菅原茂の発言 (災害対策特別委員会)
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○菅原参考人 皆さん、おはようございます。宮城県気仙沼市の市長の菅原茂でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
東日本大震災から十五年が経過しました。岩手、宮城、福島の被災三県の中で、沿岸部において首長を継続して続けているのは私のみになってしまいました。また、一昨日、五選を果たしましたので、このことが私の使命と思い、これからも防災に尽力をしていきたいと思っております。御指導をよろしくお願いいたします。
お手元に本市の被害状況と住環境整備についての資料を置かせていただきましたが、細かいことにつきましては本日はお話はさせていただかなくて、省いて、後で見ていただければと思います。
基本的にハード面の復興は完了して、町の姿は防災力も含めまして大変変わりましたし、随分強くなったというふうに理解しております。これまでの政府の復旧復興に対する御尽力に心から感謝を申し上げたいと思います。大変ありがとうございました。
一方、そのペーパーの右下にあります人口と高齢化の推移を見ていただきたいと存じます。人口減少が著しく、特に高齢化率の上昇が激しいということ、つまり、生産年齢人口が極端に細っている状況にございます。そういう意味で、ここから、復興には、ハード整備と被災者ケアだけではなくて、産業の強力な振興というものがあって初めて復興するんだろうなということが読み取れると思います。
二項目めに移りたいと思います。防災庁の設置を歓迎するということでございます。
本市は、昨日の夕方まで、北海道・三陸沖後発地震注意情報の対象地になっていました。東日本大震災から本日まで、私が市長にある間に、津波による避難指示を八回出したことがあります。また、大雨洪水、土砂災害に関しましては、高齢者避難もありますので、十四回も出しております。つまり、全国の多くの自治体が災害と隣り合わせにあるということでございます。事前防災を含むことを所掌とする常設官庁、防災庁が設置されることは大変時宜を得たものであり、必要だと感じているところでございます。
なお、本市は、内閣府の行政実務研修、防災スペシャリストOJTに五年前から職員を派遣させていただいております。極めて有効だというふうに感じております。本日の私の随行も、その経験者が担当しております。
是非、防災大学校は実現してほしいと思いますし、立地につきましては、大災害に備える防災局と併せ、被災経験のある土地又はその周辺、オフサイトとなるのだと思いますが、候補になると考えております。
大震災から十五年を経ても、復興庁は私たちにとってよりどころであり、窓口として機能しております。復興庁で得た知見を生かした上で、防災庁は、より網羅的であり、創造的な役所として発足、発展してほしいと願っております。復興庁が受け身としてつくられたのに対し、防災庁は未来を守るための攻めの官庁であってほしい、そういうふうに願っております。
三つ目です。直接的犠牲者を出さないことに最大限の注力をしてほしいということです。
災害で実際に人が犠牲になる場面、それは一瞬であり、捉えることができません、報じられません。亡くなった人は話もできません。それに対し、避難所の生活は長くて、マスコミも常時取材をしています。避難者は課題を話すことができます。
防災というと避難訓練、特に避難所の設営や運営などについてが訓練の中心となりまして、防災力が高まったと思いがちでありますが、本当に大事なのは、避難所に無事に到達することであります。津波の場合などは、それがほぼ全てと言っていいのではないかと思っています。そのための調査研究に注力をしてほしいと存じます。
例えば、津波における徒歩避難でありますが、徒歩避難は基本と言われ、例外的に車避難が認められている状況にありますが、全地区そのような考え方でよいのか、また、例えば遠地津波のように時間の余裕のあるときも同じでよいのか、明確な基準がありません。さらには、車の渋滞について、避難所の駐車場の吸い込みについてどれほど研究されているのか。また、停電で信号がついていないとき、またついているとき、全く状況は違います。そのことについても研究がされていないと思います。
つまり、東日本大震災での課題はまだまだ十分に解決されておりません。避難者への対応も大変大事でありますが、まずは、どう命を救うかということについての研究を進めていただきたいと思っています。
四つ目です。いわゆる事前防災に当てはまると思います。社会的な仕組みのことです。大規模災害では、速やかに国職員を自治体へ派遣をお願いしたいと思っています。
大規模災害発生時、自治体としては、人命の救助、道路の啓開、支障物撤去や被災者支援に集中しますが、首長にとって、どうしてもその費用が気がかりになります。災害対策基本法及び災害救助法などその関連法令を読み解き、復興ステージを含めて連続的に発せられる政府の膨大な数の通知などを整理し、首長に解説を含め判断の手助けをする補佐役が必要であります。本庁でいえば、各省庁とやり取りができる課長補佐級が必要だと思っています。場合によっては複数の中長期派遣が必要であり、システム化すべきだと考えます。
本市では、東日本大震災において半年近くたった頃、当時の古川元久官房副長官からお声がけがありまして、トライアル的に、入省三年から五年目のキャリア官僚四名、財務、国交、厚労、総務から送っていただきました。復興支援員として、半年、私たちと一緒に復興復旧に当たりました。大変有効だったし、今もその中には本市に心を寄せていただいている方もいらっしゃいます。一方で、もっと早く首長としては片腕が欲しかったなという思いが強くあります。
事前防災の二つ目です。公営住宅の入居要件の緩和。
先週、住宅の耐震化率について、日経新聞の「経済教室」の欄に先生が取り上げておられましたけれども、本市の住宅の耐震化率は八〇%前半です。これは地方としては異常に高いと思います。それは、多くの家が一旦被災して全壊したからであります。一方、診断や改修に踏み切れない方々が大勢いらっしゃって、その多くは高齢者だったり、改修費用が出せない、また、どうせやるなら水回りやバリアフリーも一緒にしたいということで、費用が大きく見えてしまう、そういう方たちです。
また、全国で現在、土砂災害警戒区域の指定が進んでいますが、そこに、高齢者や障害を持つ方、緊急車両のアクセス困難の方など、防災の観点から本来移住が望ましい方が多く存在しています。これら安全な場所への移住の必要性のある人のために公営住宅が活用できないかと思っています。
私たち東日本大震災の被災地はもとより、人口減少社会において、災害公営住宅や従来の公営住宅はますます空きが出てまいります。公営住宅法による入居者の条件、住宅困窮者、つまり持家がないことの緩和は防災上意味があると考えるので、事前防災の一つとして考えていただければと思っています。
事前防災の三つ目です。大都市圏大規模被災における高齢者、児童生徒の疎開です。
首都直下地震などにおいて、直後の最大の問題は人口の多さだと想像しています。食事や排せつなど、すぐに限界に達します。一方、町の復興には時間がかかります。
東日本大震災では、多くの高齢世帯は、仙台圏や関東圏に暮らす子供たちの家庭に、又はその周辺に長期にわたり避難をしました。
大都市圏での被災において、高齢者世帯を地方において受け入れたり、少子化により児童数が減少し、少人数学級や空き教室を利用し、学校そのものを受け入れたりするホストシティーの制度を創設できないか、検討をお願いしたいと思っています。これも事前防災の一つになると思います。
東日本大震災で全国から支援を受けた東北の被災地は、恩返しをしたいと思っています。都市部の被災地のために役に立ちたいと考えています。事前に自治体のマッチングを行うことで事前交流が発生し、政府の計画するふるさと住民登録制度や関係人口づくりにも寄与して、地方創生の後押しになると考えられます。
最後になりますが、震災遺構への運営支援です。
本市では、津波で四階まで浸水した旧気仙沼向洋高校の校舎を震災遺構とし、近くにあって同じく被災した観光施設を伝承館として再建し、大震災の記憶の伝承と防災教育の拠点として活用しております。年間五、六万人の来場者があります。整備には復興交付金、復興特交と災害復旧制度を活用しました。現在、入館料大人五百円をいただいておりますが、年間三千万円ほどの手出しが発生しています。当初は千五百万円ぐらいだと思いましたが、だんだん来館者が落ち着いてきたり、コストが上がってきたりしております。また、他の自治体の施設では、無料のところもいっぱいあります。
防災庁では、震災の伝承にも力を入れ、このような施設に対して経済的支援ができないか、検討をお願いをしたいというふうに思っております。
東日本大震災の被災地からの代表として、私からの発言は以上とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)