国土交通委員会

2016-11-10 参議院 全228発言

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会議録情報#0
平成二十八年十一月十日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月八日
    辞任         補欠選任
     新妻 秀規君     西田 実仁君
 十一月九日
    辞任         補欠選任
     西田 実仁君     新妻 秀規君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         増子 輝彦君
    理 事
                井上 義行君
                石井 正弘君
                酒井 庸行君
                長浜 博行君
                新妻 秀規君
    委 員
                足立 敏之君
                青木 一彦君
                朝日健太郎君
                大野 泰正君
                金子原二郎君
                末松 信介君
                長谷川 岳君
                福岡 資麿君
                吉田 博美君
                野田 国義君
                羽田雄一郎君
                鉢呂 吉雄君
                魚住裕一郎君
                高瀬 弘美君
                山添  拓君
                室井 邦彦君
                青木  愛君
                行田 邦子君
                中野 正志君
   国務大臣
       国土交通大臣   石井 啓一君
   副大臣
       国土交通副大臣  末松 信介君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        務台 俊介君
       国土交通大臣政
       務官       大野 泰正君
       環境大臣政務官  比嘉奈津美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 利幸君
   政府参考人
       国土交通省鉄道
       局長       奥田 哲也君
       環境大臣官房審
       議官       正田  寛君
   参考人
       一橋大学名誉教
       授        杉山 武彦君
       神戸大学大学院
       経営学研究科教
       授        正司 健一君
       慶應義塾大学名
       誉教授      川村 晃生君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
 法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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増子輝彦#1
○委員長(増子輝彦君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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増子輝彦#2
○委員長(増子輝彦君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に新妻秀規君を指名いたします。
    ─────────────
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増子輝彦#3
○委員長(増子輝彦君) 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、一橋大学名誉教授杉山武彦君、神戸大学大学院経営学研究科教授正司健一君及び慶應義塾大学名誉教授川村晃生君、以上三名の参考人に御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、杉山参考人、正司参考人、川村参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、参考人、質疑者共に御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず杉山参考人にお願いいたします。杉山参考人。
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杉山武彦#4
○参考人(杉山武彦君) 杉山でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 こういう機会をいただきましたこと、大変光栄なことでありまして、感謝を申し上げます。着席のまま失礼させていただきます。
 本日の審議対象になっております法案は、リニア中央新幹線の整備促進、より具体的には名古屋―大阪間についての前倒し整備、その目的のために、手法として鉄道・運輸機構を通じて財投の貸付けを行うための改正と、こういうふうに理解をいたしております。
 鉄道・運輸機構を介在させることでありますとか、あるいは貸付けの内容につきましていろいろの議論があるのだと考えておりますけれども、少なくとも、整備促進あるいは前倒しということに関しての是非の判断というのは、結局のところ、リニア中央新幹線そのものの是非の判断というところに依存するように思いますので、そこで、まず私は、リニア中央新幹線の意義というものについて、自分なりに、常識的な内容ではありますけれども、確認をさせていただきたいと考えてまいりました。
 メモの一番目を見ていただきますと、私はここで三つくらいの視点からリニア中央新幹線の意義を肯定的に考えているものであります。それを述べさせていただきますが、その前に、私自身の交通、あるいは交通と運輸、それと経済との関係についての基本的な認識を簡単に述べさせていただきます。
 人や物は何で移動するのかということですけれども、いわゆる位置の効用という言葉で説明をされますけれども、動くことによって価値が上がると、こういうことが大前提にございます。人の場合であれば、何らかの意思あるいは意図、それを満たすために動くわけでありますし、物の場合も、動かすことによってそこに価値が生ずる、あるいは価値が増えると、こういうことで物が動きます。したがいまして、人と物が活発に動くときには、人々の満足もそこで高まっているはずでありますし、物の付加価値も高まっているはずであります。そういうことで、モビリティー、動き回る力、これが向上するということと、経済活動が発展する、あるいは価値が創出されるということとは、基本的には連動する関係にあるものだというふうに考えてまいりました。
 交通あるいは輸送手段の進化というのは、その連動関係を実現させていくための可能性を提供するものであって、交通の施設が提供されたから直ちに全てそれに付随していろいろな経済活動の活発化が起きるということでは必ずしもない、そこにはそれなりの努力が必要だということを最初に確認をさせていただきたいと思います。
 そこで、リニア中央新幹線の意義でありますけれども、私は三点掲げてございます。
 第一番目は、このリニア中央新幹線というのは、我が日本の国土の動脈、その質的、量的なグレードアップというものにつながるものであると、こういうことであります。
 リニア中央新幹線の整備というのは、言うまでもなくその高速性というのが一番中心になりますけれども、高速性の向上を通じて東京―名古屋―大阪という国土軸におけるモビリティーの質を飛躍的に高める、そういう潜在力を持っているというふうに考えております。また、それが、我々が持っております社会的な財産である在来の東海道新幹線、これに更に付加されることによりまして、人や物が移動をするパイプが二重あるいは多重という観点から、質的な強化、量的な強化、その両方をもたらすものと考えることであります。
 ついでながら、東海道新幹線につきましては今後いろいろな観点からリハビリが必要になりますけれども、それをつつがなく実施していくためにもリニア中央新幹線の整備というのが大変、選択肢の拡大、施工手順等々のやり方への便宜という点で大きな意味を持つものと考えます。
 第二番目は、知識財生産など高付加価値産業へのシフトの支援と、こういうふうに表現をさせていただきました。
 科学技術立国を目指す今後の日本にとりまして国力の源泉というのは何かということを考えますと、一般的に言われておりますように、革新的な知識、技術を基礎とした高度の資本財あるいはソフトウエア等の知識財、これを生産する産業というものが挙げられることになろうかと思います。
 物財は工場で原材料がまとめられて生産されますけれども、知識財、ソフトウエアでありますとかコンテンツとかそういうものの場合には、原材料に当たるものは人々の知識、情報、アイデア、こういったものであります。工場に相当するものは、会議でありますとかコンファレンスでありますとかイベントでありますとか、要は人が集うところでございます。それらが結合するためには、国内外あるいは地域の内外、その人々の頻繁で密接な反復的な接触というのが不可欠でありまして、そのためには高速移動を支えるインフラの整備というのが重要性を持ってまいります。
 三番目ですけれども、日本の科学技術と技術力の向上への波及効果という点も考えておく必要があると思います。
 しばしば高速性の追求ということが批判をされますけれども、単に技術的に完成した高速交通手段でも、それが社会の装置として定着をしてくるには裾野の非常に広い関連技術あるいはシステム構築が通常は必要とされまして、その達成への広範な努力が日本のこれまでの産業の発展につながってきたという点を考えるべきであろうかと思います。リニア中央新幹線の場合にも、超電導の技術だけではなくて、磁気シールド、高速鉄道車両、運転制御、電力変換、あるいは高精度の土木技術等々を含んで、この実用化への努力、量産化への努力、そしてそれがもたらす低廉化というようなことが、直接リニア中央新幹線とは関係のない私たちの生活一般で使われるいろいろな製品への普及、活用ということも出てくると、こういうふうに考えております。
 以上が私がリニア中央新幹線の整備の意義ということについて考えるときに思い浮かべる事柄であります。
 そこで、以下、財投措置に関して、あるいは前倒しということについて若干のコメントを加えさせていただきます。
 公的な支援をここで展開するということの論拠についてであります。
 一般的に、交通運輸サービスの提供に伴いましては、付随的又は波及的な恩恵が広く社会に及びます。それは、直接の輸送サービスの利用者以外にも広く及ぶ、いわゆる外部経済ということが大変大きい。そういう認識が、古今東西を通じて、交通運輸のサービスが民間の活動として提供される場合にも公的な支援あるいは反対に規制ということが発動される背景を成してきたと考えます。
 今申し上げたばかりのリニア中央新幹線の意義、これは広く社会に及ぶ、波及的な外部経済的な、そういう効果でありますから、したがって、そのリニアの意義を認める立場に立つ立場からは、外部経済というものを広く社会の中に行き渡らせるための視点から一定の支援が行われることはごく妥当であると、こういうふうに私は考えております。
 続きまして、使途の適切性ということについても考えておく必要があろうかと存じます。
 財投の資源というのは、これは一般の予算と違って機動性を持つ面もございますけれども、それにしても限度がございますから、それがリニア中央新幹線にも向けられるに際しては、本来であれば、他の使途に用いられた場合との比較を経たものであるということが望ましいと考えております。例えば、医療であるとか住宅であるとか福祉の分野、そういうような異分野にそのお金を使った場合とどちらがよいのかというような議論も本来はなければなりません。しかし、そういうことを真に厳密に進めることは一般的には困難でありまして、実際的な手続としては、このリニア中央新幹線の事業が費用便益分析と呼ばれているものをパスするということで一応理論上はその使途の適切性が保証されているというふうに認識をいたしております。
 さらに、今回、財投措置が鉄道・運輸機構を通じて行われるものと考えられておりますけれども、そもそも鉄道・運輸機構は鉄道整備促進の支援を総合的かつ効率的に行うことを目的とする機関でございますので、この鉄道・運輸機構とそれから事業主体であるJR東海との間で適切な緊張関係、それぞれのコンプライアンス、ガバナンスということが十分に発揮をされてこの両者の間で緊張関係が構築をされる、こういうことを期待いたしたいと思います。それが公的支援の意義を確保することにもつながるというふうに考えております。
 三番目の早期整備の促進についてでありますけれども、整備効果というものを早期に実現させるためには、なるべく工期が短いことは、これはもう当然に必要なことでありまして、前倒しの整備がその効果の早期実現の観点から望ましいということにつきましては、私はほぼ自明のことであるというふうに考えております。
 それに加えまして、現在あるいは近年の社会状況を見ますと、自然災害が多発をしている状況の中で、リスク対応のサプライチェーン管理ということが多くの製造企業の間で喫緊の課題になっております。集中と分散というものについてどういう意思決定をするか、そのバランスに関しては、インフラ整備の進展というものが非常に重要な鍵になってまいります。意思決定主体に選択肢の多様化と安心感を与える、ひいては投資の促進に貢献をするという観点から、財投による早期整備の促進、これは望ましいことであると私は考えます。
 最後に、東京一極集中ということがこのような場合によく議論の対象になりますので、その点について一言触れさせていただきたいと思います。
 冒頭に述べましたように、モビリティーの向上というのはあくまでも可能性の提供でありまして、それぞれの地域においてその可能性の到来を現実の地方創生にどう結び付けるか、それをそれぞれに考えるということが非常に重要な側面であります。
 国土の均衡ある発展ということが言われますけれども、その均衡ある発展というのは、どこもここも均等に整備をしていくということには現実にはならない。発展のための手法というのは常に選択的な投資として進められる。まずは、最も効率の高い、最も力のあるところ、それをトップランナーの育成という形で進めて、そしてそのトップランナーが周辺を牽引をしていく、そういう時間的経過の中で全体の発展を目指していくということが現実に取られてきた考え方であります。したがって、それは首都圏であれ中部圏であれ近畿圏であれ、今度はそのそれぞれの中での整備、発展のための投資についても同じことがそれぞれに言えることになろうかと思います。
 いずれにいたしましても、ある投資が一時的に一極集中の方向に作用する懸念があるからといってモビリティーの向上そのものを疑問視するということは、言わば角を矯めて牛を殺すに等しいと、こういう考え方をいたしております。
 以上が私の意見陳述の骨子でございます。ありがとうございました。
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増子輝彦#5
○委員長(増子輝彦君) ありがとうございました。
 次に、正司参考人にお願いいたします。正司参考人。
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正司健一#6
○参考人(正司健一君) 神戸大学の正司です。
 このような場を設けていただき、非常に光栄に思うとともに、緊張しております。また、お手元に資料等を配付できず、口頭での陳述になったことをお許しいただければと思います。
 それでは、座ったままで恐縮ですが、私自身の意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、ございましたこの法案に関して賛成ですか反対ですかと聞かれると、正司としては賛成、この考え方は前進であるというふうに思っておりますので、それが結論的な意見でございます。
 その背景、いろいろなことがあって、その点はこの後御説明をさせていただきたいと思いますけれども、特に交通政策審議会の陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会が中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名及び整備計画の決定についてという答申を公表物として出されて、我々もそれを拝見することができます。
 それを見てみますと、そこに載っている議論というのは、私自身、公表された資料の限りではありますけれども、非常にいろいろな角度から議論して詰められ、その結論として妥当であるというふうな結論を出されているというのは皆さん御案内のとおりでございます。
 私自身も、この答申、資料を見れば細かな議論するべき点は多分あるんだろうとは思うんですけれども、ただ、大筋としては非常に納得性が高いものでありますので、その方向に従った議論、整備に関する話というのは特段大きな問題がないんではないかなというふうに考えています。それが一番の論拠でございます。
 御案内のとおり、そこの附帯意見の中に、大阪までの早期開業の検討とか鉄道建設・運輸整備支援機構の活用といったことも出ておるわけですが、中でもその附帯意見のトップに載っております大阪までの早期開業の検討、これに資する方向での今回の法案と、前倒しという点なわけですけれども、そういう意味でもそれに資するものですから、この方向性はあるのかなと思っております。
 もちろん、早期に大阪―東京間をつなぐという手法は、これ以外の手法も考えられると思います。一番極端な話では、国が全部造ってしまってJR東海に貸し与えて営業させるというのも手法としてはあり得るんだろうと思うんですが、この点については後で議論させていただきますが、我が国のこれまでの鉄道整備の在り方、この機構を使ったこういったシステムの有効性に鑑みて、今回の提案というのはうなずけるものが多いというふうに思っているところでございます。それが基本的なテーゼでございます。
 そもそも東海道新幹線、開業当初は今のような運転間隔でもなかったですし、今のような正確性がなかなか当初は守れなかったというのは皆さん御案内のとおりだと思います。それが今のような姿になってきたというのは、鉄道関係者の誇りでもあるのかも分かりませんけれども、我々は日本にとっての誇りというふうな気もしております。
 その技術力は高く評価されておりまして、新幹線そのものの輸出という形ではなっていないにせよ、それを支えている多様な技術が、品質の高い製造技術ないし品質の高いサービス、生産技術という形で我が国の経済に大きな効果を与えているというふうに私自身は思っております。その意味では、先ほど杉山参考人が技術の裾野の話をリニアに特化する形で御説明されておりましたが、そういう一つの要素技術だけではなく、全体のシステムとしても同じことが言えるんではないかなというふうに思っているわけです。そういった意味でも、こういった大きなプロジェクトというのは大きな意義があるんではないかなというふうに思っております。
 そもそも御案内のとおり、このルート、中央新幹線ですけれども、それは御案内のとおり、全幹法上の整備を開始すべき新幹線鉄道の路線ということで一九七三年に議論の俎上にのり、それを受けて先ほどの小委員会の議論になったわけですけど、そういった形で、我が国にとって大切な路線であるということが位置付けられていた路線であることは言うまでもございません。
 さらに、昨今よく言われておりますように、日本人の人口がこのままでは減少していくというか、もう減少が始まっているわけですが、その中で、社会インフラを始めとする国民の社会経済生活を支える基盤の整備を今後どうしていくのか、さらに、その基盤の更新をやっていくだけの体力が我が国にどこまであるのかというのが大きな議論になっていると思います。そういったときに、まだ相対的には、より今の生活レベルを上げる向上の施策は常に打ち続けないといけないと思うんですけど、それに貢献する一つとして、この中央リニア新幹線というのは十分価値のあるプロジェクトであろうというふうに私自身は考えております。
 例えば、EUが、今またイギリスの離脱も出ていろいろ議論になっておりますが、全体一体となってEUとして大きな経済圏をつくろうというときに、トランスヨーロッパというプロジェクトがEUの中で大きく取り上げられたわけであります。今もそれは続いているんですが、それは何なのかというと、EU内の交通インフラ、港湾とか道路も入るんですが、そこに高速鉄道も入っておりまして、それをEU全体としてしっかり整備していこうという構想が出て、各国政府並びにEU政府が協力しながらその整備を進めているといった話がございます。
 このように、各国交通インフラは経済力を高めるためだけでなく、その地域全体の人々の生活水準の向上に大きな価値があると認めて整備を進めているわけです。そういう意味では、我が国でも一九七〇年代からその必要性の議論がされていて、それなりに国の議論として位置付けは得ているプロジェクトとしては、これを進めるということは当然意義があるものというふうに私自身は考えております。
 実は私、留学生なんかをよく教えているんですけど、留学生が日本に来て、いつも質問されて説明をするんですけれども、それは何なのかというと、何で日本には、空港とか道路の整備プロジェクトというのが過去の歴史を見ているとあるんですけど、鉄道ってないんですねという質問を受けるんですね。確かに留学生の言うとおりで、全国規模で鉄道をどう整備していくとか、都市圏内で鉄道をどう整備していくという構想図はあるんですけど、それを実際に手法をもってどう進めるかという意味での計画というのがない国というふうになっております。
 交通社会インフラの中で鉄道の持つ価値というのは否定する必要は全くないと思いますので、その意味で日本のやり方というのはちょっと特殊なので、これは後で御説明しますが、それはそれなりにいいところもあるんだという説明を留学生にするんですが、その中で留学生に言うのは、昔は、昔というのは第二次世界大戦の前の頃ですけど、その頃にはあったんだけど、それでちょっといろいろ問題があったんだという説明をし、一方で、新幹線鉄道に関してはこういった議論があって、国でしっかりと造るという議論がされていると、そういうわけで、鉄道の中でも国として考えないといけないものとそうでないものを切り分けているんだという説明を彼らにしております。そんな意味でも、中央新幹線部分をこういった形で進めるというのはロジックが十分に立つというふうに思っているわけです。
 先ほど申し上げた、日本では欧米に比べると政府が表に出てこない、政府が税金を鉄道に多くを投入しないというスタンスを取っていることに関してなんですけれども、そもそも鉄道だけではないんですが、公共交通整備に関しては、運輸収入というか利用者からの収入をメーンで整備を進めるという考え方と、社会インフラとして国が税金等を使って基本的に整備するんだという考え方、このどちらに多くを依存するのかというのが、昔からこの二つの考え方があると思います。これは、どっちがいい悪いじゃなくて、その二つの考え方があるという意味でございます。
 御案内のとおり、日本は利用者負担をメーンに考える形であります。これは、鉄道のように運輸収入の形になっているケースもありますし、高速道路料金ということで利用者料金という形になっている形もありますが、それをメーンにしております。それに比べて、欧米はどちらかといえば税金を使っているケースということがございます。
 これは、日本のやり方は、そうすると利用者収入が上がらないところはなかなか整備が進まないという難点を抱えることになりますし、逆にヨーロッパのやり方は、整備は進むんだけどそれは利用者のニーズに合っているのかという議論がそこに出てくるという問題点がございます。
 そして日本も、その中で、利用者収入だけではすぐ整備できない、でも、地域社会ないしは日本全体として必要なものは公的な措置をとるという形でいろいろ整備をしてきたということは御案内のとおりでございます。ヨーロッパも、全く今度は話が逆になりまして、政府が進めるだけではどうしても、どうしてもという言い方は良くないですね、時になかなか利用者ニーズに対応した形で進まないので、そこをするためにマーケットの判断というのをどういった形で政府がインフラを造るところに入れるのかというところで苦労されているというところがございます。
 これが先ほどの機構を使った、財投を使った形でやるというシステムの話につながるわけなんですけど、日本の場合は、政府が直接やるというヨーロッパ的なやり方の問題点を意識したときに、今まででも、新幹線、さらには交通局を始め公的なセクターの強い鉄道だけではなくて、民間鉄道事業者に対してもこの機構を使った形の融資という形で公的な支援をして、それがそれなりにこれまでうまく機能してきたということはございます。その意味でも、このパターンを使っての前倒しというのは納得できるかなというふうに思っているところでございます。
 ただ、最後に、これは交通を研究している者として、今後の課題で、この法案に対してではないんですけれども、今回こういう措置のおかげで前倒しになったということになるんですけれども、前倒しといっても、名古屋までと大阪までの開業の間は十年の差、違いが出てくるということがございます。社会インフラとしては名古屋で止まるよりも大阪までつないだ方が大きいというのはこういういろんな報告書に出ているとおりで、正司もそのとおりだと思っているので、この点はもう少し何か別の議論があってもいいんではないかなというふうに実は感じております。
 さりとて、ヨーロッパの二の舞を、日本が後から追いかけることはないので、ヨーロッパのやり方をそのまま輸入すればできるという話ではないと思いますが、鉄道というのは道路や港湾と同じように五十年、百年後も使う我々の社会にとっての大切なインフラとなる交通システムだと思いますので、それを民間の鉄道事業者の力とその判断力をうまく生かしながら日本全体としてその整備を進める、ないし維持を進める、更新を進める枠組みというのを別途議論をしてもいいんではないかなというふうに思っております。これは少し法案とは違うお話ですので、そんなところを私の研究をやっていると思います。
 そもそも、古くは五街道の時代からと言ってもいいのかも分かりませんけど、杉山参考人もおっしゃっておられましたが、交通と町、地域の発展というのは密接な関係にございました。私、神戸から来ておりますが、元々、東海道本線は大阪止まりじゃなくて神戸までつながっていたわけですが、いろんな理由があったんだと思うんですが、その中の一つには、神戸港という、世界というかアジアに向けての大きな港があったということもあったんだと思います。そういう意味では、このリニアというのは一つの区間を結ぶ話ですので、これをうまく日本全体としてどう生かすのかという議論も併せて考えていく必要があるのではないかなと思っております。
 非常に雑駁な、資料もなしの意見陳述で恐縮ですけれども、正司からはここまででございます。ありがとうございました。
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増子輝彦#7
○委員長(増子輝彦君) ありがとうございました。
 次に、川村参考人にお願いいたします。川村参考人。
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川村晃生#8
○参考人(川村晃生君) 川村でございます。本日はお招きいただきまして、ありがとうございました。
 私は、一九九七年に山梨でリニアの実験線の開始がありまして、それ以後、私自身、山梨県甲府市に居住しながら、リニアに非常に関心を持ってきました。その中で、結局、私はリニアに否定的な立場を取らざるを得なくなりましたが、私はリニアとの関係でいえば二つの立場から関係を持ってまいりました。
 一つは、研究者としてのリニアに対する考えです。これは、私は人文学系の人間ですので、人間にとってリニアとは何かという立場から基本的に物を考えてまいりました。調査室の方で御用意いただいたこの冊子の一番後ろに私のリニア関連の論文が二本出ています。一つは景観の問題、もう一つは文明論としてのリニアという、スピードというものが人間にとってどういう影響をもたらすかということを論じたものですが、今日はそこまで踏み込んでお話しする時間がありません。ただ、そういう立場からだけでは不十分ですので、技術的な問題や、それから社会経済的な問題、様々な観点を自分の頭の中に入れながら、リニアについての否定的論理の構築に努めてまいりました。
 もう一つの立場は、市民運動家としての立場です。市民運動として私の意図をパフォーマンスするために市民運動家でもあるわけですが、そこで沿線住民の地域の人々と連携しながら、あるいは数多くの現場を歩きながら、リニアはやはりやめた方がいいという結論に至っております。
 今日は、そういう観点から、私が今まで抱いてきた疑問点をまず申し上げ、それによって結局この財投は中止した方がいいという意見に立ち至るものだと考えています。
 リニアには多くの疑問点があります。今お手元にお配りしました「リニア中央新幹線は疑問がいっぱい」という、これは私が市民運動の中で多くの皆様にリニアの問題点を知っていただくために作ったパンフレットです。一項目を除いて私が全て執筆したものですから、おおむね私の意見の反映だというふうに考えていただいていいと思いますが、幾つかの問題をちょっと摘記してお話ししますと、まず三ページにエネルギーの問題があります。
 JR東海の発表でも、大体、在来の東海道新幹線の三・五倍くらい、研究者によっては四倍から五倍というふうに計算する方もおられます。問題は、これだけのエネルギーを使っても東海道新幹線の倍のスピードは出ないんですね。簡単に言うと、例えば、よく燃費の悪い車について道路にガソリンをまきながら行くものだという比喩がありますが、同様に、リニアはエネルギーを軌道上にまきながら無駄遣いしていくものだ、こういう輸送機関が二十一世紀の環境問題を抱える地球の未来にとって望ましいものかどうかということの検討がまず第一に必要であろうと思います。恐らく、これが世界に輸出されれば、世界中に原発を造らねばならないような状況に立ち至る。そういう社会が、未来の世代に対して私たちが手渡すべき社会としてふさわしいのかどうかという点がまず第一にあります。
 それから、事故が起こったときのリスクの問題が余り検討されておりません。一千人もの人間を乗せたリニアが、例えば南アルプス山中で事故を起こして停止して外に出るというときに果たして可能かどうかという問題です。
 先般、青函トンネルで事故が起こりました。あの事故は、百四十人の乗客でしたが、午後五時十五分に事故が発生し、五時五十分に脱出が始まり、百四十人の脱出が完了したのが夜中の十一時です。一千人の乗客がいて土かぶり千四百メートルの南アルプスの山中で事故を起こして止まったときに、果たして老若男女あるいは病人を含めて安全に無事に外に出せるのかどうかというふうな検討がこれはなされておりません。
 とりわけ、近年地震があちこちで多発し、中央構造線、糸静構造線をまたぐ極めて危険な乗り物としてリニアがあります。そういうものが、事故が起こったときに一体乗客の安全は保証されるのであろうかという問題も十分に検討されていません。
 それから、三番目に、四ページにリニアの採算の問題があります。
 これは数多く議論されていますので私が今更申し上げるまでもありませんが、人口減少を加えていえば、恐らくリニアはペイしない。JR東海の山田当時社長がおっしゃられたようにペイしないだろうというふうに思いますので、まずその点からもリニアについては否定的にならざるを得ないと思います。
 それから、五番目の自然破壊の問題です。これも十分に検討されておりません。
 そこに写真がありますけれども、これはリニア実験線の笛吹市の御坂町というところの現場写真ですが、僅か数キロメートルのトンネルを掘っただけでこれだけの異常な増水、出水が起こっております。一方で、完全な沢がれが起こっております。水がめともいうべき南アルプスにトンネルを掘れば、これ約二十五キロ、全体を合わせると三十五キロのトンネルになりますが、水がめに穴を空けるわけですから、とてもこのようなレベルの出水や水がれでは収まらないであろうと。もしそうなれば、周りの住民の生活及び生態系に極めて深刻な事態をもたらすに違いないというふうに思っております。
 それからもう一つは、八六%がトンネルでありますから、極めて多量の残土が出ます。この残土処理についてほとんどまだ予定が立っておりません。おおむね二五%ぐらいしか残土処理の予定が立っておりません。一体残土をどこに捨てるのかと。本来なら、トンネルを掘るのであれば、残土を捨てるところを決めてからトンネルを掘り始めるべきだというふうに思うわけです。このように様々な問題が残されています。
 八ページの写真を見ていただければ有り難いですが、右側の写真は山梨実験線によって埋め立てられた谷筋であります。ここに百六十万立方メートルの土が運び出されました。ここを山梨県は何とか土地利用をしようとしていろいろ画策したのでありますけれども、現在に至っても使い道がありません。言わば塩漬けの土地になっております。こうした水がれ、それから残土の問題、こういうものが八六%のトンネル掘削によってあちこちで多分これから起きてくるであろうというふうに指摘せざるを得ないのであります。
 もう一つ問題は、こうした重要な様々な問題点を抱えながらアセスが十分ではなかった。識者の多くが、史上最悪のアセスだ、こんなアセスは見たことがないと。何せ二百六十八キロのアセスを僅か三年間でやるのですから、無理があるに決まっています。私が長い間関わっている地域高規格道路は僅か十五キロに七年掛けています。二百六十八キロを三年でやるなんというのは無理です。
 私は、一番最初のJR東海の説明会のときに、これは無理だということを申し上げました。ところが、JR東海は、法に従ってやるだけですと言ったにすぎません。つまり、法に従ってやりさえすればあとはいいのだというのがJR東海の本音であろうというふうに思います。
 地下水にしても、南アルプスの周辺の井戸水を僅か十二か所調べているだけです。これによって一体何が分かるのかということを私は国土交通省の行政者に質問しました。何も答えてくれませんでした。黙っていただけです。こうした非常に乱暴なアセスの中でこの大規模開発事業が行われるということ自体に私たちは警告を発しなければならないというふうに思っています。
 国交大臣意見に、多岐にわたる分野での影響が懸念されており、本事業の実施に当たっては、環境保全に十分な配慮が必要であるというのが環境大臣の意見を踏まえての国交大臣意見に出ていますが、およそそれとは非常に程遠い実態が現在進んでいるということです。
 それから、住民の問題をお話ししておかなければなりません。
 JR東海は、度々住民説明会を各地で行いました。しかし、住民の説明会という名前の割には、住民の意見を聞くという態度は非常に希薄です。時間が来れば、約二時間三十分JR東海の説明がありますが、残された一時間半が住民の質問時間になります。私も手を挙げて質問しましたけれども、質問時間一時間半が終わると、何人挙手していようと打ち切ります。これで本日の住民説明会は終わります、再質問はできません。私が質問して、相手のJR東海の答えがこれではおかしいんじゃないかと思っても、二度と質問できない。こういう住民説明会が説明会として繰り返される。
 先般、長野県の大鹿村で住民に対する説明会がありましたけれども、地区の説明会に別の地区の人をオブザーバーで聞かせてほしいと区長が要望したにもかかわらず、拒否されました。JR東海はそういう方針は取っておりませんと。説明会は住民のためのものですから、JR東海のためのものではありませんから、住民の意向をできるだけ酌んで、住民の意向に対して真摯に応えるというのが説明会としてあるべき姿だと思います。
 これに対しても、国交大臣意見書は、十一ページですね、JR東海が地域住民に対し丁寧に説明し、情報公開の下に透明性の確保に努めるようにとの指示が記されている。およそこの指示とは懸け離れた住民への説明がなされています。住民の不満は渦巻いております。これが後に裁判に行き着いていく、行政認可の取消し訴訟の行政訴訟に行き着いていくわけですけれども、こうした住民の不満が渦巻いているということだけは御存じおきいただきたいというふうに思います。
 どうもこういうふうな議論がそっちのけにされて、インフラの問題、経済性の問題だけでこのリニアの問題が議論されている。この場もそうです。こうした議論は一体本当にこれでいいのだろうかと思います。経済性やインフラだけに特化した議論は、私に言わせれば空疎でいびつで貧しいものだというふうに思います。
 こういうふうな状況に立ち至った元々は、恐らく国交省が設置した交通政策審議会鉄道部会の答申だろうと思います。是非二ページを開いていただきたいと思います。下から六行目、「鉄道審議会の答申は」というところを読みます。「新幹線は安全性、信頼性、省エネ性、速達性、ネットワーク性、定時性、建設費用等の点では優れているが、リニアの方が高速性の点で優れているのでリニアの方が適当である」。
 私は長い間文学の研究に携わってまいりましたけれども、これは日本語の文章として成立しておりません。私がこの文章をいろんな市民集会でお話ししますと、会場からどっと笑い声が起こります。なぜなら、こんな文章は日本語ではないと思っているからです。この文章を正しく日本語で言うとすれば、新幹線は安全性、信頼性云々、建設費用の点で優れているが、リニアの方は高速性の点でしか優れていないので新幹線を採用すべきであると、こういう文章でないと日本語として成立しないのであります。
 そう考えると、私には思い当たることがあります。それは、全ての審議はリニアを造るということを前提になされてきたのではないかということです。この答申にしろ、アセスのやり方、住民の説明を聞こうとしない住民説明会、こういうものは全て全体のスケジュールが決まっていて、最終的には二〇二七年の東京―名古屋間の開業ですが、それを前提にしてスケジュールを組まれているために、先ほど言いましたようにJR東海が答えたと、法に従ってやると。法に従ってやれば、造ることを前提としてやってもいいのだというふうな考え方がその底に流れているのではないかというふうに思います。
 こういうやり方をしていると、過剰な需要を見込んでオーケーだという結論が出るに決まっているわけです。私は、全ての問題をこの国会の場で議論していただきたい。先般の衆議院の委員会で、ある委員がこういうことを言っています。私は、このリニアの議論は……
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増子輝彦#9
○委員長(増子輝彦君) 川村参考人、申合せの時間が参っておりますので、御意見をおまとめください。
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川村晃生#10
○参考人(川村晃生君) はい。
 このリニアの議論は、リニアをやるかやらないかという議論じゃない、これはやるんだ、やってこの国の将来をしっかりつくっていくんだというものだと思います。これは議論の放棄です。国会という場は行政機関の追認機関ではありませんから、当然、国会は国会としての議論をすべきだというふうに思います。
 その上で、財投するかどうかという議論に移っていただきたい。私はその部分の議論が不十分であるので、したがって、私はこの財投融資というものは反対です。
 以上です。
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増子輝彦#11
○委員長(増子輝彦君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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足立敏之#12
○足立敏之君 自由民主党の足立敏之でございます。
 本日は、杉山先生、正司先生、川村先生には貴重な御意見を承りまして、誠にありがとうございました。
 私は、参議院の新人でございまして、今回、委員会で初めての質問になります。増子委員長、そして酒井理事を始め理事の皆様方にチャンスを与えていただきまして、心から御礼を申し上げたいというふうに思います。
 それでは、質問をさせていただきます。
 私は二年前まで国土交通省で勤務をしておりました。その関係もありまして、リニアにも一度試乗させていただいております。時速五百キロも経験させていただきましたけれども、本当にスムーズで、近未来というのを感じるような、私にとりましては夢のような、わくわくするようなプロジェクトでございました。
 私は小学校の五年生のときに初めて東海道新幹線に乗りました。開業から半年後でございましたけれども、そのときの感動、ここにいらっしゃる方々でもお持ちの方いらっしゃるかもしれませんが、忘れることはできません。とてもきれいな流線形のあの車体、そして内装もすばらしかったですし、やはりそれだけではなくて、長大橋だとかトンネルだとか高架橋、様々な当時の最新技術を使って日本をつないでいるという、そういったことについて大きな感動を与えていただきました。今回、リニア中央新幹線が開業すると、現代の子供たちにも、車両の技術だけではなくて、土木技術、建築技術を含めた世界最新鋭の技術として大きな感動を与えることができるんではないかというふうに思っております。
 私は、正司先生と同様、また関西の出身でございまして、東京―名古屋の開業から十八年遅れて名古屋―大阪が開業するという現在の予定につきましては残念に思っている一人でございます。
 国土交通省では、二〇五〇年の日本の将来を見据えた国土のグランドデザインというのを、長期ビジョンを二〇一四年に策定をいたしております。私も国土交通省で一部その策定に関わらせていただきましたけれども、先ほど杉山先生から国土の均衡ある発展のためのトップランナーの育成というお話がございましたけれども、国土のグランドデザインの中で、日本が国際競争力を持って発展していくため、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一時間以内で有機的に結んで一体的な圏域として捉えるスーパーメガリージョンという考え方が打ち出されております。日本が世界をリードしていくためにも、リニア中央新幹線、とりわけ名古屋―大阪間をできるだけ早く整備するということは、その考え方を実現するためには不可欠であります。
 しかし、先日の予算委員会での野党の先生方の御発言を聞いていますと、リニアは経済効果が乏しく財政を借金漬けにするもの、リニアのための財投発行は国の借金を莫大に増やすものなど、本当かなというふうに思うような御発言もございました。
 そこで、先生方に御質問をさせていただきたいと思います。
 リニアの経済効果についてでございますけれども、私は、リニア中央新幹線、名古屋―大阪間の八年前倒し整備というものは、関西のみならず日本全体にとってとても大きな経済効果があるのではないかというふうに思っておりますけれども、先生方の御見解を伺わせていただきたいというふうに思います。
 まず、杉山先生にお伺いいたします。
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杉山武彦#13
○参考人(杉山武彦君) まず、最後にお聞きくださいました名古屋―大阪の件ですが、この種の事柄、どれくらいの経済効果が出てくるかというのは、いろいろな計算方法、また前提の置き方もあって、一つ一つの数値に絶対の信頼を置けるというものではないと思いますけれども、しかし、既に報告をされていますように、国土形成計画について、国土交通省が調査の一環としてその試算をなさっておられるようでありまして、それは、大阪が開業されている場合とされていない場合とについて、ある時点で一体国民全体での生産額がどれくらい違ってくるか、そういう数字から我々は一応の信頼を、絶対的だとは申しませんけれども、一応の信頼を置きながら眺めるということになりますけれども、そういう数値を見ますと、やはり関西圏から西あるいは東京圏からまた東、北、こういうところとの連動関係も含めて大きな経済効果があるという認識は正しいものだというふうに私は思います。
 取りあえず以上でございます。
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足立敏之#14
○足立敏之君 引き続きまして、正司先生にもお伺いしたいというふうに思います。
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正司健一#15
○参考人(正司健一君) 基本は先ほど杉山参考人がおっしゃったとおりではないかと私も思っていますが、元々、その利用者効果と言われているのと、間接効果といって利用者以外の地域、国土全体に与える影響と二分して昔から議論はされています。
 今御質問の経済効果はその後者の方のイメージだというふうに思ってお答えするわけですけど、以前ですと、この間接効果をつかまえるのはなかなか大変で、その把握については慎重さを要するという議論があったんですけれども、これに関して、応用一般均衡分析等の分析手法も進み、日本だけではなく各国もこれをどう捉えるのかの研究が進んでおります。今般の審議会ではその分析結果も公表されておりまして、その結果からも出ている点を見れば、大きな効果があるという結論自体は信頼に足るものというふうに思っています。
 蛇足ですが、例えば名神高速道路が名古屋で止まっているのを東京まで伸ばすという議論のときに同じことがあるのかなと思ったときに、今までの日本の国の経済の在り方の中で、名古屋で止まることのロスも考えないといけないのかなというふうに思ったりもしております。
 以上です。
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川村晃生#16
○参考人(川村晃生君) この問題は、これまでの高速道路ないし高速鉄道の在り方を見れば分かると思います。
 つまり、大都市は経済効果があると思います。しかし、それに反して地方都市は衰退していくだろうと。これまで、例えば上越新幹線でいいますと、長岡のような中間駅はどんどんどんどん人口が減っていっていますし、経済効果が上がっていない。地域によって多分異なるのだろうと思います。その結果どうなるかというと、中央だけが栄えて地方が衰退するという、こういう社会が実現するだろうと考えています。
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足立敏之#17
○足立敏之君 ありがとうございました。
 私自身は、やはり大きな経済効果が期待されるというふうに思っております。
 続きまして、杉山先生にお伺いしたいんですけれども、今回の法改正と少し離れますけれども、このリニア中央新幹線の技術、これは世界でも画期的な最新鋭の技術で、日本での実績を生かして、是非世界各国でこの日本の独自の技術を活用していただきたい、そういうふうに私は願っております。日本の技術の中には、例えば土木、建築などの分野でも、高速道路やダムの建設、再生、エコタウン、環境調和型住宅、様々、世界をリードする優れた技術がございます。こうした技術は海外でも大いに評価されており、海外展開が実現しております。
 リニア技術につきましては、先ほど正司先生から全体システムとして優れているんだというお話があったかと思いますけれども、日本固有の技術として極めて優れていて、積極的に海外展開を図るべきというふうに私は考えております。海外展開の可能性について杉山先生の御見解を伺わせていただきたいというふうに思っております。
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杉山武彦#18
○参考人(杉山武彦君) ありがとうございます。
 常々私思うことは、例えば個人の生活でのアナロジーからいいますと、自分が自分の生きている世界の中で自分なりの特色を持ち、人からある程度の敬意を持って接して、こちらも敬意を持って接する、そういうような状況がやはり望ましい。そのためには、自分として何かを持っていなければいけないと思います。それをアナロジーとして日本全体について考えますと、国際社会でやはり日本という国が肩身の狭い思いをしないで、日本独自のいろいろなものを持って行動しているという状況が望ましいものだというふうに考えております。
 そういう意味でいいますと、やはりこの今私たちが直面しているリニア中央新幹線というようなモデル、これは大変貴重なものであって、先ほど来、川村参考人が大変重要なお話をなさいました。私は、その論点の一つ一つ、大変重要なものであって、これは国民全体が真摯に考えなければならない問題かと思いますけれども、しかし、私は、例えば技術評価委員会で、そこでなされている本当に真摯な議論、それから、昔、宮崎の実験線で、私、その頃から試乗をいたしましたけれども、大変なクエンチ現象というんでしょうか、がたんがたんがたんというような、もうそんな程度のものが、今は見違えるばかりの技術の水準に達しておる。そういう技術関係のいろんな努力というものを総合して考えますと、日本は沿線自治体と力を合わせて、日本がそういう景観であるとか安全であるとかそういうことにきちんとした手当てをしながら、なおリニア新幹線というものを実現させていくということが、国際社会で更に日本の発言力あるいは信頼の確保、そういうものにつながるものだと思っておりますし、このリニア新幹線のモデルというのは海外でも十分に活用してもらえるものだというふうに思っております。
 以上でございます。
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増子輝彦#19
○委員長(増子輝彦君) 足立敏之君、時間が参っております。
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足立敏之#20
○足立敏之君 はい、分かりました。
 この法律の成立によりまして、リニア中央新幹線、一日も早く東京と大阪が直結されて、日本再生の大きな原動力となることを願っております。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
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野田国義#21
○野田国義君 民進党の野田国義でございます。
 三人の参考人の先生方、今日は本当にお忙しい中、ありがとうございました。私からも心から感謝を申し上げたいと思います。
 それで、まず杉山参考人の方にお聞きしたいと思いますが、昨日ですね、御承知のとおり、アメリカの大統領、番狂わせと言ってもいいと思いますけれども、トランプさんが勝利をしたということでございまして、この理由としては、アメリカの国民の不満が爆発したということが一つに挙げられるかと思います。その不満の原因として、グローバリズムあるいは新自由主義を訴えたこれまでやってきたことが、ある意味では米国国民がノーと言ったということも言えるかと思います。
 そういう中で、日本のこれからの経済のかじ取りも恐らくかなり影響してくるかなと、そういうことを今日改めて感じているところでございますけれども、そういう中にあって、今回のリニア中央新幹線の問題、当然これは経済的な効果を期待をしての今回の提案であろうと思っているところでございます。
 それで、プラスの面、いろいろと杉山先生から言っていただきました。先ほどは川村先生の方からいろいろな問題点も提起がなされたところでございますけれども、強いてマイナスの面、いわゆる影の面を挙げればどういう面を心配なさっているのか。
 それと、私、平成五年から十六年間市長をやらせてもらいましたけれども、ちょうどバブルがはじけて、その後、公共工事公共工事という形での経済対策が政府によってなされました。しかしながら、結果として経済対策にはならなかったというような過去の歴史を実体験として経験をしてきました。それで、公共工事によっての経済対策に本当になり得るのか、その辺りのところを併せてお聞きできればと思います。
 この二点について、杉山先生、よろしくお願いいたします。
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杉山武彦#22
○参考人(杉山武彦君) 私自身の基本的な考え方というのは、冒頭に説明させていただきましたように、ある種のプロジェクトをやるときに、プラスもあればマイナスも必ずある、そのマイナスの面に対して、現在でいえば国、自治体、事業主体、そういうものが本当に力を合わせてここを克服しながら成し遂げるという、そういうスタンスでありますので、今非常に具合の悪い点をとおっしゃれば、それは、先ほどまさに川村先生おっしゃったようないろいろな点がまだまだ山積している点だと思います。しかし、それを私たちは克服しなければいけないと、こういうスタンスで物事を考えております。
 それから、公共工事というものの効果でありますけれども、これは、例えば一九六〇年代から日本には高速交通、新幹線でありますとか高速道路であるとか、そういうものの到来がございました。そこから先の私どもの社会の変化というのは、もう皆様方も思い起こしていただけることだと思いますけれども、業務活動も大きく変わりましたし、レジャーの旅行のパターンも大きく変わりました。また、企業の立地、そしてネットワークの築き方、そういうものも大きく変わりました。そして、結果として産業集積というようなものも、あるところにはでき、あるところは廃れてというような都市の盛衰というようなことも起きたわけです。
 極めて交通のインフラがもたらす影響というのは長期的なものであって、交通インフラが人々のニーズをまず満たし、その満たされたニーズがまた新しいニーズを生んで次の交通手段の整備につながっていく、そういう順繰りの関係、これがずっと続きながら、その中で日本は今までたどり着いてきているんだというのが私の認識でございます。ですから、短い期間を見てあれは効果がなかったあったというのは、実は余りそのように即断はできないものではないかというふうに考えるのが私の考え方でございます。
 以上でございます。
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野田国義#23
○野田国義君 どうもありがとうございました。
 私も、しっかりそういったマイナスの面、いわゆる影の面を克服しながら夢に向かって努力をしていくということが大切なことではないかなと、そのように思っているところでございます。今後ともよろしくお願いいたします。
 それから、正司先生の方にお聞きしたいと思いますが、もうお話の中にも出ておりますように、関西圏の方に今いらっしゃるということでございますけれども、これが六十七分でつなぐようになるんですかね。そうしますと、本当に大きく人の移動、物の移動というものが変わると思うんですね。そういう中にあって、関西圏が今ちょっと元気がないんじゃないかということが言われながら、どうかしていかなくてはいけないというようなことで皆さんが頑張っておられるわけでありますけれども、この関西圏のプラスと申しますか、その辺りのところを、このリニアでつなぐことによって、もう一度しっかり述べていただければ有り難いと思います。
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正司健一#24
○参考人(正司健一君) 関西圏、元気がないとよく言われて、何でですかと聞かれるんですけれども、人口の伸び、それから本社機能の東京ないしはアジアへの移転という、そういうことを抱えているのは事実でございます。
 そんな中で、もちろん万能薬ではないですけれども、やっぱり交通インフラがしっかりして便利な地域になっているかどうかというのは一つの大きな要素かと思います。御案内のとおり、つい五年ほど前まではなかなか飛行機が来ないと言っていた関西空港も、今はLCCがたくさん来て、ターミナルも次々造らないといけないというような形で、使えるインフラが使えるパワーのある地域にあると、ああいった形で活用されていくということになります。そういった意味では、決して鉄道だけではないですけれども、こういった交通インフラは、システムがあるとその後それをどうやって使えるのかとみんなが頭をひねれるわけですので、非常に大きな価値があるのではないかなと思っています。
 ただ、一点だけお気を付けいただきたいのは、この中央新幹線構想はあくまで人の移動だけですので、物の移動の方のシステムには、交通インフラとしてはこれだけで変わるわけではございませんので、本当は経済はそれに情報を合わせたセットで考えないといけませんので、こういうものをどう生かせばいいのかというのは多方面で考える必要があるんじゃないかなというふうに考えております。
 以上です。
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野田国義#25
○野田国義君 どうもありがとうございました。
 それでは最後に、川村先生になりますけれども、いろいろ影の部分というか、これからの課題を多く言っていただいたわけでありますけれども、確かにそういった課題を私はしっかりクリアした中でこのリニアをしっかり日本国として活用をしていくということが大切なことだと思っております。
 それで、川村先生、マイナスだけじゃなくてプラスも、これ当然、先生がいろいろ長年にわたって携わっておられる中で一つや二つはあろうかと思いますけれども、その辺りのところを是非とも教えていただければ、感じておることをお願いしたいと思いますが。
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川村晃生#26
○参考人(川村晃生君) 強いて一つ挙げるとすれば、早く行けるという、それだけのことだと思います。それが何をもたらすかということについては別の議論をしなければいけないと思っています。
 私がこの調査室のこれの一番最後に書きましたものを読んでいただければ分かりますけれども、もうそろそろ今の文明のレベルは人間のレベルを超えているんじゃないか、行き過ぎた文明と私は言っていますけれども、人間の身の丈を超えているんじゃないかと。一体どこまで人間の身の丈を超えて文明を進めていくのかという議論もないわけですね。私たちの時間というものは心臓のリズムによって決められますから、その心臓のリズムを超えるようなスピードが果たして人間に幸福をもたらすのかどうか、つまり速くなるということは本当に人間を幸せに導くのかどうかという根本的な議論が本来はされなければいけないのだろうというふうに思っています。
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野田国義#27
○野田国義君 どうもありがとうございました。終わります。
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新妻秀規#28
○新妻秀規君 三名の参考人の先生、本当にありがとうございました。
 私は、まず杉山先生にお伺いをしたいと思います。
 資料の二枚目に、財投の措置の評価の三点目の論点として緊張関係の構築と挙げられています。今回、財投措置が鉄運機構を通じて行われるので、事業者のJRとの間に適切な緊張関係が構築されて、それが公的支援の意義の確保の担保につながることを期待したいとありました。
 先生、このときにそれぞれのコンプライアンス、ガバナンスがしっかり構築されることというふうにおっしゃいました。この理想的な関わり方、また、このコンプライアンス、ガバナンス、どのような姿を想定されているのかというのをもうちょっと詳しく教えていただければと思います。
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杉山武彦#29
○参考人(杉山武彦君) 鉄道・運輸機構の場合には、これまで、冒頭にも申し上げましたけれども、鉄道整備促進の支援、これをともかく本務として行っている、そして補助事業等も実施をしているために、工事ですとか工程管理とかということに関しては大変なそこに知見が蓄積をされておるわけであります。したがって、今回、そういう主体から財投機関として事業主体であるJR東海が支援を受ける場合に、工事の進め方、またいろいろその細部で起きる多くの問題、そういうものを、融資した側がまたいろいろ知識があるわけでありますから、そこはそれを十分に活用しながらチェック、モニタリングをしていただきたいと思います。
 一方、今までは、鉄道・運輸機構もまた一定の使命を帯びて、工事の早期終了とかそういうことが非常に強く義務感として持たれるがために、場合によってはそのモニタリングが少し望ましくない方向にというようなこともなかったわけではないというふうに理解をしております。そこのところをそれぞれが本来どうあるべきかということを考えて、そして緊張関係を保つという、そういう意味で書かせていただきました。
 以上であります。
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