憲法審査会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
平成二十八年二月十七日(水曜日)
午後一時五分開会
─────────────
委員氏名
会 長 柳本 卓治君
幹 事 愛知 治郎君
幹 事 高野光二郎君
幹 事 豊田 俊郎君
幹 事 丸山 和也君
幹 事 金子 洋一君
幹 事 小西 洋之君
幹 事 西田 実仁君
幹 事 仁比 聡平君
阿達 雅志君
赤池 誠章君
石井 正弘君
石田 昌宏君
宇都 隆史君
大沼みずほ君
木村 義雄君
北村 経夫君
小坂 憲次君
上月 良祐君
佐藤 正久君
滝波 宏文君
堂故 茂君
中曽根弘文君
中西 祐介君
山下 雄平君
有田 芳生君
石橋 通宏君
徳永 エリ君
那谷屋正義君
野田 国義君
福山 哲郎君
藤末 健三君
前川 清成君
牧山ひろえ君
魚住裕一郎君
佐々木さやか君
矢倉 克夫君
吉良よし子君
江口 克彦君
清水 貴之君
田中 茂君
和田 政宗君
渡辺美知太郎君
福島みずほ君
主濱 了君
─────────────
委員の異動
一月四日
辞任 補欠選任
佐藤 正久君 三原じゅん子君
石橋 通宏君 大野 元裕君
金子 洋一君 風間 直樹君
徳永 エリ君 大島九州男君
那谷屋正義君 長浜 博行君
野田 国義君 藤田 幸久君
福山 哲郎君 森本 真治君
清水 貴之君 佐藤 信秋君
福島みずほ君 小野 次郎君
一月六日
辞任 補欠選任
田中 茂君 松田 公太君
二月十六日
辞任 補欠選任
前川 清成君 吉川 沙織君
二月十七日
辞任 補欠選任
大野 元裕君 神本美恵子君
牧山ひろえ君 大塚 耕平君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 柳本 卓治君
幹 事
愛知 治郎君
高野光二郎君
豊田 俊郎君
丸山 和也君
山下 雄平君
風間 直樹君
藤末 健三君
森本 真治君
西田 実仁君
仁比 聡平君
委 員
阿達 雅志君
赤池 誠章君
石井 正弘君
石田 昌宏君
宇都 隆史君
大沼みずほ君
木村 義雄君
北村 経夫君
小坂 憲次君
上月 良祐君
佐藤 信秋君
滝波 宏文君
堂故 茂君
中曽根弘文君
中西 祐介君
三原じゅん子君
有田 芳生君
大島九州男君
大塚 耕平君
神本美恵子君
小西 洋之君
長浜 博行君
藤田 幸久君
牧山ひろえ君
吉川 沙織君
魚住裕一郎君
佐々木さやか君
矢倉 克夫君
吉良よし子君
小野 次郎君
松田 公太君
江口 克彦君
和田 政宗君
渡辺美知太郎君
主濱 了君
事務局側
憲法審査会事務
局長 森本 昭夫君
参考人
大東文化大学大
学院法務研究科
教授 浅野 善治君
千葉経済大学特
任教授 荒井 達夫君
─────────────
本日の会議に付した案件
○幹事の辞任及び補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
本法制に関する調査
(「二院制」のうち、参議院と衆議院の関係(
参議院として重視すべき役割)について)
─────────────
この発言だけを見る →午後一時五分開会
─────────────
委員氏名
会 長 柳本 卓治君
幹 事 愛知 治郎君
幹 事 高野光二郎君
幹 事 豊田 俊郎君
幹 事 丸山 和也君
幹 事 金子 洋一君
幹 事 小西 洋之君
幹 事 西田 実仁君
幹 事 仁比 聡平君
阿達 雅志君
赤池 誠章君
石井 正弘君
石田 昌宏君
宇都 隆史君
大沼みずほ君
木村 義雄君
北村 経夫君
小坂 憲次君
上月 良祐君
佐藤 正久君
滝波 宏文君
堂故 茂君
中曽根弘文君
中西 祐介君
山下 雄平君
有田 芳生君
石橋 通宏君
徳永 エリ君
那谷屋正義君
野田 国義君
福山 哲郎君
藤末 健三君
前川 清成君
牧山ひろえ君
魚住裕一郎君
佐々木さやか君
矢倉 克夫君
吉良よし子君
江口 克彦君
清水 貴之君
田中 茂君
和田 政宗君
渡辺美知太郎君
福島みずほ君
主濱 了君
─────────────
委員の異動
一月四日
辞任 補欠選任
佐藤 正久君 三原じゅん子君
石橋 通宏君 大野 元裕君
金子 洋一君 風間 直樹君
徳永 エリ君 大島九州男君
那谷屋正義君 長浜 博行君
野田 国義君 藤田 幸久君
福山 哲郎君 森本 真治君
清水 貴之君 佐藤 信秋君
福島みずほ君 小野 次郎君
一月六日
辞任 補欠選任
田中 茂君 松田 公太君
二月十六日
辞任 補欠選任
前川 清成君 吉川 沙織君
二月十七日
辞任 補欠選任
大野 元裕君 神本美恵子君
牧山ひろえ君 大塚 耕平君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 柳本 卓治君
幹 事
愛知 治郎君
高野光二郎君
豊田 俊郎君
丸山 和也君
山下 雄平君
風間 直樹君
藤末 健三君
森本 真治君
西田 実仁君
仁比 聡平君
委 員
阿達 雅志君
赤池 誠章君
石井 正弘君
石田 昌宏君
宇都 隆史君
大沼みずほ君
木村 義雄君
北村 経夫君
小坂 憲次君
上月 良祐君
佐藤 信秋君
滝波 宏文君
堂故 茂君
中曽根弘文君
中西 祐介君
三原じゅん子君
有田 芳生君
大島九州男君
大塚 耕平君
神本美恵子君
小西 洋之君
長浜 博行君
藤田 幸久君
牧山ひろえ君
吉川 沙織君
魚住裕一郎君
佐々木さやか君
矢倉 克夫君
吉良よし子君
小野 次郎君
松田 公太君
江口 克彦君
和田 政宗君
渡辺美知太郎君
主濱 了君
事務局側
憲法審査会事務
局長 森本 昭夫君
参考人
大東文化大学大
学院法務研究科
教授 浅野 善治君
千葉経済大学特
任教授 荒井 達夫君
─────────────
本日の会議に付した案件
○幹事の辞任及び補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
本法制に関する調査
(「二院制」のうち、参議院と衆議院の関係(
参議院として重視すべき役割)について)
─────────────
柳
柳本卓治#1
○会長(柳本卓治君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
まず、幹事の辞任についてお諮りいたします。
小西洋之君から、文書をもって、都合により幹事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →まず、幹事の辞任についてお諮りいたします。
小西洋之君から、文書をもって、都合により幹事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
柳
柳本卓治#2
○会長(柳本卓治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
この際、幹事の補欠選任についてお諮りいたします。
幹事の辞任及び委員の異動に伴い現在幹事が四名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
幹事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →この際、幹事の補欠選任についてお諮りいたします。
幹事の辞任及び委員の異動に伴い現在幹事が四名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
幹事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
柳
柳本卓治#3
○会長(柳本卓治君) 御異議ないと認めます。
それでは、幹事に山下雄平君、風間直樹君、藤末健三君及び森本真治君を指名いたします。
本審査会幹事会の申合せにより、会長が会長代理を指名することとなっております。
金子洋一君の幹事の辞任に伴い会長代理が欠員となっておりますので、会長といたしましては、会長代理に風間直樹君を指名いたします。
─────────────
この発言だけを見る →それでは、幹事に山下雄平君、風間直樹君、藤末健三君及び森本真治君を指名いたします。
本審査会幹事会の申合せにより、会長が会長代理を指名することとなっております。
金子洋一君の幹事の辞任に伴い会長代理が欠員となっておりますので、会長といたしましては、会長代理に風間直樹君を指名いたします。
─────────────
柳
柳本卓治#4
○会長(柳本卓治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のうち、「二院制」について必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のうち、「二院制」について必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
柳
柳本卓治#5
○会長(柳本卓治君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
柳
柳
柳本卓治#7
○会長(柳本卓治君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
本日は、「二院制」のうち、参議院と衆議院の関係(参議院として重視すべき役割)について参考人から意見を聴取いたします。
御出席いただいております参考人は、大東文化大学大学院法務研究科教授浅野善治君及び千葉経済大学特任教授荒井達夫君の二名でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ本審査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
参考人の皆様から忌憚のない御意見を賜り、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
議事の進め方でございますが、浅野参考人、荒井参考人の順にお一人二十分程度で順次御意見をお述べいただいた後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は、質疑、答弁とも着席のままで結構でございます。
それでは、まず浅野参考人にお願いいたします。浅野参考人。
この発言だけを見る →本日は、「二院制」のうち、参議院と衆議院の関係(参議院として重視すべき役割)について参考人から意見を聴取いたします。
御出席いただいております参考人は、大東文化大学大学院法務研究科教授浅野善治君及び千葉経済大学特任教授荒井達夫君の二名でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ本審査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
参考人の皆様から忌憚のない御意見を賜り、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
議事の進め方でございますが、浅野参考人、荒井参考人の順にお一人二十分程度で順次御意見をお述べいただいた後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は、質疑、答弁とも着席のままで結構でございます。
それでは、まず浅野参考人にお願いいたします。浅野参考人。
浅
浅野善治#8
○参考人(浅野善治君) 大東文化大学の浅野でございます。
本日は、お招きいただきまして誠にありがとうございます。
本日のテーマ「二院制」の参議院、衆議院との関係、あるいは参議院として重視すべき役割ということになっておりますが、二院制の検討ということになりますと、通常、諸外国の議会との比較を行うというのが一般的でございます。ただ、諸外国と申しましても、連邦制の国もあるわけでして、また、人民が革命により権力を奪い取って人民議会を形成した、そういうような国もあるわけでございます。そういったことからしますと、それぞれの国の歴史的、文化的な背景の中で最も適切な議会が選ばれているということでございまして、まず、我が国と比較をするといたしましても、単純に比較をすることはできないんだということについては、これは注意が必要かなというふうに思います。
そういうことですから、二院制を検討するに当たりましても、我が国におけるある意味国づくりの意思決定というものがどのような歴史的、文化的な背景、土壌の中で行われてきたかということ、それから、日本人の国民性というものがそれにどういうような影響を与えているのかということ、こういったことをしっかり認識をした上で二院制を検討していく、そういったことが重要ではないかというふうに思っております。
そういうことを前提といたしまして、日本国憲法における統治の機構というものを少し見ていきたいというふうに思います。
我が国に議会制が入ってまいりますのは明治になってからということになりますが、明治時代の議会というのは、民選議院、公選による衆議院というものと、それから、まだ貴族制度がございましたので、勅任制による貴族院というもの、こういう二つの院が対等な権限を持って意思を決定をする、こういうような構造に実はなっていたわけでございます。特にその貴族院というものに対して大きな意味合いを持たせている、そういうような議会だったのではないかというふうに思います。
そういう中で、日本が第二次世界大戦で敗戦をいたしまして、それまでの国家体制というものを大きな変革を求められるということになるわけですけれども、その中で、連合国といいますか、アメリカといいますか、から徹底した民主的な国家運営というものが求められてくる、こういう形になるわけでございます。その中で、国民に責任を負う公選議員による議会というもの、これを国権の最高機関として位置付ける、そしてまた、議院内閣制を採用する、議会に対して責任を負う政府というものが議会の意思決定に従い国家を運営をする、こういう姿というものが描かれたわけでございます。
その中で、連合国側からは、そういった議会というものは民選による一院、これで十分であるというように考えたわけですけれども、日本国側としては、そういう明治時代からの流れもありますし、二院制というものを維持しようとしたわけですね。そこの中で勅任制というものができないとすれば、職能代表あるいは地域代表というようなことを入れて、民選議院とは別の第二院というものを設けていこうというようなことを考えていたわけです。
それで、権限についても民選議院よりある程度劣ってもいいから二院制をというような主張をするわけですけれども、結局はそれが認められないという形になるわけです。議会は、それまでのような勅任制によるという議院というものは一切認められない、それから、日本側の主張する職能代表、地域代表というものも、これを認めない。二院制ということだとすれば、共に民選の議院であるならばという形で現在の形に落ち着いていくということになるわけです。
そういったことからしますと、日本国憲法の中での議会というものについては、共に公選の議員により構成される、組織されるところの二院というものがそこで生まれてくるわけです。共に国民が選挙によって選出した議員によって組織されるということになりますから、ある意味その民主的な正当性というものは同等だというように考えられるわけです。
そうすると、衆議院と参議院の権限ということに問題が移りますが、衆議院と参議院の権限というものをどのように整理をするかということになるかと思います。そうすると、同じように共に公選議員によってある意味民主的な正当性が同等である議院というものをどのように特色付けるかというところになるわけですけれども、そういったことの中で、衆議院の優越というようなことが言われたりするわけですが、衆議院、参議院、それぞれの特色というものを持たせていくということになるわけです。
ただ、この二つの議院ですけれども、立法については、原則として両議院で可決したときに法律になるというようになっております。ある一定の再議決というものが認められていますが、原則としては参議院の議決というものを経ないと法律ができないという形になっておりますし、内閣が議会に対して責任を負うということになっておりますが、これも内閣は国会に対して連帯して責任を負うということになっておりまして、衆議院、参議院共にその責任を負っているということになるわけですから、そういったことからしますと、日本国憲法上の衆議院、参議院の権限は原則として同等と考えているというようにまず考えていいのではないかというふうに思います。これが、共に公選議員で組織をしているということの民主的正当性ということからしましても、衆議院の優越ということがよく言われるわけですが、日本国憲法上の衆議院と参議院の権限は原則として同等なんだというようにまず意識をする必要があるんではないかというように思います。
ただ、衆議院の優越ということでよく知られているように、一定のものについて衆議院の意思が優先するというようなことが認められているわけですが、これは、じゃ、一体どういうことなのかということになりますが、国会というのが二院で構成されているわけですから、当然、ある院ともう一つの院が意思が異なるということが生じてくるわけです。そうした場合に、では、どういう意思を国会全体の意思にするのかということは当然ある意味での調整が必要になろうかというように思います。その調整の中で、一定の場合に衆議院の意思を国会の意思とするんだというところで衆議院の特色を表しているというのが今の衆議院の優越と言われていることではないかというように思います。
それでは、どういう特色を衆議院に持たせているかということになるわけですけれども、一言で言うならば、これは内閣との協働ということではないかというように思います。
議院内閣制を取る国会の権限として、内閣を組織する内閣総理大臣の指名権というものを持っています。ただ、これは衆議院の権限ではなく国会の指名ということになっております。ですから、もちろん参議院も内閣総理大臣の指名を行うわけです。
衆議院と参議院の指名の意思が異なった場合、この場合においても、すぐに衆議院の意思を国会の意思とするということではなく、両院協議会を開いて調整をするということを求めているわけです。ですから、そういったことからすると、参議院の意思というものも十分含まれて実は国会の意思が決まっているんだということになるわけですけれども、調整が付かない場合には衆議院の意思を国会の意思とするというように決めているわけです。憲法の規定でも、衆参の意思が異なった場合に、衆議院の意思によるというような規定をしているわけではなくて、衆議院の意思を国会の意思とするというように決めているわけでして、それはやはり国会が指名をしているんだという位置付けを取っているわけです。
ただ、こういうふうに衆参の両議院の意思が異なった場合に衆議院の意思に従うということにしておりますから、そういう意味では、政権の創設といいましょうか、政権をつくり出すことというものは衆議院の意思に必ず従った内閣ができるということになるわけです。ですから、そういったことからすると、内閣の意思が衆議院と離れた場合ということについては、衆議院に内閣の不信任議決権というものを認めているということがその裏返しとして出てくるのではないかというように思います。
衆議院が不信任議決をした場合について、内閣が衆議院を解散したとしても、解散後の国会が開かれるときに内閣は総辞職をするということになっておりますから、内閣不信任の議決を受けたときというのは内閣は存続することができないということになるわけです。ただ、次の内閣をどういう形で指名をするかといったときに、不信任議決をした衆議院がまた議決をするのか、あるいは衆議院というものに国民の意思を問い直して新たな衆議院を構成して内閣総理大臣の指名を行わせるかという、そういう選択をするというのが衆議院の解散ということの意味付けということになろうかと思います。ですから、そういった意味で、衆議院の意思に絶対的に従う政権が創設される、つくり出されるということの中で、衆議院の内閣不信任議決権あるいは衆議院の解散という制度がそこに認められてくるというように思うわけです。
こういった衆議院の特色というものは、衆議院の政権をつくり出すというだけではなくて、政権を運営していく面にも表れてくると思っております。
それはどういうことかというと、内閣が編成権を持つ予算ですね、この予算審議ということについても、両議院の意思が異なった場合については衆議院の意思が優先をするという形の中で、政権の運営についても衆議院が協働するという特色を持たせているというように考えるわけです。
内閣が外交上の権限を持っている条約の締結の承認ということについても、予算と同様に、政権が運営していくということの協働という形の中で衆議院の優越というものが認められていると。これが衆議院の特色として表れているところではないかと思います。
さらに、議院内閣制を取っておりますから、法律案というものも、重要法案というのは、現在の状況もそうですが、内閣提出のものというのが中心になるということになるかと思います。そういったことの中で、法律案の議決についても、両議院の意思が異なった場合については、三分の二という高いハードルを設けておりますけれども、政権と協働する衆議院というものを優先させるという意味で再議決というものが認められている、そのように整理ができるのではないかというように思います。
そうしてみますと、衆議院の特色というのは、政権との距離感が極めて近いというところ、これが日本の両議院の中の特に衆議院の特色といって強く考えられるところではないかと思います。
それでは、じゃ、一方、参議院ですけれども、どのような特色を持っているかということになりますけれども、これも先ほど触れましたように、立法についても参議院の議決を必ず必要とするというのが原則ですし、それから、内閣の責任ということについても連帯して参議院に対しても責任を負っているということですので、衆議院と同等の権限を持っているということなのですけれども、では、参議院の特色は何かということになるわけですが、参議院と政権との関係ということからしますと、参議院の意思と異なる内閣総理大臣が誕生するということもあり得るということになりますし、内閣の編成する予算ということについても参議院の意思と異なる予算が執行されるということもあるわけです。そういったことからしますと、参議院には政権と必ずしも協働するということが期待されていないというのが一つの特色ではないかというように思います。
そうすると、じゃ、参議院の特色は何かということになるわけですけれども、やはり継続性、安定性というところが参議院の最大の特色ではないかというように思います。
まず、任期ですけれども、六年という非常に長い任期を定めております。それから、改選についても、半数の改選ということで、全体を一気に改選するのではなく半数ごとを改選するということになりますので、参議院の意思というのは、急激に変化をしない、あるいは急激に変化をさせないという、そういう特色があるというように思います。任期六年、半数改選ということになりますから、常に参議院の一定の意思というものが継続してそこに存在しているということになりますから、衆議院が解散した場合についての緊急集会というのも参議院の特色と併せて認めているということになるかと思います。
このように考えてみますと、衆議院と参議院の特色ということから見ますと、政権との距離感というものが大きく異なってくるというのが一番大きな特色ではないかと思います。
それでは、そういう衆議院と参議院に対して国会のどういう機能を求めていくか、権能を求めているかということですけれども、衆議院については、やはり政権をつくり出し、政権と協働するということを期待をするということになるのかと思います。そういったことの一連の流れの中で国民内閣制というような言葉も出てくるわけですけれども、政権をつくり出し、政権と協働する、それにふさわしい多数勢力を形成する議員を選ぶんだ、こういうものが国民が期待する衆議院の姿という形になるかと思います。それはまさに与党の選択ということになるわけですから、ある意味では与党対野党の政党中心というような、そういう構図ができ上がってくるという形かと思います。
衆議院の選挙制度ということについても、政権交代を可能とする選挙制度、二大政党制というようなことが言われるわけですが、その辺の特色をよく表していることかというように思います。
それでは、参議院に対してどういうものを期待をするかということになるわけですが、先ほどお話しいたしましたように、政権との距離感というものが一定程度あるということになりますと、国民の期待というのは、政局に左右されない政策審議がしっかりできる、そういうものに期待をするということになるのではないかというように思います。
そうすると、野党、与党というそういう枠組みではなく、衆議院とは異なった、ある意味では国会議員一人一人を中心にした議論というもの、こういうものが国民の期待をする、そういうことが出てくるのではないかと思います。
もちろん、政党というものに所属をするということは、ある意味では政治活動、選挙運動ということの一定の役割を当然果たしていくわけですけれども、そういう人物を選択するときの政党の所属というのが一つの材料になっているという程度の政党という、そういうものとして人を選んでいくということがまた期待されるのではないかなというように思います。参議院の比例代表選挙における投票の仕方においても、名前を投票することができる、名前を記名することができるということについてもそういった特色が表れているのではないかなというように思います。
そういったことは衆議院と参議院の議会の運営ということの中にもよく表れてくるのではないかと思います。
先ほどお話しいたしましたように、衆議院というのは与党対野党という構図になりますので、当然、衆議院の運営ということも与党対野党という形の中で行われてくる。特に対政府質疑というものが中心にならざるを得ないというふうな形になるかと思います。そこの中で、政府・与党と野党が論議を闘わせて、ある意味では次の選挙で政権交代を目指すんだと、そういうような議会運営というものが生まれてくるという形になるかと思います。内閣の責任追及ということになりましても、内閣の不信任というもの、これが最大の焦点になるというふうな形の議会運営になるということかと思います。
では、一方、参議院の運営はということになりますけれども、政権の存続には直接影響しないということがあるわけですから、政権の争いに左右されない運営というものが出てくるのかなというように思います。与党、野党という構図ではなくて、政策の適否というものを多角的な意見の中でそれを議論をする、そういう運営というものが望まれる運営ではないのかというふうに思います。そういったことにより長期的、安定的、継続的な政策審議が参議院では実現をする、そういうことになるのではないかと思います。内閣の責任追及ということも参議院ができるわけですけれども、それはその政権の適否といいますか、その政権に対する批判というよりは個別政策についての内閣の責任追及ということが中心になってくるのではないかなというふうに思います。ですから、そういったことからしますと、参議院では対政府質疑というのは必ずしも必要ではないということになりますし、むしろ議員間での自由な討議というものが非常に特色付けることになるのではないかなというように思います。
そういったことを含めまして、参議院に期待することということを整理するとしますと、参議院については、政権の距離感が異なるということがありますので、衆議院と異なる役割を持つべきだ、これは決して参議院の権限を弱めるものということではなく、参議院の特色というものをいかに表すかということになるかと思います。特に、対政府質疑ではなく議員間の自由討議による政策討議というものに適しているということが言えるかと思います。
ですから、内閣提出法案の賛否ということではなく、そこに含まれる政策を論議するということがイメージとして出てくるかと思います。内閣提出法案というのは、法案の提出と同時に参議院にも予備審査として法案が送付されます。ですから、そういったことからしますと、衆議院で法案審議をしているものと並行して、その法案に含まれる政策についての議員間の自由討議を行うというような姿というものが参議院に期待されるのではないかなというように思います。
予算の審議にしましても、予算全体の議決を行うということになりますと、これはまた衆議院での予算の全体の適否という議論になりますけれども、そういったことではなく、予算の中の個別項目についての適否というものを議論するというのが参議院のふさわしい姿ではないかなというように思います。
そういったことを行うためには、例えば予算審議につきましても、衆議院で予算審議をしているときに、前年度の決算について会計検査院から報告を聴取して個別的に検討するということを参議院が行っていくというのが一つの姿としてあるのではないかなというように思います。そういった審議を受けて衆議院から予算が送付されたときに議決をしていくということが非常に意味があることではないかなというように思います。そういった予算の個別項目の審議というものについては、予算が仮に参議院の意思と異なった形で執行されたとしても、その執行の事後監督という形の中で十分に生きてくることではないかなというように思います。そういったことの中で、参議院が事後の政策評価を行い、行政統制を行うということの大きな武器になっていくということもそこにあるのではないかなということかと思います。
選挙制度についても、衆議院については政権選択を可能にするような与党対野党の枠組みができるような選挙ということになりますが、参議院の方はそういう与党対野党ということではなく政策審議ができるようにということになりますから、政党中心というのはある程度やむを得ないとしても、政党内で行われているような様々な多様な意見というものが議会に出てくるような、そういったことが引き出せる選挙制度ということが求められるかなというふうに思います。
そういったことからしますと、やはり同一の選挙区から同一の政党で複数の候補者が出てくるような選挙制度というものが多様な意見を引き出すことの大きなポイントになってくるのかなと思います。ですから、むしろ参議院の選挙制度というものは大選挙区制のような制度というものが期待されるのではないかなというふうに思います。
これを安全保障法制を例として少しお話をしたいというふうに思っておりましたが、時間が来ましたので、簡単に申し上げるとすれば、安全保障法制についても、単に安倍政権の批判あるいは政府法案に対する賛否という議論ではなく、安全保障政策ですね、日本はどうやって安全を確保するのかという実質的な議論というものが参議院では展開されるということが期待されるのではないかなというふうに思っております。
時間が来ましたので、いろいろ申し上げましたが、これで私の意見陳述とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、お招きいただきまして誠にありがとうございます。
本日のテーマ「二院制」の参議院、衆議院との関係、あるいは参議院として重視すべき役割ということになっておりますが、二院制の検討ということになりますと、通常、諸外国の議会との比較を行うというのが一般的でございます。ただ、諸外国と申しましても、連邦制の国もあるわけでして、また、人民が革命により権力を奪い取って人民議会を形成した、そういうような国もあるわけでございます。そういったことからしますと、それぞれの国の歴史的、文化的な背景の中で最も適切な議会が選ばれているということでございまして、まず、我が国と比較をするといたしましても、単純に比較をすることはできないんだということについては、これは注意が必要かなというふうに思います。
そういうことですから、二院制を検討するに当たりましても、我が国におけるある意味国づくりの意思決定というものがどのような歴史的、文化的な背景、土壌の中で行われてきたかということ、それから、日本人の国民性というものがそれにどういうような影響を与えているのかということ、こういったことをしっかり認識をした上で二院制を検討していく、そういったことが重要ではないかというふうに思っております。
そういうことを前提といたしまして、日本国憲法における統治の機構というものを少し見ていきたいというふうに思います。
我が国に議会制が入ってまいりますのは明治になってからということになりますが、明治時代の議会というのは、民選議院、公選による衆議院というものと、それから、まだ貴族制度がございましたので、勅任制による貴族院というもの、こういう二つの院が対等な権限を持って意思を決定をする、こういうような構造に実はなっていたわけでございます。特にその貴族院というものに対して大きな意味合いを持たせている、そういうような議会だったのではないかというふうに思います。
そういう中で、日本が第二次世界大戦で敗戦をいたしまして、それまでの国家体制というものを大きな変革を求められるということになるわけですけれども、その中で、連合国といいますか、アメリカといいますか、から徹底した民主的な国家運営というものが求められてくる、こういう形になるわけでございます。その中で、国民に責任を負う公選議員による議会というもの、これを国権の最高機関として位置付ける、そしてまた、議院内閣制を採用する、議会に対して責任を負う政府というものが議会の意思決定に従い国家を運営をする、こういう姿というものが描かれたわけでございます。
その中で、連合国側からは、そういった議会というものは民選による一院、これで十分であるというように考えたわけですけれども、日本国側としては、そういう明治時代からの流れもありますし、二院制というものを維持しようとしたわけですね。そこの中で勅任制というものができないとすれば、職能代表あるいは地域代表というようなことを入れて、民選議院とは別の第二院というものを設けていこうというようなことを考えていたわけです。
それで、権限についても民選議院よりある程度劣ってもいいから二院制をというような主張をするわけですけれども、結局はそれが認められないという形になるわけです。議会は、それまでのような勅任制によるという議院というものは一切認められない、それから、日本側の主張する職能代表、地域代表というものも、これを認めない。二院制ということだとすれば、共に民選の議院であるならばという形で現在の形に落ち着いていくということになるわけです。
そういったことからしますと、日本国憲法の中での議会というものについては、共に公選の議員により構成される、組織されるところの二院というものがそこで生まれてくるわけです。共に国民が選挙によって選出した議員によって組織されるということになりますから、ある意味その民主的な正当性というものは同等だというように考えられるわけです。
そうすると、衆議院と参議院の権限ということに問題が移りますが、衆議院と参議院の権限というものをどのように整理をするかということになるかと思います。そうすると、同じように共に公選議員によってある意味民主的な正当性が同等である議院というものをどのように特色付けるかというところになるわけですけれども、そういったことの中で、衆議院の優越というようなことが言われたりするわけですが、衆議院、参議院、それぞれの特色というものを持たせていくということになるわけです。
ただ、この二つの議院ですけれども、立法については、原則として両議院で可決したときに法律になるというようになっております。ある一定の再議決というものが認められていますが、原則としては参議院の議決というものを経ないと法律ができないという形になっておりますし、内閣が議会に対して責任を負うということになっておりますが、これも内閣は国会に対して連帯して責任を負うということになっておりまして、衆議院、参議院共にその責任を負っているということになるわけですから、そういったことからしますと、日本国憲法上の衆議院、参議院の権限は原則として同等と考えているというようにまず考えていいのではないかというふうに思います。これが、共に公選議員で組織をしているということの民主的正当性ということからしましても、衆議院の優越ということがよく言われるわけですが、日本国憲法上の衆議院と参議院の権限は原則として同等なんだというようにまず意識をする必要があるんではないかというように思います。
ただ、衆議院の優越ということでよく知られているように、一定のものについて衆議院の意思が優先するというようなことが認められているわけですが、これは、じゃ、一体どういうことなのかということになりますが、国会というのが二院で構成されているわけですから、当然、ある院ともう一つの院が意思が異なるということが生じてくるわけです。そうした場合に、では、どういう意思を国会全体の意思にするのかということは当然ある意味での調整が必要になろうかというように思います。その調整の中で、一定の場合に衆議院の意思を国会の意思とするんだというところで衆議院の特色を表しているというのが今の衆議院の優越と言われていることではないかというように思います。
それでは、どういう特色を衆議院に持たせているかということになるわけですけれども、一言で言うならば、これは内閣との協働ということではないかというように思います。
議院内閣制を取る国会の権限として、内閣を組織する内閣総理大臣の指名権というものを持っています。ただ、これは衆議院の権限ではなく国会の指名ということになっております。ですから、もちろん参議院も内閣総理大臣の指名を行うわけです。
衆議院と参議院の指名の意思が異なった場合、この場合においても、すぐに衆議院の意思を国会の意思とするということではなく、両院協議会を開いて調整をするということを求めているわけです。ですから、そういったことからすると、参議院の意思というものも十分含まれて実は国会の意思が決まっているんだということになるわけですけれども、調整が付かない場合には衆議院の意思を国会の意思とするというように決めているわけです。憲法の規定でも、衆参の意思が異なった場合に、衆議院の意思によるというような規定をしているわけではなくて、衆議院の意思を国会の意思とするというように決めているわけでして、それはやはり国会が指名をしているんだという位置付けを取っているわけです。
ただ、こういうふうに衆参の両議院の意思が異なった場合に衆議院の意思に従うということにしておりますから、そういう意味では、政権の創設といいましょうか、政権をつくり出すことというものは衆議院の意思に必ず従った内閣ができるということになるわけです。ですから、そういったことからすると、内閣の意思が衆議院と離れた場合ということについては、衆議院に内閣の不信任議決権というものを認めているということがその裏返しとして出てくるのではないかというように思います。
衆議院が不信任議決をした場合について、内閣が衆議院を解散したとしても、解散後の国会が開かれるときに内閣は総辞職をするということになっておりますから、内閣不信任の議決を受けたときというのは内閣は存続することができないということになるわけです。ただ、次の内閣をどういう形で指名をするかといったときに、不信任議決をした衆議院がまた議決をするのか、あるいは衆議院というものに国民の意思を問い直して新たな衆議院を構成して内閣総理大臣の指名を行わせるかという、そういう選択をするというのが衆議院の解散ということの意味付けということになろうかと思います。ですから、そういった意味で、衆議院の意思に絶対的に従う政権が創設される、つくり出されるということの中で、衆議院の内閣不信任議決権あるいは衆議院の解散という制度がそこに認められてくるというように思うわけです。
こういった衆議院の特色というものは、衆議院の政権をつくり出すというだけではなくて、政権を運営していく面にも表れてくると思っております。
それはどういうことかというと、内閣が編成権を持つ予算ですね、この予算審議ということについても、両議院の意思が異なった場合については衆議院の意思が優先をするという形の中で、政権の運営についても衆議院が協働するという特色を持たせているというように考えるわけです。
内閣が外交上の権限を持っている条約の締結の承認ということについても、予算と同様に、政権が運営していくということの協働という形の中で衆議院の優越というものが認められていると。これが衆議院の特色として表れているところではないかと思います。
さらに、議院内閣制を取っておりますから、法律案というものも、重要法案というのは、現在の状況もそうですが、内閣提出のものというのが中心になるということになるかと思います。そういったことの中で、法律案の議決についても、両議院の意思が異なった場合については、三分の二という高いハードルを設けておりますけれども、政権と協働する衆議院というものを優先させるという意味で再議決というものが認められている、そのように整理ができるのではないかというように思います。
そうしてみますと、衆議院の特色というのは、政権との距離感が極めて近いというところ、これが日本の両議院の中の特に衆議院の特色といって強く考えられるところではないかと思います。
それでは、じゃ、一方、参議院ですけれども、どのような特色を持っているかということになりますけれども、これも先ほど触れましたように、立法についても参議院の議決を必ず必要とするというのが原則ですし、それから、内閣の責任ということについても連帯して参議院に対しても責任を負っているということですので、衆議院と同等の権限を持っているということなのですけれども、では、参議院の特色は何かということになるわけですが、参議院と政権との関係ということからしますと、参議院の意思と異なる内閣総理大臣が誕生するということもあり得るということになりますし、内閣の編成する予算ということについても参議院の意思と異なる予算が執行されるということもあるわけです。そういったことからしますと、参議院には政権と必ずしも協働するということが期待されていないというのが一つの特色ではないかというように思います。
そうすると、じゃ、参議院の特色は何かということになるわけですけれども、やはり継続性、安定性というところが参議院の最大の特色ではないかというように思います。
まず、任期ですけれども、六年という非常に長い任期を定めております。それから、改選についても、半数の改選ということで、全体を一気に改選するのではなく半数ごとを改選するということになりますので、参議院の意思というのは、急激に変化をしない、あるいは急激に変化をさせないという、そういう特色があるというように思います。任期六年、半数改選ということになりますから、常に参議院の一定の意思というものが継続してそこに存在しているということになりますから、衆議院が解散した場合についての緊急集会というのも参議院の特色と併せて認めているということになるかと思います。
このように考えてみますと、衆議院と参議院の特色ということから見ますと、政権との距離感というものが大きく異なってくるというのが一番大きな特色ではないかと思います。
それでは、そういう衆議院と参議院に対して国会のどういう機能を求めていくか、権能を求めているかということですけれども、衆議院については、やはり政権をつくり出し、政権と協働するということを期待をするということになるのかと思います。そういったことの一連の流れの中で国民内閣制というような言葉も出てくるわけですけれども、政権をつくり出し、政権と協働する、それにふさわしい多数勢力を形成する議員を選ぶんだ、こういうものが国民が期待する衆議院の姿という形になるかと思います。それはまさに与党の選択ということになるわけですから、ある意味では与党対野党の政党中心というような、そういう構図ができ上がってくるという形かと思います。
衆議院の選挙制度ということについても、政権交代を可能とする選挙制度、二大政党制というようなことが言われるわけですが、その辺の特色をよく表していることかというように思います。
それでは、参議院に対してどういうものを期待をするかということになるわけですが、先ほどお話しいたしましたように、政権との距離感というものが一定程度あるということになりますと、国民の期待というのは、政局に左右されない政策審議がしっかりできる、そういうものに期待をするということになるのではないかというように思います。
そうすると、野党、与党というそういう枠組みではなく、衆議院とは異なった、ある意味では国会議員一人一人を中心にした議論というもの、こういうものが国民の期待をする、そういうことが出てくるのではないかと思います。
もちろん、政党というものに所属をするということは、ある意味では政治活動、選挙運動ということの一定の役割を当然果たしていくわけですけれども、そういう人物を選択するときの政党の所属というのが一つの材料になっているという程度の政党という、そういうものとして人を選んでいくということがまた期待されるのではないかなというように思います。参議院の比例代表選挙における投票の仕方においても、名前を投票することができる、名前を記名することができるということについてもそういった特色が表れているのではないかなというように思います。
そういったことは衆議院と参議院の議会の運営ということの中にもよく表れてくるのではないかと思います。
先ほどお話しいたしましたように、衆議院というのは与党対野党という構図になりますので、当然、衆議院の運営ということも与党対野党という形の中で行われてくる。特に対政府質疑というものが中心にならざるを得ないというふうな形になるかと思います。そこの中で、政府・与党と野党が論議を闘わせて、ある意味では次の選挙で政権交代を目指すんだと、そういうような議会運営というものが生まれてくるという形になるかと思います。内閣の責任追及ということになりましても、内閣の不信任というもの、これが最大の焦点になるというふうな形の議会運営になるということかと思います。
では、一方、参議院の運営はということになりますけれども、政権の存続には直接影響しないということがあるわけですから、政権の争いに左右されない運営というものが出てくるのかなというように思います。与党、野党という構図ではなくて、政策の適否というものを多角的な意見の中でそれを議論をする、そういう運営というものが望まれる運営ではないのかというふうに思います。そういったことにより長期的、安定的、継続的な政策審議が参議院では実現をする、そういうことになるのではないかと思います。内閣の責任追及ということも参議院ができるわけですけれども、それはその政権の適否といいますか、その政権に対する批判というよりは個別政策についての内閣の責任追及ということが中心になってくるのではないかなというふうに思います。ですから、そういったことからしますと、参議院では対政府質疑というのは必ずしも必要ではないということになりますし、むしろ議員間での自由な討議というものが非常に特色付けることになるのではないかなというように思います。
そういったことを含めまして、参議院に期待することということを整理するとしますと、参議院については、政権の距離感が異なるということがありますので、衆議院と異なる役割を持つべきだ、これは決して参議院の権限を弱めるものということではなく、参議院の特色というものをいかに表すかということになるかと思います。特に、対政府質疑ではなく議員間の自由討議による政策討議というものに適しているということが言えるかと思います。
ですから、内閣提出法案の賛否ということではなく、そこに含まれる政策を論議するということがイメージとして出てくるかと思います。内閣提出法案というのは、法案の提出と同時に参議院にも予備審査として法案が送付されます。ですから、そういったことからしますと、衆議院で法案審議をしているものと並行して、その法案に含まれる政策についての議員間の自由討議を行うというような姿というものが参議院に期待されるのではないかなというように思います。
予算の審議にしましても、予算全体の議決を行うということになりますと、これはまた衆議院での予算の全体の適否という議論になりますけれども、そういったことではなく、予算の中の個別項目についての適否というものを議論するというのが参議院のふさわしい姿ではないかなというように思います。
そういったことを行うためには、例えば予算審議につきましても、衆議院で予算審議をしているときに、前年度の決算について会計検査院から報告を聴取して個別的に検討するということを参議院が行っていくというのが一つの姿としてあるのではないかなというように思います。そういった審議を受けて衆議院から予算が送付されたときに議決をしていくということが非常に意味があることではないかなというように思います。そういった予算の個別項目の審議というものについては、予算が仮に参議院の意思と異なった形で執行されたとしても、その執行の事後監督という形の中で十分に生きてくることではないかなというように思います。そういったことの中で、参議院が事後の政策評価を行い、行政統制を行うということの大きな武器になっていくということもそこにあるのではないかなということかと思います。
選挙制度についても、衆議院については政権選択を可能にするような与党対野党の枠組みができるような選挙ということになりますが、参議院の方はそういう与党対野党ということではなく政策審議ができるようにということになりますから、政党中心というのはある程度やむを得ないとしても、政党内で行われているような様々な多様な意見というものが議会に出てくるような、そういったことが引き出せる選挙制度ということが求められるかなというふうに思います。
そういったことからしますと、やはり同一の選挙区から同一の政党で複数の候補者が出てくるような選挙制度というものが多様な意見を引き出すことの大きなポイントになってくるのかなと思います。ですから、むしろ参議院の選挙制度というものは大選挙区制のような制度というものが期待されるのではないかなというふうに思います。
これを安全保障法制を例として少しお話をしたいというふうに思っておりましたが、時間が来ましたので、簡単に申し上げるとすれば、安全保障法制についても、単に安倍政権の批判あるいは政府法案に対する賛否という議論ではなく、安全保障政策ですね、日本はどうやって安全を確保するのかという実質的な議論というものが参議院では展開されるということが期待されるのではないかなというふうに思っております。
時間が来ましたので、いろいろ申し上げましたが、これで私の意見陳述とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
柳
荒
荒井達夫#10
○参考人(荒井達夫君) 皆さん、こんにちは。千葉経済大学の荒井でございます。
本日は参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。実は私、一年ちょっと前まで本審査会の首席調査員をしておりまして、会長の斜め後ろに座っておりました。今日はよろしくお願いします。
昭和五十八年に人事院に入って給与局と職員局に勤務し、その後、参議院に出向して法制局、労働、総務、行政監視の各委員会の調査室に勤務し、そして憲法審査会事務局を最後に一昨年の十二月末退職しました。この間、一貫して行政の組織、人事の問題に取り組み、官僚機構と行政監視に関わる仕事を数多く担当してまいりました。特に、行政監視委員会では、山下栄一委員長時代に一年間に三十二か所もの行政の現場視察が行われ、常に委員長に同行したことや、末松信介委員長時代に原発事故に関する参考人質疑と検察不祥事に関する最高検察庁視察を、そういう重大事案を担当したことが今でも鮮明な記憶として残っております。
行政監視とは、簡単に言えば公務員の働きぶりを見張ることであり、我が国の官僚機構がどういう状態にあるか、その特徴を知らなければなりません。お手元に配付した資料で、「公務員とは」と「問題の本質は「行政の組織・人事」にある」と図示したものがありますが、それらが私の基本の認識であります。
議院内閣制の下で、いわゆるキャリアシステムを原因とする縦割り行政と天下りが国家行政を大きくゆがめ、官僚機構の自己改善能力を著しく低下させている。各省ごとに一人の事務次官をつくり出すために職員が生涯を懸けて競争するキャリアシステムは、出世意欲という私益追求が不可避的に国家レベルでの反公益となってしまう宿命を持つ人事の仕組みである。もちろん、出世意欲が悪いのではなく、システムに根本的欠陥があるのです。
官僚機構による情報操作のすさまじさは特筆に値します。弱い内閣では官僚による政府の支配となり、強い内閣では官僚は政治家に迎合し、政府との共生を図る。国民に対し直接責任を持たない巨大な権力機構である官僚機構が公共の利益に反する無責任な行政をつくり出してしまう。日本の行政監視のポイントはここにあると私は考えています。
東日本大震災復興予算の流用問題では、十九兆円にも及ぶ復興予算の相当部分が霞が関の主導により被災地とは関係のない事業に使われていることが明らかとなり、国民の激しい怒りを買うこととなりました。ジャーナリストの福場ひとみさんは、その著書「国家のシロアリ 復興予算流用の真相」の中で、組織における働きアリが国家にとってはシロアリと化してしまうのがこの国の現実である、実務者である官僚が政策決定の要を独占していくこの国において、政治家も国民も往々にして事業の存続や拡大のための道具と化してしまうと述べておられます。我が国の行政は歴史的に官僚依存、官僚主導であり、復興予算の流用問題は、それが官僚支配と言えるほどの状況に至っていることを示していると言えます。
お金の問題だけではありません。足利事件や村木厚子さん事件などの冤罪事件では、まさに公務員の働きぶりが問題の核心であり、人権を保障するための行政の組織、人事の在り方を見直す必要から国会の行政統制の在り方が問われています。これこそ参議院の行政監視機能が期待される問題ではないかと私は思います。
そこで、本日のテーマですが、「二院制」のうち、参議院と衆議院の関係(参議院として重視すべき役割)についてということですので、私は、参議院の行政監視機能を中心に、国会の行政統制について自分の意見と経験をお伝えしたいと思います。
実は、この分野、特に参議院の行政監視機能に関しては見るべき学問研究がありません。そもそも行政監視とは何かという基本の議論さえもまともに行われておらず、私は参議院在職中、関係議員の皆さんと勉強しながら、私たちが議論の最先端にいるのだから自分たちで行政監視システムをつくるしかないと力説しておりました。
昨年九月に東京法令出版から「論点 日本の政治」という日本政治の新しいタイプの教科書が発売されまして、その中に、「国政をどうチェックするか—行政の監視」という項目があるのですが、私の論文、「行政監視とは何か」が参考文献として挙げられています。執筆者は駿河台大学の成田憲彦先生ですが、成田先生によりますと、行政監視については国会に関する専門文献でも余りページを割いているものはなく、荒井の論文が行政監視の本質にまで踏み込んで書いていたので参考文献とされたとのお話でした。
行政監視とは何か。私はこう考えています。行政権の行使について国会に対し責任を負っている内閣が法律を誠実に執行するという憲法上の義務に違反していないかどうかを国会が常時注意して見ることであると。行政とは法律の執行のことであり、したがって、行政の監視とは法律の執行を監視することであります。また、監視とは、有斐閣の法律用語辞典によれば、特定の人、機関等の行為が義務に違反しないか等について常時注意して見ることと説明されています。さらに、憲法上、内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負っており、その仕事の第一が法律を誠実に執行することと規定されているからであります。
では、行政監視はどういう観点で行うべきか。私は、公共の利益、すなわち全国民に共通する社会一般の利益の実現という観点で行うべきと考えています。憲法は、主権在民の原理に基づき公務員を全体の奉仕者とし、公務員法は、公務員は公共の利益のために勤務しなければならないと規定しているからであります。主権は国民全体にあり、公務員である政府と官僚機構が国民全体の共通利益の実現を目指して働いているかどうか、これが行政監視の基本の観点であると私は考えます。配付資料の「公務員とは」で図示した内容を実現するための国会の活動であると説明してもよいと思います。
なお、このような行政監視の観点に関する私の発想の原点は、哲学者で早稲田大学教授の竹田青嗣氏の思想にあります。その著書、「哲学ってなんだ」で書かれているルソーの社会契約説の解説で、御本人は異端と言われていると言っておられるのですが、私は三十数年に及ぶ公務員としての経験から竹田説が完全に正しいと考えています。
行政監視についてはこのような研究の現状でありますので、特に参議院の行政監視機能については、学者に頼ることなく、参議院議員の皆さんがまさに先生となって、職員とともに理論と制度をつくり上げていってほしいと心から願っております。
それでは、レジュメの説明に入らせていただきます。
「行政統制の視点と論点」というレジュメを御覧ください。
まず、行政統制の視点ですが、国民主権に基づく議院内閣制の下、国会は国権の最高機関として政府と官僚機構が法を誠実に執行するよう見張る立場にあり、良識の府である参議院は、公共の利益、イコール全国民に共通する社会一般の利益の実現を超党派で目指すよう努力すべきである。特に、行政の組織、人事に対する統制問題意識が重要であり、政府と官僚機構をつくる衆議院、それを監視する参議院という新たな視点から国会の行政統制を見直すべきであるということであります。
次に、行政統制の論点ですが、七点挙げております。一、いわゆる政治的美称説の再検討、二、参議院の役割、行政監視機能と憲法保障機能の検討、三、参議院の憲法保障機能と議会拒否権制度の研究、四、行政監視と予算、決算の審議の在り方の見直し、五、国民主権に基づく新たな行政監視システムの構築、六、国会長期経済推計機関の設置、七、国会同意人事の仕組みの見直し、以上ですが、これらのうちで私が関係議員と詰めた議論をしてきました事項について補足の説明をいたします。
「行政監視と予算・決算の審議の在り方について」というレジュメを御覧ください。
ポイントは、衆参共に予算委員会と決算委員会を統合して新たに財政委員会を創設し、各院に附置する機関として、行政監視調査局を参議院に、会計検査院を衆議院に置くというところにあります。時間の関係で以下、読み上げる形になりますが、お許しください。
一、行政監視は参議院が中心という考えを徹底すべきである。理由、行政監視は本質的に政府と官僚機構の活動に対する監視であり、強い第三者的立場が求められるが、政府をつくり出す主体である衆議院には本来ふさわしくない機能と言える。行政監視の中心である行政の組織、人事についての調査には長期間を要するため、議員の任期が長く、解散もない参議院が適している。議院内閣制の下で官僚支配が著しい我が国では、とりわけ官僚機構に対する国会の常時監視が必要であり、正常な内閣主導の行政を実現するためにも参議院の行政監視機能の充実強化が望まれる。
二、衆議院は予算、参議院は決算という考えを徹底すべきでない。理由、予算審議と決算審議は本来一連一体のものとして行われるべきである。衆議院は予算、参議院は決算を徹底すれば、どちらも中途半端で無責任なものになり、適切な国会の統制は期待できない。衆議院が不十分な決算審議のまま予算審議を行ってよいはずはなく、参議院の決算審議も衆参それぞれの特徴に応じた審議をする前提で内容を考えるべきである。
三、予算委員会と決算委員会を統合して財政委員会を創設すべきである。理由、決算審議の目的は予算審議へのフィードバックであり、予算審議、決算審議のどちらも税金の使い方の議論である。税金がどう使われたのか、今後どう使うのかの議論は連続しており、一連一体のものとして審議しなければ国会によるチェックは有効に機能しない。予算審議は決算の目を持っていないと、省庁割拠主義による予算の争奪戦の黙認になってしまい、公共の利益の実現につながらないことは、復興予算の流用の問題で明らかである。
なお、憲法学者の西修先生はこの指摘を著書「憲法改正の論点」の中で採用されました。国会の実務で生まれた考えが学説として取り入れられたという極めて珍しい例であり、西先生の柔軟な思考に感謝しております。
四、衆参両院の特徴に応じ、衆議院財政委員会では次年度予算に直結する短期的事項に重点を置き、参議院財政委員会では数年度にわたり長期的検討を要する事項、例えば年金制度、特別会計制度等に重点を置いた審議を行うべきである。理由、衆議院は議員の任期が短く、解散もあり、参議院はその逆である。予算は衆議院先議、予算議決に関する衆議院優越の制度もある。衆議院において決算の目を持って次年度予算に直結する短期的事項について審議を行うことの重要性は、復興予算の流用の問題で明らかである。年金制度、特別会計制度等は、行政の組織、人事の問題が絡み、数年度にわたる長期的検討を要することから、議員の任期が長く解散もない参議院に適している。
五、参議院に行政監視調査局、衆議院に会計検査院を置くべきである。理由、国会の行政統制が弱い最大の原因は、長期継続的に行政の実態調査を行うマンパワーがないことである。
第百七十七回国会、末松信介参議院行政監視委員長は、国民主権に基づく新たな行政監視システムを構築するため、総務省行政評価局の行政評価・監視機能と会計検査院の会計検査機能とを国会に移管し、参議院に行政監視調査局を、衆議院に会計検査院を設置することを提案、中島忠能元人事院総裁がその趣旨に賛同する意見を述べている。これらの機関の中心的機能が行政を統制することであるため、立法府の機関として設置することが適切である。二院制に基づき衆参両院の特徴を反映する仕組みとすることで、各院がその特徴を自覚し、責任を持って国会運営を行うことになるとの考えである。
「行政監視と予算・決算の審議の在り方について」は以上であります。
今日、参議院の「行政監視機能の強化は二院制支持者の共通認識となっていますが、それに対する一つの答えになるのではないかと思います。この案は憲法改正を要しませんので、比較的に速やかな実現が期待できます。また、山下栄一行政監視委員長が力を注がれた行政の現場視察は、その効果の高さから、参議院を挙げて直ちに実施すべきと思います。国会が行政の現場を常に関心を持って見守ることは、現場の職員に良い意味での緊張感をもたらし、法律の誠実な執行の確保に大きく貢献するという効果があります。
ところで、議院内閣制の下、二院制を支持して両院の役割機能の違いを明確化するという考え方の対極に、議院内閣制のまま一院制を採用するという考え方もあると思います。しかし、議院内閣制で一院制の場合、政府と官僚機構をつくる院しかありませんから、強い第三者的立場が求められる行政監視は不可能です。せいぜい上下の位置関係となる行政監督しかあり得ず、これでは官僚支配行政からの脱却は不可能と私は考えています。
一院制を採用するというのであれば、議院内閣制はやめて大統領制にする以外にないと考えます。大統領制であれば選挙で国民が行政首長を直接選ぶことになりますので、官僚支配の問題は起きません。この点は、米国在住のロビイストで「ライジング・ジャパン」の著者であるポール室山氏に指摘されて気が付きました。十分な選挙期間を経て行政首長を選ぶ大統領制であれば、候補者と選挙民の双方に民主主義教育の重要な機会を提供することができる、そして、大統領は国民の強い支持の下で行政首長として強いリーダーシップを発揮することが可能であり、官僚人事を完全に掌握するため官僚支配行政は起きる余地がないとのことであり、なるほどと深く納得いたしました。官僚支配行政からの脱却のために大統領制が優れていることは明らかと私は考えています。
参議院在職中、私は、行政監視に関心のある議員の皆さんと長い時間を掛けて議論をしてきました。間違いなく公共の利益の実現を目指す党派を超えた真摯な議論だったと思います。そして、誰が行政監視委員長になるかが決定的に重要でした。特に、山下栄一議員と末松信介議員が行政監視委員長を務められた時代、参議院の行政監視機能に関する調査研究が大きく進展しました。お二人には心から敬意を表します。あの時代がなければ行政監視に関する今日の議論は存在せず、私は今ここにおりませんでした。
公共の利益の実現のために、主権者である国民に代わって国権の最高機関である国会が政府と官僚機構の活動を法の誠実な執行の確保の観点から常時注意して見ること、これが日本国憲法の下での行政監視である、参議院の職員と行政監視委員長との議論の中で作り出された考え方です。このことを確認して、私の意見陳述を終わることにしたいと思います。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。実は私、一年ちょっと前まで本審査会の首席調査員をしておりまして、会長の斜め後ろに座っておりました。今日はよろしくお願いします。
昭和五十八年に人事院に入って給与局と職員局に勤務し、その後、参議院に出向して法制局、労働、総務、行政監視の各委員会の調査室に勤務し、そして憲法審査会事務局を最後に一昨年の十二月末退職しました。この間、一貫して行政の組織、人事の問題に取り組み、官僚機構と行政監視に関わる仕事を数多く担当してまいりました。特に、行政監視委員会では、山下栄一委員長時代に一年間に三十二か所もの行政の現場視察が行われ、常に委員長に同行したことや、末松信介委員長時代に原発事故に関する参考人質疑と検察不祥事に関する最高検察庁視察を、そういう重大事案を担当したことが今でも鮮明な記憶として残っております。
行政監視とは、簡単に言えば公務員の働きぶりを見張ることであり、我が国の官僚機構がどういう状態にあるか、その特徴を知らなければなりません。お手元に配付した資料で、「公務員とは」と「問題の本質は「行政の組織・人事」にある」と図示したものがありますが、それらが私の基本の認識であります。
議院内閣制の下で、いわゆるキャリアシステムを原因とする縦割り行政と天下りが国家行政を大きくゆがめ、官僚機構の自己改善能力を著しく低下させている。各省ごとに一人の事務次官をつくり出すために職員が生涯を懸けて競争するキャリアシステムは、出世意欲という私益追求が不可避的に国家レベルでの反公益となってしまう宿命を持つ人事の仕組みである。もちろん、出世意欲が悪いのではなく、システムに根本的欠陥があるのです。
官僚機構による情報操作のすさまじさは特筆に値します。弱い内閣では官僚による政府の支配となり、強い内閣では官僚は政治家に迎合し、政府との共生を図る。国民に対し直接責任を持たない巨大な権力機構である官僚機構が公共の利益に反する無責任な行政をつくり出してしまう。日本の行政監視のポイントはここにあると私は考えています。
東日本大震災復興予算の流用問題では、十九兆円にも及ぶ復興予算の相当部分が霞が関の主導により被災地とは関係のない事業に使われていることが明らかとなり、国民の激しい怒りを買うこととなりました。ジャーナリストの福場ひとみさんは、その著書「国家のシロアリ 復興予算流用の真相」の中で、組織における働きアリが国家にとってはシロアリと化してしまうのがこの国の現実である、実務者である官僚が政策決定の要を独占していくこの国において、政治家も国民も往々にして事業の存続や拡大のための道具と化してしまうと述べておられます。我が国の行政は歴史的に官僚依存、官僚主導であり、復興予算の流用問題は、それが官僚支配と言えるほどの状況に至っていることを示していると言えます。
お金の問題だけではありません。足利事件や村木厚子さん事件などの冤罪事件では、まさに公務員の働きぶりが問題の核心であり、人権を保障するための行政の組織、人事の在り方を見直す必要から国会の行政統制の在り方が問われています。これこそ参議院の行政監視機能が期待される問題ではないかと私は思います。
そこで、本日のテーマですが、「二院制」のうち、参議院と衆議院の関係(参議院として重視すべき役割)についてということですので、私は、参議院の行政監視機能を中心に、国会の行政統制について自分の意見と経験をお伝えしたいと思います。
実は、この分野、特に参議院の行政監視機能に関しては見るべき学問研究がありません。そもそも行政監視とは何かという基本の議論さえもまともに行われておらず、私は参議院在職中、関係議員の皆さんと勉強しながら、私たちが議論の最先端にいるのだから自分たちで行政監視システムをつくるしかないと力説しておりました。
昨年九月に東京法令出版から「論点 日本の政治」という日本政治の新しいタイプの教科書が発売されまして、その中に、「国政をどうチェックするか—行政の監視」という項目があるのですが、私の論文、「行政監視とは何か」が参考文献として挙げられています。執筆者は駿河台大学の成田憲彦先生ですが、成田先生によりますと、行政監視については国会に関する専門文献でも余りページを割いているものはなく、荒井の論文が行政監視の本質にまで踏み込んで書いていたので参考文献とされたとのお話でした。
行政監視とは何か。私はこう考えています。行政権の行使について国会に対し責任を負っている内閣が法律を誠実に執行するという憲法上の義務に違反していないかどうかを国会が常時注意して見ることであると。行政とは法律の執行のことであり、したがって、行政の監視とは法律の執行を監視することであります。また、監視とは、有斐閣の法律用語辞典によれば、特定の人、機関等の行為が義務に違反しないか等について常時注意して見ることと説明されています。さらに、憲法上、内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負っており、その仕事の第一が法律を誠実に執行することと規定されているからであります。
では、行政監視はどういう観点で行うべきか。私は、公共の利益、すなわち全国民に共通する社会一般の利益の実現という観点で行うべきと考えています。憲法は、主権在民の原理に基づき公務員を全体の奉仕者とし、公務員法は、公務員は公共の利益のために勤務しなければならないと規定しているからであります。主権は国民全体にあり、公務員である政府と官僚機構が国民全体の共通利益の実現を目指して働いているかどうか、これが行政監視の基本の観点であると私は考えます。配付資料の「公務員とは」で図示した内容を実現するための国会の活動であると説明してもよいと思います。
なお、このような行政監視の観点に関する私の発想の原点は、哲学者で早稲田大学教授の竹田青嗣氏の思想にあります。その著書、「哲学ってなんだ」で書かれているルソーの社会契約説の解説で、御本人は異端と言われていると言っておられるのですが、私は三十数年に及ぶ公務員としての経験から竹田説が完全に正しいと考えています。
行政監視についてはこのような研究の現状でありますので、特に参議院の行政監視機能については、学者に頼ることなく、参議院議員の皆さんがまさに先生となって、職員とともに理論と制度をつくり上げていってほしいと心から願っております。
それでは、レジュメの説明に入らせていただきます。
「行政統制の視点と論点」というレジュメを御覧ください。
まず、行政統制の視点ですが、国民主権に基づく議院内閣制の下、国会は国権の最高機関として政府と官僚機構が法を誠実に執行するよう見張る立場にあり、良識の府である参議院は、公共の利益、イコール全国民に共通する社会一般の利益の実現を超党派で目指すよう努力すべきである。特に、行政の組織、人事に対する統制問題意識が重要であり、政府と官僚機構をつくる衆議院、それを監視する参議院という新たな視点から国会の行政統制を見直すべきであるということであります。
次に、行政統制の論点ですが、七点挙げております。一、いわゆる政治的美称説の再検討、二、参議院の役割、行政監視機能と憲法保障機能の検討、三、参議院の憲法保障機能と議会拒否権制度の研究、四、行政監視と予算、決算の審議の在り方の見直し、五、国民主権に基づく新たな行政監視システムの構築、六、国会長期経済推計機関の設置、七、国会同意人事の仕組みの見直し、以上ですが、これらのうちで私が関係議員と詰めた議論をしてきました事項について補足の説明をいたします。
「行政監視と予算・決算の審議の在り方について」というレジュメを御覧ください。
ポイントは、衆参共に予算委員会と決算委員会を統合して新たに財政委員会を創設し、各院に附置する機関として、行政監視調査局を参議院に、会計検査院を衆議院に置くというところにあります。時間の関係で以下、読み上げる形になりますが、お許しください。
一、行政監視は参議院が中心という考えを徹底すべきである。理由、行政監視は本質的に政府と官僚機構の活動に対する監視であり、強い第三者的立場が求められるが、政府をつくり出す主体である衆議院には本来ふさわしくない機能と言える。行政監視の中心である行政の組織、人事についての調査には長期間を要するため、議員の任期が長く、解散もない参議院が適している。議院内閣制の下で官僚支配が著しい我が国では、とりわけ官僚機構に対する国会の常時監視が必要であり、正常な内閣主導の行政を実現するためにも参議院の行政監視機能の充実強化が望まれる。
二、衆議院は予算、参議院は決算という考えを徹底すべきでない。理由、予算審議と決算審議は本来一連一体のものとして行われるべきである。衆議院は予算、参議院は決算を徹底すれば、どちらも中途半端で無責任なものになり、適切な国会の統制は期待できない。衆議院が不十分な決算審議のまま予算審議を行ってよいはずはなく、参議院の決算審議も衆参それぞれの特徴に応じた審議をする前提で内容を考えるべきである。
三、予算委員会と決算委員会を統合して財政委員会を創設すべきである。理由、決算審議の目的は予算審議へのフィードバックであり、予算審議、決算審議のどちらも税金の使い方の議論である。税金がどう使われたのか、今後どう使うのかの議論は連続しており、一連一体のものとして審議しなければ国会によるチェックは有効に機能しない。予算審議は決算の目を持っていないと、省庁割拠主義による予算の争奪戦の黙認になってしまい、公共の利益の実現につながらないことは、復興予算の流用の問題で明らかである。
なお、憲法学者の西修先生はこの指摘を著書「憲法改正の論点」の中で採用されました。国会の実務で生まれた考えが学説として取り入れられたという極めて珍しい例であり、西先生の柔軟な思考に感謝しております。
四、衆参両院の特徴に応じ、衆議院財政委員会では次年度予算に直結する短期的事項に重点を置き、参議院財政委員会では数年度にわたり長期的検討を要する事項、例えば年金制度、特別会計制度等に重点を置いた審議を行うべきである。理由、衆議院は議員の任期が短く、解散もあり、参議院はその逆である。予算は衆議院先議、予算議決に関する衆議院優越の制度もある。衆議院において決算の目を持って次年度予算に直結する短期的事項について審議を行うことの重要性は、復興予算の流用の問題で明らかである。年金制度、特別会計制度等は、行政の組織、人事の問題が絡み、数年度にわたる長期的検討を要することから、議員の任期が長く解散もない参議院に適している。
五、参議院に行政監視調査局、衆議院に会計検査院を置くべきである。理由、国会の行政統制が弱い最大の原因は、長期継続的に行政の実態調査を行うマンパワーがないことである。
第百七十七回国会、末松信介参議院行政監視委員長は、国民主権に基づく新たな行政監視システムを構築するため、総務省行政評価局の行政評価・監視機能と会計検査院の会計検査機能とを国会に移管し、参議院に行政監視調査局を、衆議院に会計検査院を設置することを提案、中島忠能元人事院総裁がその趣旨に賛同する意見を述べている。これらの機関の中心的機能が行政を統制することであるため、立法府の機関として設置することが適切である。二院制に基づき衆参両院の特徴を反映する仕組みとすることで、各院がその特徴を自覚し、責任を持って国会運営を行うことになるとの考えである。
「行政監視と予算・決算の審議の在り方について」は以上であります。
今日、参議院の「行政監視機能の強化は二院制支持者の共通認識となっていますが、それに対する一つの答えになるのではないかと思います。この案は憲法改正を要しませんので、比較的に速やかな実現が期待できます。また、山下栄一行政監視委員長が力を注がれた行政の現場視察は、その効果の高さから、参議院を挙げて直ちに実施すべきと思います。国会が行政の現場を常に関心を持って見守ることは、現場の職員に良い意味での緊張感をもたらし、法律の誠実な執行の確保に大きく貢献するという効果があります。
ところで、議院内閣制の下、二院制を支持して両院の役割機能の違いを明確化するという考え方の対極に、議院内閣制のまま一院制を採用するという考え方もあると思います。しかし、議院内閣制で一院制の場合、政府と官僚機構をつくる院しかありませんから、強い第三者的立場が求められる行政監視は不可能です。せいぜい上下の位置関係となる行政監督しかあり得ず、これでは官僚支配行政からの脱却は不可能と私は考えています。
一院制を採用するというのであれば、議院内閣制はやめて大統領制にする以外にないと考えます。大統領制であれば選挙で国民が行政首長を直接選ぶことになりますので、官僚支配の問題は起きません。この点は、米国在住のロビイストで「ライジング・ジャパン」の著者であるポール室山氏に指摘されて気が付きました。十分な選挙期間を経て行政首長を選ぶ大統領制であれば、候補者と選挙民の双方に民主主義教育の重要な機会を提供することができる、そして、大統領は国民の強い支持の下で行政首長として強いリーダーシップを発揮することが可能であり、官僚人事を完全に掌握するため官僚支配行政は起きる余地がないとのことであり、なるほどと深く納得いたしました。官僚支配行政からの脱却のために大統領制が優れていることは明らかと私は考えています。
参議院在職中、私は、行政監視に関心のある議員の皆さんと長い時間を掛けて議論をしてきました。間違いなく公共の利益の実現を目指す党派を超えた真摯な議論だったと思います。そして、誰が行政監視委員長になるかが決定的に重要でした。特に、山下栄一議員と末松信介議員が行政監視委員長を務められた時代、参議院の行政監視機能に関する調査研究が大きく進展しました。お二人には心から敬意を表します。あの時代がなければ行政監視に関する今日の議論は存在せず、私は今ここにおりませんでした。
公共の利益の実現のために、主権者である国民に代わって国権の最高機関である国会が政府と官僚機構の活動を法の誠実な執行の確保の観点から常時注意して見ること、これが日本国憲法の下での行政監視である、参議院の職員と行政監視委員長との議論の中で作り出された考え方です。このことを確認して、私の意見陳述を終わることにしたいと思います。
御清聴ありがとうございました。
柳
柳本卓治#11
○会長(柳本卓治君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑は、あらかじめ質疑者を定めずに行います。質疑を希望される方は、お手元に配付した資料のとおり、机上の氏名標を立てていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。
一回の質疑時間は答弁及び追加質問を含め八分以内といたします。時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に願います。質疑者におかれましては、参考人の方々の答弁時間を十分に考慮をいただき、時間配分に御留意ください。なお、質疑を終わった方は、氏名標を横にお戻しください。
参考人の方々におかれましては、答弁の際、挙手の上、会長の指名を受けた後、御発言を願います。
それでは、質疑のある方は氏名標を立ててください。
赤池誠章君。
この発言だけを見る →以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑は、あらかじめ質疑者を定めずに行います。質疑を希望される方は、お手元に配付した資料のとおり、机上の氏名標を立てていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。
一回の質疑時間は答弁及び追加質問を含め八分以内といたします。時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に願います。質疑者におかれましては、参考人の方々の答弁時間を十分に考慮をいただき、時間配分に御留意ください。なお、質疑を終わった方は、氏名標を横にお戻しください。
参考人の方々におかれましては、答弁の際、挙手の上、会長の指名を受けた後、御発言を願います。
それでは、質疑のある方は氏名標を立ててください。
赤池誠章君。
赤
赤池誠章#12
○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。
今日は、浅野先生、それから荒井先生、貴重な御意見、御提案ありがとうございました。
まず、浅野先生にお伺いをしたいと思います。
冒頭、現行憲法の制定過程に絡んだ一院制、二院制の議論の御紹介をいただきました。改めて当時、GHQの意向、それに対する日本政府の意向、結果的には日本政府の二院制が採用されていく過程の中でのGHQの狙いとは一体何だったのかを、もう一度確認の意味を込めて御教示いただきたいと思います。
この発言だけを見る →今日は、浅野先生、それから荒井先生、貴重な御意見、御提案ありがとうございました。
まず、浅野先生にお伺いをしたいと思います。
冒頭、現行憲法の制定過程に絡んだ一院制、二院制の議論の御紹介をいただきました。改めて当時、GHQの意向、それに対する日本政府の意向、結果的には日本政府の二院制が採用されていく過程の中でのGHQの狙いとは一体何だったのかを、もう一度確認の意味を込めて御教示いただきたいと思います。
浅
浅野善治#13
○参考人(浅野善治君) 質問いただきましてありがとうございます。
GHQの狙いということでございますけれども、もうこれはある意味では戦争に負けた国ということになりますので、日本の軍事体制といいますか、これを徹底的に破壊することというのがGHQの狙いだったというふうに思います。そういったことの中で、日本の国政運営の在り方の中で、民主的な流れというものが広がっていないじゃないか、これが主流になっていないじゃないかということの中で、民選議員だけで議会をつくり、その議会が中心になって国政運営を行うんだということを狙ったということだと思います。そういった意味からしますと、議会は民選のもの一つあれば十分だと、こういう考え方だったと思います。それに対して、日本側というのは、議会について制度改正をする必要は実はないというぐらいに考えているわけでして、そこのところで全く考え方が違ってきたというふうに思います。
この発言だけを見る →GHQの狙いということでございますけれども、もうこれはある意味では戦争に負けた国ということになりますので、日本の軍事体制といいますか、これを徹底的に破壊することというのがGHQの狙いだったというふうに思います。そういったことの中で、日本の国政運営の在り方の中で、民主的な流れというものが広がっていないじゃないか、これが主流になっていないじゃないかということの中で、民選議員だけで議会をつくり、その議会が中心になって国政運営を行うんだということを狙ったということだと思います。そういった意味からしますと、議会は民選のもの一つあれば十分だと、こういう考え方だったと思います。それに対して、日本側というのは、議会について制度改正をする必要は実はないというぐらいに考えているわけでして、そこのところで全く考え方が違ってきたというふうに思います。
赤
赤池誠章#14
○赤池誠章君 ありがとうございます。
やはり、先ほど浅野先生御紹介いただきましたけれども、アジアで初めて帝国憲法下で議会を開設をし、苦悶苦闘しながら大正デモクラシーを経て議会制度をどう定着させていくか、そういった先人の努力、日本は民主主義をGHQの占領政策で与えられたわけじゃない、戦前からいろんな課題はあったとしても自らの民主主義を育んできたという、そういった視点の見方、戦争の原因の見方というのが違うのかなというふうに思っておりましたので聞かせていただいた次第ですが、当時の金森徳次郎国務大臣の国会答弁を聞いていても、人間性に根差したときに、人間は完璧ではない、やっぱりどこかで必ず間違いを起こすという中で、慎重にも慎重を期すという、こういった二院制の人間性からくる基本的な概念を述べられていたというふうに感じているんですが、GHQにはそのことがやっぱり理解できなかったという、こういった認識でよろしいでしょうか。
この発言だけを見る →やはり、先ほど浅野先生御紹介いただきましたけれども、アジアで初めて帝国憲法下で議会を開設をし、苦悶苦闘しながら大正デモクラシーを経て議会制度をどう定着させていくか、そういった先人の努力、日本は民主主義をGHQの占領政策で与えられたわけじゃない、戦前からいろんな課題はあったとしても自らの民主主義を育んできたという、そういった視点の見方、戦争の原因の見方というのが違うのかなというふうに思っておりましたので聞かせていただいた次第ですが、当時の金森徳次郎国務大臣の国会答弁を聞いていても、人間性に根差したときに、人間は完璧ではない、やっぱりどこかで必ず間違いを起こすという中で、慎重にも慎重を期すという、こういった二院制の人間性からくる基本的な概念を述べられていたというふうに感じているんですが、GHQにはそのことがやっぱり理解できなかったという、こういった認識でよろしいでしょうか。
浅
浅野善治#15
○参考人(浅野善治君) そういった認識もありますけれども、一つは、民選の議員というものに対してどれだけ信頼ができるかというところがあったんではないかなというふうに思います。
日本人の国民性ということからしますと、自分たちが意思を決定して何かを決めるという国民性よりは、やはりお上といいましょうか、何かそれが決めたもの、それを信頼するかどうかという国民性があるわけでして、民選の議員が決めたというだけではやはりそれは十分ではないんじゃないかという中で勅任制の議会というものがあったという感じ、それをどう考えたかということだろうかと思いますが。
この発言だけを見る →日本人の国民性ということからしますと、自分たちが意思を決定して何かを決めるという国民性よりは、やはりお上といいましょうか、何かそれが決めたもの、それを信頼するかどうかという国民性があるわけでして、民選の議員が決めたというだけではやはりそれは十分ではないんじゃないかという中で勅任制の議会というものがあったという感じ、それをどう考えたかということだろうかと思いますが。
赤
赤池誠章#16
○赤池誠章君 やはり時代を経て、先ほど国民性という御発言もありました、この問題というのは現在でも、現在は大丈夫で過去が駄目じゃなくて、現在においても我々、選挙というものを通じて選ぶときに、有権者、選挙民との関わりの中で、そういう面では民主主義の、民主政治の永遠の課題かなということも改めて感じさせていただいたところでございます。
続きましての質問の中で、衆議院と参議院の権限の違いという御説明をいただいた中で、端的に衆議院の特色と参議院の特色という違いを御説明をいただきました。その中で、参議院の特色というのは、継続性、安定性という話なんですが、この中で緊急集会を入れていただいているということでありまして、これは安定性とも絡む話で、現行憲法には、緊急事態になったとき、一旦緩急あるときにどうしたらいいのかということの中でこういった緊急集会の規定が置かれているという、そういう面では我々参議院というのは、危機管理の、何かあったときに担う役割もあるのかなということを感じている次第でありますが。
その中で、これはもしもの話なんですが、当然、衆議院が解散しているときには我々が緊急集会、でも仮に、参議院の場合は任期制がありますから、例えば通常選挙が行われていても参議院議員は参議院議員として戦うと、衆議院の場合は解散をして、もう議員の失職をして前議員としての立場なんですが、仮に、今度の夏の選挙のときに何かあって、そのときダブル選挙だったとしたら、緊急集会を開くときには開けると。でも、任期が目の前に来たときに半数議員が失職した場合、一体このときどうするんだということに対して、こんなことはないから考えなくてもいいという反面、そこを考えたときに、何の規定もないときに、どう我々は対応したらいいのかということに対して、浅野参考人の御意見を頂戴したいと思います。
この発言だけを見る →続きましての質問の中で、衆議院と参議院の権限の違いという御説明をいただいた中で、端的に衆議院の特色と参議院の特色という違いを御説明をいただきました。その中で、参議院の特色というのは、継続性、安定性という話なんですが、この中で緊急集会を入れていただいているということでありまして、これは安定性とも絡む話で、現行憲法には、緊急事態になったとき、一旦緩急あるときにどうしたらいいのかということの中でこういった緊急集会の規定が置かれているという、そういう面では我々参議院というのは、危機管理の、何かあったときに担う役割もあるのかなということを感じている次第でありますが。
その中で、これはもしもの話なんですが、当然、衆議院が解散しているときには我々が緊急集会、でも仮に、参議院の場合は任期制がありますから、例えば通常選挙が行われていても参議院議員は参議院議員として戦うと、衆議院の場合は解散をして、もう議員の失職をして前議員としての立場なんですが、仮に、今度の夏の選挙のときに何かあって、そのときダブル選挙だったとしたら、緊急集会を開くときには開けると。でも、任期が目の前に来たときに半数議員が失職した場合、一体このときどうするんだということに対して、こんなことはないから考えなくてもいいという反面、そこを考えたときに、何の規定もないときに、どう我々は対応したらいいのかということに対して、浅野参考人の御意見を頂戴したいと思います。
浅
浅野善治#17
○参考人(浅野善治君) 参議院というのは改選を半数しかやらないということがあるわけでして、絶対的に半数の議員というのは残るわけですね。ですから、失職したとしても、その失職した後に半数の議員が残っているということの中で、国民の代表の意思というのは必ず出せるということなんですけれども、今の御質問の中で考えなきゃいけないことというのは、それが果たして国民の意思として十分なのかどうなのかということはあるのかと思います。
今、日本国憲法で考えている緊急事態といいますか、そういうものというのはその程度のものだということになるわけですけれども、これでいいかどうかということは更にいろいろ議論をしていいんだろうかなというふうに思いますが、参議院というのは、そういう形で最後の最後まで国民の意思を代表することができるんだという意味でのその継続性というものが特色になっているんだと、そういうことかと思います。
この発言だけを見る →今、日本国憲法で考えている緊急事態といいますか、そういうものというのはその程度のものだということになるわけですけれども、これでいいかどうかということは更にいろいろ議論をしていいんだろうかなというふうに思いますが、参議院というのは、そういう形で最後の最後まで国民の意思を代表することができるんだという意味でのその継続性というものが特色になっているんだと、そういうことかと思います。
赤
赤池誠章#18
○赤池誠章君 こういった、まあ、たらればの話なんですが、ないにこしたことはないとはいえ、そうなったときにそれをどうすべきだということは、何か今まで国会の中とか、以前の制定過程の中で議論がされたことがあるかどうか。もし、あるなら御紹介をいただきたいと思います。浅野参考人、また荒井参考人にも、もし御承知だったら教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →浅
浅野善治#19
○参考人(浅野善治君) 緊急なとき一般ということでよろしいとすれば、ちょっと誰かと議論をしたとか何かを見たとかというわけではなくて、一つ考えておかなきゃいけないことは、憲法がどう定めていようが、緊急なときがあって国が倒れる、あるいは国民がその危機にさらされるということがあったときには、政府は何らかの行動を取らなきゃならなくなるということはあるんだと思います。それに対してどう考えておく必要があるのかというのが一つ大きな論点じゃないかなというように思います。
結局、憲法に何にも規定がなくても政府は行動せざるを得ないわけですから、それで、それもやむなしとするか、あるいはそういったことも含めて何らかの形できちんと整理をしておく必要があるのかというところじゃないかと思いますが、やはりそれはそういったことも含めて事前に整理をしておいた方がはるかに望ましいんじゃないかなと私は思っております。
この発言だけを見る →結局、憲法に何にも規定がなくても政府は行動せざるを得ないわけですから、それで、それもやむなしとするか、あるいはそういったことも含めて何らかの形できちんと整理をしておく必要があるのかというところじゃないかと思いますが、やはりそれはそういったことも含めて事前に整理をしておいた方がはるかに望ましいんじゃないかなと私は思っております。
荒
荒井達夫#20
○参考人(荒井達夫君) 私は、現職中に非常事態と憲法という資料を作っております。なぜ作ったか。先生方からの質問が多かったからなんですね。個人的に作りました。余りにも多かったから。なぜ多かったかというと、やはり東日本大震災の関係でした。
一般的には、特に弁護士さんなんかは検討する必要がないというようなお話もされている人たちも多い。でも私は、政府からの資料とか官僚の皆さんたちの心配とかというのも耳に入ってきていて、今の災害対策基本法なんかの規定で本当にいいのかというようなこともちゃんと考えなきゃいけないなということは感じました。というのは、一度もその緊急政令というのは使われていないとかですね。
この発言だけを見る →一般的には、特に弁護士さんなんかは検討する必要がないというようなお話もされている人たちも多い。でも私は、政府からの資料とか官僚の皆さんたちの心配とかというのも耳に入ってきていて、今の災害対策基本法なんかの規定で本当にいいのかというようなこともちゃんと考えなきゃいけないなということは感じました。というのは、一度もその緊急政令というのは使われていないとかですね。
赤
赤池誠章#21
○赤池誠章君 時間になりましたので最後の質問なんですが、私は、改正する、また改正しなくても、やはり国民的な議論をどう起こしていくか、そのときに憲法や政治に対する教育をどうしていくかということが大変重要な視点だと思って、いつもこの場で発言をさせていただいております。
衆参それぞれ、小中学生が見学会に来たり、これから十八歳選挙権を踏まえて高校の教育をどうするかという議論が起きている中で、長年の衆参それぞれの御経験を踏まえて、いわゆる子供たちに対しての憲法及び政治教育をどうお考えか、浅野参考人、それぞれ、荒井参考人、御高見を聞かせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →衆参それぞれ、小中学生が見学会に来たり、これから十八歳選挙権を踏まえて高校の教育をどうするかという議論が起きている中で、長年の衆参それぞれの御経験を踏まえて、いわゆる子供たちに対しての憲法及び政治教育をどうお考えか、浅野参考人、それぞれ、荒井参考人、御高見を聞かせていただきたいと思います。
浅
浅野善治#22
○参考人(浅野善治君) 国会職員としての経験というよりは、大学に移りましてからいろいろ経験したことを踏まえてということになりますけれども、一番危惧しなきゃいけないことというのは、日本国憲法がどのようにして作られたかということについての実感がないということが一つ大きなポイントがあります。
これは、日本国憲法というのは誰かが作って与えられたものなんだ、それが最良のものとして与えられているんだという意識しかないということなんですね。それが、自分たちが作るんだとかという意識が全くないという、これはやっぱりしっかり教育をして、憲法というのは自分たちが作るものだということをしっかり教育しておく必要があるんじゃないかなと思います。その上で、日本国憲法というのは自分たちがしっかり作った憲法だったのかどうなのか、その内容はともかく、それを一度知っておく必要があるのかな、そういうように思うわけですけれども。
この発言だけを見る →これは、日本国憲法というのは誰かが作って与えられたものなんだ、それが最良のものとして与えられているんだという意識しかないということなんですね。それが、自分たちが作るんだとかという意識が全くないという、これはやっぱりしっかり教育をして、憲法というのは自分たちが作るものだということをしっかり教育しておく必要があるんじゃないかなと思います。その上で、日本国憲法というのは自分たちがしっかり作った憲法だったのかどうなのか、その内容はともかく、それを一度知っておく必要があるのかな、そういうように思うわけですけれども。
荒
荒井達夫#23
○参考人(荒井達夫君) 教育の話でいえば、主権在民の徹底ということをきっちりやっていくべきだと私は考えます。それがない限り憲法というのはあり得ない。それを徹底していくのが民主主義の過程であると思いますので、教育の中でというのであれば、第一にそれだと思います。
この発言だけを見る →赤
柳
風
風間直樹#26
○風間直樹君 お二方、今日はありがとうございます。
私からは、荒井参考人にまず二点お尋ねをしたいと思います。
最初は、荒井参考人のレジュメの中で、参議院に行政監視調査局を置く、衆議院に会計検査院を置くべきであると。この理由をもう少し詳細に伺えれば有り難いと思います。
二点目は、キャリアシステムについてであります。キャリアシステムの弊害、例えば天下り、その天下りから生ずる特別会計制度、そしてその特別会計制度を特に参議院においては決算委員会等の審議を通してチェックをすると。こういう弊害が多々喧伝されてきたわけですが、この弊害、特に天下りをなくすにはキャリアシステムのどこをどう改善すべきなのか、この二点について御所見を伺います。
この発言だけを見る →私からは、荒井参考人にまず二点お尋ねをしたいと思います。
最初は、荒井参考人のレジュメの中で、参議院に行政監視調査局を置く、衆議院に会計検査院を置くべきであると。この理由をもう少し詳細に伺えれば有り難いと思います。
二点目は、キャリアシステムについてであります。キャリアシステムの弊害、例えば天下り、その天下りから生ずる特別会計制度、そしてその特別会計制度を特に参議院においては決算委員会等の審議を通してチェックをすると。こういう弊害が多々喧伝されてきたわけですが、この弊害、特に天下りをなくすにはキャリアシステムのどこをどう改善すべきなのか、この二点について御所見を伺います。
荒
荒井達夫#27
○参考人(荒井達夫君) 衆参の附置機関として置くという話、これは過去にもいろいろあるんですね。例えば行政監視院構想というのもありますし、それから、総務省の評価局をこっちに持ってくる、参議院に持ってくるというのもありましたし、国会に持ってくるというのも過去にはいろいろあるんですね。
ただ、ここで衆参というふうに、こういうふうに分けたというのは、当時の末松委員長と話をしていたときに、両方とも参議院なんていうようなことは衆議院なんか絶対納得しないよ、あり得ないよと、少なくとも対等しかないという、そういう話がありました。私もなるほどなと思った。それから、お金のことってやっぱり衆議院じゃないの、それから参議院というのは第三者的なんじゃないのというような話をしていく中で、こういう形はどうだろうかというのが生まれてまいりました。これがベストだとかということでもなくて、今の過程ではこういう理屈付けがかなりいいんじゃないかなという、そういう話です。
それから、キャリアシステムの話です。これをなくしていくのにはどうしたらいいか。これは三段階のところでやらなきゃいけないと私は思う。入口です、採用試験の段階。特に総合職と一般職、これは同じ大卒なのに初めから差を付けちゃっている、ここのところに問題があります。それから、出口のところ、ここのところを何とかしなきゃいけない。それから、途中の幹部候補の育成の過程ですね、それをしなきゃいけない。でも、大事なのは、私は出口のところなんだと思うんですね。これ、キャリアシステムというのは一人の事務次官をつくるというところが一番大事なんだと思うんです。そのために必死になってみんな競争する。競争していく過程で、実は国益だ、一般の利益だと言いながら私益になっちゃっている。実は私益なんです。私益の結果、省益、そういうふうになってくる。
だとすると、一人の事務次官じゃなくしてしまえばいい。というのはどういうことかといったら、事務次官はなれない、同じところから事務次官に向かって競争するということをしないことにするということです。要するに、事務次官にしないというのは、一般職じゃなくする、特別職にするということです。そして、特別職にして、公募です。公募にしても、大体その経験のない人なんていうのはできるわけがない。そうするとどうなるかといったら、他省庁で優秀な人が別の省の事務次官になる可能性が出てくる、あるいは民間の人だってそれもあるかもしれない。そうなってくると、役所のキャリアの人たちというのは、ほかの省の事務次官にもなれるかもしれないと、国家的な目が広がってきます。これはかなり効果がある。実際に、終戦直後には事務次官は特別職でした。政治任用でした。それを忘れられています。
以上です。
この発言だけを見る →ただ、ここで衆参というふうに、こういうふうに分けたというのは、当時の末松委員長と話をしていたときに、両方とも参議院なんていうようなことは衆議院なんか絶対納得しないよ、あり得ないよと、少なくとも対等しかないという、そういう話がありました。私もなるほどなと思った。それから、お金のことってやっぱり衆議院じゃないの、それから参議院というのは第三者的なんじゃないのというような話をしていく中で、こういう形はどうだろうかというのが生まれてまいりました。これがベストだとかということでもなくて、今の過程ではこういう理屈付けがかなりいいんじゃないかなという、そういう話です。
それから、キャリアシステムの話です。これをなくしていくのにはどうしたらいいか。これは三段階のところでやらなきゃいけないと私は思う。入口です、採用試験の段階。特に総合職と一般職、これは同じ大卒なのに初めから差を付けちゃっている、ここのところに問題があります。それから、出口のところ、ここのところを何とかしなきゃいけない。それから、途中の幹部候補の育成の過程ですね、それをしなきゃいけない。でも、大事なのは、私は出口のところなんだと思うんですね。これ、キャリアシステムというのは一人の事務次官をつくるというところが一番大事なんだと思うんです。そのために必死になってみんな競争する。競争していく過程で、実は国益だ、一般の利益だと言いながら私益になっちゃっている。実は私益なんです。私益の結果、省益、そういうふうになってくる。
だとすると、一人の事務次官じゃなくしてしまえばいい。というのはどういうことかといったら、事務次官はなれない、同じところから事務次官に向かって競争するということをしないことにするということです。要するに、事務次官にしないというのは、一般職じゃなくする、特別職にするということです。そして、特別職にして、公募です。公募にしても、大体その経験のない人なんていうのはできるわけがない。そうするとどうなるかといったら、他省庁で優秀な人が別の省の事務次官になる可能性が出てくる、あるいは民間の人だってそれもあるかもしれない。そうなってくると、役所のキャリアの人たちというのは、ほかの省の事務次官にもなれるかもしれないと、国家的な目が広がってきます。これはかなり効果がある。実際に、終戦直後には事務次官は特別職でした。政治任用でした。それを忘れられています。
以上です。
風
風間直樹#28
○風間直樹君 ありがとうございます。
先ほど行政監視委員会での御経験に触れられましたけれども、村木事件、それから菅家事件、ああいった冤罪が当時は多発しました。そして、同時に原発事故が起きました。あの年の行政監視委員会ではこういった問題を集中的に取り上げたわけですけれども、当時事務方にいらっしゃったお立場から御覧になっていて、何が、ああいった事件を通し、そしてあの委員会の審議を通しての我々にとって最大の教訓だったのか、その点を御教示いただければと思います。
この発言だけを見る →先ほど行政監視委員会での御経験に触れられましたけれども、村木事件、それから菅家事件、ああいった冤罪が当時は多発しました。そして、同時に原発事故が起きました。あの年の行政監視委員会ではこういった問題を集中的に取り上げたわけですけれども、当時事務方にいらっしゃったお立場から御覧になっていて、何が、ああいった事件を通し、そしてあの委員会の審議を通しての我々にとって最大の教訓だったのか、その点を御教示いただければと思います。
荒
荒井達夫#29
○参考人(荒井達夫君) 私は、物すごく印象的なことがありました。それは、村木さんの事件で神戸の地検に行ったときの話なんです。夜、先生方から呼び出されまして、ちょっと事務方も来てくれと。嫌だな、何かお酒飲むのに付き合わされるのかななんて言っていたんですけど、行ってみたらとんでもない話。もう超党派で、こんなことはあっちゃいけないんだ、絶対許されないんだと。これは将来の日本が関わっている話だということを真剣に議論された。もう真面目に感動しました、私は。私、公共の利益のためにということをくどくど言っているんですけれども、まさにそれだったんですね。党派なんて何の関係もなかったです。村木さんの事件のときに、ある女性の議員の先生は拘置所に行って、村木さんが入れられていたところで涙流していた。すごかったです。
それからもう一つ、原発のときは、当時は反原発の参考人になってしまいました、全員が。でも、それは議員が超党派で、今まで誰も呼んでいないじゃないか、話聞いていないじゃないか、だから聞かなきゃまずいということで呼ばれました。それは、原発の設置地域の議員の方も本当に心配して、地震が次に起きたらどうするんだろうと、選挙民にもう自分は説明ができない、だから今回はちゃんと聞かなきゃいけないんだと、物すごく真剣だったんですね。このときも完全に党派を超えておりました。私は、行政監視というのはこういうことなんだと思いました。
そのときに、行政を監視するのは何を監視するのか。政治家じゃないんです。政府じゃなくて官僚機構だったんです。官僚機構がきちっと法律を誠実に執行していなかったじゃないかというのがすごく多かった。それを痛感しました。だから、組織と人事ということを中心に今まで考えてまいりました。
以上です。
この発言だけを見る →それからもう一つ、原発のときは、当時は反原発の参考人になってしまいました、全員が。でも、それは議員が超党派で、今まで誰も呼んでいないじゃないか、話聞いていないじゃないか、だから聞かなきゃまずいということで呼ばれました。それは、原発の設置地域の議員の方も本当に心配して、地震が次に起きたらどうするんだろうと、選挙民にもう自分は説明ができない、だから今回はちゃんと聞かなきゃいけないんだと、物すごく真剣だったんですね。このときも完全に党派を超えておりました。私は、行政監視というのはこういうことなんだと思いました。
そのときに、行政を監視するのは何を監視するのか。政治家じゃないんです。政府じゃなくて官僚機構だったんです。官僚機構がきちっと法律を誠実に執行していなかったじゃないかというのがすごく多かった。それを痛感しました。だから、組織と人事ということを中心に今まで考えてまいりました。
以上です。