西田実仁の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○西田実仁君 公明党の西田実仁です。
 私は、公明党を代表し、高市総理の所信表明演説に対し、質問をいたします。
 憲政史上初の女性総理、新政権の誕生にお祝いを申し上げます。国民の大きな期待に応えられるよう、未来に責任ある政権運営を求めたいと思います。私たちも、協力すべきは協力し、正すべきは正し、日本の政治を前に進める決意であります。
 公明党は、昨年来の国政選挙の厳しい審判を受け、政治と金の問題を解決しなければ国民の信頼を取り戻すことはできないとの覚悟で連立解消を決断をいたしました。自由民主党の皆様とは、長きにわたり御指導を賜り、様々な国難を乗り越えてまいりました。心から感謝を申し上げます。
 しかし、総理の所信表明では、政治と金の問題への具体的な言及がなく、政治への信頼を回復するための改革という抽象的な表現にとどまりました。この改革とはどういうものなのか、明確に示していただきたかった。
 また、自民党と維新の会の政権合意では、行政府を預かるための合意にもかかわらず、立法府が決めるべき議員定数の削減ばかりが強調されています。三権分立はどこへ行ったのでしょうか。
 身を切る改革は理解します。しかし、優先すべきは、政治と金の問題に決着を付け、国民の信頼を回復した上で、庶民の暮らしを圧迫する物価高対策に迅速に取り組むことではないでしょうか。
 公明党は、中道改革勢力の結集軸として、一人の声を大切にする人間主義の政治を貫いてまいります。庶民の暮らしを守り、地域と社会に安心と希望を広げてまいります。
 その具体策として、五つの政策の柱を掲げました。一つ、世界平和と安定を図る現実的な外交・安全保障。二つ、信頼を取り戻す政治改革。三つ、科学技術による成長と、経済、エネルギー、食料の安全保障。四つ、教育、ジェンダー、共生など包摂社会の実現。五つ、新たな社会保障制度改革です。
 これら五つの政策の柱を打ち立て、総理が強調される強い日本、強い経済のその先に、私たちの生活はどうなるのか、そこに焦点を当てて、以下、具体的に質問をいたします。
 第一の優先課題は、持続的な賃上げと経済成長の実現です。そして、当面何より重要なのは、庶民の家計の負担を軽減する即効性ある物価高対策です。
 総理の所信表明では、給付金は国民の皆様の御理解が得られなかったとして実施しないと断言されました。一方、各種メディアが選挙で民意を得たという消費税減税については何も語られませんでした。
 食料品価格の上昇は止まらず、生活者の体感物価が一〇%を超える中で、早急な支援は待ったなしです。しかし、今回の総理の所信には、給付はやらない、消費税減税は言及なし、給付付き税額控除は制度設計に着手、年収の壁は真摯に議論と述べるにとどまり、いずれもていのよい先送りです。
 地方独自の支援策である重点支援地方交付金は、自治体ごとの準備や手続に差があり、物価高への即効性に欠けます。
 連立を組む維新の会は、物価高対策として飲食料品の消費税二年間ゼロを掲げておられます。これは、一人当たり年間二万円から三万円程度の支援に当たり、現下の物価高対策にはその規模の支援が必要だということなのでしょう。しかし、減税は制度改正に時間が掛かります。
 そこで、実現までのつなぎとして、年間二万円から三万円程度の支援又は総理が所信でも触れられた電気・ガス料金を半額にするほどの支援が必要となりますが、後者の場合、明らかに地球温暖化対策に逆行をいたします。
 将来的なあるべき制度構築の前に足下の生活に困っている方々にまずは一息ついてもらう、そのための即効性ある支援は一体何をするのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 次に、物価上昇を上回る賃上げを定着させるための支援について伺います。
 一部の大企業を中心に賃上げが進む一方で、多くの中小企業や非正規で働く方々にはいまだ十分に行き渡っておりません。このままでは格差は広がり、暮らしの安心も持続的な経済成長も望めません。
 継続的に賃上げできる環境を整えることこそ政府の役割、総理の言われるとおりです。であるならば、賃上げ促進税制の縮減などは、政府の誤ったメッセージとなりかねません。東京商工リサーチによれば、政府が掲げる二〇二〇年代に最低賃金の全国平均を千五百円に引き上げる目標に不可能と答えたほぼ半数の企業が賃上げ促進税制の拡充を求めています。
 そこで、お尋ねします。
 まず、政府が掲げてきた二〇二〇年代に全国平均の最低賃金を千五百円に引き上げる目標は堅持するのでしょうか。所信では言及がなかったので、確認します。目標を変えないのであれば、とりわけ中堅・中小企業向けの賃上げ促進税制の縮減はすべきではないと考えますが、総理のお考えをお聞きします。
 第二に、国民生活の安心のよりどころである社会保障制度の改革について伺います。
 総理は、所信表明で、社会保障制度改革を進める中で、現役世代の保険料負担を抑えると述べられました。これは現役世代の生活を支える上で重要な視点です。
 一方、維新の会も、参院選の公約で社会保険料を下げる改革を掲げ、医療費を年間四兆円削減して、現役世代一人当たり年間六万円の負担軽減としています。この四兆円の削減のためには、OTC類似薬の保険適用除外と病床数の適正化で二兆円を賄うとしています。医療DXも掲げておられますが、その削減効果は不明のため、残り二兆円の捻出は専ら高齢者の窓口負担を増やす必要があります。国民医療費のうち、七十歳以上の方の医療費は約二十四兆円ですので、維新の公約に従えば、七十歳以上の高齢者の窓口負担をおよそ一割増やすことになります。
 総理は、診療報酬の引上げを述べておられます。これは国民医療費の増額につながります。その一方で、現役世代の保険料負担を減らすのであれば、より一層の高齢者の負担増、具体的には窓口負担を増やす、こうした世代間での負担調整によって財源を確保すると考えられます。そういう理解でよろしいか、今後の率直な議論のため、総理、明確にお答えをいただきたいと思います。
 その上で、政権合意には、年齢によらない真に公平な応能負担の実現も明記されています。賛成です。そのためには、金融資産や不動産など、資産の正確な把握が欠かせません。
 預金については、既に任意での番号付番が実施されており、預金保険機構が口座の名寄せシステムを持っています。一定以上の口座残高保有者に付番を義務付ければ、同機構での口座情報の管理は可能です。有価証券口座の番号付番は既に義務化されています。
 不動産においても、固定資産税台帳に一部自治体が既に部分的に付番しています。来年度以降、自治体の標準システムで固定資産税台帳での付番管理が進みますので、税務当局が固定資産税額を基に資産把握できる仕組みの整備は可能です。
 年齢によらない真に公平な応能負担のため、是非、預金や有価証券、不動産などの資産を把握するインフラを本格的に整えませんか。総理の答弁を求めます。
 誰もが希望に応じて活躍できる社会の土台として、より長く健康でいられることが大切です。その実現のために我が党が力を入れているのが健康づくりと予防医療の推進です。がんを含む生活習慣病の重症化予防は、生活の質の向上や健康寿命の延伸だけでなく、医療費の抑制効果も期待できます。
 また、高齢者が心身共に健康を維持向上させるためには、社会とのつながりを強化することも重要です。就労を含む様々な地域や社会活動への参加は健康に良い影響を与えることが国の健康増進計画でも示されています。
 例えば、国民の健康づくりの行動に対するインセンティブの付与や、高齢者が人生経験や知識を生かして活躍できる環境整備、マッチング機能の強化など、具体的な取組を進めるべきです。活力ある健康長寿社会をどう実現するのか、総理のお考えを伺います。
 第三に、国民の信頼を取り戻す政治改革について伺います。
 政治と金の問題は、政治家個人が起こしたものであり、一般の国民の皆様にとっては何ら関係ありません。しかし、自ら起こした問題も解決できない政権に私たちの暮らしを守ることなどできるのか、それが率直な国民の思いであり、さきの国政選挙の結果だと思います。
 総理は、総裁選中に、政治資金パーティーをめぐる収支報告書への不記載問題に関して、既に決着済みと発言されました。しかし、国民一般は、いまだ真相解明されていないと認識しています。みそぎが済んだと言われる国政選挙後にも、元政策秘書が略式起訴されたり、還流再開を求めた幹部名が法廷で明らかになったり、検察審査会の議決により不起訴不当として再捜査が始まったりしているからであります。
 我が党との政策協議の際にも、総理は、改革の必要性は訴えておられましたが、私たちが求めた不記載問題の真相解明について具体的な行動は何一つ示されませんでした。最新の世論調査でも、自民党の派閥裏金事件に関わった国会議員を政府や党の要職に起用することについて七割を超える国民が反対の意思を示しています。
 やはり事件の真相解明、何らかのけじめが必要なのではないでしょうか。たしか総理は、不記載議員は内閣には入れないとおっしゃっておられたと記憶しておりますが、それに準じる副大臣や政務官には複数の不記載議員が任命されています。どのような判断基準なのでしょうか。御説明願いたいと思います。
 さらに、企業・団体献金の規制強化についてお聞きします。
 三十年前の政治改革では、献金が政治をゆがめないよう、政治家個人への献金は禁止されましたが、政治家個人が支部長を務める政党支部への献金は認められました。その結果、政党支部が議員個人の企業・団体献金の事実上の受皿になっているのではないかと批判されています。
 我が党及び国民民主党は、こうした批判を踏まえ、企業・団体献金を受けられるのは政党本部及び都道府県連のみとすることなどを定めた規制強化の法案を作成中です。これにより、政党支部が議員個人の財布ではないことを明確にします。速やかに国会に提出し、各政党との協議に臨みたいと考えています。
 この政党支部と議員個人の財布を切り離す規制強化策について、自民党総裁としてどうお考えでしょうか。
 第四に、教育、子育て支援、共生社会の実現について伺います。
 物価高騰で苦しむ若者に寄り添い、負担軽減に向けた奨学金改革を行うべきです。
 まず、奨学金減額返還制度の拡充です。現行の最大四分の一の減額に加え、新たに六分の一段階を新設することを提案します。これは速やかに実行すべきです。
 次に、企業による奨学金の肩代わり返還支援の拡大。長野県では、多様な働き方や若者の育成に取り組む企業を認証し、県が全額補助をして拡大をしております。こうした取組は企業や自治体への定着促進になりますが、普及率は低く、インセンティブを強化して全国拡大を加速化すべきです。
 加えて、公明党は、住宅ローンへの減税と同様、奨学金減税を提案しています。これは、奨学金返済額の一定割合を所得控除又は税額控除することで、制度設計次第では返済額の半分を国が支援することも可能となります。奨学金返済の負担軽減は、企業や自治体に丸投げするのではなく、国も支援する姿勢を示すべきです。
 さらに、返済不要の給付型奨学金の数も増やす。スタートアップのガクシーという企業では、寄附の運用益で持続可能な給付型奨学金をつくるという革新的な取組をされておられます。民間による給付型奨学金を増やしていくために、個人や企業からの寄附に対する大幅な税制優遇が必要です。
 若者の活躍のため、奨学金減税を含む奨学金改革に取り組むべきです。総理の決意をお伺いします。
 高校無償化については、低中所得層や地方の家庭には恩恵が少ないという声や、公立高校がなくなるのではという懸念の声が全国から寄せられております。
 公明党は、無償化さえすればよいのではない、多様な子供のニーズに合わせ、質の高い教育がなければ選択肢や可能性は広がらないとして、地方の高校生の学びを支える公立高校の支援や、授業料以外の教科書代や制服代等を支援する高校生等奨学給付金の低中所得層への支援を訴えてまいりました。経済的に御苦労されている御家庭、弱い立場にあるお子さん、過疎化が進む地方の公立高校への支援なくしては、高校無償化の目的は果たされないのではないでしょうか。
 単なる無償化ではない、多様な子供たちのための質の高い高校教育改革について、総理の考えを伺います。
 未来の宝である子供たちを社会全体で育み、子育てに喜びと希望が持てる社会を実現することが政治の責任です。公明党は、子供が生まれてから社会に巣立つまでの無償化を目指し、支援策の充実に一貫して取り組んでいます。
 一方で、物価高と実質賃金のマイナスが続く中で、家計、特に子育て世帯の経済的負担は一段と増しており、子育てへの経済的負担が大きいとの声が後を絶ちません。加えて、想定以上のスピードで少子化も進んでおります。こうした国内の状況を踏まえれば、子育て支援において次なる一手をちゅうちょなく実行する必要があります。
 多くの子育て世帯の負担を更に軽減するため、今年度の税制改正で維持された高校生世代の扶養控除を来年度以降も継続するとともに、年少扶養控除を復活させるべきです。
 また、総理は、大臣への指示書で子供の貧困対策と明示されました。物価高でお米も買えず、衣替えもできない子育て世帯への具体的な緊急支援も検討すべきです。
 さらに、妊婦健診、出産の費用や心身への負担が大きいとの声にも応えるため、妊婦健診や出産費用の自己負担をゼロにするための施策とともに、産後うつや孤立を防ぐための産後ケアの充実等を進め、全ての妊婦が安心して出産できる環境を整備すべきです。
 子育て支援の抜本的な強化について、総理の答弁を求めます。
 深刻な人手不足に直面する我が国では、一定の範囲内で外国人材の受入れを進めています。現在、介護や製造業など様々な分野で外国人材が活躍し、地域活動にも参加するなど、日本経済や地域社会を支える不可欠な存在となっています。
 一方、受入れ拡大に伴う文化の違いによる摩擦やルール違反等の課題に対して、人々が不安や不満を抱いているのも事実です。厳格な対応に加え、必要な対策の強化や制度の見直しも必要であります。
 公明党は、感情的な排斥ではなく、安全、安心という土台の上に、日本人と外国人が互いを尊重し、安心して共に暮らせる環境整備を進めるべきと考えます。そのためには、消極的な寛容にとどまってはならないと考えます。さもなければ、社会に緊張が高まったときに排他主義を食い止めることが難しくなると危惧するからです。大事なのは、同じ人間として向き合い、互いの尊厳を信じ合う積極的な寛容ではないでしょうか。
 対立や偏見を根絶し、互いの尊厳を信じ合う真の多文化共生社会を構築するためには何が必要か。総理の人権文化に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 第五に、世界の平和と安定を図る外交・安全保障について伺います。
 北東アジアの安全保障環境の厳しさが増す中、高市政権は強い日本の実現を掲げ、防衛費のGDP比二%目標の達成時期を前倒しすることや、安保関連三文書の改定を進めようとしています。
 必要な防衛力を高めるための整備は重要です。しかし、防衛費の増額については、その規模や時期ありきではなく、中身を詰める必要があります。
 物価高が進む中、防衛費増額は国民生活や財政に大きな影響を与えます。政府は、なぜ必要なのか、財源をどのように捻出するのかを明確にし、丁寧な説明を通じて国民の理解を得ることが防衛力強化には不可欠です。総理の見解をお聞かせください。
 国家安全保障戦略で最上位に位置付けられたのは外交です。防衛力だけを強化しても、真の安全保障にはつながりません。
 軍事的な緊張を高めるのではなく、人間同士の対話というソフトパワーこそが国家間の対立を超えて協調を生み出す鍵です。不測の事態を未然に防ぐためにも、多国間対話による信頼関係の構築が極めて重要です。
 そこで、公明党は、日本、米国、韓国、中国、ロシア、北朝鮮などを参加国とした新たな常設の対話枠組みとして、大使級が常駐する北東アジア安全保障対話・協力機構の創設を提案しております。平和国家日本こそが、この機構の創設を主導すべきです。
 この機構では、初めから安全保障の核心から入るのではなく、まずは防災、災害救援、気候変動など共通課題での協力を通じて参加国の信頼を積み重ねるアプローチが現実的です。
 実現に向け公明党は、既に国会質問や政府への提言を重ね、米国や中国の政治関係者への働きかけも進めております。今後は、党派を超えて議論を深めていきたいと思います。
 前総理は実現に向けて努力したいと明言をいただきましたが、北東アジア安全保障対話・協力機構の創設について、高市総理の答弁を求めます。
 最後に、国民の命と暮らしを守る生活インフラの安全保障について伺います。
 埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて行われた下水道の全国特別重点調査では、原則一年以内の速やかな対策が必要な区間が全国で九月末時点で約七十五キロメートルに上り、空洞も複数確認されました。尊い人命が失われ、今もなお健康被害を訴える方がおられる事故の教訓を生かさねばなりません。
 公明党は、道路、橋梁、上下水道、電気、ガス、通信網などの生活インフラを災害や老朽化リスクから守ることを生活インフラ安全保障と位置付けて、強力な対策を講じるべきと考えます。
 予防保全型投資の拡充、デジタル技術の高度化、自治体への財政・技術支援の強化など、国が責任を持って災害・老朽化対策を推進すべきです。総理の見解を伺います。
 結びに一言申し上げます。
 多党化の時代を迎える中、我が国に山積する難題を解決するには、国民の信頼回復と対立を超えた責任ある政治が不可欠であります。
 これまでも与野党で議論を積み重ねてまいりました選挙制度や社会保障、外交・安全保障など国の根幹に関わるテーマについては、丁寧な政策協議が求められます。与野党それぞれの責任と覚悟が必要と考えます。
 これからも公明党は、大衆とともにとの立党精神を胸に、国民の幸福と世界平和の実現に全力を尽くすことをお誓いし、私の質問を終わります。
 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121915254X00420251106_005

発言者: 西田実仁

speaker_id: 26049

日付: 2025-11-06

院: 参議院

会議名: 本会議