生稲晃子の発言 (政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会)

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○生稲晃子君 ODA調査派遣第四班について御報告いたします。
 当班は、本年一月五日から一月十一日までの七日間、ジブチ共和国及びケニア共和国に派遣されました。
 派遣議員は、青島健太議員、大津力議員、そして私、生稲晃子の三名です。
 ジブチは、欧州とインド太平洋を結ぶ世界貿易の大動脈に位置し、我が国が派遣する自衛隊の活動拠点を受け入れるアフリカの角地域の安定的なパートナーであり、ケニアは東アフリカ地域最大のモンバサ港を擁するこの地域のゲートウエーです。
 両国における調査の概要と、これを通じて得られた所見について申し上げます。
 まず、ジブチにおける援助案件について申し上げます。
 日本は、学校、橋梁等のインフラ整備、巡視艇の供与などの支援を行っています。
 新渡戸稲造基礎教育学校は、中学校整備が急務であったジブチ市バルバラ地区に日本の無償資金協力により建設された小中学校併設校であり、二〇二四年の開校以来、約二千六百名の小中学生が学んでいます。
 校名は、日本の道徳を世界に発信した教育者、新渡戸稲造に由来し、一九九五年のフクザワ中学校に続く、両国友好関係の象徴的事業となっています。
 視察では、JICA海外協力隊員が体育の授業でバスケットボールを指導し、また、理科の授業でバナナからDNAを取り出す実験をサポートする様子を拝見いたしました。同校には、従来は少なかった理科室や情報教室も整備され、子供たちが最新の教材で学べる環境が整っています。
 同校には、教育技術面の強化と小学校から中学校への継続性のある指導を可能にする就学環境を整えたモデル校としての役割が期待されています。日本が援助した学校で質の高い基礎教育を受けた子供たちが、今後、ジブチの将来を担い、両国の懸け橋として活躍していくことを願っています。
 次に、ジブチ沿岸警備隊についてです。
 ジブチ周辺海域は、年間およそ二万隻が通過する海上の要路で、日本関係船舶も約千七百隻が含まれます。日本は、沿岸警備隊設立以来、計五隻の巡視艇を供与するとともに、JICA専門家を継続的に派遣し、法執行や巡視艇運航等に関する能力向上を支援してまいりました。視察では、最新の巡視艇に試乗し、ワイス長官の御案内により湾内の海上視察を行いました。
 巡視艇による視察では、中国招商局との合同出資により二〇一七年に開港したドラレ多目的港のクレーンが林立する光景を目にし、中国が紅海の入口で着実に足場を固めつつある現実に強い衝撃を受けました。中国の援助資金には様々な懸念があるものの、こうしたインフラ整備が現地で切望されてきたこと自体は無視できません。この地域で日本が開発協力のパートナーとして選ばれるためには、あくまでも日本らしく、アフリカ諸国の自立的発展を後押しする姿勢を貫き、信頼を勝ち取っていくことが重要だと考えます。
 なお、ジブチ国民議会では、ディレイタ議長と面会しました。参議院ODA調査団のジブチ訪問は二〇一五年以来、実に十一年ぶりでありましたが、議長以下、両副議長、各委員長、日ジブチ友好議連会長など議会幹部が一堂に会する歓待をいただきました。
 席上、ジブチ側からは、食料自給率について言及がありました。同国は、夏は気温が五十度に達する一方、降雨は僅かしかなく、しかも治水技術もまだ発達していないため、雨が降っても洪水となってしまいます。
 加えて、土壌は酸性で、耕作可能な面積は七平方キロメートルほどしかないなど、こうした厳しい気候・地理条件の下、食料自給率は約三%にとどまっており、現在、貯水池の整備や自給率向上に向けた取組を進めていると説明がございました。
 こうしたお話を伺い、私としましては、日本の農業技術支援などを通じて、ジブチの自給率向上のお役に立てるのではないかと感じた次第であります。
 両国議員の直接対話は、相互理解と両国友好関係の深化に資するものであり、こうした議員外交を引き続き継続していくことの重要性を改めて実感いたしました。
 次に、ケニアにおける援助案件について申し上げます。
 日本は、モンバサ港等のインフラ整備、経済特区開発、ケニア中央医学研究所への支援等を行っています。ケニア中央医学研究所、KEMRIは、一九七九年の設立以来、日本が約半世紀にわたり施設整備と人材育成を支援した結果、現在では、東アフリカ地域を代表する感染症対策の研究機関となっています。
 研究所内の成果を基に、民間企業等と連携して社会実装にも取り組んでおり、消毒剤やマラリア感染症検査キットなど医療用製品の実用化も進めています。視察では、日本の大学で学位を取得した十九名もの所属研究者から歓迎をいただきました。ムダバディ内閣筆頭長官との意見交換では、KEMRIを東アフリカ地域のCDCのようにしていきたいとの発言があり、ODAを通じた更なる専門知識、技術の共有が重要と考えています。
 実際、コロナ禍のピーク時、KEMRIは同国内のPCR検査総数の五割を超える検査を実施いたしました。感染症は、我が国も含む人類共通の脅威であり、ケニアへのODAによる医療支援が日本の安全保障にもつながっていることを実感いたしました。
 続きまして、ナイロビからインド洋に面したモンバサに移動し、モンバサ港のコンテナターミナル、バイパス道路を通り、モンバサ港南岸に位置するドンゴクンドゥ経済特区を視察いたしました。
 モンバサ港は東部アフリカ最大の輸出入拠点であり、ケニアからウガンダとルワンダを結ぶ北部回廊のインフラ整備は自由で開かれたインド太平洋の推進にも重要です。
 ケニア港湾公社からは、モンバサ港開発事業のフェーズ1及びフェーズ2で順次バース20から22が整備され、コンテナ容量は二百二十万TEUまで増加したものの、今後、需要が容量を超える可能性があるとの説明を受けました。
 ドンゴクンドゥ経済特区は、港湾、バイパス、鉄道、空港に隣接した有利な立地で、日本は円借款と無償資金協力を相互補完的に活用し、港湾、幹線道路、電力施設や給水施設、土地造成等の整備を進めています。一方、ナシル・モンバサ郡知事との会談では、コンテナ運搬車両による交通渋滞や駐車問題への指摘があり、こうした課題にも共にパートナーとして取り組んでいくことが重要と考えます。
 また、ナシル知事の御提案により、当初予定にはなかったコーストジェネラル教育リファラル病院も視察いたしました。同病院には、コロナ禍の折に、日本から新型コロナウイルス感染症の重症患者の治療を目的としたICUコンテナと医療機器が供与されました。新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いた現在は、通常のICUとして活用されています。KEMRIと併せ、ケニアにおける保健、医療の拡充への日本の貢献を実感する視察となりました。
 JICA海外協力隊員につきましては、両国で意見交換を行いました。隊員は、国の隅々まで派遣され、学校教育、自動車整備、コミュニティー開発など、地域に根差し、相手国の人々に直接関わる業務に携わっており、一人一人が日本を背負って取り組む姿に感銘を受けました。隊員が帰国後に活動経験を社会で生かせる仕組みの強化も望まれます。
 最後に、対アフリカ援助についてであります。
 東アフリカ地域のゲートウエーたるケニアへの日本企業の関心は高く、進出企業数は百二十社を超えています。アフリカの成長には民間セクター主導の投資、進出が不可欠であり、ODAを含む様々な手段でこれを後押ししていくことが求められます。サブサハラ・アフリカでは人口の七〇%を三十歳未満が占めており、産業振興と雇用創出は喫緊の課題で、ABEイニシアティブを含む人づくり支援の継続が望まれます。日本がアフリカの人々から共に共通課題に取り組む対等なパートナーとして選ばれる国であり続けることを期待いたします。
 今回の調査に当たりましては、外務省、在外公館、JICA、ジブチ及びケニアの訪問先の方々に多大なる御協力をいただきました。心より感謝を申し上げ、第四班の報告といたします。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 生稲晃子

日付: 2026-05-22

院: 参議院

会議名: 政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会