農林水産委員会

1980-02-20 衆議院 全288発言

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会議録情報#0
昭和五十五年二月二十日(水曜日)
    午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 内海 英男君
   理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君
   理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君
   理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君
   理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君
      小里 貞利君    菊池福治郎君
      久野 忠治君    近藤 元次君
      佐藤 信二君    佐藤  隆君
      菅波  茂君    田名部匡省君
      玉沢徳一郎君    西田  司君
      福島 譲二君    保利 耕輔君
      堀之内久男君    渡辺 省一君
      小川 国彦君    角屋堅次郎君
      新村 源雄君    細谷 昭雄君
      本郷 公威君    権藤 恒夫君
      瀬野栄次郎君    武田 一夫君
      中川利三郎君    神田  厚君
      阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       近藤 鉄雄君
        農林水産大臣官
        房長      渡邊 五郎君
        農林水産大臣官
        房技術審議官  松山 良三君
        農林水産省経済
        局長      松浦  昭君
        農林水産省構造
        改善局長    杉山 克己君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
        農林水産省畜産
        局長      犬伏 孝治君
        農林水産省食品
        流通局長    森実 孝郎君
        農林水産技術会
        議事務局長   川嶋 良一君
        林野庁長官   須藤 徹男君
        水産庁長官   今村 宣夫君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局経済部調
        査課長     小松原茂郎君
        農林水産省経済
        局農業協同組合
        課長      三井 嗣郎君
        水産庁漁政部長 渡邉 文雄君
        運輸省港湾局倉
        庫課長     後出  豊君
        労働省労働基準
        局監督課長   岡部 晃三君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第四六号)
 農林水産業の振興に関する件(農林水産業の基
 本施策)
     ————◇—————
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内海英男#1
○内海委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 農林水産業の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
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芳賀貢#2
○芳賀委員 ただいまの理事会の申し合わせによりまして、私が代表して、昨日、当委員会における農林大臣の農政に関する所信表明に対する質問が終日行われまして、午後六時半に第一日目は終了したわけでございますが、われわれ帰りましてから、昨日、十九日の各新聞の夕刊、あるいはまたけさの朝刊を見ますと、きのうの大臣の所信に対する質問について当委員会において明確にされました答弁の内容と、それから、昨日の午前に農林大臣が記者会見を行われた席上において、きのう当委員会で論議いたしました、アメリカのソ連に対する穀物千七百万トンの契約分に対して、これをソ連のアフガニスタン侵攻に対する制裁措置として契約の千七百万トンの輸出を凍結した、禁止した、そういう措置が国会においてもしばしば論議されておるわけです。きのうの委員会においては、わが国の将来の農業の発展方向について、あるいは昭和六十五年までの長期見通し、あるいは今後日本の食糧の自給率を向上させるため、従来のアメリカを中心とした海外からの食糧依存政策というものを根本的に反省の上に立って改めて、そうして、障害のない条件の中で国内の農業の生産の拡大発展を図ることがこれからの正しい方向であるということを大臣が言明されたわけでございますが、この大臣の言明と、昨日午前の農林大臣の記者会見の内容というのは非常に背反しておるわけです。われわれとしては、これは委員会に対する背信行為としての発言ではないかというふうに考えなければなりませんので、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
 そこで、こちらからきのうの記者会見の要旨について、新聞の記事をかりて申し上げますから、これに対して明快にしてもらいたいと思います。
  農林水産省はアメリカの対ソ禁輸穀物のう
 ち、百万トン程度をわが国で引き取る方針を決めた。これは、十九日、閣議後の記者会見で武藤農相が明らかにしたもの。百万トンのうち、七十万トンについては、三井、三菱、丸紅の三商社に協力を要請している。
  アメリカはアフガニスタン問題をめぐる対ソ報復措置として一千七百万トンのソ連向け穀物輸出の禁止に踏み切ったが、アメリカの農民などに与える影響を考慮して、わが国が輸入拡大という形でアメリカに協力するよう求めていた。農水省では、備蓄の困難性などから難色を示していたが、自動車輸出問題など日米経済摩擦が再燃する兆しをみせていることなどから、米国産穀物の輸入拡大の方針を打ち出した。
  具体的には、政府が小麦と飼料穀物各十万トンを前倒し輸入、備蓄に回すほか、パキスタンなど発展途上国への援助用に十万トンの計三十万トンを輸入する。また、民間ベースで行われている飼料穀物についても、七十万トン程度の輸入拡大を図る方針で、このほど三井、三菱、丸紅三商社に協力を要請、三商社も検討することを約束している。
  一方、農林水産省の協力要請に対し、三菱、三井、丸紅の三商社は、1経済的リスクが大きい2備蓄能力に限界がある——などを理由に難色を示しているのが実情である。
  商社筋によると、商社が飼料穀物を輸入する場合は、すでに最終的な需要先まで決めているのが普通。それなのに売る先も決まらないまま、備蓄だけを増やすことは、国内の穀物相場にも影響し、結局、商社自身が相場変動のリスクをモロにかぶることになる。また、金利や保管料がかかるうえ、トウモロコシなどは虫害などで保管中に変質しやすく、品質維持のための費用もバカにならないという。さらに、備蓄場所判問題だと指摘する声が強い。今のところ、備蓄場所については、アメリカか国内かは未定だが、「そのいずれにも備蓄余力はない」(商社幹部)
 という。
  ただ、農水省も商社側のこうした事情を十分に知っており、商社が被るリスクを回避するため、政府が何らかの支援措置をとる用意があることを商社側に伝えている。結局、商社による備蓄積み増しが実現するかどうかは、政府の支
 援措置の内容次第ということになりそうである。他の新聞も大臣の記者会見によっての記事でございますから大体同一でございます。
 特にその中で日本農業新聞、これは全国の農民がほとんど購読しておるわけですが、これは一面のトップには百万トンの輸入問題が出て、その次には昨日の農林水産委員会における柴田委員、馬場委員あるいは瀬野委員等の質問の趣旨が述べられておる。全国の農民はこれを見て、何だおかしいじゃないか、農林委員会の質問の中では、いかにもまじめそうな調子で、国内の食糧自給向上のために一生懸命にやりますと言いながら、一方においては、アメリカのソ連に対する禁輸物資千七百万トンの肩がわりをやるということを、大平総理大臣の命令に従って農林大臣が唯々諾々とやるということになれば、一体どういうわけだという印象を、強くきょうは与えておるわけです。ですから、この点については、今後農林大臣が外部における発言や行動と国会内における発言、行動が違っておるということになれば、われわれは今後いままで信頼しておった農林大臣を信用することはできないということになるのです。そうなれば、今後提出される農林省関係の法律案の審議にしても重要案件の審議にしても、大臣や政府委員を信用して質問や対応ができないということにもなるわけでありますから、この点に対して、この際、委員会を通じて明確にしておいてもらいたいと思います。
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武藤嘉文#3
○武藤国務大臣 どうもいまお話を聞いておりまして、私のきのうの新聞記者会見における話の報道が必ずしも私は的確でない、いまお読みいただいたものも的確でない、いま御説明をいたしますけれども、的確でないと思いますが、いずれにしても、そういう誤解を委員の先生方にお与えをしたことに対しては、まことに遺憾に存じます。
 そこで、実情をちょっとお話しをいたしますと、私は決してきのうの私の答弁と必ずしも一致していないということではないと思っておるわけでございます。それは、きのう瀬野委員の御質問にお答えをした中で、たとえば飼料穀物などは現実にはほとんどアメリカからいま輸入しておるのが実情である。そこで日本としては、たとえばそういう飼料穀物を当面買う、今後ともある程度はアメリカから買っていかなければならないときに、そういう友好関係を保つ上において、将来アメリカから売ってやらないと言われたときは困るわけだから、受け入れられる用意がないか検討しております。こういうことはきのうの答弁の中で私は申し上げておるわけでございます。
 そこで、決してきのう私の方から発表したわけではございませんし、もう前からこの問題については農林水産省の中で検討いたしておるわけでございます。商社の連中と会いましたのも、実は社会党の大会がございましたときに予算委員会がございませんでしたので、その機会に会ったので、もう二月八日の話でございます。決してきのう新しく出てきた問題ではないわけでございます。
 そこで、私その経緯を申し上げますと、ある新聞記者から記者会見の席上で、一体その後アメリカの穀物の輸入についてはどんなような状況になっておりますか、こういうことでございましたので、私の方から、従来からこれは政府部内で検討いたしたことでございますけれども、もし、いまアメリカがソ連に対して輸出停止をした中から日本が買ってやるとすれば、一体どのくらい買えるかということでやりまして、大体五十五年度の予算の中で前倒し的に、前倒しと言ってもこれはどうせ五十五年度に入ってからでございますけれども、なるべく五十五年度の早いうちに小麦として買える分がどのくらいあるだろうか、倉庫その他のこともございますから、それは大体食糧庁、経済局とで話し合いまして、まあ十万トンくらいではなかろうか。それから、御承知のとおりKR援助で五十五年度に増加分がございます。これがたしか七十五億円であったかと思います。それの分をたとえば小麦に振り向けるとすればどのくらいであろうか、これは十万トンくらいであろう。それから、いま配合飼料供給安定機構において来年度においてトウモロコシをある程度どうせ買わなければなりませんけれども、それでどのくらいまあなるべく早いうちに買えるだろうか、これも十万トンくらいだろう。これだけは実は私ども役所内部でも議論をいたしまして、いざとなればそのくらいのことは何とか対応しなければいけないのじゃないか、こういうことは役所の中で議論をし、大体もしそういうことになればそういう方向で行こうじゃないか、こういうことを言っておるわけでございます。民間においても相当量、それこそ二千万トン以上一年に買うわけでございますから、何とか少し買い増しをできないだろうか、こういうことを二月八日に私が三社を呼んで話をしたということでございまして、その後どうなっておるかということでありまして、それからそのときの話はどうだったかということですから、まあ政府が買っても三十万トンくらいだから、もう少しやって、やはり百万トン近くこちらが買うというような形になるとすれば、七十万トンくらいあとやれば百万トンになるのだけれどもどうだろうか、こういう話をしまして、それに対して向こうが、いやなかなかむずかしい、またアメリカにおいてもいまその数量を買うというよりは将来の何年か後における、たとえば来年以降の日本の買い入れについて安定して買ってくれるということの方がアメリカとしては望んでおるのじゃないかというような話もありまして、とにかく検討してください、こういうことで宿題を与えておるということで、きのうもその辺のいきさつをお話ししただけでございまして、決して百万トン買うというようなことも私ども決めておるわけではございません。ただ話題として、どのくらいがいいかと言えば、それは百万トンになれば一番いいが、こういうところから出てきた数字でございます。そんなような状況でいまのところ回答を待っておるのだ、こういうことを言ったのが、たまたまそういうふうに書かれてしまったということでございまして、私の申し上げたのはテープにもございますからあれでございますけれども、そういうことで話をしたのが、書き方としてどうもそういう書き方で書かれてしまったということで、私もそういうことについてはもう少し慎重な表現で対処してもらうようによく注意をしておけばよかったのでございますが、私の方はそういう従来の経緯をただ新聞記者の質問に対して答えた、こういうことでございます。しかも、それは緊急措置でございまして、きのうから自給率の向上と申し上げているのは今後の問題でございまして、私は何も今後そういう形でどんどん買い上げていくというつもりはないわけでございまして、そういう点でひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
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芳賀貢#4
○芳賀委員 緊急の問題だけを指摘したわけですが、とにかくきのうも委員会において同僚の委員からも指摘されましたごとく、たとえば、予算委員会において農林省の食糧庁の検査担当職員の大幅削減をやるという問題にしても、それから昨日の記者会見の発言にしても、どうも一国の農林水産大臣としての慎重性に欠ける点があるのじゃないですか。人柄がいいから気軽に何を発言しても構わぬというものではないと思うのです。きのうの答弁にしても、午前中こういう発言をされておりながら、当委員会においては、それを伏線にしてはっきりした答弁も説明もしていないでしょう。だから、小麦の輸入問題にしても、飼料用の穀類の増産体制にしても、きのうはそういう余地はないということをあなたは言っておるのですよ。そうじゃなくて、実はこういう話があってこれに対応しているからということを正直に言うべきじゃないですか。これはきょう予定どおりわが党の新村委員初め各委員の皆さんからも、当然この問題についても具体的な指摘があると思いますし、当然きょう予算委員会においても、わが党の野坂委員も大臣に質問する予定になっておるし、来週は予算の分科会が一斉に開かれるわけですから、これを避けて通るわけにいかないと思うのです。だから、本家である当委員会においては一番正直なことを言うという癖をつけておいてもらわぬと、どこへ行って発言しているのが本当の発言かわからぬですからね。率直に申しますが、ぜひ慎重に、日本の農林水産行政の最高責任者としての責任感を持って十分行動してもらいたいと思うのです。
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内海英男#5
○内海委員長 新村源雄君。
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新村源雄#6
○新村(源)委員 農林大臣は所信表明の中で、途中からですが、「申すまでもなく、農林水産業は、国民生活の安全保障にとって最も基礎的な食糧の安定供給という重要な使命を担う」、こういうことを言いながら、前段では、「農林水産物の需給動向など内外の経済情勢や社会環境が変化する中にあって、農林水産業にとっても、長期的視点に立って、これらの情勢変化に対応する新しい発展を図るべききわめて重大な時期であると思います。」こういうように述べておるわけです。
 そこで、こういうように非常に重大な時期に重大な局面に立たされた農業というのは、一年や二年の短期的にそういう情勢が生まれてきたものではない。長い歴史的な経過の中でこういうように農業というのは追い詰められてきた。このよって来る原因、何と何がどういうようになっているのだということが明らかにならない限り、後段に申し上げましたような農政を展開していくことはできない、こう思うわけでございまして、この点について農林大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
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武藤嘉文#7
○武藤国務大臣 私は、やはり従来の農政のよって来るところについては、十分反省の上に立って明るい見通しを立てていきたい、こう考えておるわけでございます。
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新村源雄#8
○新村(源)委員 それはきのうからの委員会でもいろいろ具体的に指摘をされたわけでございますが、外国とのいわゆる輸入関係、しかも工業製品を外国に輸出して、その見返りとして国内の農業情勢を全く無視した形で無制限に輸入されてきた、こういう指摘があったわけですが、農林大臣はこのことを明確にお認めになりますか。
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武藤嘉文#9
○武藤国務大臣 私きのうもお答えをいたしましたけれども、私どもといたしましては、そういう工業製品の輸出との絡みにおいて、こちらが、何か向こうから農産物の輸入をある程度強制的にやらざるを得ないように仕向けられておる、それを受けておるというようなことはない、私はこう考えておるわけでございます。
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新村源雄#10
○新村(源)委員 日本の農業がこういうようになだれ現象的に後退に後退を続けてきたのは、ちょうど日本の高度成長経済が、爛熟期というか、そういうものに向けていくのと同じような形で農業というのはそういう形になってきた。しかも、昭和三十六年に農業基本法が制定をされた。この農業基本法の中では、これからの農業の新しい方向を目指しながら、農業の社会的、経済的な地位を確立をしながら、しかも国際化への対応の点にまで触れて、日本の農業を発展的に、農民生活を保障していこう、こういうことを規定をしているわけです。ところが、こういう基本法の精神とは全く逆な方向に流れてきている。こういう点については、農林大臣どのようにお考えになりますか。
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武藤嘉文#11
○武藤国務大臣 私は、これもきのうもお答えしたと思いますけれども、たまたま昭和四十年代に日本の経済が高度経済成長に入ってまいりまして、急激に就労の場所がふえてまいりました。そういう形での農業からの、農業人口から他の産業への人口の移動がそこで相当ふえたということ、それから、そのころから日本人の食生活も非常に多様化してまいりまして、米食からその他の穀物の消費への変化と申しますか、そういう食生活の変化が非常に強い傾向で推移をしてきた、こういうのが結果的には農業基本法の考え方と相当乖離するものが生まれてきた原因ではなかったか、私はこう思っておるわけでございます。
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新村源雄#12
○新村(源)委員 日本の農業がこういう状態に追い込まれた一つの理由として、食生活の変化ということが挙げられるわけです。しかし、食生活の変化というのは消費者がそういう方向にみずから求めていくものではなくて、いわゆる流通戦略というものによって食生活の方向というのは変えられていくものなんです。たとえばコカコーラ、本当に日本人が予測もしていなかったああいうような飲料が、これは消費者がそういうものを求めたのではなくて、流通戦略に乗って爆発的に消費が拡大をした、こういうことなんです。
 したがって、今日こういうような情勢に追い込まれてきた理由の中に食生活の変化というようなことはあり得ない。そういう方向に向けられてきた。先ほど申し上げましたように、いわゆるアメリカの農畜産物を国内に持ち込むために、流通戦略によって食生活が変えられてきた。特に、これはもう農林大臣もお聞きになっていると思いますけれども、一時、米を食う子供は頭がよくない、パンを食う子供は頭がよくなる、こういうことが大っぴらに、いわゆる流通戦略の線に乗って宣伝をされた。そして学校給食等が主にパン食、こういうものを主体にして進められた、こういうこと等を見ても、農林大臣のいまおっしゃるような国民の食生活の変化によって日本の農業がこういうように変わってきたということは欺瞞である、こういうように考えるのですが、この点についてはどうですか。
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武藤嘉文#13
○武藤国務大臣 先生と多少考え方が違うかもしれませんが、私は決して欺瞞だとは思っていない。どうも自分では正しい。食生活の変化というのは、やはりそれ相応に時代の変化に応じてあったというふうに私は受けとめておるわけでございます。
 ただ、確かに先生おっしゃるように、近代社会の中におきまして情報というものが非常に発達をしてまいりまして、そういう点においていろいろと、流通部門においても情報のリードいかんによっては非常な変化が起きるということも私は否定はいたしませんけれども、食生活の変化というものが、そういう流通業者というか、そういうものの相当の力によって何かこう曲げられて、国民が全く望んでいない方向に食生活を持ってきたというふうには、どうも私は考えられないわけでございます。
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新村源雄#14
○新村(源)委員 しかし、農林大臣はそういうようにお考えになっているかもしれませんけれども、事実として日本の農業がこういうような形に追い込まれてきた。そして、いま言ったようないわゆる流通戦略、こういうものに沿って日本の食生活というのは非常に多様に変化をしてきた、こういうことは事実として認めないわけにいかないのじゃないですか。
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武藤嘉文#15
○武藤国務大臣 たとえば、いまPCFでいろいろカロリー関係が議論されておりますけれども、先生御承知のとおり、年々日本人の摂取カロリーがふえてまいりまして、それは栄養学上からいっても決して後退ではなくて、やはりそれだけ日本人の食生活が向上し、カロリーが高まってきたということにおいては評価されておるのではなかろうかと私は思っておるわけでございまして、これもやはり食生活がいろいろの変化をしてきたところでそういう形が生まれてきたわけでございますから、私はそれなりに評価すべきものであると考えておるわけでございます。
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新村源雄#16
○新村(源)委員 それじゃ、このことで論議をしておっても時間の問題がありますので、一応農林大臣とそういう見解の相違があるということをひとつ認めまして、しかし、私が先ほど申し上げましたように、やはり何といっても外国の、いわゆる海外の農畜産物の輸入によって日本の農業はこういうように変化をし、そして困難な方向に向いてきた、こういう事実だけはこれから新しい農業を展開していく上にどうしても認めなければならぬと思うのですが、この点についてお認めになりますか。
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武藤嘉文#17
○武藤国務大臣 お話がもう少し具体的な例を取り上げていただけると、私お答えがしやすいのでございますが、どうも先ほどからの議論に戻るかもしれませんけれども、食生活が多様化してきたことは、必ずしも、何かことさら一部のだれかがそういう方向に持っていこうとしてやられた結果出てきたものではないわけでありまして、やはり国際情勢の中でそれぞれの国の文化が向上していく、そしてそれに伴って国民の生活も向上していく、またそれぞれの国民の所得も高まっていくという中で起きてきておるのではなかろうかという感じが私はするわけでございます。
 たとえば、きのうも議論の出ておりましたFAOの二〇〇〇年の長期見通しの中でも、五〇%食糧の増産をしなければならないと言われておること、あるいは一九八五年のFAOの見通しの中においても、開発途上国において将来はだんだん所得が増大するに伴って、やはり畜産関係を主として、そういう食生活の変化により畜産物などについても足りないものが出てくるのではなかろうかとか、いろいろ言われておるわけでございまして、それぞれの国民生活の向上、所得の向上、それに伴って食生活が変化していくというのは、もう自然の一つの流れではなかろうか。特定の一部の流通部門によってそれが曲げられてつくられていくというふうには、私はどうも理解ができないものでございまして、先生にはまことに申しわけないのでございますけれども、少し見解が違うということは、幾ら言われてもこの点は御理解をいただきたいと私は思うのでございます。
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新村源雄#18
○新村(源)委員 それじゃ、日本の主食として一番影響を受けたものは米と小麦、麦類ですね。この麦類の生産が一体どうなってきているかといいますと、昭和三十五年当時、小麦、大麦、裸麦、三麦を合わせて百八十万ヘクタールの麦の作付があった。ところが昭和五十一年度においては十六万ヘクタールしかなかった。これは明らかに海外の小麦、そういうものに圧迫されて国内の小麦というものがつくれなくなってきた。ですから、食生活の変化ばかりではなくて、そういう外国農産物との対比の中で国内の農産物が後退に次ぐ後退を続けていったという現実はどう受けとめられますか。
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武藤嘉文#19
○武藤国務大臣 私の承知いたしておりますのは、小麦というのは大体米の裏作で全国的には行われておったと思うのでございます。その田畑の利用率が低下してきたことは事実だと思うのでございます。それは、先ほど申し上げましたように、私は食生活の変化だけを申し上げておったわけではございませんので、食生活の変化と、いま一つは日本の経済が非常な高度経済成長時代に入ってきて、雇用の増加が非常にそこに出てきた。そしてそれが結果的には、米の裏作として小麦をつくっておられた農家の相当部分が、結局小麦をおつくりにならなくなった、こういうところに私は相当原因があるんだ、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
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新村源雄#20
○新村(源)委員 そういう論理で今後も進めていくということになれば、きのうからいろいろ農林大臣も発言されているように、自給力というのは、そういうことだけで農業というものを位置づけしていくということになれば、とめどない農業の後退というのを招くのじゃないですか。そういう点についてはどうなんですか。
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武藤嘉文#21
○武藤国務大臣 でございますので、私どもはそういう点については反省をいたしておるわけでございます。
 いま申し上げておりますのは、非常に日本の経済も変わってまいりまして、これからは低成長時代でございますし、当然農業における雇用の増大ということが考えられるわけでございまして、いままでとは変わった形で、私どもはたとえば麦と大豆というような形でつくっていただけるならば、麦とどうしてもの場合、米もやむを得ないかとも思いますけれども、できるならば麦と大豆というような形でやっていただけると大変ありがたいということで田畑の利用をお願いをいたしておるわけでございまして、今後においては、従来の高度経済成長時代とは違いますので、私どもとしてはそういう方向でお願いがしやすいという形で対処していけるのではないかと思っております。
 また、従来においても、正直もう少し農業者の方々に御理解をいただくような形でやっていけばよかったのかもしれませんけれども、その辺のところの指導というものは十分でなかったのかもしれませんが、私どもは、今後はやはりできる限り農業をやっていただける方々については、ぜひひとつ農業にいそしんでいただけるような形に持っていきたい、こう考えておるわけでございます。
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新村源雄#22
○新村(源)委員 いまの農林大臣のお話でございますと、経済の高いときには、これは農業からそこを出ていって、そしていわゆる農業外の産業に就労することはやむを得ないんだ。低くなれば農村に帰ってきて農業をやれ、こういう論理につながりませんか。そうすると、農村はいつでも経済の波によって、農業というのは同じように農業内部でそういう矛盾を繰り返していく、こういう論理につながらないですか。
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武藤嘉文#23
○武藤国務大臣 いまもお答えをいたしましたように、私は、そういう点においてややもすれば指導が欠けておったのではなかろうかという反省をいたしておるわけでございます。それは高度経済成長のときでございます。高度経済成長のときに、安易にそういう職場を、農業を離れていかれたということに対して、もう少し何か考え方があったのではないかという点は、私は反省をいたしておるわけでございます。
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新村源雄#24
○新村(源)委員 そうなりますと、先ほど申し上げましたように、そういう反省というものは、私が第一問で申し上げたように、この高度経済成長のために日本の農業というのはこういう衰退を招いたんだ、こういうことを自戒をして差し支えないわけですね。
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武藤嘉文#25
○武藤国務大臣 確かに、日本の農業において麦などを含めて相当抵下をしたということにおいては、私は、高度経済成長時代において、もう少し農業に対する指導と申しますか、そういう点が十分であれば、こういうような形にならなかったのではなかろうかという点を反省をいたしておるわけでございます。
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新村源雄#26
○新村(源)委員 そうなりますと、そういう反省の上に立って、そして日本の農業というものを再建をするのだ、こういうように理解して差し支えないわけですね。
 そこで、これはきのうも馬場委員のほうから、それじゃ一体自給率というものをどこまで上げるのだ、社会党の方向としては少なくとも穀物において六〇%まで上げるのだ、こういうように社会党の方針を述べておられて、農林大臣、これについては非常にむずかしいというような意味のことを言っておられたのですが、私が先ほど申し上げましたように、いまこれから転作等によって生産の方向を指向していこうとするのに、大豆、麦あるいは飼料作物、こう言っておられるのですが、昭和三十五年において大豆が三十一万ヘクタール、なたねが二十万ヘクタール、三麦が先ほど申し上げましたように百八十万ヘクタール。ところが、昭和五十一年になりますと、大豆が八万ヘクタール、なたねが四千ヘクタール、小麦、大麦、裸麦が十六万ヘクタール、こういうように、いま求めようとしているものはかってはかなりの量があった。しかし、高度成長経済、そして海外農産物の輸入によってこういうものが失われてきた。これを復権することによって、私は穀物の六〇%以上の自給率というものは可能だ、こういうように考えるのですが、この点についてはどうですか。
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武藤嘉文#27
○武藤国務大臣 将来において自給率を高めていくというのは、当然私どもは考えていかなければならぬ問題でございます。ただ、きのうもいろいろと御議論の中で私お答えをいたしておりますように、小麦とか大豆とかこういうものについては、今後極力自給率を高めていかなければならないし、いけると私ども判断をいたしておるわけでございますが、飼料穀物につきましては、きのうもお答えをいたしましたように、どうしてもコスト的に全く合わない状態でございまして、これはどうしてもアメリカの、たとえばトウモロコシの産地では、一農家の経営面積がそれこそ四百五十ヘクタール以上もあるというようなところでつくっておるものと、幾らこちらで努力をいたしましても、相当そこにはコスト的には差があるわけでございまして、日本のこれからの畜産物の、特に養鶏、養豚は御承知のとおり、いま非常に濃厚飼料でトウモロコシをたくさんお使いいただいておるわけでございます。そういうようなことを考えますと、それじゃ今後の畜産業において相当日本の国内の飼料穀物を使ってやろう、幾ら高くてもいいということにはなかなかならないのじゃないかという感じがいたしまして、私どもといたしましては、飼料穀物に関する限りは、どうも将来ともに相当量を輸入に依存しなければならないのではなかろうか。だから、全体そういう飼料穀物も入れた自給率はそれでどうしても下がらざるを得ないのではないかという判断であります。しかし、主食用の自給率については、この間の農林水産省の試算は一応横ばいという形でございますけれども、私としては主食用の食糧の自給率については何とかもう少し高められるようにすべきではないかということで、農政審議会でいろいろ御議論をいただいておる、こういうことでございます。
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新村源雄#28
○新村(源)委員 私も、いま飼料穀物等で輸入されている量は総体でいいますと二千六百万トンも輸入されている、これを飼料作物あるいは主食等を含めて相当高い点まで持っていくということについては、非常に困難だ。しかし、大臣のおっしゃるように、飼料穀物というのは、これは国内では採算がとれないのだ、こういうような見解ではこれからの農業復権というのは私はできないと思うのです。それは可能な限り飼料穀物においても自給をするのだ、そういう努力をする、こういう見解に立ってもらわないと、主食は何とか自給するけれども飼料穀物はもうできないんだ、こういう前提に立っての農業復権というのは私は賛成できない。
 そういう点について、本当にもうさじを投げるのか、あるいは全力を挙げて可能な限り国内自給に持っていこうとする努力を払うのか、いずれか見解を示していただきたい。
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武藤嘉文#29
○武藤国務大臣 全くさじを投げているというわけではございませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、大変むずかしい問題ではなかろうか、私はこういう判断をいたしておるわけでございます。
 たとえば、いまいろいろと議論されておりますけれども、飼料米とか飼料稲とか言われておりますが、これなどが本当に、いま実験をしておるようなものよりもずっと収穫量が、物すごく反収がふえてまいりまして何かうまくいくというような技術開発でもでき得るならばまた話は別になってくるかと思います。そういう意味において、私どもいま飼料稲の開発については、農事試験場においてもやらしていただいておりますし、また十一県にも農業試験場でやっていただいております。あるいは個人でもいろいろと研究をしていただいているわけでございまして、もしこれが本当にうまくいくならば、それは大変結構なことでございまして、そういうときにはこれはもう穀物自給率は相当上がってくるということだけははっきりしておるわけでございますけれども、技術屋から聞いておりましても、現段階においては非常にむずかしいという報告ばかりでございますので、先ほどから申し上げているようなお答えになっておるわけでございます。
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