国土交通委員会

2021-04-20 参議院 全95発言

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会議録情報#0
令和三年四月二十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     岩本 剛人君     清水 真人君
     中西 祐介君     岡田  広君
     舞立 昇治君     馬場 成志君
     三浦  靖君     島村  大君
     高橋 光男君     西田 実仁君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     島村  大君     岩本 剛人君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     西田 実仁君     安江 伸夫君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     竹内 真二君     高瀬 弘美君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         江崎  孝君
    理 事
                足立 敏之君
                大野 泰正君
                青木  愛君
                杉  久武君
                浜口  誠君
    委 員
                朝日健太郎君
                岩井 茂樹君
                岩本 剛人君
                岡田  広君
                金子原二郎君
                清水 真人君
                鶴保 庸介君
                馬場 成志君
                牧野たかお君
                増子 輝彦君
                熊谷 裕人君
                野田 国義君
                森屋  隆君
                高瀬 弘美君
                竹内 真二君
                安江 伸夫君
                室井 邦彦君
                榛葉賀津也君
                武田 良介君
                木村 英子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  浩之君
   参考人
       国立研究開発法
       人土木研究所水
       災害・リスクマ
       ネジメント国際
       センター長
       東京大学名誉教
       授        小池 俊雄君
       株式会社社会安
       全研究所所長   首藤 由紀君
       水源開発問題全
       国連絡会共同代
       表        嶋津 暉之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
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江崎孝#1
○委員長(江崎孝君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、高橋光男君、三浦靖君、中西祐介君及び舞立昇治君が委員を辞任され、その補欠として清水真人君、岡田広君、馬場成志君、安江伸夫君が選任されました。
    ─────────────
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江崎孝#2
○委員長(江崎孝君) 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長・東京大学名誉教授小池俊雄君、株式会社社会安全研究所所長首藤由紀君及び水源開発問題全国連絡会共同代表嶋津暉之君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、大変お忙しい中、そしてコロナ禍の大変な状況の中で御出席いただきましたことに、誠に感謝申し上げます。ありがとうございます。
 皆様からの忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、小池参考人、首藤参考人、嶋津参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度私の許可を得ることとなっておりますので、どうぞ御承知おきをお願い申し上げます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず小池参考人からお願いいたします。小池参考人。
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小池俊雄#3
○参考人(小池俊雄君) お願いいたします。
 土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センターの小池と申します。略称ICHARMと言っておりますが、センター長をしております。
 本日は、気候の変化の下でいかに水災害リスクを軽減し、持続可能な開発を進め、質の高い成長を目指すかについて意見を申し上げたいと思います。
 お手元に資料があるかと思いますが、二ページ目を御覧ください。
 これは、近年の水害の概要でございます。伊豆大島、広島での土砂災害に続きまして、平成二十七年に関東の鬼怒川が決壊いたしました。真昼の災害でありましたが、逃げ遅れで千三百名余りの方がヘリで救助されるという事態になりました。
 翌平成二十八年には、台風が幾つも北海道、東北を襲い、高齢者のグループホームでの被災を始め、地域経済に大きな打撃が与えられました。
 平成二十九年には九州北部で豪雨が発生いたしまして、写真にありますように、谷間の平地部が、地形が一変するような様相となってしまいました。
 翌平成三十年、さらに令和元年には、いわゆる西日本水害、東日本台風災害が起こりました。この図にございますように、それぞれ西日本、東日本、約一割のアメダスの観測地点で過去最大を記録しました。その結果、無数とも言える土砂災害、それから、百四十二か所での堤防決壊に続きまして、昭和五十七年の長崎豪雨以来、二百名を超える被災者が出るという事態にもなりました。
 さらに、昨年は、熊本県の球磨川で、梅雨前線豪雨によって大きな災害が起きました。圧倒的な水量で都市が冠水し、土砂災害が起こり、橋がなくなりました。ここでも、グループホームが被災して、十七人の高齢者の方が亡くなりました。非常に痛恨の極みでございます。
 これらの豪雨によって、洪水のパターンも変化してきております。三ページを御覧ください。
 まず、①、バックウオーターというのは、一般には、河川が合流するときに最初は支川の洪水が流れ、本川の洪水が流れるのですが、豪雨が長期化しておりますと、本川が洪水を迎えたときに支川が依然としてまだ水位が高いという状態で、支川で氾濫するということでございます。平成三十年の真備町での災害はこのパターンでございますし、その後、それに前後して多くの災害が起こっております。
 ②は土砂・洪水氾濫というものです。強い雨で上流で土砂災害が起きますと、その土砂が豪雨による洪水で流れてきて、勾配が緩くなったところで川にたまります。そうすると、川を埋め尽くしますので、洪水流は、行き場を失って平地いっぱいに流れます。この図にカーブミラーとありますが、これは、県道の上に立っているカーブミラーがこのように土砂で埋まってしまう事態になってしまっております。
 ③は異常洪水時防災操作ということで、降雨が長時間継続いたしますと、大容量によって、これは、ダムというのは貯留施設でございますので、その貯留量を超える事態が発生し、流れてきた水をそのまま出さざるを得ないという操作になってしまいます。これは、ダムの水位が上昇する速度と競争で放流量を増やさないといけないというような規定になっておりますので、こういう異常洪水時防災操作がこの昨今増えてきております。
 この三ページの下は社会の変化でございます。
 ④は、数字が書いてございますが、高齢者一人当たりの、十五歳から六十四歳のいわゆる生産者数というものが、二〇〇〇年の三・九人から二〇一五年二・三人、二〇六五年には一・四人に下がるというふうになっておりまして、支援ができる人が減って支援を要する人が増えるということになります。
 ⑤は、この図が、階段のような図がございますが、このオレンジ色と赤色の線は、昨年までのマニュアルに記されております。これだけの浸水深があるとどれだけ事業の日数が止まるか、事業活動が止まるかということを記したマニュアルでございますが、実際には、それよりもはるかに多くの日数を事業復活までに掛かっております。そういうことを受けて、昨年、この数字がほぼ倍に改訂されました。日本の経済は持続的な発展性を失いつつあります。
 コロナの影響も顕著に出ておりまして、⑥で見ますと、この青色のところはコロナの感染の方が自然災害のリスクよりも多いと考えている人で、それは四二%にも達しております。その一方で、自然災害の方が大きいと言われる人は二二%で、倍ほどの人の方がコロナの方が怖いと思っているわけです。こういう中で災害に対する避難活動を確実に行わないといけない事態です。
 一方、少し明るい兆しもございます。⑦は、特に都市圏の若い人たちが地方移住への興味を、関心を高めていることです。この図にございますように、東京二十三区の二十歳から三十代の方々の地方移住の関心が高いというのは三五%にも達しているということでございます。
 このような変化を受けまして、社会資本整備審議会から国土交通大臣に、新たな治水の政策が提言されました。四ページを御覧ください。
 基本的な観点として三つ設定されています。
 まず第一に、甚大な被害を回避し、早期復旧復興までを見据えて事前に備える強靱性というものです。英語でレジリエンスと言います。それから、右側に行きまして、将来にわたり継続的に社会や経済を発展させる持続可能性、サステナビリティーと言います。さらに、これらを進めるために全ての主体が協力して取り組む包摂性、これが真ん中に置いてありますが、この三つを基本的な考え方といたしまして、新たに二つの取組を行うことを提言しております。
 一つは、気候変動を踏まえた河川計画の見直しであります。それから、これがピンク色ですが、ブルーのところが、流域全体のあらゆる関係者が協力して流域全体で取り組む治水計画として位置付けられる流域治水へ転換することです。これ、英語では、リバー・ベースン・ディザスター・レジリエンス・アンド・サステナビリティー・バイ・オールと言います。要するに、全ての関係者の皆さんの協力を得てこれを進めるということです。
 下に、ピンク色のところに河川計画の変更が記されておりますが、治水計画に用います計画の雨量は、従来は観測値を基にして、それを百年に一度というような確率的に評価して使っておりましたが、このほど、気候変動予測モデルによって推定される現在と将来の変化倍率をこれに乗じるとしております。二度上昇ということを対象といたしまして、この変化倍率は、北海道では一・一五倍、その他の地域では一・一倍になります。計画降雨で一・一倍というのは、洪水のピーク流量で一・二倍になります。百年に一度の水害が二度起こる、被害が倍に増えるということを意味しております。
 こういうことを受けて、流域治水への転換として、①、②、③と書いてありますが、赤字で小さく書いてありますが、氾濫をできるだけ防ぐ、②として、被害対象を減少させる、③として、被害の軽減や早期復旧復興を行うということを柱としております。これらは河川だけでなくて様々な主体によって初めて実現できるものでありますから、今回御審議いただいております流域治水関連九法案の改正というのは、このガバナンスの構築と制度設計が目的と私自身は考えております。
 この後、まず、このガバナンスと制度設計について述べさせていただきまして、その後、今後の方策として、科学技術と経済評価、人材の育成について述べさせていただきます。
 五ページを御覧ください。
 この五ページの右下のところに図が出ておりますが、この座標軸のところに黒い四角で書いてあるところがこれまでの施策でございます。主として河川区域、横軸を見ていただきますと、そこに河川区域とありますが、主として河川区域を対象としており、一部、都市化が進展した鶴見川などで、そういうところでは集水域にまで出て流出抑制をすると。それから、氾濫域においては、これまで、主として住民等の主体的な避難ということを進める、そういう施策を水防災意識社会の再構築というような政策の下で進めてきました。これを、この黒く囲ってある四角をそれぞれの矢印方向に広げ、点線のところまで延ばすというのが流域治水の枠組みでございます。
 ここで、縦軸のところに赤で書いてありますが、あらゆる関係者が協働して行う、これを赤字で、それから集水域のところで、全国で流出抑制対策を実施、これをピンクで、それから氾濫のところで書いてありますが、住民等の主体的な避難を推進、これを青で、それから氾濫の右側のところに書いてありますが、よりリスクが低い地域へ誘導、住まい方の工夫を推進というのを緑で書きますと、この五ページにございます九つの法案のそれぞれの項目がこの色で表せるような構造として改正を今回御審議いただいているということがお分かりいただけると思います。こういうことによって、各部局、あるいは国、都道府県、市町村、さらには民間、住民の皆さんと相互に連携できるガバナンスをつくる制度がこの法案の改定で提示されていると考えております。
 これによって関係者、全ての関係者の皆さんがいわゆるバイ・オールの体制を目指すわけでございますが、この横軸で、この河川区域から氾濫域に、特に緑の部分ですね、②被害対象を減少するというところがございますが、そこまで踏み込んで浸水被害防止区域というものを設定したことに大きな意義があると考えております。
 次に、これから進めるべき方向性について述べます。
 まずは、この図の③の、黄色の利水者への協力依頼と②の浸水範囲の限定についてですが、資料六を御覧ください。
 簡単に述べますが、緑色で描いているものは、電力会社との協力で進めています洪水の制御と電力発電量を増やす同時最適化の研究事例でございまして、①、②のピンクで記されているように、オレンジ色の実際のダムからの放流量を制限六百トン以内に確実に一〇〇%カットし、かつ発電量を増やすというような最適化操作が確立しております。
 ピンク色のところは、伝統的な河川技術、野越しといいますけれども、これは佐賀県で残っているものですが、これを近年実際に破堤氾濫したところに仮想的に適用して、どれだけ浸水面積、最大浸水深、排水日数が減るかということを試算したものでございます。非常に大きな効果があるということが分かっておりまして、こういうことを実行するためには経済評価が必要です。
 この一番下には、台風二十一号の関空が沈んだ絵が描いてありますが、このとき、実際には過去の最大潮位を三十センチ以上上回っておりましたが、浸水面積、浸水戸数はゼロでした。このときの投資効果は十七兆円と試算されておりまして、こういうような経済効果を併せて行い、合意を図っていくことが必要と考えます。
 最後に、人材の育成でございますが、七ページを御覧ください。
 この真ん中の方の図の左側にピンクで三角形が描いてありますが、平常時から、発災して社会の機能が低下し、それが戻っていくところ、この面積が災害のリスクでございますが、それを、避難、応急措置、復旧復興で、真ん中の図にあります紫色のように減らすことができますし、さらに、より良い復興や事前対応をいたしますと、更にリスクを軽減できます。
 こういうようなことを、いろいろな情報の提供だとか、上に描いてございますが、仮想現実の訓練システムで高めることと同時に幾つかの施策を連携させるということが必要ですが、そういうことを特に市町村レベルでリードしていく人材の育成が必要と考えております。
 最後に、もう一度四ページを戻っていただきますと、今申し上げましたように、こういうガバナンスの構築と制度設計、それから革新的な科学技術と定量的な経済評価による官民の投資の促進、さらには社会の行動の変容と政策の連携を促進する人材の育成を通して、強靱性、包摂性、持続可能性を兼ね備えた成長戦略としての質の高い成長を目指す、こういうような施策の推進を是非お願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
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江崎孝#4
○委員長(江崎孝君) 小池参考人、ありがとうございました。
 次に、首藤参考人にお願いいたします。首藤参考人。
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首藤由紀#5
○参考人(首藤由紀君) 社会安全研究所の首藤と申します。本日は、このような場で意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 早速ですが、お手元に配っていただいております資料に基づいて、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 最初のページの下半分に、簡単な自己紹介ということを載せさせていただきました。私は、大学時代に心理学を勉強いたしまして、それ以来ずっと事故や災害時の人の心理と行動ですとか、あるいは事故や災害をもたらす人のエラーの問題について調査研究をしてまいりました。災害心理学ですとかヒューマンファクターズというような、どちらかというと社会科学とか人間科学というソフトな領域を専門としております。
 また、私自身は決して研究者ではございませんで、ずっと民間のコンサルタントとして様々なお手伝いをさせていただいております。基本的には、災害対策の中でもソフト対策、例えば計画作りですとかマニュアル作りですとか、あるいは教育訓練ですとか啓発、さらには、近年では、災害時の人々あるいは市町村役場などの行政機関の対応を検証してその教訓を生かすというような、そのようなお仕事もさせていただいております。
 めくっていただきまして、スライドの三枚目ですけれども、そういった私のソフト対策を中心としてお手伝いをさせていただいている立場で、前提となる考え方というのをスライドの三枚目に書かせていただきました。
 人の心理や行動を研究してそれを生かすという立場ではございますが、その中でよく分かっていることは、人の行動というのは決して簡単には変えられないということでございます。人は、同じ条件下であっても常に同じ行動を取るわけではありません。あるときには適切に行動ができますけれども、違うときにはうっかりしたり、あるいは思い掛けないことで適切な行動が取れないということもございます。また、ある人が適切に行動ができても、ほかの人も同じようにできるというわけではございません。人の考え方や行動は多種多様でございまして、同じ対策も人によって効果が違うということが分かっております。
 ということから、人間に対する対策というのは、これを一つやっておけば万全だというものはございません。様々な対策をたくさん重ねることで、何とか人々がうまく行動できるように、命を守れるようにする、それが安全対策や防災対策の基本だというふうに考えております。
 その下のページに参りまして、そういった考え方から見まして、今回の改正法案、私の目から見たポイントを三点挙げさせていただきました。
 一点目は、リスクに関する情報がすごく増えて多様になるという点でございます。
 例えば中小河川のハザードマップ、これまで、なかなか作られてきませんでした。それを作って公表するということで、どこが危ないのかということが情報として人々に伝わることになります。また、浸水被害防止区域ということを指定されて、そこに制限を掛けるということで、極めて危ないところがどこなのかということが人々にメッセージとして伝わるというふうに思っております。また、下水道の計画で目標降雨を設定するという記述も拝見いたしました。これも、この地域の下水道はここまでしか対応できないんだというような意味で、リスクに関する情報の一つになるというふうに考えられます。
 ほかにも様々あると思いますが、こういったリスクに関する情報が増えることで、人々が適切に判断して、例えば避難行動を取るですとか危険なところに家を建てないというような行動に役立つのではないかというふうに考えられます。
 それから二点目は、要配慮者利用施設に対して市町村が助言や勧告をするということが明記されるという点です。
 これによって、要配慮者利用施設、避難計画を作って訓練をするということが、より実効性が高まるのではないかということが期待されます。
 それから三点目ですが、浸水被害防止区域で開発の制限が掛けられるということも拝見して理解いたしました。
 これは、非常に直接的に危険な場所に住む人が減らせるのではないか、特に要配慮の方などがそこの地域にお住まいになることを減らせるのではないかというふうに考えることができます。
 そういった意味で非常に大きな期待がある法案ではあると思いますけれども、私の目から見ても、それほど簡単ではないという意味で、課題もあるなというふうに感じました。次のページを御覧ください。
 上の、スライドの五枚目が、まずポイントの一つ目、リスク情報が増えることについての課題でございます。
 大きく二点ございまして、一つは、非常に似たような名前の情報がたくさんあって、素人には全くもって分かりにくいということでございます。
 そこに楕円形でお書きしているのが、今回いただいた資料で関連する様々な区域の名称でございます。専門的にはそれぞれの意味は違いますし、法律等では厳密に区別する意味でこういった形で様々な名前を付けることはやむを得ないとは理解しておりますけれども、このままでは、恐らく一般の方々には全く伝わらないというふうに思います。ですので、呼び方の工夫など、実際に多くの方に理解していただくために様々な工夫が必要であるというふうに考えます。
 それから二点目は、作った情報は、あるだけでは多くの人には行き渡らないというものでございます。
 例えばハザードマップでございますが、近年様々なものが作られて、重ねるハザードマップという形で、一つのサイトを見るといろいろなハザードマップの情報が見られるというところまでようやく最近来てまいりました。しかしながら、そういったものも、見に行く人が見られる情報でございまして、元々関心がない方々が得られる情報にはなっておりません。我々災害情報の世界ではプッシュ型情報と申しますが、見に行く人が得るのではなくて、待っている人に押し付ける形で情報を与える、そのような工夫が様々される必要があると思います。
 これは実際には実現可能かどうか分かりませんが、例えば、スマートフォンで地図を見るときに、必ずそこにハザードが重なっているですとか、そういった形で、多くの人が意識的に見に行かなくてもその情報が目に入る、耳に入る、そういった情報提供の仕方を工夫していく必要があると思います。
 それから二点目の、市町村による助言、勧告についての課題でございます。
 こちらに、市町村による対策のステップというふうにお書きしました。現在、こういった形で要配慮者利用施設を指定して避難計画を作っていただいて訓練をするというのは、今回の法改正の対象である水防法と土砂法以外にも、例えば活火山法でも実施されております。基本的には、まず最初に、市町村が法律に基づいて施設の指定をして地域防災計画に記載する、記載された要配慮者施設の所有者、管理者が避難確保計画を作って市町村に報告する、次いで三番目のステップとして、その施設で計画に基づく訓練を実施する、ここで市町村へ報告するということと、その次の四番目の段階、市町村が必要な助言、勧告を行う、この赤字のところが今回の法改正で水防法、土砂法で追加になった、このような部分でございます。
 しかしながら、私自身は、水防法、土砂法の方には詳しくないんですが、活火山法の方で実際のこの要配慮者施設の指定ですとか避難確保計画の作成などをお手伝いしているんですけれども、現実には、市町村が施設を指定すること自体が決して容易ではございません。施設の方に避難確保計画の作成を義務化して訓練を義務化する、そういった大きな負担を掛けることから、市町村の現場では、施設の方に十分に説明をして、よく理解をしていただいた上で施設の指定をしております。そのため、決して今の現時点で必要な施設指定は一〇〇%は進んでいない、もちろん、努力をされることによって徐々には進んできておりますけれども、決して第一ステップですら容易ではないということでございます。
 ましてや、避難確保計画の報告を受けて、それが適切であるかですとか、訓練の報告を受けて、その訓練で本当に実効性が上がるのか、そういったことまで市町村の限られた人数の、決して専門家でない職員がきちんとできるのかというと、それは容易ではないということを是非皆様に御理解いただきたいと思っております。市町村への専門的な支援ですとか人的支援が不可欠だというふうに私は考えます。
 最後のページを御覧ください。三点目の、開発の制限に関する課題でございます。
 これは、ちょっと課題というのは言い過ぎかもしれませんけれども、私がこれまでいろいろと調査研究をする中で拝見したり伺ったりした人々の暮らし方として、リスクを理解して、それを受容した暮らし方もあるというふうに考えております。
 例えば、三陸地方の沿岸で、東日本大震災の津波より以前に伺ったところで、海岸堤防より海側におうちを構えていらっしゃる方々がいらっしゃいました。その方にお話を伺うと、津波が来ることは分かっているので、もう車に最低限のものを積んでいて、地震があったらすぐ車で逃げるようにしていると、家はもし津波が来たら壊れても仕方がないけれども、命だけは助かるようにしているというふうにおっしゃっている方がいらっしゃいました。また、洪水常襲地域で軒先に小舟を用意して住まわれている方もいるということも伺っております。
 もちろん、危険な地域に住まないということは対策の一つではありますけれども、このように、リスクを理解して受け入れながら、それでもあるメリットを享受して上手に住むということもあると思います。ですので、住まないようにするという法律で制限を掛けると同時に、もしお住まいになるのであればこのようにしてほしい、このようにしませんかという形で、上手な住まい方の提案も併せて推進していただければというふうに考えております。
 最後のページは、今申し上げたことのまとめでございます。
 この法律の改正によって、浸水被害の防止や軽減はより一層進むというふうに期待されております。ただ、推進に当たっては少し工夫を考えていただきたいということで、三点の視点が重要だというふうに申し上げました。一つ目は、人々が本来持っている心理的傾向ですとか行動特性に配慮して、うまく情報提供をしていただきたいということ、それから二点目は、市町村や要配慮者利用施設などの現場の実情に応じて適切な支援を行っていただきたいということ、そして三点目が、リスクと共生する災害文化を醸成するということも併せて推進していただきたいということでございます。
 以上で私の意見を終わります。ありがとうございました。
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江崎孝#6
○委員長(江崎孝君) 首藤参考人、ありがとうございました。
 次に、嶋津参考人にお願いいたします。嶋津参考人。
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嶋津暉之#7
○参考人(嶋津暉之君) 水源開発問題全国連絡会の嶋津と申します。今日は、意見陳述の機会を与えていただきましてありがとうございます。
 今日、私の方の資料で二種類ございます。ワードで書いた四ページ物と、それからもう一つ、スライドを二つ並べたものですね。済みません、ちょっと資料が多過ぎるんですけれども。このワードの方は後でお読みいただくとしまして、今日は、このスライド形式のもの、こちらを御覧いただいて私の話を聞いていただければと思います。
 今回この法案が提出されたわけですが、その前に、今日お話しする内容は、十五分しかありませんけれども、この目次に書いてある内容をざっとお話をさせていただきたいと思っております。
 とにかく、今回のこの特定都市河川浸水被害対策法等の改正案は、非常に内容は多岐にわたっております。まず、この特定都市河川浸水被害対策法の改正の中でもいろいろなことが書いてありまして、流域水害対策計画の策定、雨水貯留浸透施設の整備計画の認定、貯留機能保全区域の指定、それから浸水被害防止地域の指定と建築物の規制と、いろんな内容が入っております。そのほかにほかの法律も改正するよということで、主なものを取り上げると、河川法の改正、利水ダムの事前放流の拡大ということですね。こういうように非常に盛りだくさんの改正法案であります。
 まず、次の三枚目のスライド、二枚目を御覧いただきたいと思います。
 まず、この利水ダムの事前放流ですね。今回のこの河川法の改正でこれが入れるということですが、これは、実は内容的には既に始まっておりまして、二〇二〇年度、昨年度から、国交省の通達でこれが既に始まっております。四月二十二日に事前放流のガイドラインの策定というのが、国交省が作りまして、これは、菅首相が官房長官時代に非常にこれに取り組まれまして、それで、当時の官房長官の指示の下にこのガイドラインが作られたわけであります。これを今回法制化するということですね。
 ただ、この事前放流、どこまでこれは有効なものかということを少し考えてみたいと思います。
 先ほど小池先生からお話があったこの球磨川水害、昨年七月、熊本県の球磨川が大氾濫しまして、大変な被害をもたらしました。ここで、今、川辺川ダムの是非をめぐって議論がされているわけでありますが、既設のダムがあります。一番大きいのは国交省の市房ダムであります。
 では、この場合、事前放流どうだったかということですが、次の五つ目のスライドは、これは被害の状況ということで、本当にすさまじい被害でありました。新聞等とかいろいろなニュースでお読みになって知っておられると思いますけれども。当然、これはもうガイドラインができた後です、先ほどの事前放流の。だから、当然、この市房ダム等もこのガイドラインに沿って事前放流をしなきゃいけないわけですね。
 ところが、この場合、この下の新聞記事、六枚目のスライドです。
 この雨の降り方が急であったために、事前放流、間に合わなかったんですよ。だから、六つのダム、いずれも事前放流ができなかったということです。事前放流はこういうものであって、急な雨には対応できないものだということを知っておかなきゃいけないと思います。次の七枚目のスライドを御覧ください。
 最近は大きな本当に洪水があって、本当に氾濫がすさまじいんですけれども、今から三年前、西日本豪雨、西日本の各地で大雨が降って大変な被害をもたらしました。愛媛県、肱川という川があります。ここも大氾濫しました。ここには国交省のダムが二つあります、野村ダムと、それから鹿野川ダムであります。これが緊急放流しましてもうダムがいっぱいになって、それによって下流が大氾濫しました。鹿野川ダムでも四人の方が死亡し、大変なことになりました。
 では、このダム、まだこれはガイドラインできる前ですけれども、事前放流はどうだったかということです。それを見たのが九ページ目であります。九枚目のスライドでございます、済みません。
 これは、鹿野川ダムを例に取って、このダムの貯水量の変化を見たものです。この場合、事前放流はそれなりにやっているんですよ。だけれども、雨の降り方がすさまじくて、この鹿野川ダムも野村ダムもそうなんですけれども、事前放流でとても対応できるものでなかったということですね。だから、事前放流をすればかなり対応できると、必ずしもそうではないケースが多いと、あるいは事前放流ができないケースもあるんだということを御承知いただきたいと思います。
 それから、ちょっと事前放流の話と離れますけれども、ダムがどこまで治水対策の役に立っているのかということで、少し例を見ておきたいと思います。
 今から六年前、鬼怒川で大水害がありました。利根川の支流の鬼怒川であります。この関連死を含めると十四人の方が亡くなっているわけであります。こういう形でヘリコプターで人が救助されるという、そういう事態でありました。
 次の十一枚目のスライドを御覧いただきたいんですが、ここは、鬼怒川というのは、これは上流に国交省の大きなの四つもあります。五十里、川俣、川治、湯西川です。このダムの集水面積は、この鬼怒川全体の三分の一もあります。だから、ここはもうダムで洪水をためれば十分大丈夫と思われた河川でありました。しかし、そうではなかったんですね。下流で大氾濫しました。
 なぜそうなったかということですね。それが十二枚目のスライド。
 ちょっと分かりにくいですけれども、赤い方がダム地点の流入と放流を示しております。白抜きの方が流入量、塗ってある方が放流量ですけど、ダム地点では毎秒二千トン以上のカットをしました。ダムはきちんとこのぐらい働いておりました。ところが、そのダムの効果というのは、下流の水海道、そちらに行きますと僅か二百トンぐらいになっちゃうんですね、この国交省の数字から計算しますと、十分の一に落ち込んでしまうと。ダムの効果というのはこういうもので、ダムの直下では効果があったとしても、その効果というのは下流に行くとかなり減衰してしまうんだということです。
 なぜそうなるかというのは、ちょっと説明を今日はする時間がありませんけれども、十三枚目のスライドに少し書きましたけれども。洪水というのは、上流から下流に流れていくにつれて、河道の割合勾配の緩いところ、そこで貯留されます。それによって洪水のピークが落ち込んでいきます。ということで、上流やダムでそのピークをカットしても、その効果というのは下流の方ではかなり小さくなってしまうということですね。そのほかの要因もあります。
 ということで、鬼怒川に関しては、上流に大きなダム四つあって、そこできちんと洪水調節したけれども下流の氾濫を防ぐことはできなかったということです。それを踏まえてやっぱりこれからの河川事業を進めるべきじゃないかと思うわけであります。
 今、このダム事業はどれぐらいの予算が使われているかと見たのが十四枚目のスライドです。
 最近三年間、ダム建設以外のお金も入っておりますけれども、ダム関係の予算としては、年間で二千五百億円前後ということですね、この三年間を見ますと。一方、河川事業の予算はどうかというと、次のスライド十五を御覧ください。大体、これにまた三千億から四千百億円ということで、ダム事業のウエートは結構高いということですね。
 今でもダム事業にかなりの予算が使われていると、こういう状況でよいのかということを問題提起したいと思います。やはり河川事業の方に、河川の予算をより多く回すようにすべきじゃないかということが私の考えであります。
 ということで、この十六、一つのまとめですけれども、限られた治水効果しか持たず、あるいは、時には緊急放流で災害を引き起こす、先ほどの肱川ですね、野村ダム、それから鹿野川ダム、そういうことがあるダム事業の予算を少しやっぱり縮小すべきじゃないかと、極力ですね、私の考えでは。河川改修、河川維持の予算に回すべきじゃないかと思うわけであります。
 それから、ちょっと話が横にずれますけれども、今、低コストで堤防を強化できる耐越水堤防強化工法というのがあります、これはもう随分前に開発されているんですけれども。これは、ずっと封印されてきたんですけれども、二〇一九年の水害で決壊した千曲川の決壊地点、穂保にようやく昨年導入されました。二十年ぶりの復活であります。この技術を是非全国に広めてほしいと思います。
 あと、それから、この河川管理も、河川のこの河床、河川というのは河床がどんどん上昇していきます、通常ですね。それによって氾濫しやすい状態がつくられていきます。ですから、河川の河床のしゅんせつが非常に大事であります。その費用につきましては、地方管理河川に限られますけれども、昨年度から総務省の方で、緊急浚渫推進事業費における四千九百億円、これを付けて、今、各河川で行われております。これを是非国管理河川でもやるように、是非その辺もこれから進めるべきだと思います。
 次のスライドで、この上の十七は今申し上げた耐越水堤防工法の話で、ちょっとこれは省略させていただきます。
 今回、この流域治水の推進ということで法制化されていくわけですね。非常に大事なことであります。これについては、先進的な事例があるということですね。御承知かと思いますけれども、滋賀県の流域治水の推進に関する条例であります。
 これは、二〇一四年三月、ですから今からもう七年前ですかに作られたものであります。当時の知事は、今参議院議員をしておられる嘉田由紀子さんでありました。これはかなりよくできた条例であります。これを参考にして、今後、この流域治水推進法が今度できますので、その実施に当たっては、この滋賀県のやり方を十分に取り入れて進めるべきじゃないかと私は考えております。その内容を少し紹介したいと思います。
 まず、十九枚目の十九のスライドですね。浸水警戒区域というのを設定します。今回の法案では浸水被害防止区域、ちょっと名称が違いますけど、そういうことを、そういう場所を指定して、そして、近くに避難所とか、地盤のかさ上げをしない場合は原則として新しい家は駄目だということですね。そういう浸水区域の指定が行われてきているわけであります。
 ここで、滋賀県の場合の特徴なんですけれども、二百年に一回の雨を想定していると、非常に大きな大雨を想定してこの浸水警戒区域が設定される、これが今回の法案との違い、大きな一つの重要な違いじゃないかと私は思っております。
 ちょっと二十のスライドは飛ばしまして、次の二十一のスライドは、それを、今お話ししたようなことが図示されております。要するに、そういう浸水警戒区域においては二階建てにして、それか三メーターの高さを持たなきゃ駄目だという、そういう規制が行われているわけですね。
 それから、もう一つ重要なことは、既設の住宅は当然かさ上げが必要です。その場合に費用を補助しようという、そういう制度を作っているんですよ。これは二〇一七年にできたものですけれども、水害に強い安全安心なまちづくり推進事業費補助金交付要綱というので、四百万円を上限として、かさ上げなどの費用の二分の一を県が補助するという画期的なものです。
 次の二十三のスライドは、それを図で分かりやすく説明したものです。
 是非、今回の法案ができた場合、これは成立するんですけれども、こういう補助制度を是非これも考えていただきたいと思います。
 それからもう一つ、この滋賀県で非常に重要なところは、地先の安全度マップということです。
 ちょっと分かりにくいですけど、これは、十分の一、十年に一回の雨、それから百年に一回、二百年に一回の雨でそれぞれ地先の安全度マップが作られているんですけれども、そのうちの二百分の一の雨が、二百分の一の地先の安全度マップが先ほどの浸水警戒区域の指定対象になります。ここの地先の安全度マップの作り方が非常に特徴的で、非常に重要であります。次の二十五のスライドを御覧ください。
 まず、普通の氾濫といいますと、一つの河川の氾濫しか考えませんよね。国の場合は大体そうなんですよ。ところが、こちらの場合は複数の河川の同時氾濫を考慮すると。それは、ある地域に近い河川幾つもあるわけですね。それを一つの河川ごとに考えるんではなくて、複数の河川の同時氾濫を考慮する、それから内水氾濫、降った雨が、川からの越流ではなくて、降ったのがそこであふれてしまう内水氾濫がありますね、これも考慮すると、さらに未完成堤防の破堤条件も厳しく考慮するということで、そういう形で地先の安全度マップを作り、そして先ほどの浸水警戒区域を設定するという、非常にユニークな方法を取っております。
 今の地先の安全度マップの作り方を図示したのがこの二十六のスライドであります。
 最後のスライドの二十七を御覧いただきたいんですけれども、滋賀県の流域治水とそれから今回の流域治水関連法案を比較いたしますと、今の三点で整理いたしますと、まず、浸水警戒区域、法律の方は浸水被害防止区域という名前ですけれども、まず滋賀県の方は、二百年確率の降雨による浸水を考えている、非常に大きな雨を考えるということですね。一方、今回の法案は、何年と書いておりませんけれども、国交省に聞いたところ、数十年に一回ぐらいかなということを言っておりました。ということで、今回の流域治水関連法案でこの浸水被害防止区域を設定しても、やや大きな降雨には対応できないことがあるんじゃないかということを心配せざるを得ません。
 それから、浸水警戒区域内での既存住宅の建て替えの補助制度ですね。これは、先ほどお話ししたように、滋賀県では四百万を上限としてかさ上げなどの費用の二分の一を補助すると、この補助制度は今回の法案では書いてないように思うんですよね。是非、これからこの法案を進めていくに当たってはこの補助制度を同時にお考えいただきたいと思います。
 それからもう一つ、氾濫域の設定の仕方も、滋賀県の場合は複数の河川の同時氾濫、内水氾濫を総合的に考慮すると、今回の法案はどうもそれが書いてありませんけれども、今までのやり方を見ますと、各河川の氾濫を個別に考え、それから内水氾濫を別々に想定をするというもので、もっと総合的に考慮することが必要ではないかと思います。
 ということで、この今回の流域治水関連法案はできるわけですけれども、法案ができるわけですけれども、この流域治水の先進的な取組事例である滋賀県、その条例とその取り組み方を大いに参考にして今後充実をしていただきたいと思います。
 以上で私の話を終わります。御清聴ありがとうございました。
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江崎孝#8
○委員長(江崎孝君) 嶋津参考人、ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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足立敏之#9
○足立敏之君 参議院議員、自由民主党の足立敏之でございます。
 本日は、三名の参考人の先生方に御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。また、貴重な御意見をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。
 まず、小池先生にお聞きしたいと思いますけれども、私は、国交省、建設省の出身で、ずっとダムを造ってきた人間でございまして、小池先生には、地球温暖化に関する審議会や委員会、そういった場で大変御指導をいただきまして、ありがとうございました。
 小池先生は、IPCCといいまして、気候変動に関する政府間パネル、気候変動の予測をしたりする分野でも御貢献をされた、そういう経験がありますので、先生にまずお聞きしたいのは、地球温暖化に伴いまして気候の変化が激しくなっている、これについては先ほど先生からも御指摘ございましたけれども、資料で説明ありましたけれども、これまで災害が頻発しているのはそういう状況なのか、あるいは今後どんなふうに災害が変化していくのか、その辺りについて先生の受け止めをお教えいただければというふうに思います。
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小池俊雄#10
○参考人(小池俊雄君) 簡潔に述べたいと思いますが。
 二〇〇七年のIPCCの第四次評価報告で、地球が温暖化していることは間違いないという合意をいたし、第五次、二〇一四年の第五次評価報告でも全く同じ文章が使われました。科学的な見地からは、地球が温暖化しているということは間違いないと。
 その中で、水循環が激しくなって豪雨が起きやすくなる、しかも、その豪雨が比較的狭いところに集中して起きやすくなるという科学的知見も積み重なっております。こういう科学的な知見と昨今のいろいろな現象に鑑みまして、平成三十年の西日本水害のときには、気象庁が初めて、これは温暖化の影響の現れであるということを公式に発表しております。そういうような時代になっているということを是非御認識いただければと思います。
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足立敏之#11
○足立敏之君 ありがとうございます。
 温暖化対策では、いわゆる緩和策といいまして、CO2発生を抑えるという方策と、適応策といいまして、発生している事態、例えば水害が増えているとかそういった事態を抑えるための対策、この二つが重要な方策だというふうに言われています。その中でも、どうしても緩和策の方に目が行きがちで、環境省を中心にそういったところが議論されているのがとても私としては心配なところもありまして、小池先生のお力を借りて、適応策、水害対策だとか土砂災害対策、そういったことを議論してきたんですけれども。
 この後お二人にお聞きしたいと思いますけれども、今お話がありましたように、気候の変化、地球温暖化に伴って大きく変化してきているあるいは今後も変化していくかもしれない、そういったことについて、首藤参考人はお父様が津波の大家でありまして、東北大学でずっとやっていらっしゃいまして、東日本大震災のときも大変お世話になりました。その首藤参考人と、それから、まあ私の対極にあると言ったら言い方が失礼かもしれませんけれども、嶋津参考人の方からも地球温暖化についての受け止めについてお聞きしたいというふうに思います。
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首藤由紀#12
○参考人(首藤由紀君) 決して地球温暖化そのものについては専門ではございませんけれども、一市民としてお答えさせていただきます。
 地球温暖化が実際に進んでおり、それによって災害が増えているということは、我々、常に災害、防災や安全対策を考える者として実感しているところでございます。
 ただ、人は柔軟にそれに対応する能力があるというふうに私は信じております。地球温暖化に伴う災害の激化について人々が理解をし、それに応じた暮らし方をしていくということが大切ではないかというふうに考えております。もちろん危険な場所に住まないことも大切ですけれども、いざというときにはきちんと避難をしようですとか、そういったことを人々が暮らしの中に取り入れていくということが大切なのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
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嶋津暉之#13
○参考人(嶋津暉之君) 地球温暖化で雨の降り方が激しくなってきているというのは事実ですよね。最近を見ても、先ほどお話しした二〇一五年の鬼怒川水害、それから二〇一八年の西日本豪雨、それから二〇一九年の台風十九号でしたか、それから二〇二〇年の球磨川水害ですね。すさまじい状況です。本当に最近なかったような雨の降り方ですよね。だから、今までの治水対策を根本から考え直さなきゃいけないと思うんですよ。
 どちらかというと、今のやり方といいますのは、ちょっとお考えが違うと思いますけれども、ダムで調節してやるというやり方が基本的で、それであとを河川で対応しようというのが今の、今までの国交省のやり方ではなかったかと思うんですけれども、そのやり方でいいのかということですね。
 ダムというのはやっぱり限界がありまして、先ほど、緊急放流する事態になったという例もお話ししました。ですから、やはりダムに頼らないで急激な雨の降り方に対応できる方法をどう考えていくかだと思うんですよね。それは、やはり先ほども少し述べましたけれども、この流域治水の目的でもありますけれども、ある程度氾濫させて、そこでこの大洪水に対応するということ。それから、やっぱり河床の掘削をもっとすべきですよ。
 今までのやり方を根本から考えて、考え直して、そしてこの雨の急激な降り方にどう対応するか。また繰り返しになりますけど、ダムプラスこの河川対策でよいのかどうかということのやり方を改めて考え直していただけないかという私のお願いでございます。
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足立敏之#14
○足立敏之君 おっしゃるとおりダムは万能ではないと思いますけれども、ここ、ダムの議論をする場ではないのであれですけど。
 今おっしゃられたように、あらゆる政策を今回総動員して、流域の関係者みんなで対応するというのが国交省から出てきた流域治水だと私は理解しているんですけれども、そういうことを踏まえて、この流域治水に対してどのような評価をしていただいているのかというのを、まず小池先生にお聞きしたいと思います。
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小池俊雄#15
○参考人(小池俊雄君) 先ほど御紹介いたしましたが、五ページの資料で、今回、従来の河川の管理から非常に大きく踏み出したのが、この右下にあります図の緑色の部分であると思います。被害対象を減少するというのは、川以外のところのいわゆる土地政策になるわけです。これを流域の治水としての一環として捉える、これは、当然のことながら、河川を管理する部門だけでなく、都市であるとか住宅であるとかあるいは農地であるとか、いろいろな部局と連携しないといけないわけで、そういうところへ踏み出したということが一つ非常に大きな一歩であると思います。
 それに対応して、この法改正の中で、分かりにくいという御指摘がございましたが、浸水被害防止区域というものが指定されるということは、非常に大きくこれまでの河川の政策を変える一歩になっているというふうに私は理解しております。
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足立敏之#16
○足立敏之君 ありがとうございます。
 今お話のありました浸水被害防止区域、嶋津参考人も言及されましたけれども、今回この流域治水の法案の中にこういう区域が設定されて、開発規制だとか建築の規制が行われるというのは大変大きなことだというふうに思っています。
 実は私が国交省にいた頃もやりたかったことなんですけれども、残念ながら私の力ではできなかったことが今回実現されておるんですけれども、その辺について、首藤参考人の方から何か御意見ございますでしょうか。
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首藤由紀#17
○参考人(首藤由紀君) ありがとうございます。
 私自身も、やはり危ないところをはっきりと明確にして、そこは特に配慮の必要な方ですとかそういった方は住みにくくするということは大切ではないかというふうに思います。
 先ほど、そこでも住まう在り方もというふうに申し上げはしましたけれども、やはり人の行動を動かすためには、やってほしい方向へ進めていく、やってほしくないことはやりにくくするということはどんな対策でも非常に重要だと思っておりますので、危険な場所に住みにくくするということ自体は賛成でございます。
 以上でございます。
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足立敏之#18
○足立敏之君 ありがとうございます。非常に分かりやすく御説明いただきまして、ありがとうございました。
 もう一点、小池先生にお聞きしたいんですけれども、資料の方に、気候変動を踏まえた計画手法改訂というのを唱えておられます。私も、以前から、河川整備基本方針という大きな、何というんですかね、流域のビジョンですね、哲学というか憲法というか、そういったものなんですけれども、これをもう見直すべきタイミングに来ているんじゃないかというふうに感じているんですけれども、その辺について先生の御意見をいただければと思います。
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小池俊雄#19
○参考人(小池俊雄君) 議員おっしゃったとおりであると思います。
 ここの資料の、私の資料の四ページの左側に書いております、オレンジとか黄色で書かれている数字ですね、一・一倍とか一・一五倍は、まさに基本方針の計画雨量にこれを乗じるということでございます。
 これは、昨今、例えば昨年の球磨川とか二〇一一年に深層大崩壊等を起こした新宮川とか、基本計画を立てた以上の洪水に見舞われたところからまず基本方針の変更というものをこの方式に従ってやっていく必要があると思います。
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足立敏之#20
○足立敏之君 ありがとうございます。私も、是非そういう方向になってほしいなというふうに思っております。
 首藤先生に一つお聞きしたいんですけれども、国土交通省では、平成二十八年、先ほど嶋津参考人からお話のあった鬼怒川の決壊を踏まえまして、その復旧復興を図る中で、あの地域でマイタイムラインという取組が始まりました。私自身はあれすばらしい取組だなというふうに思っておりますし、今回、委員会の中でまた御紹介する機会があればお話をしたいと思っていますけれども。
 首藤参考人は、ソフト対策とかそういった面、非常にお詳しいんですけれども、マイタイムラインについてどのように評価していただいているのか、お聞きをさせていただければと思います。
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首藤由紀#21
○参考人(首藤由紀君) 私自身も、マイタイムライン作り自体は非常に効果的な対策であるというふうに考えております。人々が自分自身のこととして、何が起こったらどんな経過を取るのかということを考えて、それを自分はそのときどう行動しようかというふうに結び付けていくという流れでございますので、非常に効果的な対策だと思います。
 ただ、ああいったタイムラインを作ることが有効な災害とそうでない災害がございまして、やはり大きな川の洪水ですとか台風のようにあらかじめ分かっていることについてはマイタイムライン作りは有効ですが、突発の災害に対してはなかなか難しいという限界もあるかなというふうに考えております。
 以上でございます。
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足立敏之#22
○足立敏之君 嶋津参考人も、何かマイタイムラインについての御意見ございますでしょうか。
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江崎孝#23
○委員長(江崎孝君) 嶋津参考人、挙手をお願い申し上げます。
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嶋津暉之#24
○参考人(嶋津暉之君) 済みません。
 マイタイムラインというのは、それは重要なことだと思いますけど、ちょっとそれについての余り知識がないもので、お話しすることはちょっと難しいと思います。
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足立敏之#25
○足立敏之君 大体もう時間も参りましたが。
 今申しましたマイタイムラインというのは、ハザードマップを事前にちゃんと見るという意味で大きいと思いますし、それから、いろんなこれから起こるであろう災害を自分たちでイメージアップしておくという意味で非常に重要だと思うんです。
 先ほど首藤参考人からお話ありましたけれども、プッシュ型でという話がありましたが、マイタイムラインを、できたらAIを組み合わせてプッシュ型でその人たちに教えてもらえるようなシステムができればいいなと思っていますので、その辺でも首藤参考人の御支援をお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
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熊谷裕人#26
○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷でございます。
 今日は、三名の参考人の皆さん、意見陳述ありがとうございました。
 それぞれ、最初に三名の方に一つずつ御質問させていただいて、その後また重ねて質問させていただきたいと思います。
 まず、小池参考人なんですが、この資料、ありがとうございました。国交省の資料より分かりやすい資料だなと思って、副大臣と政務官いらっしゃいますけれど、本当に分かりやすいのを作っていただきまして、ありがとうございました。
 その中で、先ほど足立議員の質問の中で、五ページのところの右下の図の中で緑の部分が非常に大切であるというようなお話がございました。災害リスクを減らすためによりリスクの低い区域への誘導をしていくために、今回の幾つかの法案、束ねてありますけれど、それだけでは対応できない部分もあるんではないのかなというふうに考えておりまして、まずは国交省の中で連携をしなければいけない、例えばまちづくりの部門ですとかあると思うんですが、そういうところとの連携をどのように今後考えていけばいいのか。
 それから、国交省以外に、治山の関係でしたり環境の関係でしたりというところで、幾つか連携してくる他省庁との連携の部分があると思うんですが、そういったところについて、小池参考人、どのような思いを持たれているか、お聞かせいただければと思います。
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小池俊雄#27
○参考人(小池俊雄君) 大変重要な御指摘だと思います。
 この五ページの図にございますが、法案のこの改定につきましても、①の部分、これは河川の部分でございますし、③、⑥は建築や住宅やあるいは都市計画の分野でございます。こういうふうに国土交通省の中でも複数の部局が協力してこういう法案が提案されたことに、私は非常に大きな意義を感じております。昨年の六月には都市計画の法律が改定されましたし、宅建法の重要事項説明の中で、この水害についても触れることが決まりました。こういう部局内での連携というのが着実に進んでいるなということに大変感心しております。
 さらには、これは、ここで見ております集水域の管理と氾濫域の管理が必要でございますので、議員おっしゃったように、山林、農地、こういうところを所管しております農林水産省等との連携がこれからますます強くなっていくというふうに思っております。そういうものを是非進めていただきたいと思います。
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熊谷裕人#28
○熊谷裕人君 ありがとうございます。私も、その辺問題意識を大変持っておりまして、今後の質疑の中で確認をしていきたいなというふうに思っております。
 国の方はそういう連携ができたとしても、実際この法律を運用していく県だとか市町村というところにいかにこの国の思いというのか今回の法改正の思いを伝えていって、そして実効ある流域治水にしていくかというところもまた一つの課題になってくるんではないのかなというふうに思っておるんですが、その点について、参考人は御意見いかがでしょうか。
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小池俊雄#29
○参考人(小池俊雄君) これも大変重要なところだと思います。
 先ほど首藤参考人の方からお話がありましたが、私は、基礎自治体である市町村のこの支援というものが物すごく重要になってきていると思います。ある市町村内である区画がこの浸水被害等防止区域に設定されますと、それ以外のところの土地の人と協力してその地域を発展させる枠組みをつくっていかないといけないわけです。それにはその市町村内のいろいろな部局が連携して立ち向かわなきゃいけなくて、これは、その市町村の河川あるいは防災の部局だけでできる話ではないわけです。
 そういう意味で、市町村、都道府県の部局内での連携、それから都道府県と市との連携、複数の市にまたがる場合もありますのでそういうところの強化が必要で、そういうところをいかに支援していくかということがこれからの課題であると思います。
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