古田大輔の発言 (憲法審査会)

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○参考人(古田大輔君) ありがとうございます。
 本日は、貴重な機会をありがとうございます。
 そして、私の資料すごく多いので、ざあっと読みながら進めていきたいと思います。
 まず最初に、お断りですが、本日の資料や発言に関しては、日本ファクトチェックセンターの編集長としての活動を通じて得られているものですが、あくまで個人に属するものであるということを御理解いただければと思います。
 次、三ページ。私の自己紹介なんですけれども、私、元々朝日新聞の記者をしていて、その後、アメリカのメディア、バズフィードというところのヘッドハントがあって、そこの創刊編集長を三年ほどしておりました。ファクトチェックを私が始めたのがこのとき、二〇一六年からです。なので、日本の中では最も早く始めた人間の一人かなと思います。
 次、お願いします。
 日本ファクトチェックセンターなんですけれども、二〇二二年に設立しました。母体は一般社団法人セーファーインターネット協会で、非営利で偽情報対策に取り組んでおります。活動は二本柱で、ファクトチェックの実践とメディアリテラシーの普及。そのほかにも、偽情報の調査研究や技術開発にも貢献しております。そして、二〇二三年五月に国際ファクトチェックネットワーク、IFCNに加盟しております。今、大体二年八か月で約七百本のファクトチェック記事を配信しており、国内では最多となっております。
 次のページなんですけれども、私がファクトチェックを始めた二〇一六年、これが世界においては偽情報がとんでもないことになっているぞと気付いた年です。何があったかというと、イギリスのブレグジットの国民投票、アメリカでは米大統領選でトランプ候補が勝利と、両方想像を超えた事態が起きていたわけですね。これで、このネット上の情報が投票行動に与える影響ということに世界中の人たちが気付いた。これで、二〇一六年以降、世界中でファクトチェック団体とかメディアリテラシーとか法的規制の議論というものが一気に強まっていきました。
 日本にとっては、それが二〇二四年だったんではないかというふうに感じています。東京都知事選、総選挙、兵庫県知事選、これで皆さんが、あっ、ネットの情報でこんなに投票が動くんだということを実感した。なので、この世界の二〇一六年が日本の二〇二四年だなと感じております。
 次をお願いします。
 結論からなんですけれども、七ページ、ファクトチェックは対策として必要不可欠ですが、それだけでは全く不十分です。なぜなら、うそは一秒でつけるんですね、で、ファクトチェックしようと思ったら、最低でも数時間掛かるわけです。これもう全く数の上で勝負にならないんですよね。しかも、うそをつく方は、それでお金もうけができたり、それで選挙に勝ったり、インセンティブがあります。でも、ファクトチェック側は、それを無料で配布しないといけないのでビジネスにもならないし、もう全くもってこれだけでは勝負になりません。
 次、お願いします。
 というわけで、我々ファクトチェック業界の人間たちは十年間ぐらいこういうのを議論をしているんですよね。で、みんなもう同じ結論出していて、今、山本先生からもまさにお話があったように、もう複合的にいろんなことをやるしかない、ファクトチェックはそのいろんなことをやるために参考になる資料になるんですね。あっ、こういう偽情報が拡散していて、こうやったら検証できるんだなという資料を整えるのがファクトチェックという効果もあります。
 じゃ、十ページ、お願いします。
 そんな中で、日本ファクトチェックセンターは主にファクトチェックをやっているんですけれども、今現在でいうと、設立当初が月十本ぐらいやっていました、今は体制を整えて月四十本ぐらいやっています。日本の中では圧倒的に多い数字です。
 十一ページ。検証対象なんですけれども、元々、医療・健康、国際問題、政治、文化・エンタメ、事件・事故、もう何でもやっております。二〇二四年からの圧倒的なこのトレンドとしては、政治、選挙関連が圧倒的に増えた、これも明らかに都知事選、総選挙、兵庫県知事選の影響です。
 一度こういうトレンドが動き始めると、世界的な状況を見てもトレンドは変わりません。今後ますます選挙と政治に関する偽情報が増えます。なぜなら、それが金になるとか、これが力になるということを認識した人たちがいるからです。
 次、十二ページ。我々は、この検証対象を選ぶ際に公正さを非常に重視しております。私たちが何でこれを検証しているのかということを人にちゃんと説明できるようにしておく、そのために、その偽情報の検証対象に関して、影響する人の多さとか、影響の深刻さ、そして影響の身近さ、ここら辺を尺度にして検証対象を選んでおります。
 次、十三ページ。もう一つ非常に重要なのが、大前提として、我々がやっているのはファクトチェックです。オピニオンチェックではありません。
 なので、例えば、雲が出ている、雨が降りそうだ、傘を持とうという文章があったときに、私たちが検証をするのは、あくまで雲が出ているという事実の提示に関してです。本当に雲出ているんですかというところですね。雲が出ていなかったら誤情報というふうに我々は検証します。一方で、たとえ雲が一つも出ていなくても、雨が降りそうだって考えることや、傘を念のため持ち歩くのは本人の自由です。なので、そこに関しては我々は全く検証しません。
 次、お願いします。
 そういった中で、我々、日々検証しているんですけれども、特に注目が集まるトピック、注目が集まるトピックというのは、つまり偽・誤情報のターゲットになりがちです。
 なので、例えば災害とか選挙とか、そういったときに関しては非常に集中的に検証をするようにしています。日本においてはもう一つ、この福島第一原発からの処理水の海洋放出、これはもう国際的に偽・誤情報の標的になっていたので、このときにはかなり力を入れて特集をしました。
 十五ページです。
 二〇二四年総選挙のときの我々の状況なんですけれども、十二日間の間で二十八本のファクトチェック記事と五本の解説記事を出しました。同じ期間にどれだけのファクトチェック記事が出ているのかというのを数えていました。我々以外にファクトチェック団体は日本に二つあります。それ以外に、全国紙及びキー局、そして通信社がどれだけファクトチェック記事を出すか数えてみたんですけれども、六本でした。ということは、日本において総選挙で出たファクトチェック記事の合計は三十四本です。これは、日本の規模の民主主義国家ではあり得ないほどの少なさです。
 なので、我々は、日本としてこの偽情報対策が世界に比べて八年遅れたというのはやっぱり今もかなり影響している、日本は非常にこの偽情報対策が遅れた国であるということが言えるかと思います。
 十六ページをお願いします。
 さらに、もう一つ大きな問題があります。それは、人々が情報を求めている瞬間に情報が十分に存在していないということです。これを我々は情報の空白と呼んでおります。
 この左側のチャートなんですけれども、兵庫県の人々が、グーグル検索で兵庫県知事選に関するワードをどれだけ、いつの段階で検索し始めたかというのを調べたチャートです。それで見ると、当たり前の話ですけど、皆さん、告示日後に検索を始めるんですよね。ただ、同時に、そのタイミングで新聞やテレビは個別候補者に関する記事を余り書かなくなる。公正性を配慮して、有利にも不利にもならないようにしようという配慮ですね。その結果、何が起こるかというと、例えば、ユーチューブの検索結果を当時見ていた方は多分驚愕したと思うんですけれども、トップからずらりと立花さんや立花さんが語っている動画ばかりがずらっと並ぶことになってしまう。
 そういうのが情報の空白ですね。人々が情報を求めている瞬間にそれに関する信頼性の高い情報が十分に供給されない状況になってしまう。そうすると、この偽・誤情報が大きな影響力を持つようになります。
 十七ページの図を見てください。
 私たちがやっているのは、その情報の空白に皆さんが検索しそうなキーワードでファクトチェックを打ち込んでいくことです。これが非常に重要です。
 よくソーシャルメディア上では偽情報の方がよく拡散するではないかというふうに言う人います。それは事実です。しかし、検索結果を見てみてください。皆さん、気になった情報は検索するんですよね。そのときに、我々の情報、ファクトチェック情報というものは必ず偽情報よりも上に出てくる。ここでやっぱり勝負をする必要があるのかなというふうに思っております。
 十八ページです。
 このようにして、我々、自分たちのサイトだけではなくて様々なプラットフォームそれぞれにコンテンツを配信しており、十九ページ、生成AIにも我々の記事というものは参考にされております。
 そして、二十ページ。世界的なファクトチェックのデータベースとしては、グーグルのファクトチェックエクスプローラーというところがあります。ここにも日本から唯一我々の記事だけが収録されるようになっております。
 次に、二十一ページからなんですけれども、ここは私たちがやっている教育活動です。
 冒頭に申し上げたように、ファクトチェックは必要不可欠な対策ですが、それだけでは不十分です。皆さん一人一人が偽情報から守る盾を身に付けていただけるように、私たちはこのJFCのファクトチェック講座というものを開いております。
 一つ飛ばして二十四ページ、二十五ページを見ていただきたいんですけれども、そのファクトチェック講座、これ無料で受けられます。それを受けた方々に今度は認定試験を受けていただいて、このバッジを配っております。さらに、教育者向けには講師養成講座も開いております。この講師養成講座を修了された方がどんどん増えておりまして、その方々に草の根でファクトチェック教育を広げていってもらっております。
 次のページ、二十六ページですね。
 その講師養成講座を修了した方々には、私たちから最新の、今はこういうのがはやっているから気を付けてねというふうな教材を共有するようにしております。
 二十九ページ、三十ページの方を見ていただきたいんですけれども、こういった、我々、そのファクトチェックやメディアリテラシーの知見を更に広げていくために、まず、やっぱりエビデンスが重要ですので、調査研究をいろんな団体とさせていただいております。それを基にシンポジウムで業界や組織を超えて知見を共有するようにしております。
 三十三ページですね。このAIツールの開発なども非常に重要になってきておりますので、このAI開発企業などとも協力をしております。要は、AIにどうやってファクトチェックするかを教えるのは人間なんですよね。なので、そういうふうな我々の知見を基にAIツールの開発に取り組んでいただくようにしております。
 残りまだあと半分ぐらいあるんですけれども、そこはざっと見ていただくことにして、五十五ページ、五十六ページのところをちょっと見ていただけたらと思います。
 五十六ページ、皆さんも御関心あるかと思いますけれども、財務省、厚労省解体デモのようなものがなぜ広がるのかというところです。これは、この中ではもう私たちが検証したようなことがいまだにずっと語られているんですよね。五十七ページを見てみてください。
 そして、五十八ページ、五十九ページを見ていただきたいんですけれども、なぜそういったことが信じられてしまうのかというと、それは個人の体験や感覚に根差しているからです。いやもう生活が苦しいであるとか、政府は信用できないであるとか、そういうふうな個人的な体験や感覚に根差したところにこのナラティブ、物事の見方が生まれてきます。厚労省や財務省は問題のある組織で信頼できないというような見方が生まれ、そうすると偽情報、誤情報が広がりやすくなってしまいます。
 次のページを最後にしたいと思うんですけれども、そういったことを防いでいくためにはまずもって信頼性の獲得が重要です。それはメディアもそうですし、ファクトチェック機関もそうですし、政府もそうです。そういった中で非常に重要になってくるのが情報公開。常になぜ私たちがそういうふうな取組をしているのかということを広げていくということがまずもって重要なのかなというふうに思っております。
 以上、雑駁ですが、ここまでとしたいと思います。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 古田大輔

speaker_id: 3701

日付: 2025-06-04

院: 参議院

会議名: 憲法審査会