこの教師たちの熱意に頼り過ぎてきたのではないだろうか、今回の学校における働き方改革は、自らの時間を犠牲にして長時間勤務を続けていくことを望むのか、質の高い授業や教育活動を担っていくことを望むのか、その選択が問われているのであると記載されております。
二十二ページを御覧ください。
また、課題については二〇一九年十二月三日、参議院文教科学委員会での当時の萩生田文科大臣の答弁で整理されております。これも抜粋ですけれども、給特法などの法的な枠組みについて根本から見直しをします、労働基準法の考え方とのずれがあるとの認識は見直しの基本となる課題であるとお答えになっております。
課題の根本は給特法にあることは明白であります。何回同じ議論を繰り返すのでしょうか。今回の法改正で学校の働き方改革の議論を終わりにしてはいけません。教員の働き方に影響を与える給特法の廃止に向けて速やかに議論をするべきです。
これまで私たちは、長時間労働是正を求めてきましたが、六年かかって三十分短縮のような進捗状況で、学校はもう崩壊しかけています。給特法を廃止して長時間労働が是正されれば、既卒の免許保有者が公立の学校を選び、教員不足も改善してくるはずです。今回の議論で、大胆な業務削減と大幅な定数改善を実施した上で、一、二年後、正面から労基法への移行を議論するとの立法府としての意思表示が必要で、国民に約束していただきたいのです。
二十三ページを御覧ください。
私たちは、労基法一条にあるように、全国の教職員の、人たるに値する生活を保障し、子供たちに向き合う時間を確保できれば、分かる授業、楽しい学校につながる、本来の生き生きとした学校の姿を取り戻せるのではないかと考えております。総理の言う、取り返しのつかないことになりつつあることを御認識いただいた上で、議員の皆様の真摯な議論をお願いし、意見陳述とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)