消費者問題に関する特別委員会

2025-04-17 衆議院 全232発言

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会議録情報#0
令和七年四月十七日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 浦野 靖人君
   理事 勝俣 孝明君 理事 中野 英幸君
   理事 松島みどり君 理事 青山 大人君
   理事 大西 健介君 理事 尾辻かな子君
   理事 伊東 信久君 理事 丹野みどり君
      今枝宗一郎君    上野賢一郎君
      加藤 鮎子君    小池 正昭君
      島田 智明君    高木  啓君
      武村 展英君    土屋 品子君
      永岡 桂子君    中西 健治君
      根本 幸典君    野田 聖子君
      平沼正二郎君    福原 淳嗣君
      三反園 訓君    向山  淳君
      森下 千里君    若山 慎司君
      井坂 信彦君    石川 香織君
      大河原まさこ君    大島  敦君
      おおつき紅葉君    川内 博史君
      松田  功君    山田 勝彦君
      梅村  聡君    西岡 義高君
      角田 秀穂君    沼崎 満子君
      たがや 亮君    本村 伸子君
    …………………………………
   国務大臣
   (消費者及び食品安全担当)            伊東 良孝君
   内閣府副大臣       鳩山 二郎君
   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君
   政府参考人
   (消費者庁政策立案総括審議官)          藤本 武士君
   政府参考人
   (消費者庁審議官)    尾原 知明君
   政府参考人
   (消費者庁審議官)    黒木 理恵君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           尾田  進君
   衆議院調査局第一特別調査室長           松本 邦義君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
 辞任         補欠選任
  今枝宗一郎君     根本 幸典君
  高木  啓君     島田 智明君
  永岡 桂子君     土屋 品子君
  中西 健治君     向山  淳君
  山井 和則君     川内 博史君
同日
 辞任         補欠選任
  島田 智明君     平沼正二郎君
  土屋 品子君     永岡 桂子君
  根本 幸典君     今枝宗一郎君
  向山  淳君     森下 千里君
  川内 博史君     山井 和則君
同日
 辞任         補欠選任
  平沼正二郎君     高木  啓君
  森下 千里君     中西 健治君
    ―――――――――――――
四月十六日
 公益通報者保護法改正に関する請願(小川淳也君紹介)(第九四四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 公益通報者保護法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
     ――――◇―――――
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浦野靖人#1
○浦野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、公益通報者保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁長官官房審議官松田哲也君外六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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浦野靖人#2
○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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浦野靖人#3
○浦野委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤鮎子君。
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加藤鮎子#4
○加藤(鮎)委員 おはようございます。自由民主党、山形三区選出の衆議院の加藤鮎子でございます。
 本日、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 公益通報者保護制度について、まず基本的なところから御質問に早速入らせていただきたいと思います。
 まず、そもそもの、この公益通報者保護法の意義についてお伺いをいたします。また、併せて、今回提出された法案による法改正の意義や効果について、政府参考人にお伺いしたいと思います。
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藤本武士#5
○藤本政府参考人 お答えいたします。
 公益通報者保護法は、食品偽装やリコール隠しなど、国民生活の安全、安心を損なう企業不祥事を端緒としまして、公益通報をした労働者等の保護を図るとともに、事業者による国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の遵守を図ることを目的として制定されたものであります。
 今回の法改正によりまして、公益通報に適切に対応するための事業者の体制整備が徹底され、公益通報者の保護が強化されることとなります。その結果、労働者等の公益通報が促進され、事業者の自浄機能発揮につながることや、行政機関の指導監督の実効性が向上することが期待されます。これによりまして、不正行為が早期に発見、是正され、国民の生命、身体、財産等の保護が更に図られるようになると考えております。
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加藤鮎子#6
○加藤(鮎)委員 ありがとうございます。
 事業者側の体制整備を行うことによって、効果、実効性の方が向上していくということがあります。また、これは事業者にとっても大変プラスになる部分も大きいというふうに私は考えてございます。
 時代の流れとともに、公益通報そのものの価値ですとか通報者保護の重要性、それは我が国でも広く認知されるようになりました。
 それでは、広く国際社会を見ていきますとどうなのでしょうか。諸外国における公益通報者保護制度の動向についてお聞かせください。
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藤本武士#7
○藤本政府参考人 お答えいたします。
 多くの主要先進国では、人権意識の高まり等を背景に、例えば、通報を理由とする不利益な取扱いをした事業者や個人に対する制裁や、不利益な取扱いをした理由の立証責任の転換について法律上の措置がなされるなど、公益通報者の保護の強化が進んでおります。
 今回の改正では、このような国際的潮流も踏まえまして、公益通報者の保護を強化しております。
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加藤鮎子#8
○加藤(鮎)委員 公益通報者の保護の強化の流れ、この国際社会の流れもしっかり捉まえた、時宜を得た改正だというふうに受け止めさせていただきました。
 また、先ほど確認をさせていただきました公益通報制度そのものの意義は大きいですし、制度の効果がしっかりと発揮されるためにも、公益通報者保護、これが大変重要なわけでありますが、一方で、この制度は、万が一悪用されれば、不当に大きなダメージが事業者サイド及びその組織で働く他の個人個人にまで及んでしまうというようなケースも起こり得ます。
 悪用されるケースが実際どのように、どの程度あるのか、これまでの把握状況の方はいかがでしょうか。また、そのようなケースも想定し、公益通報者保護とセットで、濫用的通報者への対応、これも重要であると考えます。その対応の必要性について、消費者庁の見解をお聞かせください。
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藤本武士#9
○藤本政府参考人 お答えいたします。
 昨年、消費者庁に設置しました有識者検討会におきまして、民間事業者から、自己の利益を図る目的ではないかと考えられるような通報が少なからずあるといった指摘がございました。
 そのような通報の例としましては、通報内容が虚偽であると知りながら行う通報ですとか、既に是正され解決した事案であることを知りながら、専ら自己の利益を実現するために行う通報等があると承知しております。まずは、事例を幅広く集め実態を調査する必要があると考えております。
 その上で、実態調査結果を踏まえまして、公益通報者保護制度の健全な運営を確保する観点から、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
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加藤鮎子#10
○加藤(鮎)委員 ありがとうございます。
 ちなみに、ドイツやフランスでは、悪意のある通報者に対する罰則規定もあるというふうに聞き及んでおります。この改正案の方には濫用的通報に関する罰則規定というのは盛り込まれておりません。抑止策については、今後議論を深めていただきたいというふうに思います。
 制度そのものがしっかりと普及して定着していくためにも、公益通報者保護が重要なわけですが、公益通報者保護をしっかりやっていきながら、セットで今の濫用的通報者への対応、これも是非深めていっていただきたいというふうに思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 内部通報制度は、その制度が存在することによって、組織自体の健全性や公正性についての内部チェックも働きやすくなりますし、そのことによって、事業者組織の信用度が上がったり、また、内部で働く人たちのロイヤルティーにつながったりと、事業者にとっても有意義なものであるというふうに考えております。
 しかし、事業者によっては、日々目の前の事業運営上の課題に直面したりしていると、なかなかそのように捉える方向に意識が回りづらいという現実もあるかと思います。
 制度の実効性向上のためには、経営者の方々の意識づけ、これが必要だと考えております。消費者庁の経営者の意識づけに関する取組などはいかがでしょうか。
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藤本武士#11
○藤本政府参考人 お答えいたします。
 内部通報制度の実効性向上のためには、委員御指摘のとおり、経営者のマインド、経営者の意識づけが極めて重要になってくるというふうに考えております。
 消費者庁では、令和五年度の実態調査におきまして、不祥事に関する第三者委員会等の調査報告書における内部通報制度の課題に関する指摘を分析をし、制度の実効性向上のための経営トップに対する提言をまとめて公表させていただいております。また、中小規模事業者を含めまして、事業者の経営者向けにショート動画を作成をしまして、新聞、雑誌、ラジオ、インターネット上のターゲティング広告といった様々な媒体を通じて、経営者、経営トップに対して理解の促進を図っているところです。
 今後につきましては、内部通報制度の実効性向上に取り組んでいる事業者の好事例も収集をしまして、これを公表するなど、様々な工夫もして、その上で、経営者の意識づけのための取組をしっかり強化してまいりたいと考えております。
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加藤鮎子#12
○加藤(鮎)委員 是非、その取組の強化を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、従事者指定義務についてお伺いいたします。
 今回の改正には、従事者指定義務違反に対する命令権、そして、その命令違反があった場合の刑事罰、これが新設をされております。この命令権等を強化する意義はどのようなものがありますでしょうか。
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藤本武士#13
○藤本政府参考人 お答えいたします。
 従事者につきましては、事業者の内部で公益通報を取り扱う者として極めて重要な役割を果たしております。この従事者指定義務は、事業者の体制整備の中核的役割を果たす特に重要なものとしまして、内閣府告示である指針のみならず、法律に規定をされているものであります。
 しかしながら、消費者庁の実態調査等からは、事業者において従事者指定義務の履行が徹底されていないことが明らかになったこと、また、従事者の守秘義務違反には刑事罰が規定されている一方で、従事者指定義務違反には最終的に刑事罰による実効性が担保されていないことを踏まえまして、今回の法改正におきまして、この義務に違反する事業者に対する行政措置権限を強化することとしております。
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加藤鮎子#14
○加藤(鮎)委員 ありがとうございます。
 是非とも、実効性を上げていくために、そのチェックをしていく消費者庁の運営の方も大変大事になってくると思いますので、負担は大きくなるかもしれませんが、消費者庁の体制の方もしっかりと整備をしていただくことをお願いを申し上げたいと思います。
 また、体制整備の徹底と実効性の向上にしっかりとつなげていくためにも、公益通報対応体制の周知も義務として明示をしっかりされていますが、このことも義務なのであるということをしっかり周知を世の中にしていくということも、併せてお願いをしていきたいと思います。
 次に、公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止や通報者救済の強化について伺います。
 今般の改正において、通報後一年以内の解雇又は懲戒を公益通報を理由としてされたものと推定するという民事訴訟上の立証責任の転換規定が設けられました。これはなかなか踏み込んだ改正と考えておりますが、その意義も改めて伺わせてください。
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藤本武士#15
○藤本政府参考人 お答えいたします。
 労働者が公益通報を理由として解雇や懲戒といった不利益取扱いを受けた場合、その地位を回復するためには、労働者は、裁判において、不利益な取扱いが公益通報を理由に行われたこと等について立証する必要がございます。しかしながら、労働者が事業者の動機を立証する負担は重く、公益通報をちゅうちょする要因の一つとなっていると認識をしております。
 また、我が国におきましては、労働訴訟実務上、労働者が解雇無効や懲戒無効を主張する場合には、解雇、懲戒事由につきまして、事実上、事業者に重い負担がございます。
 こうしたことですとか、通報の公益性を踏まえまして、解雇、懲戒につきまして、公益通報を理由とすることの立証責任を事業者に転換することとしております。
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加藤鮎子#16
○加藤(鮎)委員 これは、公益通報をしようと思った方にとって、踏みとどまっていたところを背中を押す大きな改正にはなっているというふうに思います。
 同様に、公益通報を理由とする解雇又は懲戒をした者に対する直罰の導入、これは大変大きな改正であると考えます。こちらの意義の方も改めて確認をさせてください。
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藤本武士#17
○藤本政府参考人 お答えいたします。
 通報を理由とする労働者等に対する不利益な取扱いは、法の趣旨を損なう加害行為であり、かつ、事業者内や、さらには社会全体において、不正を覚知した者が通報することに萎縮が生じてしまう点においても違法性が高いと考えております。
 公益通報者保護法の原始法制定以降も通報を理由として不利益な取扱いが行われていることや、国際的な潮流を踏まえますと、法の禁止規定のみでは不利益な取扱いの抑止として不十分であると認識をしております。
 また、従事者の守秘義務違反には刑事罰が規定されておりますが、その一方で、報復や不正を隠蔽する等の目的で公益通報者に不利益な取扱いを行った事業者及び個人に対する厳しい制裁はないというのが現状であります。
 このため、今回の法改正では、公益通報を理由として労働者の職業人生や生活に悪影響を与えた事業者及び個人に対する厳しい制裁として、解雇又は懲戒を行った者に対する刑事罰を規定し、制度の実効性向上を図ることとしております。
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加藤鮎子#18
○加藤(鮎)委員 ありがとうございます。
 今回の改正で、これまで公益通報、公益に資すると思っていて自分の身を顧みずにしっかりと声を上げていくという思いを決意した方がその背中を押してもらえる大きな改正になっていると、私としては評価をさせていただきたいと思います。
 しかし、それを実効的なものにするためには、経営者の意識、こちらの方も変えていただく必要もありますし、そのためには、制度がどのタイミングでどういうふうに変わっているのかということを世の中に知らしめていただいてこそ実効性が上がるものというふうに考えております。
 是非、その辺りの周知を消費者庁の方でもしっかり進めていただくとともに、実効性を上げていくために、マンパワーがそれなりに行政サイドにも必要になってくると思います。ですので、是非とも、その体制の方を消費者庁の方でもしっかりと備えていただくということを希望をいたします。
 また、公益通報する方の保護ということと、あと、濫用されてしまうことによって事業者側に大きな負担がかかるんじゃないかというおそれ、そういったところとのバランス、このバランスが非常に難しい制度なんだろうと思います。
 国際的な流れを経て今の改正になっていると思いますが、先ほど申し上げたように、併せて、濫用的通報があった場合の対応についても今後議論を深めていただくことをお願いをしまして、ちょっと早いですけれども、私からの質問を終わらせていただきます。
 質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございました。
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浦野靖人#19
○浦野委員長 次に、石川香織君。
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石川香織#20
○石川委員 立憲民主党の石川香織です。
 伊東大臣、連日、本当にお疲れさまでございます。よろしくお願い申し上げます。
 今回の法改正は、二〇〇六年に施行されていましたから、十九年が経過したということで、今回で二回目の法改正ということになります。昨今、公益通報が非常に注目をされている中でのタイミングということになりました。
 公益通報というのは、情報量とか人数とか資金力とか、圧倒的に力の差のある雇用主と闘うことになるということで、告発者の立場が弱いということと、それから、非常にやはり不利益を被っている理不尽さというものをきちんと理解した上での実効性の高い法改正にしなければならないと思いますので、順次質問してまいります。よろしくお願いいたします。
 まず、大きなポイントであります、公益通報を理由とする不利益な取扱いについてお伺いをいたします。
 不利益な取扱いは、公益通報をしたことによる解雇や懲戒、それから配置転換や嫌がらせも含まれておりまして、現行法においても禁止の対象になっています。今回の改正案では、現行法でも禁止されている報復人事としての解雇や懲戒処分をした事業者に対して刑事罰を科すということでありまして、これは一歩前進だと言えると思います。
 ただ、日弁連の公益通報に関する相談があった事案を集計した資料を見ますと、通報後に受けた不利益取扱いの内容として最も多いのが嫌がらせ、次いで配置転換ということになっております。報復人事は、解雇や懲戒よりも配置転換の方が圧倒的に多い実態があるということが分かります。
 今回の法改正で、公益通報後の解雇、懲戒に罰則がつくとなりますと、これは企業にとっても解雇、懲戒というのは非常にリスクがあるということが言えると思います。その一方で、より陰湿な方法で報復してくる可能性というものもあるということで、この法律の中で配置転換というものをどうやって位置づけるかということが今回の公益通報保護法の実効性に関わると考えております。
 この解雇と懲戒について、今回の改正案で、通報を理由とする場合を無効としまして、解雇、懲戒が公益通報された日から一年以内になされている場合は、それが公益通報したことを理由としてなされたものと推定するということを規定されました。しかし、実際に不利益の処分として嫌がらせとか配置転換を挙げている人が最も多いにもかかわらず、配置転換には推定規定がないということであります。
 大臣にお伺いをさせていただきます。配置転換を罰則の対象にする、そして立証責任の転換の範囲にこの配置転換なども入れるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
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伊東良孝#21
○伊東国務大臣 石川議員の御質問にお答えしてまいります。
 まず、配置転換等々について罰則の対象にするかというお話でありますが、罰則の対象につきましては、これは一般論として、犯罪の構成要件は明確で、そしてまた、対象となる行為は罰則に値するものでなければならないというのが、まずは罰則の対象についての考え方であります。
 雇用慣行として、採用時に勤務地や職務内容が定まっていないいわゆるメンバーシップ型と、それが具体的に定まっておりますジョブ型という形式があるわけでありますけれども、我が国におきましてはメンバーシップ型雇用が一般的で、配置転換につきましては、適材適所の配置や人材育成等の観点から、事業者の広い裁量の下、頻繁に行われており、必ずしも不利益な取扱いとは言えないところがあります。また、その態様につきましては様々であり、不利益性は個人の主観や事情に依存する部分が大きく、罰則の対象とすることはなかなか困難であります。
 次に、立証責任の転換についてでありますが、民事訴訟におきましては、自己に有利な法律効果の発生要件となる事実について立証責任を負うことが原則とされており、立証責任の転換は、その例外を設けるものであります。
 我が国の労働法制におきまして、配置転換が権利濫用であることの立証責任は労働者が負っており、このような労働法制との平仄を踏まえると、配置転換につきまして公益通報を理由とすることの立証責任を転換することは、現状困難と考えているところであります。
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石川香織#22
○石川委員 これは、たとえ報復として配置転換が行われていても、会社は、キャリアの形成のためですとか、適切な異動だと言い切ってしまえばそれで終わってしまうということであります。それを通報者自ら立証しなきゃいけない、裁判をしなきゃいけないということも相当な負担でありますし、実際に、そこまで行き着くまでに疲れてしまって、自主退職に追い込まれることもある。
 そもそも配置転換に関しては、御答弁あったように、会社側に広範な裁量権が与えられておりまして、実際何が起きたかという事例を見ましても、業務が極端に少ない、たった一人の部署に配属されたとか、こういう精神的な苦痛が感じられても、給料は変わっていないとか、業務の指示が一応あるという客観的な事実があれば、裁判所は、これまでの事例などを見ても、会社側の裁量権の範囲内だというふうに認定することもやはり多くあるということなんですね。だからこそ、この法律は、通報者を守るために寄り添った視点でなきゃならないと思います。これも非常に、配置転換が日常的に行われていることだからこそ、より注意しなければいけない点なのではないかなと感じます。
 この配置転換について、刑事罰をもって通報者を守らないとほとんどの通報者は守られないと断言する有識者の方もいらっしゃいますし、多くの方が配置転換に関して裁判で敗訴してしまったり泣き寝入りをされているというのが現状であるということであります。ましてや、その配置転換が報復人事によるものだということを立証するためにもいろいろな証拠を調べなきゃいけないわけですけれども、人事に関する資料とかというのは基本的には事業者しか持っていませんし、トップの一声で人事が変わったりすることもあるということで証明しようのないことだってあるということで、それを通報者が証明するというのは大変ハードルが高いと思います。
 ただでさえ通報者側の立証が難しい、不当と言える配置転換を法律上で放置してしまいますと今回の法改正の実効性が格段に下がると思うんですけれども、改めて、今の話を受けて、大臣、どうでしょうか。
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伊東良孝#23
○伊東国務大臣 繰り返しになりますけれども、我が国におきましてはメンバーシップ型雇用が一般的であり、配置転換につきましては、事業者のかなり幅広い裁量の下、頻繁に行われております。不利益性につきましては個人の主観や事情に依存する部分が大きいことから、配置転換をもって対象とすることはなかなか難しいと考えているところであります。
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石川香織#24
○石川委員 日常的に行われているからこそ、しっかり法律でカバーしなければいけないということを改めて申し上げます。
 会社はあくまで適正な配置転換だと主張するかもしれませんけれども、明らかにおかしいという雰囲気は社内の人も感じ取るはずだと思います。こうした明らかな報復人事であるということを、その同僚を助けたいとか、そういう思いで会社の同僚ですとか通報者の家族、取引先の事業者などが証言をしたり、その証拠資料の収集などに協力するという場面もあると思います。
 今回、保護する通報者としてフリーランスも含めることにしたということで、このことは一歩前進と言えますけれども、これだけでは不十分と考えます。最も会社の事情であったり通報者の働きぶりなどをよく知る同僚、家族、取引事業者なども保護の対象にする必要があるのではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
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藤本武士#25
○藤本政府参考人 お答えいたします。
 公益通報者の同僚や家族を保護対象とすることにつきましては、これらの者に対する不利益な取扱いの実態が現状明らかではないことから、その状況を注視してまいりたいと考えております。
 また、下請事業者等の取引先事業者についてお尋ねがございました。
 公益通報者保護法は、労働者等、事業者に対して弱い立場にある個人を、公益通報者として、公益通報を理由とする不利益な取扱いから保護する法律であります。このため、取引先の労働者等は、公益通報を理由とする取引先事業者による不利益な取扱いから保護されておりますけれども、取引先事業者自体は、個人ではないことから、公益通報者として保護の対象とはなっていないということでございます。
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石川香織#26
○石川委員 私は、保護される人の範囲はなるべく広げた方がと思っています。それは、公益通報に至るまでのハードルというのが高いままになってしまうからです。
 今、取引事業者は個人ではないからということがありましたけれども、これは、ただでさえ立場が弱いわけですから、事業所との取引を突然打ち切られるということになってしまったら、事業所全体が廃業に追い込まれてしまいますので、事業者全体で保護するということは大変重要な論点だと考えます。協力者に関しても保護の対象としていかないと、やはり公益通報というものはいつまでも手段として選ばれず、そして、通報者はより追い詰められていくのではないかというふうに考えます。
 次も大臣にお伺いさせていただきますが、私も、公益通報者が最も恐れることの一つは、やはり自分が公益通報したことを知られることではないかなというふうに考えています。
 兵庫県庁の事例では、通報された側に通報した本人を探索をされて特定されてしまったということでありました。このことに関しては、先日、文書問題に関する第三者調査委員会で、内部通報にまず該当しますよということと、それから、兵庫県知事が通報者の探索を行った行為について公益通報者保護違反ということで、そのような結果ということで報告をされました。
 だからこそ、勇気を持って内部通報した人を法律は全力で保護しなければいけないと考えますし、よりによって、人事権などを持つ通報された側が本人を探索する行為というのはとても悪質だと考えます。
 兵庫県の場合は、内部通報の内容の真偽が明らかになる前に告発者が探索をされて、一方的に処分をされてしまったということでありました。
 通報した本人を捜す行為そのものに罰則をかけるということに踏み込む必要性について、どのようにお考えでしょうか。
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伊東良孝#27
○伊東国務大臣 内部通報した人の探索行為についてのお尋ねでありますけれども、今回の法改正では通報者探索の禁止規定を設けることとしており、そのことによりまして、労働者等が法律の規定を根拠に通報者探索による被害を回復することができるようになるという民事上の効果を期待しているところであります。
 また、今回の法改正によりまして、公益通報者を探索して、公益通報したことを理由とする解雇又は懲戒を行った法人及び個人は罰則の対象となります。
 一方、不利益な取扱いには至らない探索行為自体に罰則を科した場合には、事業者による正当な調査を阻害する要因になり得るなどの懸念もあり、慎重に検討する必要がある、このように考えております。
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石川香織#28
○石川委員 それでは、もう一点お伺いします。
 今回、消費者庁の検討会で委員を務める山口弁護士という方も、兵庫県庁の件について、県は初期の時点で、内容の真偽にかかわらず、きちんとした調査をするべきだったという指摘をしております。
 特に組織のトップの問題を扱うときには、体制の中での独立性の確保というものは指針に書かれております。しかし、例えば調査を行う際に通報されたトップ自ら口を出すとか、明らかに違反する行為があった際には罰則をかけるといった議論もやはり深めるべきではないかということを考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
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藤本武士#29
○藤本政府参考人 お答えいたします。
 従事者指定義務以外の体制整備義務につきましては、内閣府告示である指針におきまして、委員御指摘の、組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置のほか、公益通報者に対する是正措置等の通知や内部規程の策定など、様々な措置を求めているところであります。
 これらの措置につきましては、消費者庁の命令権や命令違反時の刑事罰の対象とすることは、企業活動に対する公権力の過剰な介入となるおそれがある、ほかの法令との並びを勘案しましても困難であると考えております。
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