藤井多希子の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(藤井多希子君) 国立社会保障・人口問題研究所の藤井と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。(資料映写)
それでは、いただきました時間が二十分と短うございますので、早速始めさせていただきたいと存じます。
今日、私のお話は、これからの皆様の議論のベースとなるようなデータを中心にお話をさせていただくんですけれども、ところどころ枚数がとても多いのは御参考にと思いまして持ってまいりましたデータですので、紙芝居のようにスライドがちょっと動きますので、もしかしたら画面の方が御覧になりやすいかもしれません。
今日の私のお話は主に二つでございまして、人口減少・少子化の構造と推計から見る世帯構成の変化の二つでございます。
人口減少につきましては、もう御承知のとおり、私たちが二〇二三年の四月に公表いたしました将来人口推計の中位推計の結果をこちらに御覧いただいておりますけれども、二〇七〇年に八千七百万人にまで人口は減るというふうに予測されておりまして、そのときには高齢化率は三八・七%だろうというふうに一貫して上昇するんですけれども、一方で二〇四三年に高齢者人口の実数としてはピークを迎える、で、今後は六十五歳以上人口ですら減少していくということになります。
そして、この全国レベルで見る人口減少の過程というのは地域格差を伴っておりまして、二〇二〇年を一〇〇とした場合の二〇五〇年の都道府県別の総人口の指数を見ますと、一〇〇を超えるのは東京だけでございまして、秋田は四割以上の減となります。
また一方で、六十五歳以上の人口だけを見てみても、二〇二〇年を一〇〇とした場合に、二〇五〇年の指数で見ると、大都市圏では大体一〇〇以上にはなるんですけれども、東北ですとか、あとは四国地方などではとても青い、一〇%以上の六十五歳以上の減少というものが見込まれております。
また、六十五歳以上人口のピークがいつだったのかということをこちらの図で御覧いただいているんですけれども、濃い緑色で示しているところがもう既に六十五歳以上の人口の実数ですらピークが迎え終わったということになります。
これがなぜ起こっているのかということを簡単にお話ししたいと思うんですが、その前に、二〇二〇年の人口ピラミッドを見ますと、もう明らかなとおり、七十代の前半、この二〇二〇年の時点では七十代の前半に団塊の世代があり、そしてその後、五十代、四十代の後半ぐらいに団塊ジュニア世代と言われる世代があり、そしてその後、まあ団塊孫世代とここではちょっと呼んでいるんですけれども、本来であればベビーブームがあるべきだった団塊ジュニアの子供の世代ではベビーブームがなかったということになっておりまして、これが三十年後になるとこのような人口ピラミッドになっていくということになります。
なぜ人口が増えたり減ったりとかするのかということをちょっとだけ人口学の基礎知識的なところからお話をさせていただきたいんですけれども、人口転換理論ということを御存じないかなと思って、ちょっとここでお話をさせていただきたいと思います。
例えば、農村社会において、たくさん生まれるけれどもたくさん亡くなる、赤ちゃんがたくさん生まれるけれども成人に至る前にたくさん亡くなってしまうというような多産多死という状況があり、その後、公衆衛生の発展ですとか、あるいは医療技術の発達などによって先に死亡率が減少し、その後、出生率が下がっていくというこのメカニズムの中で、一国を見た場合なんですけれども、人口移動がないと仮定した場合には、死亡率が先に下がっていきますので、出生率が高いけれども死亡率が低いというようなところで人口が増加していきます。日本では一体いつぐらいにこの人口転換が起こったのかということを見ますと、大体一九二〇年代の半ばから一九五〇年代の半ばぐらいに大きく人口転換が起こってきたというふうに認められています。
実際のこれは数字で見ると、ここでの出生率や死亡率というのは人口千人当たりの出生率なので、普通死亡率、普通出生率と言われるものなんですけれども、ここを御覧いただくと分かるとおり、大体一九三〇年から五〇年代ぐらいの半ばにかけて出生率と死亡率の差が大きいことが分かります。また一方で、二〇〇八年ぐらいでは死亡率の方が出生率よりも高くなって、ここで自然減が定常的な状態になっていったという、人口減少社会が本格化したということがお分かりになるかと思います。
ここで、人口のデータを見るときに、私たちは動態のデータと静態のデータというふうに分けて考えるんですけれども、ここで人口静態というのは、例えば二〇二五年の一月一日に人口何人でしたかということを調べたのが静態データですね。国勢調査なども人口静態データになります。それが、その後の一年間の間に、赤ちゃんが生まれたり、あるいは人間が亡くなっていったり、あるいはある地域から、ほかの地域から入ってきたり出ていったりというような人口学的イベントと言われるようなものがありまして、それを経て一年後の人口というものが決まります。
このように、一年間の期間における人口学のイベントの数が人口動態データとなり、そして、一時点におけるデータが人口静態となります。なので、一年後の人口というのは、一年前の人口に出生と流入を足して、流出と死亡を引けば一年後の人口となりますので、私たち人口学者にとっては、人口の規模のその変動というのは出生、死亡、移動というこの三つのパラメーターで大きく考えていくことになります。
さて、これから出生率を交えて人口増減についてのお話をするんですけれども、先ほど御覧いただいたのは普通出生率ですが、今から私がお話しするのは合計特殊出生率です。これは何かと申しますと、一般的には一人の女性が一生の間に産む子供の数というふうに言われるんですけれども、簡単に言えば、年齢別出生率を全部足し上げた数です。十五歳の女性が産んだ子供の数を分子に置いて、十五歳の女性人口全体を分母に置く。つまり、動態データが分子にあり、静態データが下にあるというような、そういう指標になっているんですけれども、それを十五歳から四十九歳まで全部足し上げるものが合計特殊出生率でTFRとなります。
一方で、市区町村別の将来人口推計を推計するに当たっては、出生率を使わないで子ども女性比というものを使っておりまして、それは国勢調査という静態データだけで、ゼロ―四歳の、ゼロ歳から四歳の人口を分子に置き、それから十五歳から四十九歳では、まあ今回は二十歳から四十四歳の女性人口を分母に置いたという比率を使って将来の人口を推計しておりますので、出生率は直接使っていないというところがちょっと特徴です。
人口のTFRを見るためには基準があるんですけれども、人口置換水準、あるいは、ちょっと言葉で聞くと分かりづらいので人口置き換え水準とここでは申しますけれども、簡単に言えば、女性が産む子供の数で一世代後の同じ人口規模を置き換えられるには一体どのぐらいの出生率が必要かということなんですが、今の日本の人口置き換え水準は二・〇七となっています。
今、例えばその人口がすぐに、今の日本の出生率は一・一五ですけれども、それがすぐに置き換え水準の二・〇七になったとしても人口はすぐに増えるわけではなくて、既にもう含んでいる、何というのかな、過去からの蓄積の部分が将来に影響していますので、すぐに出生率が高くなったとしても、これから数十年間は人口は減少し続けるということがここの人口モメンタムというところで書いてございます。
ちょっとグラフで御説明します。このグラフは、過去の国勢調査の人口と、それから人口推計のものを十五歳未満と十五歳から六十四歳、六十五歳以上の年齢三区分に分けて色分けをしたもので、そして赤い色で示している折れ線グラフは合計特殊出生率です。
これを御覧いただくと、人口置き換え水準から大きく下回り始めたのが一九七四年からなんですけれども、もう一貫して人口置き換え水準に遠いことが分かると思います。
そうすると、もう明らかに七〇年代後半以降は人口規模は再生産できないということが明らかになっておりましたので、この過去五十年間にわたる低出生率というものが二〇〇八年以降の人口減少にもつながっているということになります。で、八千七百万人というのは、人口のピークから比べると四千百万人ぐらいの減少ということになります。
それから、六十五歳以上の人口と六十五歳以上の死亡数というものをちょっとこちらでグラフで御覧いただきたいんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、六十五歳以上の人口というのは二〇四三年がピークなんですけれども、これから団塊の世代、そして団塊ジュニア世代という人口規模の大きな世代が次々亡くなっていくステージに入っていきますと、人が亡くなるというその死亡数だけで見ると、六十五歳以上の死亡数は二つのピークがあります。一つ目のピークは二〇四一年なんですけれども、ここが団塊の世代のピークです。で、次のピークは二〇六四年頃を見込んでおりまして、今の五十代前後ですね、の団塊ジュニア世代のピークとなります。
ここまで将来推計を基にちょっとお話ししてきたんですけれども、では、人口が減るということが世界的に見てどうかということをちょっとだけお話しします。
世界の人口を見ると、インド、中国が大きいんですけれども、今の日本は大体十二位ぐらい。で、将来的に八千七百万人とは申しますけれども、今の基準でいうんであれば、トルコやドイツと同じぐらいの基準になります。また、今のイギリス、フランスは七千万人に満たしていませんので、人口が減るとはいっても、二〇七〇年時点で今のイギリス、フランスよりも多い人口規模はまだ確保されているということになりますね。
それから、合計特殊出生率なんですけれども、今の日本はイタリアやスペイン、タイやフィンランドと同程度となっております。それぞれの国のTFRの推移をちょっとグラフでお示ししたんですけれども、黒い太い線で書いてありますのが世界全体のTFRで、七〇年代ぐらいからもう全体的には低下してきています。
そして、もう少し細かく見ると、実は二〇一〇年以降、フランスやフィンランド、スウェーデンでも合計特殊出生率は低下しているというような特徴がありまして、日本だけの現象ではないということですね。
それから、六十五歳以上人口割合については、今日本が断トツトップではあるんですけれども、今後は、フィンランドや韓国、中国といった出生率が低い国では、数十年後にはやはり四割を超えてくるような見通しとなっています。
さあ、ここまでちょっと出生率の話だったんですけれども、ここからは結婚などに関わるデータについて、ちょっと社人研が行っている出生動向基本調査、山田先生の方も後ほど多分言及されると思いますので、ここはデータだけを御紹介したいと思います。
まず、恋愛結婚と見合い結婚の割合については、一九七〇年代ぐらいを境目にして見合いと恋愛結婚が逆転しまして、恋愛結婚がしばらく九割ぐらいを占めていたんですけれども、直近のデータでは七割、七五%ぐらいに減りまして、その代わりにインターネットが一五%へと大きく上昇しております。
ちなみに、今年度、二〇二五年度が、この後続調査ですね、第十七回の出生動向基本調査の調査実施の年でありましたので、来年の夏ぐらいに、まああと半年後ぐらいでしょうか、には公表となりますので、ちょっとお楽しみにしていただければと思います。
それから、結婚していない人の割合なんですけれども、未婚者の割合というのは世代によって随分変わっておりまして、真ん中の一九五〇年生まれが大体団塊の世代なんですけれども、全国と東京の男女別に示しておりますけれども、もちろん全部男女共に未婚者割合は上昇しておりますが、現在は、全国的には男性で二八・三%、女性で一七・八%、そうですね、一七・八%が未婚となっています。
また、結婚していたとしても子供を持たないカップルも増えています。現在の団塊ジュニア世代を見ますと、カップルの一割は子供がいませんし、カップルの二割は子供が一人となっておりまして、理想子供数については二人ということが多いんですけれども、実際には、子供がいない夫婦、子供が一人の夫婦というものも増えています。これが出生率の低下にも寄与しています。
また、変わる結婚行動ということで、結婚意思はどうかということを見てみますと、いずれ結婚するつもりというふうに答えた人は長らく九割弱ぐらいを占めていたんですけれども、近年、一番直近の二〇二一年の調査では八割ちょっとにまで低下しています。その代わりに、結婚するつもりはないと答えている人が増えております。
未婚者が考える結婚のメリットなんですけれども、これは八二年での第一回、ごめんなさい、八七年の調査以降を全部並べているんですが、最近増えている回答として、経済的に余裕が持てるとか、生活上便利になるというような答えが増えてきています。一方、最も高い回答率は、当然、自分の子供や家族を持てるというのがいまだにまだ一番高い回答率ではあるんですけれども、しかし、女性では十ポイントも低下していますし、男性でもやはり五ポイント近く低下しているということが特徴です。また、女性の方は、精神的な安らぎの場が得られるとか、現在愛情を感じている人と暮らせると答えている人が一貫して低下している。男性はそうではないんですけれども、女性は結婚に愛や安らぎを余り求めなくなってきているのかなと思われます。まあ調査結果です。
それから、独身者が結婚相手に求める条件なんですけれども、これも顕著な違いがありまして、男性は女性に経済力を求める人が約半数となってきています。また一方で、女性の方が男性に容姿を求める、男性が女性に容姿を求める、まあ自分の好みということだと思いますけれども、それが八割でずっと横ばいで推移しているんですが、女性の方も男性に対して八割ぐらいの人が容姿を求めるというふうに回答しています。また、女性の方が男性に対して求めるのが、自分の仕事への理解と協力、あるいは育児、家事能力というものが、これがないと結婚しないよというような、重視するという人が七割にもなっています。これは、男性が女性に対して家事、育児能力を求める割合よりも高いことが特徴だと思います。
それから、未婚者のライフスタイルを見ますと、生きがいとなるようなライフワークを持っていると答えている人が増えておりますし、一方で、一人の生活を続けていても寂しくないという人も増えています。これは、恐らく民間企業などもお一人様が快適なようないろいろなサービスなども充実してきているということもあるかと思います。
それから、独身でいる理由について見てみても、適当な相手にも巡り合わないというようなことも、それはもうずっとですね、過去の調査から一貫して高いとなっていますが、私がちょっと気になっているのが、異性とうまく付き合えないというふうに答えている人が男女共に近年回答率が高くなってきていることです。特に、二十代後半から三十代の前半にかけて異性とうまく付き合えないという人の割合がちょっと増えてきているのが気になります。
それから、交際相手がいない、つまり交際相手がいない未婚者の割合というのは増えているんですけれども、その中で三割ぐらいはそもそも交際すら望んでいないという人も増えてきていることも特徴かと思います。
それから、ちょっと違う調査で、社人研が行っている別の調査で、家庭動向調査、全国家庭動向調査というものがございまして、これは前回、二〇二二年にやった調査結果で、最新のものは来年度やる予定なんですけれども、ここで、子供が三歳になるまでは母親は仕事を持たずに育児に専念すべきかという考え方については、実は二十代後半、三十代というような若い世代であっても一定層はそれに賛成でいるし、そしてまた、専業主婦に賛成かということについても、一定層は賛成だというふうに答えていることが特徴かと思います。なので、若い人は一概にこうだということは言えなくて、多様化が進んでいるかなというふうに思います。
つまり、かつては性別役割分業型の家族というものが主流だったかと思うんですけれども、協働型になってきている。また、出産、結婚、恋愛といったものが今まではとても結び付いていたんですけれども、そうではなくなってきているというのが特徴かなということがデータで読み取れることかと思います。
最後、残り三分になったんですけれども、済みません、時間がちょっと押してきてしまいましたが、推計から見る世帯構成ということでちょっとお話をしたいと思います。
国勢調査において、世帯というのは施設等の世帯と一般世帯の二種類があるんですけれども、今お話しするのは一般世帯の話です。そして、一般世帯の中でもいろいろな区分があるんですけれども、将来人口推計においては、将来人口推計が出始めましたら、地域別の推計、世帯数推計というふうに行くんですけれども、私たちの推計では五種類に分けて、五種類の家族類型で推計をしております。それをちょっとだけここから御紹介します。
その前に、総世帯数については二〇三〇年まで増加をすると。なぜかというと、単独世帯などの小規模世帯が増えることによって世帯数はもう少し増えるというふうに予測しているんですけれども、家族類型で見ると、今、実は今の時点でも単独世帯が三八%で最も多い家族類型となっているんですが、これが四四・三%まで増加するだろうと見越しています。一方で、夫婦と子から成る世帯は二一・五%に減り、一方で夫婦のみの世帯も同じぐらいの割合や横ばいになるというふうに推計をしております。
単独世帯と申しましても、未婚の単独世帯ばかりではございません。単独世帯については配偶関係別に様々発生していきますというのがこちらの図で、結婚した後に配偶者と離婚すれば単独離別となりますし、配偶者が亡くなれば単独死別、あるいは配偶者が施設に入所すれば有配偶のまま単独ということもあり得ます。なので、配偶関係が様々な単独世帯がたくさんいるということはちょっと頭の隅にとどめておいていただければと思います。
単独世帯がなぜ増えるのかといえば、もちろん未婚者が増加するのが一番の理由なんですけれども、三世代世帯が減るということ、また、子供のいない夫婦が増加しているということも大きな理由になっています。
単独高齢世帯が増えるのは、ちょっと済みません、時間が押しましたので、ちょっとここだけ強調させてください。将来的に高齢単独世帯増えるんですけれども、男性の高齢単独世帯のうち六割は未婚者になります。ここはとても大きくて、今の五十代の未婚者が増えておりますので、それがそのまま持ち越されて、将来の二〇五〇年における高齢単独世帯の男性の六割は未婚となる。
そしてまた、八〇五〇世帯のように八十代の親と五十代の子供みたいな、夫婦と子から成る世帯の八十五歳以上の世帯主の世帯というのもこれから十五年間掛けて倍増します。
こうしたものは地域差がとても大きくて、最後に、七十五歳以上の独居率、独り暮らしの割合を都道府県別に見てみると、東京都は最も独り暮らしが多いんですけれども、将来的には、二〇五〇年には東京や大都市圏などを中心に三割以上が七十五歳以上でも独り暮らしとなり、一方、山形県など三世代世帯が多いところでは二割弱というふうにとどまるということで、地域格差がどんどんこれから広がっていくのがこれからの数十年間の見通しかと思われます。
済みません、駆け足になりましたけれども、私からの意見陳述は以上でございます。
ありがとうございました。