外務委員会

1986-04-11 衆議院 全199発言

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会議録情報#0
昭和六十一年四月十一日(金曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 北川 石松君
   理事 奥田 敬和君 理事 田中 秀征君
   理事 村田敬次郎君 理事 河上 民雄君
   理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君
      愛野興一郎君    鍵田忠三郎君
      鯨岡 兵輔君    佐藤 一郎君
      竹内 黎一君    中山 正暉君
      仲村 正治君    山下 元利君
      岡田 春夫君    小林  進君
      高沢 寅男君    藤田 高敏君
      渡部 一郎君    岡崎万寿秀君
      田中美智子君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
 出席政府委員
        外務大臣官房外
        務報道官    波多野敬雄君
        外務大臣官房審
        議官      福田  博君
        外務大臣官房審
        議官      斉藤 邦彦君
        外務大臣官房領
        事移住部長   妹尾 正毅君
        外務省北米局長 藤井 宏昭君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        外務省経済協力
        局長      藤田 公郎君
 委員外の出席者
        防衛施設庁施設
        部施設取得第一
        課長      加賀山一郎君
        防衛施設庁施設
        部連絡調整官  森山 浩二君
        沖縄開発庁総務
        局企画課長   櫻井  溥君
        外務大臣官房外
        務参事官    赤尾 信敏君
        大蔵省主税局国
        際租税課長   杉崎 重光君
        大蔵省理財局国
        有財産第二課特
        別財産室長   柿沼 敏夫君
        国税庁長官官房
        企画官     藤井 保憲君
        通商産業省貿易
        局輸出課長   白川  進君
        外務委員会調査
        室長      門田 省三君
    —————————————
四月十一日
 非核三原則完全実施等に関する請願(三浦久君
 紹介)(第三〇四二号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連
 邦政府との間の条約の締結について承認を求め
 るの件(条約第四号)
     ————◇—————
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北川石松#1
○北川委員長 これより会議を開きます。
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
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高沢寅男#2
○高沢委員 初めに、租税条約の前提として、全体の日ソ関係ということで大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 ことしの一月、シェワルナゼ外相が来日いたしまして、そして外務大臣と会談をされて、会談の成果は大変あったというふうに両方で評価をされまして、今度はその成果を踏まえて安倍外務大臣がソ連を訪問して、そしてまた外相会談をやられるというふうな順番になるわけでありますが、外務大臣がソ連を訪問されるのはいつごろという、そういう御予定はどうなっているのか、そのことでソ連側と打ち合わせを既にされているのかどうか、この辺の関係はいかがでしょうか。
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安倍晋太郎#3
○安倍国務大臣 ことし一月に行われました日ソ外相会談の際の合意に基づきまして、今度は私がモスクワを訪問をいたしまして引き続いて定期外相会談を行う、こういうことになっておりまして、私自身も、ぜひとも一月に引き続きまして領土問題を含めた平和条約交渉をモスクワで継続してまいりたい、こういうふうに思っておりますし、同時にまた、北方領土への墓参の問題であるとかさらに文化協定の締結の問題であるとか、その他経済あるいはまた国際情勢全般についての話し合いをしてまいりたい、こういうふうに思っておりまして、その時期については双方が都合のいいときということで今協議をいたしております。実は今、具体的にその時期を詰めようと思いましてソ連側の意向も聞きながら、日本側の考えられる都合のいい時期を提案をいたしておるわけでありまして、これから実質的な協議に入っていくことになっております。
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高沢寅男#4
○高沢委員 その時期について、相手側との協議も当然ありましょうが、しかしまた、今度はこちら側とすれば、閣内において中曽根総理大臣と外務大臣の間で、いつごろの時期がいいかというふうなことの御協議は恐らくされているだろうと思いますし、この日ソ問題が動き始めた昨年には、中曽根総理がおれも行くんだということまで言われた経緯もありますが、その辺の関連を含めて、総理との間でそういうソ連訪問、その時期等々についてどういう御相談をされているか、お尋ねしたいと思います。
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安倍晋太郎#5
○安倍国務大臣 この問題につきましては中曽根総理との間でも相談をいたしておりまして、私が行くということについてはもちろん総理の異存はありません。これは日ソで約束済みでありますし、それは大変結構だということでございます。時期の点については、日ソ間で今話し合いをしておりますということを報告しておるわけでございまして、あくまでも私の訪ソということを前提、そしてまた、これももちろん総理の了解も得まして話し合いを行っておる、こういう段階であります。
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高沢寅男#6
○高沢委員 その時期との関係でどうしてもここでお尋ねしたいことは、六月には参議院の選挙がある、これは一つの確定的な事実でありますが、それと同時に衆議院の解散・総選挙もということが盛んに今話題になっておりますし、総理なりあるいは与党の幹事長なりあるいはまた官房長官なり、随分いろいろなその点についての発言がなされて、我々の気持ちとしては、我々は反対ではあるが、どうも来るんじゃないかな、こんなような気持ちもみんな持っておるわけでありますが、それとの関連において、例えば五月の下旬ごろに行かれるとかいうようなことが、外務大臣のお立場として、また、外務大臣のみならず政治家安倍晋太郎さんのお立場として、その辺の御判断をどういうふうにされているか、お尋ねしたいと思います。
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安倍晋太郎#7
○安倍国務大臣 同時選挙とか総選挙とか、そういうことを考えますと日程一つなかなか組めないということでございますから、私自身は、そういう問題はそういう問題でこれからどうなるかわからぬことでありますが、しかし、少なくとも日ソ間で取り決めた約束だけは果たしたいということで、そうした政治問題は政治問題、別にそこに余り神経を使わないで、実は話し合いを進めておるということであります。
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高沢寅男#8
○高沢委員 外務大臣が非常に重要な任務を持ってソ連を訪問されている、仮にその留守中に解散になってしまったとかいうふうなことは、当然あるべきではないわけでありまして、そういう点においては解散の言うならば大義名分も、あるいはそういうふうな条件も今はない、むしろそうした重要な外交課題を初め国政の課題を最優先しなければならぬ、こういう段階ではないかと思いますが、この点は御所見、いかがですか。
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安倍晋太郎#9
○安倍国務大臣 中曽根総理も解散は考えていない、こういうことを言っておられますし、我々閣僚も、総理の言葉でありますからそれを踏まえて、今まさにおっしゃるように重要案件が国会に山積しておりますし、それからサミットもありますし、また、先ほどから申し上げました日ソの問題もありますし、そういう国の大きな課題に一路邁進をしていかなければならぬ、そういう時期であろうと思っております。
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高沢寅男#10
○高沢委員 その訪ソを今度された場合、先ほど外務大臣から、文化協定の問題とかあるいは墓参の問題等々のそういう課題もあるというお話がありましたが、特にこの四月は、もう間もなく日ソの大きな経済の合同委員会が始まるというふうな状況でございますけれども、こうした経済課題、また、中でも例えばサハリンの石油ガスの引き取りの問題等、いろいろな課題がありますが、これらの課題も行かれれば当然協議の対象になる、こう思うのですけれども、その取り組みはどういう気持ちで行かれるか、お尋ねしたいと思います。
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安倍晋太郎#11
○安倍国務大臣 これは一月の日ソ外相会談のとき、両国間の、もちろん領土問題が中心でありますが、その他の課題、経済、文化、日ソ間のいろいろな問題を総合して話し合っておるわけでございますし、これでもって例えば科学技術委員会等は再開するということに合意もいたしましたし、あるいはまた北方領土への墓参の問題についても、シェワルナゼ外相は好意を持ってこれを検討するという回答も得ておるわけであります。さらに文化協定につきましても、大体話が詰まってきておるという状況でございます。サハリンの問題についても、実は意見の交換もいたしております。こういう問題も、引き続いて日ソ間で話し合う必要があるのじゃないかと考えて、当然話し合いの中には出てくるというふうに考えております。
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高沢寅男#12
○高沢委員 先般、シェワルナゼ外務大臣が見えたときに、租税条約のサインが行われた。今度また安倍大臣が行かれたときに、例えば文化協定のサインとか何かそんなようなスケジュールになるのかどうか、その辺はいかがですか。
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安倍晋太郎#13
○安倍国務大臣 租税協定につきましてこの国会で御審議をお願いしているわけですが、日ソ間でいろいろと論議をいたしまして、シェワルナゼさんがおいでになったときに調印をしたわけでございます。文化協定も、実は一月に間に合わせようということで随分努力いたしましたけれども、両国間の話し合い、議が合わないで結局今日に至っておりますが、大体の目鼻もついてまいっておるという状況になってきております。ですから、これは何とか私が行ったときに調印をしたいものだ、こういうふうな期待を持っております。しかし問題は残ってはおるわけでありますけれども、そういう期待を持ってこれから最後の詰めに入るところであります。
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高沢寅男#14
○高沢委員 漁業の問題ですが、大変大詰めの段階に来ていて、羽田農水大臣がモスクワへ行かれて今最後の詰めの段階に入っておると承知しておりますが、けさの新聞報道では、ある新聞などは事実上の決裂かというふうな言い方まで書いております。この辺の状況判断、向こうで進行している問題ではありますが、今外務省としてぎりぎりどういう認識、判断をされているか、この機会にお尋ねしたいと思います。
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安倍晋太郎#15
○安倍国務大臣 今、日ソ漁業交渉、羽田農水大臣が行きまして最後の努力を行っております。その状況につきましては、刻一刻外務省にも情報が入ってきておるわけでございますが、今のところはっきりした見通しを申し上げられる段階になっておりません。最後のぎりぎりの交渉というふうに考えておりますし、羽田農水大臣も精魂振り絞って頑張っておるようであります。
 これは外務省も全面的な協力をいたしまして、何としても日ソの関係が少なくとも改善する方向に向いてきている、シェワルナゼさんも日本を訪問されたということもあって、これに弾みをつけていくためにはやはり漁業交渉が決着する、両国で合意するというのは非常に大事だという意味でも、私が訪ソするにしてもやはりこの漁業問題というのが決着することが非常に重要な意味を持つということで、私も全力を挙げて努力をいたしました。その結果として羽田農水大臣が訪ソされるということになって、向こうもこれを受け入れたわけでありますから、恐らくソ連側としても、日本の責任者を受け入れた以上は何とかこれは決着したいという気持ちがある、こういうふうに私は思っております。
 しかし、まだまだ最後の段階で、まさに今しのぎを削っておるということで楽観は禁物でございますが、最後の望みを失わないで羽田農水大臣も頑張っておると思いますし、我々としても、何とかこれが両国の譲歩といいますか妥協でもって解決を見ることを、心から期待をいたしておるわけであります。
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高沢寅男#16
○高沢委員 ぜひ、そういうまとめるための御努力はお願いしたいと思います。
 この日ソの漁業関係というのは、非常な歴史があってここまで来ておるということでありますが、同時に国際海洋法というものができた、そういう時代に入ってきております。そういう時代の中で、例えば日本とアメリカ、カナダの関係でも、刻々この漁業関係は難しい状態になっておるという中で、日ソもあるいは日米加もその他の世界各国における日本漁業との関係を、国際海洋法条約との関係で一度根本的に洗い直すというか、根本的にあり方を考えるというふうなことがもう必要になってきている段階じゃないのか、これは外務省当局もあるいは当外務委員会としても、そういうレベルの勉強を大いにやる必要があるのじゃないか、こんなふうに考えますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
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安倍晋太郎#17
○安倍国務大臣 これは農水省としましても、真剣に取り組んでおられると思います。しかし、世界的な一つの新しい海洋秩序との関係もあるわけで、特に外交交渉によって問題が決まっていくという状況が非常に強くなってきておりますので、我々も非常に関心を持ってこれは取り組んでいかなければならない。まさに新海洋法時代を迎えまして、今までの日本とアメリカの関係を見ましても大変厳しくなっておりますし、特に日ソ関係はソ連のいわゆる新海洋法に対する非常に厳しい姿勢が打ち出された結果として、大変日ソの漁業関係が厳しくなってきている。
 私も農林大臣をやった経験がありますが、日ソの漁業関係はこれまで日ソの政治問題に左右されないで、毎年毎年厳しい交渉ではあったとしても、実務的には非常に円満に解決してきたわけですが、ことしに限ってこのような状況になったという背景には、まさに新海洋法に伴うソ連の新しい取り組み方があるようにも思うわけでございますし、日本としてもそうした環境を十分検討しながら、日本は日本なりに漁業国家としてのこれからの世界的な体制を、漁業政策をいろいろな面で考えていかなければならない。
 これは日韓についてもそうです。日中についても、こちらは今二百海里はないわけでございますが、そういう問題がいつまでも続くかどうかということにもなるわけでございますし、その他の太平洋諸国家との間の漁業問題をめぐってのいろいろな交渉等も、これから出てくるのじゃないだろうかと思いますし、まさにおっしゃるように、全体的にこれから私としても関心を持って取り組んでまいらなければならない非常に重要な課題であろう、こういうふうに認識をしております。
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高沢寅男#18
○高沢委員 もう一つ、大臣が訪ソされた場合必ず出てくるのは、やはり何といっても領土問題だと思いますが、この領土の問題については、先般シェワルナゼ外務大臣が来日されたとき、ソ連側が、平和条約交渉で日本側が領土問題を提起することを禁止する権利はソ連側にはない、こういうふうなことを表明したということで、したがって平和条約交渉の中で日本側は領土問題をどんどん提起する、こういう意味で今までとは違った一つの前進した段階に入った、こういう評価をされているわけですが、これはソ連側が日ソの間には領土問題があるということを認めたというふうに受け取っていいんでしょうか。いかがでしょう。
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安倍晋太郎#19
○安倍国務大臣 この日ソ外相会談の合意につきましては、共同コミュニケということで発表しております。これは、日ソが完全に合意したということで発表しておることは御承知のとおりで、領土問題に関する件についてはこういうふうになっております。「両大臣は、一九七三年十月十日付けの日ソ共同声明において確定した合意に基づいて、日ソ平和条約の内容となり得べき諸問題を含め、同条約締結に関する交渉を行った。双方は、モスクワにおいて行われる次回協議の際にこれを継続する旨合意した。」こういうことになっておりまして、この「日ソ平和条約の内容となり得べき諸問題を含め、同条約締結に関する交渉を行った。」というのが一月の日ソ外相会談でございますが、その外相会談において、我々は領土問題について三時間を費やしてまさに論議をしたわけでございます。
 その際、今おっしゃるようにこの領土問題について、日本側がこれを主張することを我々としては阻む権利はないのだということで、彼らもテーブルに着いて論争することは認めたわけで、これは行ったということをコミュニケではっきり打ち出しておるわけでございますし、今後も引き続いてやるということもこの共同声明で合意したわけでございます。しかし、同時にソ連としては、領土問題に対するソ連側の態度は依然としてこれまでと変わらないという強い姿勢を打ち出したことは事実でございます。
 ですから、いずれにしても、これまでのように領土問題はもう解決済みであってテーブルに着くことすらがえんじなかったソ連が、今回の交渉をもって、少なくとも両国間で基本的な対立はあったとしてもとにかくテーブルに着いて話し合う、論議をするという点についてはソ連側もこれを認めて、そして共同声明にその旨を盛り込んだということになっておるわけで、そういう立場からようやく領土問題でこれから堂々と話し合う、そういう平和条約交渉をめぐっての一つの舞台を、場をつくることができた、私はこういうふうに思っております。
 せっかくこれは東京でやったわけですから、ぜひともモスクワで引き続いてこれはやりたい、こういう熱意に燃えておるわけでございます。
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高沢寅男#20
○高沢委員 平和条約交渉の中で、日本側が領土問題を提起することをソ連側も認めるというふうになったということは、私も確かに大きな前進だと思いますが、ただそうはなったけれども、ソ連側としてはやはり領土問題は日本との関係では解決済みなのだ、こういう立場は依然として変わっていないということではないかと思います。
 これはもう外務大臣も当然御承知かと思いますが、そういうことを非常にはっきり出したのが三月十三日の朝日新聞の記事であります。プラウダの編集長のアファナシエフ氏が朝日新聞の白井特派員とのインタビューの中で、しかもこれはソ連の共産党大会が済んだ後の、ソ連の対外政策というものが大会で決まった、それを踏まえての非常に重要なインタビューであった、こう思うのですが、その中ではっきり日本側との間における領土問題というのはないのだ、ソ連は領土問題で妥協することはないのだ、しかも歯舞、色丹の二島返還もそういうことはないのだということを言っている、こういう新聞の報道であるわけですが、一つは、このことの事実関係の確認を外務省としてどうされているのか。それからまた、そういうソ連側の態度、これはプラウダ編集長ではありますが、あの国は当然政府と一体の関係ですから、こういうソ連側の態度というものに対して、こちらの外務省としてはどういう見解、評価を持たれているか、それをお尋ねしたいと思います。
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西
西山健彦#21
○西山政府委員 ただいま御指摘がございましたように、三月十三日、プラウダの編集長でありますアファナシエフ氏が先ほど言及されましたような発言をしたことは、私どもも報道によってこれを承知しております。しかし、相手がプラウダとはいえ新聞の編集長でございますので、政府としてこれについて正式にコメントをするという立場ではございません。
 しかしながら、先ほども大臣からお答え申し上げましたように、一月のシェワルナゼ外務大臣の訪日に際しまして、実に三時間にもわたってこの領土問題についてのやりとりがございまして、その過程においてソ連側は、先ほども既に大臣から申し上げましたとおり、日本に返還すべき領土というものはないのである、そういう立場を非常にはっきりさせております。したがいまして、ソ連側の立場は明らかである、こういうふうに認識いたしております。
 我が方のこれに対します立場は、これももう既に大臣からお答え申し上げたとおりでございますけれども、いかなる点から見てもまことに根拠のない態度でございまして、我々としては強くソ連の外務大臣自身に対して反駁し、十二分にこれらの態度を明らかにしている次第でございます。
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高沢寅男#22
○高沢委員 ソ連側は、日本との関係で領土問題は解決済み、こう言うわけですが、その向こうの言う解決済みという言葉は一体どういうことを踏まえて言っているのか、そこのところを日本側としてソ連側にちゃんと詰めたことがあるのかどうか。解決済み、日本に返す領土はもう何もないのだ、こういう言い方は、例えば歯舞、色丹も、択捉、国後も、とにかくそういうものは一切返す余地はないのだ、そういう意味で解決済み、こう言っているのか。あるいは、日ソ共同宣言を結んだことはソ連だって当然認めているわけですから、共同宣言では、平和条約を結べば歯舞、色丹は返す、こうなっています。そこで、向こうの言う解決済みという意味は、共同宣言に沿って歯舞、色丹は返す、しかしもうそれで終わり、それ以上はもうないよ、こういう意味で解決済みと言っているのか。
 つまり、向こうの言う解決済みという言葉の法的立場といいますか、そういうものは一体どっちなんだということをこちらでソ連側にちゃんと詰めて、我々の言う解決済みというのはこういう意味ですということをちゃんと向こうからとってあるのかどうか、それをひとつお尋ねしたいと思います。
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西
西山健彦#23
○西山政府委員 この問題につきましては、先般も田邊書記長の方から御質問がございましたし、その後も井上一成議員からお尋ねがあった次第でございます。そのときに私どもとしてお答え申し上げましたのは、そういうふうな形での確認の仕方ということは我々の方としてはしなかった。なぜしなかったかと申しますと、まず第一に、とれは五六年の共同宣言という国際的な取り決めによってはっきりと合意されているそういう事項は、先方が一方的な発言なり一方的な書簡なりによって変えられる性質のものではない。したがいまして、我が方から改めて解決済みというのはどういう意味であるかということを聞くことはそもそもおかしい、こういう認識でございます。したがいまして、あえてどういう意味で解決済みと言っているのかということをこちら側の方からわざわざ聞くことはしなかったというのが、第一の理由でございます。
 それから第二には、事実上先方の態度は既に明らかになっていたということがございます。これは、先ほど来大臣並びに私がお答え申し上げたとおりでございまして、先方は何らその根拠ないし解決済みということの中身を明確にすることないままに、解決済みと言っているわけでございまして、その点ははっきりしていたからでございます。
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高沢寅男#24
○高沢委員 これからそういう交渉をやろうとする相手が解決済みと言っている、その解決済みというのは一体どういう意味なんだということを私はむしろ詰めるべきではないかと思いますよ。プラウダの編集長の言い方によれば、日本はサンフランシスコ条約を結んだじゃないか、だからこれは一切解決済みだ、こういう言い方をしています。しかし、そのサンフランシスコの後で日ソ共同宣言が結ばれている、そしてそこに二島の平和条約との関連が出ておるということですから、ソビエトにあなた方はサンフランシスコ条約の後でこれを結んだということを確認を求めていく。相手は、恐らくそれはノーとは言わぬでしょう、それはそのとおりと言うに決まっている。しかし、それはそのとおりならば、その共同宣言というのは今は一体どうなんだということをむしろ詰めていくのが、領土交渉のあるべきことじゃないですか。
 確かに、六〇年のあの安保のときにソ連側は、こうなってくれば日ソ共同宣言ももう効力はないという言い方をした。日本の外務省はそれに対して、そういうソ連側の見解は認めない、こういうやりとりがあったわけです。しかし、そういうやりとりがあったにせよ、その前提の共同宣言はまさに条約と等しい、そういう性格、効力を持っているわけですから、そこのところをしっかりと押さえるということが、この場合まず出発点じゃないですか。
 ことしの予算委員会の田邊書記長の質問も、そこのところをしっかり押さえて、そしてその上に立って、歯舞、色丹、さらには日本の立場とすれば択捉、国後もありますが、千島全体は日本が戦争でとった領土ではないという我が方の積み上げの主張というものが当然そこからスタートするじゃないかということで、確認をずっと求めたわけですが、どうも予算委員会の外務省の答弁というものは、はっきり煮え切った答弁になっていないと私は思うわけです。
 きょうもそのことで私はお尋ねするわけですが、その辺をむしろはっきりと確認させることが大前提だということは一体どう考えますか。この点は、局長もいいですが、大臣の御見解もお尋ねしたいと思います。
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安倍晋太郎#25
○安倍国務大臣 シェワルナゼさんとの領土問題についての論議に当たりましては、実は私から幕末のときの日魯通好条約、さらに明治に入ってからの棒太千島交換条約、それ以降の日ソ共同宣言等歴史を回顧しながら、条約的にあるいはまた歴史的に北方四島が日本国有の領土であるということを、その論拠を示して詳細に説明いたしました。これはあくまでも名実ともに日本国有の領土であるということについて何か議論がありますかと。ですから我々としては、あなた方はあなた方としての論拠があるとしても、少なくともこの問題は話し合って決めなければならない筋合いのものではないかということを主張いたしました。これは時間をかけて詳細に述べたわけでございます。
 その間に、もちろん日ソ共同宣言につきましても、当然これは二国間で結んだ国際的な条約である、それによって日ソの国交回復が行われたことは、今日に至るまで日ソ間ではっきり認識していることではないか、こういう約束もきちっと守ってもらわなければならぬ、お互いに守らなければならぬのは当然だ、こういうことを踏まえてちょうちょっとして十分説明いたしたわけでございます。
 これに対しまして、ソ連側もいろいろと反駁もしました。北方四島は一番初め発見したのはソ連人だ、ロシア人だという意味の説明もあったように思いますが、我々が十分納得し得る説明はなかったわけでございまして、その場でさらにこの問題を議論するということについては、時間も足りないという点もありました。とにかく、これはテーブルに着いて今後ともやろうじゃないかということで合意を見て、この次の会談にさらに持ち越したということでございます。
 今おっしゃるような点等につきましては、我々も十分踏まえて、歴史的な、条約的な論拠というものを踏まえて、これからソ連との間で腰を据えて議論しなければならない点であろうと考えております。
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高沢寅男#26
○高沢委員 ぎりぎり詰めて、つまりそうしたやりとりの中でソ連側は、あの日ソ共同宣言はもう死んでいるんだ、そういうふうに言っておりますか、その辺をお聞きしたいと思います。
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安倍晋太郎#27
○安倍国務大臣 これは、そういう発言はもちろんありません。日ソ共同宣言によって領土問題、こうして現実的に国交が回復しておるわけですし、それによって国連加盟というものが実現されているわけです。ですからソ連としては、そういうことはもちろん言える立場ではありませんし、そういうことは言っておりません。
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高沢寅男#28
○高沢委員 では逆に、日ソ共同宣言は生きているんだ、こういうふうにソ連側の発言がありましたか、いかがでしょうか。
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安倍晋太郎#29
○安倍国務大臣 それはもう、生きているも死んでいるも当然至極のことである。少なくとも、これは国際的な条約に等しい宣言であって、それによってすべての既成事実が今日成り立ってきておるわけですから、当然ソ連もそれを否定する何物もないということは明らかなことで、これは何も確認するとかしないとかいう問題以前のことではないだろうか、こういうふうに思います。
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