国際経済・外交に関する調査会
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会
会議録情報#0
令和四年二月九日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
二月二日
辞任 補欠選任
三木 亨君 宇都 隆史君
二月三日
辞任 補欠選任
比嘉奈津美君 太田 房江君
二月八日
辞任 補欠選任
宇都 隆史君 清水 真人君
二月九日
辞任 補欠選任
清水 真人君 比嘉奈津美君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 鶴保 庸介君
理 事
朝日健太郎君
柘植 芳文君
松川 るい君
森本 真治君
高橋 光男君
川合 孝典君
柳ヶ瀬裕文君
伊藤 岳君
委 員
猪口 邦子君
今井絵理子君
上野 通子君
小野田紀美君
太田 房江君
清水 真人君
比嘉奈津美君
森 まさこ君
吉川ゆうみ君
石川 大我君
小沼 巧君
田島麻衣子君
横沢 高徳君
熊野 正士君
宮崎 勝君
高良 鉄美君
事務局側
第一特別調査室
長 岩波 祐子君
参考人
明治大学政治経
済学部教授 伊藤 剛君
東海大学海洋学
部海洋フロンテ
ィア教育センタ
ー教授 合田 浩之君
防衛大学校准教
授 石井由梨佳君
─────────────
本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
(「海を通じて世界とともに生きる日本」のう
ち、グローバル化の中での海におけるネットワ
ークの役割と課題について)
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この発言だけを見る →午後一時開会
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委員の異動
二月二日
辞任 補欠選任
三木 亨君 宇都 隆史君
二月三日
辞任 補欠選任
比嘉奈津美君 太田 房江君
二月八日
辞任 補欠選任
宇都 隆史君 清水 真人君
二月九日
辞任 補欠選任
清水 真人君 比嘉奈津美君
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出席者は左のとおり。
会 長 鶴保 庸介君
理 事
朝日健太郎君
柘植 芳文君
松川 るい君
森本 真治君
高橋 光男君
川合 孝典君
柳ヶ瀬裕文君
伊藤 岳君
委 員
猪口 邦子君
今井絵理子君
上野 通子君
小野田紀美君
太田 房江君
清水 真人君
比嘉奈津美君
森 まさこ君
吉川ゆうみ君
石川 大我君
小沼 巧君
田島麻衣子君
横沢 高徳君
熊野 正士君
宮崎 勝君
高良 鉄美君
事務局側
第一特別調査室
長 岩波 祐子君
参考人
明治大学政治経
済学部教授 伊藤 剛君
東海大学海洋学
部海洋フロンテ
ィア教育センタ
ー教授 合田 浩之君
防衛大学校准教
授 石井由梨佳君
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本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
(「海を通じて世界とともに生きる日本」のう
ち、グローバル化の中での海におけるネットワ
ークの役割と課題について)
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鶴
鶴保庸介#1
○会長(鶴保庸介君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る三日までに、三木亨君及び比嘉奈津美君が委員を辞任され、その補欠として宇都隆史君及び太田房江君が選任されました。
また、昨日、宇都隆史君が委員を辞任され、その補欠として清水真人君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
去る三日までに、三木亨君及び比嘉奈津美君が委員を辞任され、その補欠として宇都隆史君及び太田房江君が選任されました。
また、昨日、宇都隆史君が委員を辞任され、その補欠として清水真人君が選任されました。
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鶴
鶴保庸介#2
○会長(鶴保庸介君) 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
本日は、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「グローバル化の中での海におけるネットワークの役割と課題」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、明治大学政治経済学部教授伊藤剛君、東海大学海洋学部海洋フロンティア教育センター教授合田浩之君及び防衛大学校准教授石井由梨佳君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、調査会を代表いたしまして御礼を申し上げたいと思います。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、調査会の今後の調査の参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、伊藤参考人、合田参考人、石井参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただいて、合図をしていただくということで、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきをいただきたいと思います。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず伊藤参考人からお願いをしたいと思います。伊藤参考人。
この発言だけを見る →本日は、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「グローバル化の中での海におけるネットワークの役割と課題」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、明治大学政治経済学部教授伊藤剛君、東海大学海洋学部海洋フロンティア教育センター教授合田浩之君及び防衛大学校准教授石井由梨佳君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、調査会を代表いたしまして御礼を申し上げたいと思います。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、調査会の今後の調査の参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、伊藤参考人、合田参考人、石井参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただいて、合図をしていただくということで、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきをいただきたいと思います。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず伊藤参考人からお願いをしたいと思います。伊藤参考人。
伊
伊藤剛#3
○参考人(伊藤剛君) よろしくお願いいたします。明治大学政治経済学部で国際政治学を教えております伊藤と申します。
実は、五年ほど前にもここへ呼んでいただきまして、そのときは日米関係について述べる機会を得ました。今回は、海洋安全保障といいます、この海をめぐる課題について話をするというのが私に与えられた役割でございます。
実は、この海洋安全保障に関しましては、もうかれこれ十年ほどになりますが、様々な官庁、それから海外の政府も含めていろいろなところから補助金をいただきながら、もうこの十年ばかりこの海洋安全保障について研究を進めているというわけでございます。
私の場合は、国際法の専門家でもなければ、あるいは特に海洋に関する物流に仕事として従事をしたというわけではなくて、研究者としてこの海洋安全保障をどのように考えるべきであるかという点について二十分ほどお話を申し上げたいというふうに考えております。
参考文献といいますか、一番新しいものとして書きましたのは、資料にも掲げましたこの修親という雑誌に書きましたアメリカに関する論評、それから大阪府の堺市のジャーナルに掲載しました南シナ海問題における中国のアプローチということについて書きましたものが主な出発点というふうになっております。
従来、この海洋安全保障とか、海が荒れるという状態は、なぜそんなことが起きるかといいますと、元々は、覇権国であるアメリカ、アメリカのみならず、十九世紀であればイギリスといったような形で、覇権国の力がやっぱりだんだん衰退をしてくると大体海が荒れてくるというような状況というのは明らかであるわけであります。
特に、グローバル化に伴って人や物等々が海を渡っていくということになりますと、海賊、それから密輸、密漁、テロといったような事柄が起きているというのは御存じのとおりであるかと思います。既に日本でも長らくの間、沖縄の辺りにおける、あるいは北方領土辺りをめぐる、いわゆるその統計では表れない密漁等々はもう多くの方々が知っているところでありまして、こういったものをどのようにして、地域の住民との協力及び地域の住民を食べさせるということを考えながら考えていくかということは大きな課題となっていくわけであります。
そもそもその覇権国というのは、当然ですが、海を広く使いたいという考え方が従来からずっと考えていて、航行の自由等々のように、自分たちは力があるわけですから、海を大きく使いたい、と同時に、自分の国周辺というのは排他的に使用したいというふうに考える傾向があると。で、そもそも沿岸国というのは、海に面しているということもありますので、自分たちの権益をできるだけ伸長したいということ、海を広く使いたいということを考えていると。で、沿岸国になっていない、いわゆる海に面していない国というのは、やはりその公海というものを広く唱えて、自分たちのパワープロジェクションができるわけではないけれども、海洋空間というのをできるだけ広く使いたいという考え方を取っているわけであります。
結局、現在生じているような、中国のようなだんだん力を有してきてパワープロジェクションを近隣諸国に対してやっているという国に対して、それをどうやって抑えるかという視点というのはなかなか発展しないまま現在まで至っているという状況であります。
やはり、次第に厳しくなる国際環境というのは誰の目にも明らかでありまして、私は大学で国際政治学を教えていますが、国内政治と何より大きく違う点は、警察が有効に機能しないという状況で自分たちの安全をどう考えるかというのが出発点であって、国内とは違うんだということをまず最初に強調をするようになりました。
最近私思うんですけど、日本の国内、警察自体もちゃんとうまく機能しているのかなと思うところもややありまして、なかなか法律と違う運用を取っているところもあるようで、これに関してはかなり私もちょっと警察に関しては批判的な考え方を持っておりますが、出発点としては、国際関係というのは警察が有効に機能しないところでどうやって自分の安全を確保するかということであります。
悪魔は大体天使の顔をして近づいてくるわけでありまして、中国の言う公共管理と、海の使用に関する公共管理というのは、大体本当に公のものになっているわけではなくて、中国の中国による中国のための管理であるという、リンカーンの言葉をもじったようなことをよく言うわけでありますが、そういうところがあるわけであります。
一体、じゃ、中国の論理というのはどういうものであるかといいますと、これも多くの方々は御存じであるかと思いますが、今から五年半ほど前の二〇一六年七月十二日の国際仲裁裁判所に関しては、これはごみくずであるという表現をしたわけであります。
中国の場合、よくあることは、いわゆる大陸棚であるのかあるいは二百海里であるかということに関して、日本に対しては大陸棚によって自分たちの排他的経済水域を主張してくることが多いと。当然、中国と日本との間は、中国からだんだんとその大陸棚が延長してきて日本のところで深く沈むという構造を取っています。ですので、自分たちに有利な大陸棚を言ってくることが多いと。他方、ベトナムに対しては、中国の側に海溝が存在しているので、逆にその二百海里という自分たちに都合のいい論理を展開してくるということが多いわけであります。
私もコロナになる前はよく中国に国際会議に行ったのですが、ひところこんなことがありました。私がもしも中国の研究者であれば、アメリカにとってハワイとかグアムのように自分の本土から遠いところに領土を持っていると、同じようにフランスはポリネシア等々において自国から遠いところに領土を持っていると、イギリスにとってみればフォークランドのように、同じようなことが言えるわけであります。オランダにとってはアンティルという考えですから、もしも私が中国人であれば、南シナ海のように自分の領土の近くで何をやっていようと、欧米諸国に比べればはるかにましではないかというふうに主張をしますねと言いますと、新華社の方が、是非先生、インタビューをしたいということを言ってきまして、インタビューに答えたことがあります。その際に、私が中国人ならばこうこうですよと答えたんですが、同時に、私がベトナム人だったらこうこう答えますと言ったら、ここから以下は全部割愛されまして、なかなか難しいなというふうに思ったことが何度もございました。
私も、その今回の資料に掲げた堺ジャーナルの中にちょっと書いておりますが、近年、日本には中国からの留学生が非常に多くやってきております。私のところにも十五年くらい前から毎年毎年とにかくかなりの大学院生がやってきていて、その中で、中国はだんだん力が強くなっているから周辺諸国とあつれきが生じるのは当然だというふうな発言を平気でする中国からの留学生が多くなりまして、それを一生懸命、それは違うでしょうというふうに言うのが私の役目というふうになっているというわけであります。
余談ですが、いつも日中関係のことを中国の留学生は中日関係と言うので、何、君、野球のことについて論文書くのというふうに言うように意図的にしていると。中米関係と言う場合はコスタリカのこと、ホンジュラスのことというふうにわざと言うようにしているというわけでありますが、日本語を正しく使いましょうということで、私だって中国に行った場合は日中関係とは言わなくて、中日、チュン・リー・グワンシというふうに言いますから、そういう言葉が大事ではないかと。
このように、いわゆる法が政治的に利用されるということが非常に多くなりました。尖閣に関しては、棚上げをしたと主張する中国の側が船舶を実際にはがんがん入れてきていると、棚上げなどしていないというふうに言う日本側が相手方を挑発するのをできるだけ防止して遠慮をしているというのはやっぱり変だなというふうに思うわけであります。
近年ウクライナ、近年というか最近ウクライナが問題になっていますが、力による現状変更ということに関して、「歴史としての冷戦」という研究者が読まなければならない本がありますが、その中に、防衛線としての東ヨーロッパと。つまり、なぜソ連が東ヨーロッパを占領していったか、衛星国にしていったかという文脈で、同じようなことが中国にとって防衛線としての南シナ海ということを中国に参りますと会議でよく言われると。対日認識、歴史認識と南シナ海というのがパラレルに語られるということの証拠ではないかということになっています。
こうなると、もういわゆる東シナ海、南シナ海問題というのがだんだん法という形ではなかなかうまく捉え切れないというところが出てきまして、ベトナムほか東南アジア、まあ東南アジア、ASEAN諸国を離間戦略といいますか、できるだけ中国に近い国家と中国から遠い国家、プロ・チャイナとアンタイ・チャイナに分ける離間戦略というのは常に行われているということも文献の中に掲げておきました。
こういった欧米諸国がつくった秩序を破壊しようという活動は一生懸命やるんですが、じゃ代わりに中国は一体どういう国際海洋上の秩序をつくり上げるかという点に関しては、いまだにはっきりしないということが非常に多いわけであります。概して中国の場合は、海であってもそこを利用するという論点よりは、自分たちの所有といいますか、好きにしたいという論点というのが非常に大きく利いているというのが現状ではないかと思います。
国際仲裁裁判所の判決は、中国の行動の不法性を際立たせることには確かに役立ったわけですけど、あれから五年以上たちましたが、現状は何が変わったのであろうかと。しかも、二〇一六年七月十二日の翌日に、南シナ海の主要な諸島、島嶼部に中国というのは戦闘機を着陸させるということをやっていると。
私自身は、この国際法のアプローチというのは、現状打破をもくろむ勢力の行動自体をなかなか変えることはできないというふうに考えていまして、私はこういうのは駄目だ駄目だアプローチと意図的に呼ぶようにしていて、これやったら駄目でしょう、あれやったら駄目でしょうと言うけれども、実際になかなかその駄目だということで現状を変えることはできないのではないかというふうに考えております。
公共財と言うわけですが、一体誰がその火中のクリを拾うのかと。公共財と言うのは簡単であるが、実際に公共財を負担するにはなかなか理論的には困難な話であります。公共財を提供することによるメリットがないといけないということから、やはりその覇権国、つまり一番であるということがここからも重要であるというふうになるわけであります。
公、公共性、公海の論点というのは、排他的利用と利己的利用という二つが考えられるわけでありまして、例えば分かりやすい例として、公園にあるごみ箱をみんなのものだから大事にしようという論点、これが大体日本的なアプローチかなと思いますが、みんなのものだから、特に特定の人に迷惑になっていないからがんがんごみを捨てるというのが中国の論点かなというふうに思います。つまり、同じ公共という言葉を使いながら、その公の、みんなのものだから大事にする、みんなのものだから何をやってもいいというふうな、実際の使われ方というのが全く異なっているというのが現状ではないかというふうに考えるわけであります。
アメリカは近年、バイデン政権もそうなんですが、オバマ以降明らかになっていることは、アメリカは世界の警察官ではないということを言う傾向が非常に強くなりまして、まあ確かに南シナ海で航行の自由の作戦はやるわけでありますが、その公海というものが南シナ海に存在するならば、別に航行の自由作戦だけではなくて別にいかりを下ろしたって問題はないはずであるけど、そこまではやらないということで、アメリカの安全保障に対するコミットメントもある一定以上にはなかなか伸長していないというのが現状ではないかというふうに考えるわけであります。
実際には、こういう海をめぐる課題というのは、多国間の外交の中で決められていくというものが通常であるかと思いますが、実際に中国がやっていることは、離間戦略、オフショアバランス、そしてサラミをスライスするように小出しにする、大国のふりをして、途上国のように振る舞う、あるいはそのマルチ、一帯一路なんかは典型的にそうですけれども、実際には中国とどこかの国、中国とスリランカ、中国とどこかの国のような、実際にはマルチではなくてバイの関係がたくさん集まったものにすぎないので、マルチのようなふりをしたバイラテラルな状況であると。お金による債務のわな等々を通じて、チェックブックディプロマシー等々、多国間の協調を制限させる方法というのは実際には数多く存在するし、学問上の業績もとにかくたくさんあるわけであります。
多国間の協調というのは、アメリカの研究者、カリフォルニア大学の先生ですが、デビッド・レイクが、この以下の三つの要件がない限りはなかなか多国間の協調というのは実現しないんだよということを言っているわけです。一つは、組織や制度から得られる利益というのが存在をすること。二つは、フリーライド、ただ乗りが存在しないこと。必ず多国間の協調になりますと、一体どこの誰が公共財を負担するのかということで、必ずフリーライドの問題というのは生じるわけであります。同時に、その多国間の協調に対してマネジメント、つまり維持をしていくのにあんまりコストが掛かるようだと、やはりしんどくなって、そこから一抜けた、二抜けたというような形で多国間の協調が崩れていくわけであります。
いわゆるその大国クラブに入りたいという要求はどこの国も存在しているわけですが、実際に大国としての役割を履行しなければいけない義務との間にそごが存在していて、中国もその状況は同じであるというふうに言えるわけであります。
つまり、近年では、面と向かって対立をする状況も存在すれば、まあ後ろ向きというふうに私は表現することが多いのですが、いや、実は中国というのはとても悪いんだよねということを中国に直接言うのではなくて、後ろ向きのような形でけんかをしているということが最近非常に多くなりました。中国と台湾なんていうのはその典型であるし、中国と日本なんかもそういうところがあるのではないかと思います。つまり、後ろ向きになって相手の悪口をほかの国に対してたくさん一生懸命叫ぶというのが現状ではないかと思います。
さて、時間もなくなってまいりましたので、じゃ、今後一体どんなふうに展開していくのかなということを述べて、私の報告は終わりにしたいと思います。大体二つくらい考えられるんではないだろうかと。
一つは、これはよく言われることでありますが、グレーゾーンにしっかり対処しようということは、防衛省を始め多くの安全保障に従事している方が言うことであります。しかし、同時に思うことは、例えばオーストラリアの中国との関係が今非常に史上最悪と言われるくらい悪くなっていますが、では、オーストラリアと中国の間に新しいビジネスの契約はだんだんなくなっていますが、では、中国の企業は今はアメリカとの間で新規契約を結んでいるということで、結局のところ二国間の関係、日中関係にも言えることでありますが、中国の関係は非常に痛しかゆしでありまして、簡単に崩してしまうと逆に日本ではないどこかの国が得をするということになってしまいます。つまり、毒まんじゅうをどうやってうまくよけて食べるかということが大事になっていくと。
もう一つ、地政学リスクということで、台湾の重要性。それは単にアメリカのクレディビリティーとか、台湾が中国から、中国とは違う政権を持っているとかいう話ではなくて、日本にとっても東シナ海と南シナ海を、やっぱりこの台湾が中国になった場合、つなげてしまうという危険性をはらんでいるわけですから、やはり台湾というのは政治的及びアメリカの外交のみならず日本の安全保障にとっても大事で、重要であることは言うまでもないわけであります。
ロシアにとってのウクライナ、中国にとっての台湾、私、山猫ストライキというか、あちこちでストライキが起こる状態、山猫ストライキというんですけど、ロシアがそのウクライナを攻め立てると。中国も台湾を攻め立てる。つまり、あちらこちらで、反アメリカ勢力があちこちでその紛争を起こしていくと、アメリカだって集中して資源を投入することができないということになっていきますので、そういう意味では、非常に日本にとってもアメリカにとってもしんどい状況というのが起こっていくのではないかと思います。
不作為によって被るリスクってやっぱり多いわけでありまして、アメリカに賛同する国はもちろん多いです。フリーでオープンで民主主義で透明性。しかし、その体制はただでは実現できないわけであります。そして、積極的にそのフリーでオープンで透明性が高いところに、積極的に自分たちも国際公共財を提供しようという国はそんなに多くはなくて、やっぱりリスクが高いというふうに考える国もやっぱり存在しているわけであります。
中国やロシアは、アメーバ的な行動原理を持っているところが多くて、こちら側が抑止をしていないと勝手にぶわぶわっと、こう自然に影響力が大きくなっていくところがあるわけであります。そういうのをうまく抑止していくということも重要であることは言うまでもないと。
同時に、アメリカに対抗して、また、賛同できない国もそれなりに多いことは確かであります。そして、アメリカがそれらを完璧に抑えることができるほど近年のアメリカは強くはなくなってきたというのが現状であるかと思います。
さて、一体、国家として、日本の国家として一体何がどこまでできるのかということをちょっと五月雨式に考えてみました。
やはり法的な整備、それから民間との協力、そして民間が自由に動けるような制度設計というのはこれからも必要ではないかというふうに考えるわけであります。
有事のときに逃げろと命令するしかない現状の日本の自衛隊、こういうのではいけないと。それから、国家のために命を懸けることができるという存在、自衛隊というのが重要であろうと。地球平和も重要であるけれども、やはり、国家のために命を懸けるということをやらない限り、なかなか死活利益というのが守れないというふうに考えるわけであります。
その他、このテーダ・スコチポルの、アメリカの研究者ですが、そもそも、戦争と同時に社会制度、社会保険や社会政策がだんだんと進展してきたと同時に、やはりその安全保障に従事する人たちの職業及びその背景にある家族の安全等々をやっぱり盤石にしておくということが重要だろうと。
それから、海洋安全保障ですから、海洋知識の普及と教育。例えば、基本的な用語はたくさん挙げられるわけであります。本当、領海から始まり、その排他的経済水域等々の非常に基本的な知識、それから、コミュニケーションにおける知識等々をきちんと普及させていくということ。
海洋情報のネットワークの確立。
私、常に思うんですが、いわゆる水族館にいるイルカってどこから来るのかなといつも思っていまして、あるいはその主権が届かないところでいろんなドラッグ等々の取引がされていると、これは魚もそうでありますが、そういうのをどうやってうまく管理していくか。
それから、BRIというのは一帯一路でありますが、それとFOIPの間、重なるところが多いので、それをきちんとすみ分けをして、どうやって日本の政策を確立していくかということ。
それから、役立つ民間人の利用と養成であります。n構造の構築というのは、単にお金を、予算を配分するというだけではなくて、やっぱりインセンティブを与えて民間人がうまく働けるような環境を、制度設計をしていくということが重要であろうと。
海洋世論の形成のように、海というのはみんなのものであって利用が大事だということをどんどん広めていく。
ちょっと考えただけでもたくさんやっていかなければならないことは浮かぶわけであります。そういったものが自国の安全保障と同時にネットワークをうまく使った海洋空間の安定性というものにつながっていくのではないかというふうに考える次第です。
以上です。ありがとうございました。
この発言だけを見る →実は、五年ほど前にもここへ呼んでいただきまして、そのときは日米関係について述べる機会を得ました。今回は、海洋安全保障といいます、この海をめぐる課題について話をするというのが私に与えられた役割でございます。
実は、この海洋安全保障に関しましては、もうかれこれ十年ほどになりますが、様々な官庁、それから海外の政府も含めていろいろなところから補助金をいただきながら、もうこの十年ばかりこの海洋安全保障について研究を進めているというわけでございます。
私の場合は、国際法の専門家でもなければ、あるいは特に海洋に関する物流に仕事として従事をしたというわけではなくて、研究者としてこの海洋安全保障をどのように考えるべきであるかという点について二十分ほどお話を申し上げたいというふうに考えております。
参考文献といいますか、一番新しいものとして書きましたのは、資料にも掲げましたこの修親という雑誌に書きましたアメリカに関する論評、それから大阪府の堺市のジャーナルに掲載しました南シナ海問題における中国のアプローチということについて書きましたものが主な出発点というふうになっております。
従来、この海洋安全保障とか、海が荒れるという状態は、なぜそんなことが起きるかといいますと、元々は、覇権国であるアメリカ、アメリカのみならず、十九世紀であればイギリスといったような形で、覇権国の力がやっぱりだんだん衰退をしてくると大体海が荒れてくるというような状況というのは明らかであるわけであります。
特に、グローバル化に伴って人や物等々が海を渡っていくということになりますと、海賊、それから密輸、密漁、テロといったような事柄が起きているというのは御存じのとおりであるかと思います。既に日本でも長らくの間、沖縄の辺りにおける、あるいは北方領土辺りをめぐる、いわゆるその統計では表れない密漁等々はもう多くの方々が知っているところでありまして、こういったものをどのようにして、地域の住民との協力及び地域の住民を食べさせるということを考えながら考えていくかということは大きな課題となっていくわけであります。
そもそもその覇権国というのは、当然ですが、海を広く使いたいという考え方が従来からずっと考えていて、航行の自由等々のように、自分たちは力があるわけですから、海を大きく使いたい、と同時に、自分の国周辺というのは排他的に使用したいというふうに考える傾向があると。で、そもそも沿岸国というのは、海に面しているということもありますので、自分たちの権益をできるだけ伸長したいということ、海を広く使いたいということを考えていると。で、沿岸国になっていない、いわゆる海に面していない国というのは、やはりその公海というものを広く唱えて、自分たちのパワープロジェクションができるわけではないけれども、海洋空間というのをできるだけ広く使いたいという考え方を取っているわけであります。
結局、現在生じているような、中国のようなだんだん力を有してきてパワープロジェクションを近隣諸国に対してやっているという国に対して、それをどうやって抑えるかという視点というのはなかなか発展しないまま現在まで至っているという状況であります。
やはり、次第に厳しくなる国際環境というのは誰の目にも明らかでありまして、私は大学で国際政治学を教えていますが、国内政治と何より大きく違う点は、警察が有効に機能しないという状況で自分たちの安全をどう考えるかというのが出発点であって、国内とは違うんだということをまず最初に強調をするようになりました。
最近私思うんですけど、日本の国内、警察自体もちゃんとうまく機能しているのかなと思うところもややありまして、なかなか法律と違う運用を取っているところもあるようで、これに関してはかなり私もちょっと警察に関しては批判的な考え方を持っておりますが、出発点としては、国際関係というのは警察が有効に機能しないところでどうやって自分の安全を確保するかということであります。
悪魔は大体天使の顔をして近づいてくるわけでありまして、中国の言う公共管理と、海の使用に関する公共管理というのは、大体本当に公のものになっているわけではなくて、中国の中国による中国のための管理であるという、リンカーンの言葉をもじったようなことをよく言うわけでありますが、そういうところがあるわけであります。
一体、じゃ、中国の論理というのはどういうものであるかといいますと、これも多くの方々は御存じであるかと思いますが、今から五年半ほど前の二〇一六年七月十二日の国際仲裁裁判所に関しては、これはごみくずであるという表現をしたわけであります。
中国の場合、よくあることは、いわゆる大陸棚であるのかあるいは二百海里であるかということに関して、日本に対しては大陸棚によって自分たちの排他的経済水域を主張してくることが多いと。当然、中国と日本との間は、中国からだんだんとその大陸棚が延長してきて日本のところで深く沈むという構造を取っています。ですので、自分たちに有利な大陸棚を言ってくることが多いと。他方、ベトナムに対しては、中国の側に海溝が存在しているので、逆にその二百海里という自分たちに都合のいい論理を展開してくるということが多いわけであります。
私もコロナになる前はよく中国に国際会議に行ったのですが、ひところこんなことがありました。私がもしも中国の研究者であれば、アメリカにとってハワイとかグアムのように自分の本土から遠いところに領土を持っていると、同じようにフランスはポリネシア等々において自国から遠いところに領土を持っていると、イギリスにとってみればフォークランドのように、同じようなことが言えるわけであります。オランダにとってはアンティルという考えですから、もしも私が中国人であれば、南シナ海のように自分の領土の近くで何をやっていようと、欧米諸国に比べればはるかにましではないかというふうに主張をしますねと言いますと、新華社の方が、是非先生、インタビューをしたいということを言ってきまして、インタビューに答えたことがあります。その際に、私が中国人ならばこうこうですよと答えたんですが、同時に、私がベトナム人だったらこうこう答えますと言ったら、ここから以下は全部割愛されまして、なかなか難しいなというふうに思ったことが何度もございました。
私も、その今回の資料に掲げた堺ジャーナルの中にちょっと書いておりますが、近年、日本には中国からの留学生が非常に多くやってきております。私のところにも十五年くらい前から毎年毎年とにかくかなりの大学院生がやってきていて、その中で、中国はだんだん力が強くなっているから周辺諸国とあつれきが生じるのは当然だというふうな発言を平気でする中国からの留学生が多くなりまして、それを一生懸命、それは違うでしょうというふうに言うのが私の役目というふうになっているというわけであります。
余談ですが、いつも日中関係のことを中国の留学生は中日関係と言うので、何、君、野球のことについて論文書くのというふうに言うように意図的にしていると。中米関係と言う場合はコスタリカのこと、ホンジュラスのことというふうにわざと言うようにしているというわけでありますが、日本語を正しく使いましょうということで、私だって中国に行った場合は日中関係とは言わなくて、中日、チュン・リー・グワンシというふうに言いますから、そういう言葉が大事ではないかと。
このように、いわゆる法が政治的に利用されるということが非常に多くなりました。尖閣に関しては、棚上げをしたと主張する中国の側が船舶を実際にはがんがん入れてきていると、棚上げなどしていないというふうに言う日本側が相手方を挑発するのをできるだけ防止して遠慮をしているというのはやっぱり変だなというふうに思うわけであります。
近年ウクライナ、近年というか最近ウクライナが問題になっていますが、力による現状変更ということに関して、「歴史としての冷戦」という研究者が読まなければならない本がありますが、その中に、防衛線としての東ヨーロッパと。つまり、なぜソ連が東ヨーロッパを占領していったか、衛星国にしていったかという文脈で、同じようなことが中国にとって防衛線としての南シナ海ということを中国に参りますと会議でよく言われると。対日認識、歴史認識と南シナ海というのがパラレルに語られるということの証拠ではないかということになっています。
こうなると、もういわゆる東シナ海、南シナ海問題というのがだんだん法という形ではなかなかうまく捉え切れないというところが出てきまして、ベトナムほか東南アジア、まあ東南アジア、ASEAN諸国を離間戦略といいますか、できるだけ中国に近い国家と中国から遠い国家、プロ・チャイナとアンタイ・チャイナに分ける離間戦略というのは常に行われているということも文献の中に掲げておきました。
こういった欧米諸国がつくった秩序を破壊しようという活動は一生懸命やるんですが、じゃ代わりに中国は一体どういう国際海洋上の秩序をつくり上げるかという点に関しては、いまだにはっきりしないということが非常に多いわけであります。概して中国の場合は、海であってもそこを利用するという論点よりは、自分たちの所有といいますか、好きにしたいという論点というのが非常に大きく利いているというのが現状ではないかと思います。
国際仲裁裁判所の判決は、中国の行動の不法性を際立たせることには確かに役立ったわけですけど、あれから五年以上たちましたが、現状は何が変わったのであろうかと。しかも、二〇一六年七月十二日の翌日に、南シナ海の主要な諸島、島嶼部に中国というのは戦闘機を着陸させるということをやっていると。
私自身は、この国際法のアプローチというのは、現状打破をもくろむ勢力の行動自体をなかなか変えることはできないというふうに考えていまして、私はこういうのは駄目だ駄目だアプローチと意図的に呼ぶようにしていて、これやったら駄目でしょう、あれやったら駄目でしょうと言うけれども、実際になかなかその駄目だということで現状を変えることはできないのではないかというふうに考えております。
公共財と言うわけですが、一体誰がその火中のクリを拾うのかと。公共財と言うのは簡単であるが、実際に公共財を負担するにはなかなか理論的には困難な話であります。公共財を提供することによるメリットがないといけないということから、やはりその覇権国、つまり一番であるということがここからも重要であるというふうになるわけであります。
公、公共性、公海の論点というのは、排他的利用と利己的利用という二つが考えられるわけでありまして、例えば分かりやすい例として、公園にあるごみ箱をみんなのものだから大事にしようという論点、これが大体日本的なアプローチかなと思いますが、みんなのものだから、特に特定の人に迷惑になっていないからがんがんごみを捨てるというのが中国の論点かなというふうに思います。つまり、同じ公共という言葉を使いながら、その公の、みんなのものだから大事にする、みんなのものだから何をやってもいいというふうな、実際の使われ方というのが全く異なっているというのが現状ではないかというふうに考えるわけであります。
アメリカは近年、バイデン政権もそうなんですが、オバマ以降明らかになっていることは、アメリカは世界の警察官ではないということを言う傾向が非常に強くなりまして、まあ確かに南シナ海で航行の自由の作戦はやるわけでありますが、その公海というものが南シナ海に存在するならば、別に航行の自由作戦だけではなくて別にいかりを下ろしたって問題はないはずであるけど、そこまではやらないということで、アメリカの安全保障に対するコミットメントもある一定以上にはなかなか伸長していないというのが現状ではないかというふうに考えるわけであります。
実際には、こういう海をめぐる課題というのは、多国間の外交の中で決められていくというものが通常であるかと思いますが、実際に中国がやっていることは、離間戦略、オフショアバランス、そしてサラミをスライスするように小出しにする、大国のふりをして、途上国のように振る舞う、あるいはそのマルチ、一帯一路なんかは典型的にそうですけれども、実際には中国とどこかの国、中国とスリランカ、中国とどこかの国のような、実際にはマルチではなくてバイの関係がたくさん集まったものにすぎないので、マルチのようなふりをしたバイラテラルな状況であると。お金による債務のわな等々を通じて、チェックブックディプロマシー等々、多国間の協調を制限させる方法というのは実際には数多く存在するし、学問上の業績もとにかくたくさんあるわけであります。
多国間の協調というのは、アメリカの研究者、カリフォルニア大学の先生ですが、デビッド・レイクが、この以下の三つの要件がない限りはなかなか多国間の協調というのは実現しないんだよということを言っているわけです。一つは、組織や制度から得られる利益というのが存在をすること。二つは、フリーライド、ただ乗りが存在しないこと。必ず多国間の協調になりますと、一体どこの誰が公共財を負担するのかということで、必ずフリーライドの問題というのは生じるわけであります。同時に、その多国間の協調に対してマネジメント、つまり維持をしていくのにあんまりコストが掛かるようだと、やはりしんどくなって、そこから一抜けた、二抜けたというような形で多国間の協調が崩れていくわけであります。
いわゆるその大国クラブに入りたいという要求はどこの国も存在しているわけですが、実際に大国としての役割を履行しなければいけない義務との間にそごが存在していて、中国もその状況は同じであるというふうに言えるわけであります。
つまり、近年では、面と向かって対立をする状況も存在すれば、まあ後ろ向きというふうに私は表現することが多いのですが、いや、実は中国というのはとても悪いんだよねということを中国に直接言うのではなくて、後ろ向きのような形でけんかをしているということが最近非常に多くなりました。中国と台湾なんていうのはその典型であるし、中国と日本なんかもそういうところがあるのではないかと思います。つまり、後ろ向きになって相手の悪口をほかの国に対してたくさん一生懸命叫ぶというのが現状ではないかと思います。
さて、時間もなくなってまいりましたので、じゃ、今後一体どんなふうに展開していくのかなということを述べて、私の報告は終わりにしたいと思います。大体二つくらい考えられるんではないだろうかと。
一つは、これはよく言われることでありますが、グレーゾーンにしっかり対処しようということは、防衛省を始め多くの安全保障に従事している方が言うことであります。しかし、同時に思うことは、例えばオーストラリアの中国との関係が今非常に史上最悪と言われるくらい悪くなっていますが、では、オーストラリアと中国の間に新しいビジネスの契約はだんだんなくなっていますが、では、中国の企業は今はアメリカとの間で新規契約を結んでいるということで、結局のところ二国間の関係、日中関係にも言えることでありますが、中国の関係は非常に痛しかゆしでありまして、簡単に崩してしまうと逆に日本ではないどこかの国が得をするということになってしまいます。つまり、毒まんじゅうをどうやってうまくよけて食べるかということが大事になっていくと。
もう一つ、地政学リスクということで、台湾の重要性。それは単にアメリカのクレディビリティーとか、台湾が中国から、中国とは違う政権を持っているとかいう話ではなくて、日本にとっても東シナ海と南シナ海を、やっぱりこの台湾が中国になった場合、つなげてしまうという危険性をはらんでいるわけですから、やはり台湾というのは政治的及びアメリカの外交のみならず日本の安全保障にとっても大事で、重要であることは言うまでもないわけであります。
ロシアにとってのウクライナ、中国にとっての台湾、私、山猫ストライキというか、あちこちでストライキが起こる状態、山猫ストライキというんですけど、ロシアがそのウクライナを攻め立てると。中国も台湾を攻め立てる。つまり、あちらこちらで、反アメリカ勢力があちこちでその紛争を起こしていくと、アメリカだって集中して資源を投入することができないということになっていきますので、そういう意味では、非常に日本にとってもアメリカにとってもしんどい状況というのが起こっていくのではないかと思います。
不作為によって被るリスクってやっぱり多いわけでありまして、アメリカに賛同する国はもちろん多いです。フリーでオープンで民主主義で透明性。しかし、その体制はただでは実現できないわけであります。そして、積極的にそのフリーでオープンで透明性が高いところに、積極的に自分たちも国際公共財を提供しようという国はそんなに多くはなくて、やっぱりリスクが高いというふうに考える国もやっぱり存在しているわけであります。
中国やロシアは、アメーバ的な行動原理を持っているところが多くて、こちら側が抑止をしていないと勝手にぶわぶわっと、こう自然に影響力が大きくなっていくところがあるわけであります。そういうのをうまく抑止していくということも重要であることは言うまでもないと。
同時に、アメリカに対抗して、また、賛同できない国もそれなりに多いことは確かであります。そして、アメリカがそれらを完璧に抑えることができるほど近年のアメリカは強くはなくなってきたというのが現状であるかと思います。
さて、一体、国家として、日本の国家として一体何がどこまでできるのかということをちょっと五月雨式に考えてみました。
やはり法的な整備、それから民間との協力、そして民間が自由に動けるような制度設計というのはこれからも必要ではないかというふうに考えるわけであります。
有事のときに逃げろと命令するしかない現状の日本の自衛隊、こういうのではいけないと。それから、国家のために命を懸けることができるという存在、自衛隊というのが重要であろうと。地球平和も重要であるけれども、やはり、国家のために命を懸けるということをやらない限り、なかなか死活利益というのが守れないというふうに考えるわけであります。
その他、このテーダ・スコチポルの、アメリカの研究者ですが、そもそも、戦争と同時に社会制度、社会保険や社会政策がだんだんと進展してきたと同時に、やはりその安全保障に従事する人たちの職業及びその背景にある家族の安全等々をやっぱり盤石にしておくということが重要だろうと。
それから、海洋安全保障ですから、海洋知識の普及と教育。例えば、基本的な用語はたくさん挙げられるわけであります。本当、領海から始まり、その排他的経済水域等々の非常に基本的な知識、それから、コミュニケーションにおける知識等々をきちんと普及させていくということ。
海洋情報のネットワークの確立。
私、常に思うんですが、いわゆる水族館にいるイルカってどこから来るのかなといつも思っていまして、あるいはその主権が届かないところでいろんなドラッグ等々の取引がされていると、これは魚もそうでありますが、そういうのをどうやってうまく管理していくか。
それから、BRIというのは一帯一路でありますが、それとFOIPの間、重なるところが多いので、それをきちんとすみ分けをして、どうやって日本の政策を確立していくかということ。
それから、役立つ民間人の利用と養成であります。n構造の構築というのは、単にお金を、予算を配分するというだけではなくて、やっぱりインセンティブを与えて民間人がうまく働けるような環境を、制度設計をしていくということが重要であろうと。
海洋世論の形成のように、海というのはみんなのものであって利用が大事だということをどんどん広めていく。
ちょっと考えただけでもたくさんやっていかなければならないことは浮かぶわけであります。そういったものが自国の安全保障と同時にネットワークをうまく使った海洋空間の安定性というものにつながっていくのではないかというふうに考える次第です。
以上です。ありがとうございました。
鶴
合
合田浩之#5
○参考人(合田浩之君) 合田でございます。よろしくお願いいたします。
今日は貴重な御時間を頂戴しましたこと、心より御礼申し上げます。
私のプレゼンテーションはこちらの資料の方を使わせていただきますので、お手数とは存じますが、御覧になっていただければと思います。
題して、国際海上輸送の現状と課題。
一枚めくってください。
今日は、こんな話を用意させていただきました。船会社のフォーメーション、これは商売の取るときの型とでも申しましょうか、そんな話でございますが、結構重要な話でございます。それから、積み取り比率、これは日本の輸出入貨物を日本の船会社がどれくらい実際に商売で取っているのかというお話でございます。三番目、船員の国籍と船の船籍、日本の船会社が運航しています船に乗っている船員さんの国籍はどんなものなのか、それから船の船籍はどうなっているのかというお話でございます。四番目、外航海運会社は実は特別の税制を享受しています。それをトン数標準税制と申しますが、これには現状問題点がございますというお話でございます。それから、準日本船舶というものがございますが、これは日本の海運会社の外国子会社が持っている船をいざというときには日本籍に転じるということができる船を国土交通大臣が認めているもので、認定しているものでございますが、これもいろいろ問題がございますという話をさせていただいて、ささやかな提言を僣越ながらさせていただくという中身でございます。よろしくお願いします。
一枚めくってください。
まずは、船の商売の話でございます。ここは、私に与えられたお題というのは貿易貨物の安定輸送という命題だと思うんですが、平時においては貿易も海運も商売として成り立っていまして、これに特に問題があるとは私は思っておりません。もちろん運賃が高い安いという不満というのは当然あるのですが、基本的に世界で船は余っていると。ただ、足りなくなった瞬間というのが大体十年に一度ぐらい起こって、そのときは大抵問題になりますが、そのうち十年中残り九年ぐらいというのは船会社が安い運賃で呻吟するというような状況になっていますけれども、その話の前に、船はどういう商売の形を取っているのかというお話をさせていただきますというお話です。
三つの話がございます。一つは典型例、もう一つは、ちょっと注視すべき話としてのコンテナ船の話。コンテナは、日本の工業製品の輸出、輸入においては、衣食住の生活必需品を外国から持ってくるという意味で大事な船種です。それから、三番目、日本の船会社は、外国に子会社をつくり、外国の船籍を持って船を利用しているというお話でございます。そういう話をさせていただきます。
一枚めくってください。
これ、私が日本郵船にいたからといって、日本郵船のライバルであった商船三井が困ったことになったことを笑っているわけではありません。商船三井さんがおととしの夏WAKASHIO号という船をチャーターしていて、そのチャーターしている船が事故を起こしましたといったときに、この関係なんですが、商船三井さんは、お客さんから、鉄鋼会社から運賃をもらって荷物を運ぶということをなりわいにしています。ですから、日本の船会社が運送契約を実行して運賃をもらって、そこで利益を上げて税金を日本に納めるという形なんですが、船は必ずしも商船三井自身が持つ必要はなくて、適宜ほかの船会社から船を借ります。
この場合は、長鋪汽船という岡山の会社で、借りるときのやり方なんですが、船そのものだけを借りるのではなくて、船乗りを乗っけてもらっていつでも動かせるような形にして、さあどうぞ好きなように御指示くださいという形で船を貸すのです。これを定期用船と申します。そして、この商船三井は、人様の雇った船乗りが乗っている、自分の従業員じゃない船乗りが乗っている船に対して直接、あっちに行きなさい、どこそこのところで荷物を積みなさい、運びなさい、降ろしなさい、帰ってきなさいという航海指示を直接出します。
これは、こういう仕事をオペレーションと申します、運航管理。ここ、実は大事です。船会社は船を集めてきて、実際に船にどこに行け何をしろという指示を出して運送を実行するという実行部隊はオペレーターなんですね。だから、オペレーターが日本にいるかいないかってすごい大事です。
ちなみに、これは、この場合は、長鋪汽船は、そういう商船三井に対して船乗り付きで船を貸して、月々幾らとか一日幾らのお金をもらって生きていると、こういうお話になっています。これ、典型的な例でございますので、ちょっと頭の片隅に入れていただければ幸いと存じます。
次、お願いします。
そこで、ここにコンテナ船会社ワン、ONE、オーシャンネットワークエクスプレスという会社ございます。これ、日本の大手の三つの会社、私がいました日本郵船、先ほど出ました商船三井、川崎汽船、これ大きなコンテナ船会社でしたが、大同団結してコンテナ船を一本化しましたが、よく見てみると、船は船会社、その運送契約を実行する、つまり、船にあっち行け、こっち行けと指示を出してお客さんの運送契約を実行する部隊は、シンガポールに船会社が設立されていて、オペレーターはシンガポールにあります。
これは、日本の株主であるところの邦船三社は共同持ち株会社を日本にもつくっていて、そこがシンガポールに子会社を持っていて、そのシンガポールの会社が船に指示を出す、それはシンガポール会社法に基づくシンガポール法人です。国土交通省の統計等では、このオーシャンネットワークエクスプレス、ONEという会社は、あたかも日本の海運会社のように統計としてはカウントされていますが、法的にはシンガポールの会社であって、シンガポールで利益を蓄積し、シンガポール政府に納税すると、こういう関係になっている。
こういうようなことになっていますので、もし安全保障ということを考える場合、コンテナ船に関してはもうほとんど日本にはオペレーターはいないんだということを御理解していただければと思います。
次、お願いいたします。
次、多分議論が起こるかもしれませんが、日本の船会社は、便宜置籍船と称し、日本以外の国の船籍を持つ船を使っているという話ですが、これは、厳密には外国に子会社をつくります。で、子会社が船を持ちます。そして、子会社から船を借りるときに、先ほどと同じように、船乗りを子会社の人たちが集めて乗せて走れるようにした形で、親会社にさあどうぞお使いくださいという、定期用船という契約を結んでやります。ですが、この外国子会社は一〇〇%日本の会社が支配していて、株式で、そして、役員は全部部課長レベルがやっていますから、まさか裏切るということはないと、こういう関係です。
ですから、その外国子会社が持っている船を生かすも殺すも親会社次第なんですが、その船の一部分、日本全体の、日本の船会社が外国子会社に持たせている船の六分の一は準日本船舶といって、先ほど申し上げましたように、有事の際には即座に日本籍に転化して国土交通大臣の航海命令に服せるようになっているという船でございますが、これはその外国子会社の船の六分の一しか実は認定されていません。その意味は後で申し上げます。
次、お願いします。
これは大した話ではないんですが、国土交通省の出している日本商船隊という、日本の船会社がオペレーションしている、つまり、日本の国内からあっちへ行け、こっちへ行けと船に指示を出して航海を成就させている船全体というのと、日本の船会社が持っている船の合計を足すと、あれ、おかしいな、もっと船が、日本の船会社が持っている船は多いじゃないかということに多分なるでしょう。その差額というのは、外国に出稼ぎに行っている、つまり、外国の企業にオペレーションされている、あっち行け、こっち行けと指示されるように船乗り付きで出稼ぎに行っている船というのが結構あります。でも、こういう船というのは有事の際に引っぺがして日本のために働かせるということは難しいと思います。
次、お願いします。
積み取り比率ですね。これは、日本の輸出貨物と輸入貨物について、左側が輸出、右側が輸入、そして、定期船、不定期船、タンカー、合計について、どれくらい日本の、日本の企業としてオペレーションしている船が貨物を取っているか、つまり日本の船会社がどれだけ日本市場で取れているかというお話なんですが、安全保障で問題になるのは恐らく食料、穀物とエネルギー資源の輸入ということなので、固体の穀物と、それからエネルギー資源、石炭等を運ぶものは不定期船、液物、つまり原油とか天然ガスを運ぶのはタンカーですから、タンカーとそれから不定期船の日本商船の積み取り比率がどれくらいかという話をすると、固体の品物を運ぶ不定期船は八割日本の船会社が押さえていますが、タンカーについては半分なんですね。これは何だという話に多分なろうかと思います。
それから、定期船については、輸出も輸入もコンテナ船がほとんどですが、日本船というのはそんなにたくさんの、輸出でも輸入でも日本船が取っている量というのは多くありません。ちなみに、先ほど、シンガポールの会社になっちゃっている日本のコンテナ船会社というのは、これ日本商船隊にどうやら含まれているというふうに考えられる数字です。
それで、それどうしてかという話の補足説明。一枚めくりますと、タンカーについては、ガスについて、実は日本のガス会社、電力会社さんがガスそのものを輸入する契約で、それを、船会社を輸出側が御指名の権利を持っているのか、輸入側が御指名の権利持っているのかといった場合、輸入側、つまり日本サイドの会社が選択できる契約というのは半分ぐらいしか持っていないというのが経済産業省の調査であります。
ですので、実は輸出側の方、産ガス国の側が船会社を指名しちゃっている場合というのが半分あって、もちろん日本の船会社も産ガス国に営業を掛けていますからそちらにも一部いるんですが、それゆえ日本に入着するガスの半分は外国の船会社の船が持ってきていると、こういう話です。ただし、原油については約八割が日本の船会社が運んでいます。
それから、輸出も輸入もコンテナは日本の商船隊の比率、積み取り比率が低いと言っていますが、それは、そうはいっても、完成自動車に関しては自動車専用船部隊が世界の上位三社というのは実は日本の大手三社なので、自動車の輸出は日本の船会社がほとんどやっていると考えて結構でございます。
で、コンテナ船の積み取り比率が低いのは、日本の、日韓航路、日中航路で日本の船会社がほとんど実は商売していないから。これは歴史的ないろんな事情がありますが、もうひっくり返すのは無理だと思います。ですので、特に中国からの衣食住の品物が中国の船会社に完全に左右されているんだということは御説明したいと思います。
以上です。
そして、次ですね。もう一枚めくってください。
それで、船員の国籍、船の船籍の話でございます。このことについては、多分一般的に流布されている話と随分違う話をすることになりますので、多分皆さんの御機嫌を損ねるんだろうなと思って私ちょっと心配していた部分ですが、よろしくお願いします。
一枚めくってください。
船乗りですね。日本の船乗りと、それから日本郵船という自分の古巣の会社の船乗りの国籍の割合です。日本全体で六万人の商船乗組員いますが、七割以上がフィリピン人です。それで、大抵の場合はこれは外国に置籍している外国籍の日本の船会社の船に乗っているんですがと言いたいところなんですが、実は日本籍船といえども全く日本人船員が船長、機関長といえども乗っていないという外国人全乗船が結構ございます。
それから、じゃ、フィリピン人なんかで大丈夫かと、すぐこういうことをおっしゃる方がいるんですが、それはもう平成元年ぐらいの頃から日本の船会社は自前の学校をつくり、商船三井と日本郵船は大学もきちんとつくって、学士号が出るきちんとした大学をつくって教育していて、かつリピーター、船乗りの世界というのは日本人以外は全部船に乗ったら雇われ始めて、船を降りたら雇い止めという短期雇用の継続なので、嫌だと思ったら別の船会社に逃げちゃうんですけれども、非常に忠誠心高く日本の船会社にずっと乗り続けてもらえるように努力しているということも申し上げたいと思いますが、一応そういうことになっています。
そして、次のページ御覧ください。
船の船籍です。左側が日本の船会社がオペレーション、つまり運航管理している船の船籍、船は隻数でいうと二千二百四十隻あります。船腹量というのは、ざっとこれは輸送能力とお考えください。要は隻数でいうと、日本籍なのが一二%ぐらいです、これ年々増えています。ですが、それ以外は全部外国籍で、パナマ、リベリア、マーシャル諸島、シンガポール、バハマ、香港に特に置籍されています。
そして、日本商船隊というもの、日本の船会社が運航管理しているものの船というのは、日本籍船が一二%あって、外国籍の船の中には要は日本の船会社の外国子会社の船というのが千五百隻あって、残りは外国の船会社から助っ人で借りてきている船というのが二割ぐらいある、こんな感じなんです。ですので、八割は日本の船会社が完全にコントロールしている船なんですよということを申し上げたいと思います。
それで、先ほど私、日本籍船といえども外国人が全員乗っていることもあるんだという話をしてしまって、一枚めくらさせていただきますと、だったらば日本籍だって外国籍だっていいじゃないかという、こういう議論が出てくるかもしれませんが、外国籍にする理由というのは、いろいろある中で今一番大きいのは、船籍国が船主に対して様々なサービスを提供してくれています。これが標準。
要は、船は五年に二回、定期検査でドックに入らなきゃいけませんけど、全世界どこでも検査官が来てくれるですとか、それから二十四時間分からないことがあったら教えてくれるというサポート体制、それから外国に行ったときに結構入港国にいじめられたり不当な言いがかりを付けられたときに、けしからぬということで闘ってくれる公務員をすぐ派遣してくれる国だとか、それから様々な書類類を電子化してくれる、これ結構大事なことなんですけれども、そういう対応をしてくれるだとかという意味では、リベリアとかマーシャル諸島は最高の船籍国ですということは申し上げておかねばなりません。もちろん、日本人船主ですから日本語対応してくれます。
という話をしますと、一枚めくってください、という話をすると、合田何を言っているんだ、どうせ船会社節税しているんだろうがですとか、船の安全基準の緩いところに置籍して運航費けちってひどいことやっているだろうと、こういう議論をする人がまだいるんです。僕は本当に不愉快だと思っているんですけれども、ですが、少なくともタックスヘイブンの利用は、タックスヘイブン対策税制で日本に関してはできません。
それから、さすがに七〇年代以降はIMOの諸条約に大体の国は加入しています。という話をすると、でも、ちゃんと条約実施していないひどい国もあるんじゃないのという議論が出ますので、だから、今はどこの国でも自分の国の公務員を外国船に送り込んで、ちゃんと条約を結んでいるかどうか、条約をちゃんと守っているかどうかをチェックします。これをポートステートコントロールというふうに申していまして、そして、もしも日本に入ってきた船で、外国船でいいかげんなところがあったら、船籍国に通報し、船長には、すぐこれ直せ、直さない限りは船を出帆させないぞということをしますので、そうなってしまうと商売になりませんから、みんな真面目にやるようになったんですということになります。
一枚めくっていただきますと、これ、船籍国ごとに船の多い順に並べたものなんですけれども、そういったポートステートコントロールで成績が良い国についてはホワイトリストに載せます。で、悪い国はブラックリストに載っけて、どうかなというのはグレーリストに載っけるんですが、さすがに上位二十か国の中ではほとんどがホワイトリストに載っています。
ちなみに、ヨーロッパ水域でやっているポートステートコントロールの総元締がパリMOUというんですが、ここは白の中でもいい順に順番を付けていて、我らが日本国は白の中で九位なんですが、シンガポールとか香港の船籍の方が実は成績優秀だったり、バハマは三位だったりということで、日本だから飛び抜けていいよというわけではありません。もちろん、日本船籍、すばらしい船籍だと思いますが、逆に言いたいのは、日本の船会社が使っているような外国籍船というのは変な船じゃないんだということを申し上げたいわけであります。
一枚めくってください。
それで、そんなにフィリピン人だけでという話をしますと、実は日本人の船員ですが、実は、要は免状を持っているオフィサーのうち三分の一をフィリピンの自前養成学校から採り、三分の一を日本の商船大、東海大も含めた、商船高専から採り、残りは一般大学からの自社養成という形を取っています。何でこうなっているか。これは、日本人が船員になりたがらないからというのが本当の理由です。
ちなみに、フィリピン人船長、機関長も、日本人とライセンスが同じで、ランクが同じだったら給料同じですので、ランクに応じた給料をあげているということになっています。
次、お願いします。
トン数比例税制ですね。これは誤解がいろいろありますよと言ったんですけど、一枚めくってください。どういう税金の掛け方ですかというと、普通、企業に対する税金というのは、もうかったらがっぽり取って、もうかっていなかったらまけてやると、こういうことですけれども、船会社については船の船隊規模に比例する、つまり、景気が悪かろうが良かろうが、船それだけ持っているんなら税金払えと、こういう形にするんです。
それはどういうことかといいますと、次、めくってください。十九ページです。これは、船会社というのは、この点々々が船のお値段、買うときのお値段、それから実線が用船料、つまり船を貸してもうける運賃も大体こんな感じで動きますが、十年に一度大きな変動が来て大もうけするんですが、ほかの残り九年は大体普通の生活をしているんですけど、要は、景気の悪いときを耐え忍ぶためにもうかったときにしっかりお金をためておきたいといったときに、普通の法人税だったらがっぽりそこで税金掛かっちゃうから冬に備えられない、だから船会社には船の数に、頭数で一定の額になるトン数標準税制をやるというのが普通の国なんです。
ところが、一枚めくってください。日本の場合は、何で日本の船会社だけが優遇されるんだということに対して、そのためにはお国のために日本籍船と日本人船員を増やしなさいという義務があって、その義務を履行するのならばこのトン数標準税制でやれということになっていて、逆に言うと、実はこのお金の掛かることをやるのは嫌だといって逃げる会社がほとんどで、六社しかやっていない。そして、しかもこの日本籍船、日本人船員を増やすということが負担になっているので、トン数税制やめたいと思っている会社が多いです。
でも、でもなんですが、ここで一つめくっていただきたいのは、よく見ていただきたいのは、増やさなきゃいけないのは日本籍船と日本人船員だけなんですが、そこで、問題点、二十一ページの括弧五番。準日本船舶というのは直ちに日本籍船にしなきゃいけないんですが、何で外国の子会社が持っている船をすぐ日本籍船にできないのというと、実は、日本の法律に基づく日本籍船ですから、日本の船舶安全法上こういう機械じゃないと駄目だという船の中の機械類の規制があって、外国ではオーケーという機械類も日本籍にしたときに積み直せとか改造しろとかと言われて、すぐには日本籍にできないんですよ。ですので、事実上、日本の造船で造った船以外はすぐに日本籍船に戻すことはできませんということになっています。
それで、時間が超過して申し訳ございません、私の申し上げたいこと、それでは安全保障上いかがなものかとおっしゃる方がいるので、最後、実は、日本籍船を増やすというだけではなくて、準日本船舶を確保しなさいというふうに法律を変えるのであれば折り合いが取れますよというのが私からのささやかな御提案でございます。
以上、長くなって申し訳ございませんでした。御清聴、誠にありがとうございました。
この発言だけを見る →今日は貴重な御時間を頂戴しましたこと、心より御礼申し上げます。
私のプレゼンテーションはこちらの資料の方を使わせていただきますので、お手数とは存じますが、御覧になっていただければと思います。
題して、国際海上輸送の現状と課題。
一枚めくってください。
今日は、こんな話を用意させていただきました。船会社のフォーメーション、これは商売の取るときの型とでも申しましょうか、そんな話でございますが、結構重要な話でございます。それから、積み取り比率、これは日本の輸出入貨物を日本の船会社がどれくらい実際に商売で取っているのかというお話でございます。三番目、船員の国籍と船の船籍、日本の船会社が運航しています船に乗っている船員さんの国籍はどんなものなのか、それから船の船籍はどうなっているのかというお話でございます。四番目、外航海運会社は実は特別の税制を享受しています。それをトン数標準税制と申しますが、これには現状問題点がございますというお話でございます。それから、準日本船舶というものがございますが、これは日本の海運会社の外国子会社が持っている船をいざというときには日本籍に転じるということができる船を国土交通大臣が認めているもので、認定しているものでございますが、これもいろいろ問題がございますという話をさせていただいて、ささやかな提言を僣越ながらさせていただくという中身でございます。よろしくお願いします。
一枚めくってください。
まずは、船の商売の話でございます。ここは、私に与えられたお題というのは貿易貨物の安定輸送という命題だと思うんですが、平時においては貿易も海運も商売として成り立っていまして、これに特に問題があるとは私は思っておりません。もちろん運賃が高い安いという不満というのは当然あるのですが、基本的に世界で船は余っていると。ただ、足りなくなった瞬間というのが大体十年に一度ぐらい起こって、そのときは大抵問題になりますが、そのうち十年中残り九年ぐらいというのは船会社が安い運賃で呻吟するというような状況になっていますけれども、その話の前に、船はどういう商売の形を取っているのかというお話をさせていただきますというお話です。
三つの話がございます。一つは典型例、もう一つは、ちょっと注視すべき話としてのコンテナ船の話。コンテナは、日本の工業製品の輸出、輸入においては、衣食住の生活必需品を外国から持ってくるという意味で大事な船種です。それから、三番目、日本の船会社は、外国に子会社をつくり、外国の船籍を持って船を利用しているというお話でございます。そういう話をさせていただきます。
一枚めくってください。
これ、私が日本郵船にいたからといって、日本郵船のライバルであった商船三井が困ったことになったことを笑っているわけではありません。商船三井さんがおととしの夏WAKASHIO号という船をチャーターしていて、そのチャーターしている船が事故を起こしましたといったときに、この関係なんですが、商船三井さんは、お客さんから、鉄鋼会社から運賃をもらって荷物を運ぶということをなりわいにしています。ですから、日本の船会社が運送契約を実行して運賃をもらって、そこで利益を上げて税金を日本に納めるという形なんですが、船は必ずしも商船三井自身が持つ必要はなくて、適宜ほかの船会社から船を借ります。
この場合は、長鋪汽船という岡山の会社で、借りるときのやり方なんですが、船そのものだけを借りるのではなくて、船乗りを乗っけてもらっていつでも動かせるような形にして、さあどうぞ好きなように御指示くださいという形で船を貸すのです。これを定期用船と申します。そして、この商船三井は、人様の雇った船乗りが乗っている、自分の従業員じゃない船乗りが乗っている船に対して直接、あっちに行きなさい、どこそこのところで荷物を積みなさい、運びなさい、降ろしなさい、帰ってきなさいという航海指示を直接出します。
これは、こういう仕事をオペレーションと申します、運航管理。ここ、実は大事です。船会社は船を集めてきて、実際に船にどこに行け何をしろという指示を出して運送を実行するという実行部隊はオペレーターなんですね。だから、オペレーターが日本にいるかいないかってすごい大事です。
ちなみに、これは、この場合は、長鋪汽船は、そういう商船三井に対して船乗り付きで船を貸して、月々幾らとか一日幾らのお金をもらって生きていると、こういうお話になっています。これ、典型的な例でございますので、ちょっと頭の片隅に入れていただければ幸いと存じます。
次、お願いします。
そこで、ここにコンテナ船会社ワン、ONE、オーシャンネットワークエクスプレスという会社ございます。これ、日本の大手の三つの会社、私がいました日本郵船、先ほど出ました商船三井、川崎汽船、これ大きなコンテナ船会社でしたが、大同団結してコンテナ船を一本化しましたが、よく見てみると、船は船会社、その運送契約を実行する、つまり、船にあっち行け、こっち行けと指示を出してお客さんの運送契約を実行する部隊は、シンガポールに船会社が設立されていて、オペレーターはシンガポールにあります。
これは、日本の株主であるところの邦船三社は共同持ち株会社を日本にもつくっていて、そこがシンガポールに子会社を持っていて、そのシンガポールの会社が船に指示を出す、それはシンガポール会社法に基づくシンガポール法人です。国土交通省の統計等では、このオーシャンネットワークエクスプレス、ONEという会社は、あたかも日本の海運会社のように統計としてはカウントされていますが、法的にはシンガポールの会社であって、シンガポールで利益を蓄積し、シンガポール政府に納税すると、こういう関係になっている。
こういうようなことになっていますので、もし安全保障ということを考える場合、コンテナ船に関してはもうほとんど日本にはオペレーターはいないんだということを御理解していただければと思います。
次、お願いいたします。
次、多分議論が起こるかもしれませんが、日本の船会社は、便宜置籍船と称し、日本以外の国の船籍を持つ船を使っているという話ですが、これは、厳密には外国に子会社をつくります。で、子会社が船を持ちます。そして、子会社から船を借りるときに、先ほどと同じように、船乗りを子会社の人たちが集めて乗せて走れるようにした形で、親会社にさあどうぞお使いくださいという、定期用船という契約を結んでやります。ですが、この外国子会社は一〇〇%日本の会社が支配していて、株式で、そして、役員は全部部課長レベルがやっていますから、まさか裏切るということはないと、こういう関係です。
ですから、その外国子会社が持っている船を生かすも殺すも親会社次第なんですが、その船の一部分、日本全体の、日本の船会社が外国子会社に持たせている船の六分の一は準日本船舶といって、先ほど申し上げましたように、有事の際には即座に日本籍に転化して国土交通大臣の航海命令に服せるようになっているという船でございますが、これはその外国子会社の船の六分の一しか実は認定されていません。その意味は後で申し上げます。
次、お願いします。
これは大した話ではないんですが、国土交通省の出している日本商船隊という、日本の船会社がオペレーションしている、つまり、日本の国内からあっちへ行け、こっちへ行けと船に指示を出して航海を成就させている船全体というのと、日本の船会社が持っている船の合計を足すと、あれ、おかしいな、もっと船が、日本の船会社が持っている船は多いじゃないかということに多分なるでしょう。その差額というのは、外国に出稼ぎに行っている、つまり、外国の企業にオペレーションされている、あっち行け、こっち行けと指示されるように船乗り付きで出稼ぎに行っている船というのが結構あります。でも、こういう船というのは有事の際に引っぺがして日本のために働かせるということは難しいと思います。
次、お願いします。
積み取り比率ですね。これは、日本の輸出貨物と輸入貨物について、左側が輸出、右側が輸入、そして、定期船、不定期船、タンカー、合計について、どれくらい日本の、日本の企業としてオペレーションしている船が貨物を取っているか、つまり日本の船会社がどれだけ日本市場で取れているかというお話なんですが、安全保障で問題になるのは恐らく食料、穀物とエネルギー資源の輸入ということなので、固体の穀物と、それからエネルギー資源、石炭等を運ぶものは不定期船、液物、つまり原油とか天然ガスを運ぶのはタンカーですから、タンカーとそれから不定期船の日本商船の積み取り比率がどれくらいかという話をすると、固体の品物を運ぶ不定期船は八割日本の船会社が押さえていますが、タンカーについては半分なんですね。これは何だという話に多分なろうかと思います。
それから、定期船については、輸出も輸入もコンテナ船がほとんどですが、日本船というのはそんなにたくさんの、輸出でも輸入でも日本船が取っている量というのは多くありません。ちなみに、先ほど、シンガポールの会社になっちゃっている日本のコンテナ船会社というのは、これ日本商船隊にどうやら含まれているというふうに考えられる数字です。
それで、それどうしてかという話の補足説明。一枚めくりますと、タンカーについては、ガスについて、実は日本のガス会社、電力会社さんがガスそのものを輸入する契約で、それを、船会社を輸出側が御指名の権利を持っているのか、輸入側が御指名の権利持っているのかといった場合、輸入側、つまり日本サイドの会社が選択できる契約というのは半分ぐらいしか持っていないというのが経済産業省の調査であります。
ですので、実は輸出側の方、産ガス国の側が船会社を指名しちゃっている場合というのが半分あって、もちろん日本の船会社も産ガス国に営業を掛けていますからそちらにも一部いるんですが、それゆえ日本に入着するガスの半分は外国の船会社の船が持ってきていると、こういう話です。ただし、原油については約八割が日本の船会社が運んでいます。
それから、輸出も輸入もコンテナは日本の商船隊の比率、積み取り比率が低いと言っていますが、それは、そうはいっても、完成自動車に関しては自動車専用船部隊が世界の上位三社というのは実は日本の大手三社なので、自動車の輸出は日本の船会社がほとんどやっていると考えて結構でございます。
で、コンテナ船の積み取り比率が低いのは、日本の、日韓航路、日中航路で日本の船会社がほとんど実は商売していないから。これは歴史的ないろんな事情がありますが、もうひっくり返すのは無理だと思います。ですので、特に中国からの衣食住の品物が中国の船会社に完全に左右されているんだということは御説明したいと思います。
以上です。
そして、次ですね。もう一枚めくってください。
それで、船員の国籍、船の船籍の話でございます。このことについては、多分一般的に流布されている話と随分違う話をすることになりますので、多分皆さんの御機嫌を損ねるんだろうなと思って私ちょっと心配していた部分ですが、よろしくお願いします。
一枚めくってください。
船乗りですね。日本の船乗りと、それから日本郵船という自分の古巣の会社の船乗りの国籍の割合です。日本全体で六万人の商船乗組員いますが、七割以上がフィリピン人です。それで、大抵の場合はこれは外国に置籍している外国籍の日本の船会社の船に乗っているんですがと言いたいところなんですが、実は日本籍船といえども全く日本人船員が船長、機関長といえども乗っていないという外国人全乗船が結構ございます。
それから、じゃ、フィリピン人なんかで大丈夫かと、すぐこういうことをおっしゃる方がいるんですが、それはもう平成元年ぐらいの頃から日本の船会社は自前の学校をつくり、商船三井と日本郵船は大学もきちんとつくって、学士号が出るきちんとした大学をつくって教育していて、かつリピーター、船乗りの世界というのは日本人以外は全部船に乗ったら雇われ始めて、船を降りたら雇い止めという短期雇用の継続なので、嫌だと思ったら別の船会社に逃げちゃうんですけれども、非常に忠誠心高く日本の船会社にずっと乗り続けてもらえるように努力しているということも申し上げたいと思いますが、一応そういうことになっています。
そして、次のページ御覧ください。
船の船籍です。左側が日本の船会社がオペレーション、つまり運航管理している船の船籍、船は隻数でいうと二千二百四十隻あります。船腹量というのは、ざっとこれは輸送能力とお考えください。要は隻数でいうと、日本籍なのが一二%ぐらいです、これ年々増えています。ですが、それ以外は全部外国籍で、パナマ、リベリア、マーシャル諸島、シンガポール、バハマ、香港に特に置籍されています。
そして、日本商船隊というもの、日本の船会社が運航管理しているものの船というのは、日本籍船が一二%あって、外国籍の船の中には要は日本の船会社の外国子会社の船というのが千五百隻あって、残りは外国の船会社から助っ人で借りてきている船というのが二割ぐらいある、こんな感じなんです。ですので、八割は日本の船会社が完全にコントロールしている船なんですよということを申し上げたいと思います。
それで、先ほど私、日本籍船といえども外国人が全員乗っていることもあるんだという話をしてしまって、一枚めくらさせていただきますと、だったらば日本籍だって外国籍だっていいじゃないかという、こういう議論が出てくるかもしれませんが、外国籍にする理由というのは、いろいろある中で今一番大きいのは、船籍国が船主に対して様々なサービスを提供してくれています。これが標準。
要は、船は五年に二回、定期検査でドックに入らなきゃいけませんけど、全世界どこでも検査官が来てくれるですとか、それから二十四時間分からないことがあったら教えてくれるというサポート体制、それから外国に行ったときに結構入港国にいじめられたり不当な言いがかりを付けられたときに、けしからぬということで闘ってくれる公務員をすぐ派遣してくれる国だとか、それから様々な書類類を電子化してくれる、これ結構大事なことなんですけれども、そういう対応をしてくれるだとかという意味では、リベリアとかマーシャル諸島は最高の船籍国ですということは申し上げておかねばなりません。もちろん、日本人船主ですから日本語対応してくれます。
という話をしますと、一枚めくってください、という話をすると、合田何を言っているんだ、どうせ船会社節税しているんだろうがですとか、船の安全基準の緩いところに置籍して運航費けちってひどいことやっているだろうと、こういう議論をする人がまだいるんです。僕は本当に不愉快だと思っているんですけれども、ですが、少なくともタックスヘイブンの利用は、タックスヘイブン対策税制で日本に関してはできません。
それから、さすがに七〇年代以降はIMOの諸条約に大体の国は加入しています。という話をすると、でも、ちゃんと条約実施していないひどい国もあるんじゃないのという議論が出ますので、だから、今はどこの国でも自分の国の公務員を外国船に送り込んで、ちゃんと条約を結んでいるかどうか、条約をちゃんと守っているかどうかをチェックします。これをポートステートコントロールというふうに申していまして、そして、もしも日本に入ってきた船で、外国船でいいかげんなところがあったら、船籍国に通報し、船長には、すぐこれ直せ、直さない限りは船を出帆させないぞということをしますので、そうなってしまうと商売になりませんから、みんな真面目にやるようになったんですということになります。
一枚めくっていただきますと、これ、船籍国ごとに船の多い順に並べたものなんですけれども、そういったポートステートコントロールで成績が良い国についてはホワイトリストに載せます。で、悪い国はブラックリストに載っけて、どうかなというのはグレーリストに載っけるんですが、さすがに上位二十か国の中ではほとんどがホワイトリストに載っています。
ちなみに、ヨーロッパ水域でやっているポートステートコントロールの総元締がパリMOUというんですが、ここは白の中でもいい順に順番を付けていて、我らが日本国は白の中で九位なんですが、シンガポールとか香港の船籍の方が実は成績優秀だったり、バハマは三位だったりということで、日本だから飛び抜けていいよというわけではありません。もちろん、日本船籍、すばらしい船籍だと思いますが、逆に言いたいのは、日本の船会社が使っているような外国籍船というのは変な船じゃないんだということを申し上げたいわけであります。
一枚めくってください。
それで、そんなにフィリピン人だけでという話をしますと、実は日本人の船員ですが、実は、要は免状を持っているオフィサーのうち三分の一をフィリピンの自前養成学校から採り、三分の一を日本の商船大、東海大も含めた、商船高専から採り、残りは一般大学からの自社養成という形を取っています。何でこうなっているか。これは、日本人が船員になりたがらないからというのが本当の理由です。
ちなみに、フィリピン人船長、機関長も、日本人とライセンスが同じで、ランクが同じだったら給料同じですので、ランクに応じた給料をあげているということになっています。
次、お願いします。
トン数比例税制ですね。これは誤解がいろいろありますよと言ったんですけど、一枚めくってください。どういう税金の掛け方ですかというと、普通、企業に対する税金というのは、もうかったらがっぽり取って、もうかっていなかったらまけてやると、こういうことですけれども、船会社については船の船隊規模に比例する、つまり、景気が悪かろうが良かろうが、船それだけ持っているんなら税金払えと、こういう形にするんです。
それはどういうことかといいますと、次、めくってください。十九ページです。これは、船会社というのは、この点々々が船のお値段、買うときのお値段、それから実線が用船料、つまり船を貸してもうける運賃も大体こんな感じで動きますが、十年に一度大きな変動が来て大もうけするんですが、ほかの残り九年は大体普通の生活をしているんですけど、要は、景気の悪いときを耐え忍ぶためにもうかったときにしっかりお金をためておきたいといったときに、普通の法人税だったらがっぽりそこで税金掛かっちゃうから冬に備えられない、だから船会社には船の数に、頭数で一定の額になるトン数標準税制をやるというのが普通の国なんです。
ところが、一枚めくってください。日本の場合は、何で日本の船会社だけが優遇されるんだということに対して、そのためにはお国のために日本籍船と日本人船員を増やしなさいという義務があって、その義務を履行するのならばこのトン数標準税制でやれということになっていて、逆に言うと、実はこのお金の掛かることをやるのは嫌だといって逃げる会社がほとんどで、六社しかやっていない。そして、しかもこの日本籍船、日本人船員を増やすということが負担になっているので、トン数税制やめたいと思っている会社が多いです。
でも、でもなんですが、ここで一つめくっていただきたいのは、よく見ていただきたいのは、増やさなきゃいけないのは日本籍船と日本人船員だけなんですが、そこで、問題点、二十一ページの括弧五番。準日本船舶というのは直ちに日本籍船にしなきゃいけないんですが、何で外国の子会社が持っている船をすぐ日本籍船にできないのというと、実は、日本の法律に基づく日本籍船ですから、日本の船舶安全法上こういう機械じゃないと駄目だという船の中の機械類の規制があって、外国ではオーケーという機械類も日本籍にしたときに積み直せとか改造しろとかと言われて、すぐには日本籍にできないんですよ。ですので、事実上、日本の造船で造った船以外はすぐに日本籍船に戻すことはできませんということになっています。
それで、時間が超過して申し訳ございません、私の申し上げたいこと、それでは安全保障上いかがなものかとおっしゃる方がいるので、最後、実は、日本籍船を増やすというだけではなくて、準日本船舶を確保しなさいというふうに法律を変えるのであれば折り合いが取れますよというのが私からのささやかな御提案でございます。
以上、長くなって申し訳ございませんでした。御清聴、誠にありがとうございました。
鶴
石
石井由梨佳#7
○参考人(石井由梨佳君) 御紹介いただきました防衛大学校の石井由梨佳でございます。国際法を研究しております。
本日は、このような機会をお与えくださいまして、ありがとうございました。
私の方からは、海底ケーブルの保護と管理に関して、主に法的な課題に絞って御報告したいと思います。
お配りしましたスライドの三枚目以降に沿ってお話しします。また、三十ページ以降に関連する条文を掲載しておきましたので、適宜御参照ください。
まず、海底ケーブルは情報化社会のインフラであり、その重要性については改めて申し上げるまでもございません。他方で、海底ケーブルは直径数センチの管でございますので、物理的に脆弱です。しばしば漁船の網やいかりなどに引っかかる場合がございますし、また地震等でも容易に破損します。二〇一一年、東日本大震災のときにはケーブルが破断し、数日にわたり通信に支障が出たことは御記憶に新しいかと思います。
また、デジタル産業の成長に伴い、ケーブルの産業構造も変化しております。かつては通信事業者が主な出資者でございましたが、近年では米国のIT大手であるコンテンツプロバイダーがケーブル敷設に参画する例が増えてきております。さらに、ケーブルの敷設はこれまで民間事業者が担ってきましたが、米中対立が激化すること、していることを背景に、国家がプロジェクトに関与する例も出てきております。
そのことを踏まえまして、私の方からは、主に国際法の観点から次の三つの点についてお話ししたいと思います。
まず、海底ケーブルを規律する国際法規則の意義と限界についてでございます。特に、現行の国際法規則では海底ケーブルを十分に保護、管理できない場合があるということを御指摘したいと思います。第二に、その検討を踏まえまして、現行の日本国内法制の課題についてもお話ししたいと思います。最後に、海底ケーブルが持つ経済安全保障上の意義についても簡単にお話ししたいと思います。
まず、国際法上の課題についてです。スライドの六枚目以降になります。
海洋における法秩序といいますのは、海洋が全ての国にとって共有可能な開かれた空間であるということが基礎になって形成されております。現行の海洋法秩序は、一九八二年の国連海洋法条約において規律されています。国連海洋法条約は、海域を領海、排他的経済水域、大陸棚、公海といった海域に分けて、それぞれの海域において沿岸国とその他の利用国が何ができるのかと、あるいは何をしなくてはいけないのかということを定めています。
簡単に申し上げますと、領海内におきましては沿岸国の主権が及んでいます。領海は国家領域の一部です。公海は全ての国がその利用の自由を享受するという開かれた空間であります。排他的経済水域ですけれども、ここでは特に漁業資源を含む天然資源の開発等に関して沿岸国の排他的な権限が及んでおります。これに対して、排他的経済水域における航行については、公海利用の一部としてその自由が全ての国に保障されています。
海洋は、古来より遠距離の交流に不可欠な役割を果たしてきました。そして、十九世紀後半に実用化された海底ケーブルが国際通信の構造を変えたことは申し上げるまでもありません。
そのことを背景にしまして、海底ケーブルの敷設は公海利用の自由の一部であります。排他的経済水域、大陸棚におきましても、その敷設等に当たり沿岸国の同意を得る必要はないというふうにされております。また、海底ケーブルが損壊された場合、その損壊をした船舶の旗国又はその者に管轄を持つ国が処罰などをしなくてはならないことになっています。これに対して、沿岸国はそのような管轄は持っていない。したがって、例えば処罰などをしたい場合には、その管轄を持つ国の同意を得なくてはいけないということになっています。もっとも、これらの自由を享受する際には、お互いに妥当な考慮を払う義務が課されております。
このように、国連海洋法条約では、漁業資源の開発についての管轄は沿岸国が持つと、海底ケーブルの敷設についての管轄は事業者の本国が持つと、ケーブルを損壊した船舶の責任の追及についてはその船舶の旗国が持つと、あるいはその者に管轄を持つものが持つという形で管轄を割り振っているわけです。
それぞれの国が効果的な規制を行っていれば問題はないのかもしれませんが、実際にはそのケーブルの保護のための効果的な法制を持つ国は少ないと言われています。多くの国は、一九八二年の国連海洋法条約、あるいはその前の一九五八年の公海条約を批准する際に制定した法律、場合によっては海底ケーブルが利用され始めた十九世紀の法律をまだ維持しているということです。日本も一九〇六年と、公海条約を批准するときに制定した一九六八年の法律があるのみであります。
そこで、どのような問題が生じているのか、そしてどのような対応がされているのかを五点ほど具体的に御紹介したいと思います。
第一に、まず領海の外側において外国漁船の過失によってケーブルが損壊する場合です。
この場合、沿岸国にはそのケーブル損壊そのものについての管轄権は認められていないのは先ほど申し上げたとおりです。そこで、その沿岸国としましては、後にお話ししますケーブル保護区を設置したり、あるいはそのケーブルの所有者である事業者等を支援する体制を整備しておくことが必要になります。
第二に、いかりを引き揚げるときにケーブルも一緒に引き揚げてしまうということもあります。
この点、停泊したりするのは航行の一部ですので、航行の自由の一部ですので、これも沿岸国の権限は直接には及ばないと解されます。この場合も、やはり同じように保護区を設置したり、あるいは沿岸国と事業者との協力を行う、これが必要になってくると思います。
第三に、ケーブル敷設や修理を行っている船舶に対して妨害を意図して漁船などが接近する例があるそうです。
この場合、ケーブル敷設船舶の旗国は、漁船に対して接近しないように指示する権限というのは持っておりません。漁船ですので、沿岸国がその排他的経済水域において有している権限の範囲内においてそういった活動を制限することは可能だろうと言われております。
第四に、私人がケーブルを意図的に損壊する例もございます。
領海の外でそのような切断がされた場合に、沿岸国は管轄権を持たないということになります。この場合も、同じく船舶の旗国や容疑者の国籍国との協力が必要になります。また、損壊がされた場合の対応プロトコルを策定して関係国や事業者との間で協力する必要性も指摘されています。
第五に、自然災害によるケーブル破断の場合ですけれども、これに対応するような国際法規則はいまだ確立しておりません。少なくとも、敷設する際にそういった災害リスクについて事業者と陸揚げ国が情報を共有しておくことが重要だと考えられます。また、既にされていますけれども、国内における陸揚げ拠点の分散やケーブル保護区の設置も有効だと考えます。
このケーブル保護区ですけれども、これは、国連海洋法条約にはそのような制度はございません。沿岸国は排他的経済水域に、あるいは大陸棚において有している権限の範囲内で設置する、そういった区域、エリアになります。外国漁船の操業区域の指定は、排他的経済水域で沿岸国が有している権限であります。そこで、実例としましては、オーストラリアやニュージーランドがこのような保護区を設置しています。
もっとも、これに対して懸念されるのは、沿岸国は国連海洋法条約が定めている権限を越えてケーブルを保護すると。ケーブルを保護するという名目で、実際はその排他的経済水域とか大陸棚におけるそのケーブルの敷設を制限しようとすると、これが懸念されています。
例えば、国連海洋法条約上、沿岸国は領海の外におけるケーブルの経路設定については同意権は持っておりません。この点、国連海洋法条約の七十九条で、パイプラインについては沿岸国がそのケーブルの経路設定について同意権を持つとされておりますけれども、ケーブルについては沿岸国はそのような権限を持っていないわけです。また、自国に陸揚げされていないケーブルの敷設や修繕について事業者に許可を求める権限も、沿岸国は持っておりません。
しかし、自国の排他的経済水域や大陸棚におけるケーブルの敷設や修繕について、その許可を必要とする国内法を持つ国もございます。条約では、沿岸国が大陸棚における資源の探査、開発等について適当な措置をとる権利を認めておりますので、そのような権利行使としてそのような規制を正当化する見解もあります。しかし、ここまで申し上げたケーブル敷設の自由がそれによって不当に制約されないのかという点も問題になりますので、この点は解釈の明確化が必要な論点となっています。
最後に、国際協力についてですけれども、海底ケーブルに関する問題を扱う国際的なフォーラムは幾つかございます。特に、国際ケーブル保護委員会は、政府主管庁、ケーブル運用者など、利害関係者から成る国際フォーラムであり、情報共有やベストプラクティスの策定において重要な役割を果たしています。しかし、先ほど述べたような国際法規則の限界を乗り越えるために、例えば国家間の権限配分について再考したりとか、あるいは国際法上のケーブル保護義務を新たに設けたりするための国際組織というのはないというのが現状であります。
このほか、例えば欧州海底ケーブル連合におきましては、海底ケーブルの所有者、運用者等の産業界のフォーラムというのがつくられており、欧州周辺のケーブル施設の保護を図っているというプラクティスがございます。また、アジア太平洋安全保障会議におきましては、二〇一四年に海底通信インフラの安全とセキュリティーについて覚書を採択しているということです。また、国連の薬物犯罪事務所のグローバル海上犯罪プログラムにおきましても、海上保安の観点から、海底ケーブルの保護と管理について指針などを策定しております。しかし、いずれも包括的にケーブルの管理などをしているわけではないというのが限界ということになります。
以上を踏まえまして、次に、日本国内法上の課題についてお話ししたいと思います。
スライドは二十一ページに移ります。
日本では、日本の管轄に服する者がケーブルを損壊するかその危険を生じさせた場合には五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が科されるということになっております。これは、国連海洋法条約で定められている旗国あるいはその私人に管轄を持つ国としての義務を実施するものであります。ただ、この罰則は軽微ですし、また適用された事例はないということです。
さらに、電気通信事業法において事業者がケーブル敷設をするときに届出をする手続が定められておりますけれども、これは日本の領海の外の海底ケーブルには適用されません。すなわち、日本の大陸棚あるいは排他的経済水域を通過するケーブルについては、それを規制、管理する法制がないということになります。したがって、この国内法制につきましてはその見直しが必要なのではないかと考えます。
既に日本は海洋基本法に基づいて海洋基本計画を設けて、海洋の包括的な管理を行っております。そこで、その海底ケーブルについても積極的な保護や管理をその計画の中に入れて検討していく必要があると考えられます。
また、海底ケーブルの保護には各省庁や事業者の協力が必要になります。特に、そのケーブルの設置について所轄している総務省、それから損壊事故などが起きた場合の対応をする海上保安庁等、そういった省庁間の協力が必要になると考えられます。
では、最後に、海底ケーブルと経済安全保障についても簡単にお話ししておきたいと思います。
スライドは二十五ページになります。
海底ケーブルの敷設や運用は、これも海運と同じく民間事業者が主体になって実施しています。海底ケーブルの敷設は巨額な事業ですので、コンソーシアムを結成して敷設や運用を行うのが通例となっているということです。しかし、これに対して、近年では、ケーブルの敷設に関して国家が直接関与をしたり、あるいはその運用に制限を付けたりすることが増えてきております。
この点で特に着目されていますのが、いわゆる中国のデジタルシルクロードプロジェクトであります。これは、中国が一帯一路政策の一環として海底ケーブルの敷設を推進しているという動きであります。一帯一路政策の一部として道路や鉄道の建設を行っているわけですけれども、併せて通信インフラも整備すると。その中で、海底ケーブルというのはその中核的な、その計画の中核的な部分を占めているわけであります。
デジタルシルクロードの象徴とも言えるようなプロジェクトが、二〇一七年から開始されているPEACEプロジェクトと呼ばれるものであります。これは、中国の通信事業者であるとか、あるいは銀行とかがコンソーシアムを結成しまして推し進めている海底ケーブル敷設プロジェクトであります。中国とパキスタンとの間には陸路ネットワークがありますので、この海底ケーブルによって中国とアフリカ、それからヨーロッパがじかに結ばれるということになります。
安全保障上の懸念としては、まずこのケーブルを通じて、まず海底状況の常時監視が可能になるということが指摘されています。さらに、中国は陸揚げ局を通じてコンテンツを傍受していると、あるいは通信のコンテンツ規制をしているという調査も出ております。
そこで、経済安全保障上の懸念から、このような展開を阻止しようとする動きもあります。二〇二〇年五月にトランプ政権下で開始されたクリーンネットワークイニシアチブはその代表例でして、これはアメリカとつながる海底ケーブルに中国のHMNの機器、ケーブルを接続することを禁止するような中身になっております。もっとも、このクリーンネットワークイニシアチブにつきましては、そのリスク評価の基準が曖昧であるといった批判もされているところではございます。
以上申し上げたような動向というのは、日本の政策にも影響を与えると考えております。
これ、ここから先はその考え方は分かれると思うんですけれども、まず、一方では、その安定した信頼できる海底ケーブルネットワークが必要であるということで、特に日本はいわゆる信頼ある自由なデジタル流通政策を進めておりますので、その一部としてもそういった海底ケーブルの安全性を担保する必要があるという考え方であります。
しかし、他方で、ネットワークというのはつながっておりますので、日本だけ排除することにはほとんど意味がないどころか、日本にとっては不利益になってしまうと。そのことから、信用できない環境においても安全な通信運用を可能にするような技術を開発することが必要なんだという考え方もあるかと思います。
また、いずれにしましても、海底ケーブル産業における日本企業のプレゼンスを維持する必要があるということは申し上げるまでもございません。
以上、大変雑駁ではございましたけれども、私の報告は以上とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、このような機会をお与えくださいまして、ありがとうございました。
私の方からは、海底ケーブルの保護と管理に関して、主に法的な課題に絞って御報告したいと思います。
お配りしましたスライドの三枚目以降に沿ってお話しします。また、三十ページ以降に関連する条文を掲載しておきましたので、適宜御参照ください。
まず、海底ケーブルは情報化社会のインフラであり、その重要性については改めて申し上げるまでもございません。他方で、海底ケーブルは直径数センチの管でございますので、物理的に脆弱です。しばしば漁船の網やいかりなどに引っかかる場合がございますし、また地震等でも容易に破損します。二〇一一年、東日本大震災のときにはケーブルが破断し、数日にわたり通信に支障が出たことは御記憶に新しいかと思います。
また、デジタル産業の成長に伴い、ケーブルの産業構造も変化しております。かつては通信事業者が主な出資者でございましたが、近年では米国のIT大手であるコンテンツプロバイダーがケーブル敷設に参画する例が増えてきております。さらに、ケーブルの敷設はこれまで民間事業者が担ってきましたが、米中対立が激化すること、していることを背景に、国家がプロジェクトに関与する例も出てきております。
そのことを踏まえまして、私の方からは、主に国際法の観点から次の三つの点についてお話ししたいと思います。
まず、海底ケーブルを規律する国際法規則の意義と限界についてでございます。特に、現行の国際法規則では海底ケーブルを十分に保護、管理できない場合があるということを御指摘したいと思います。第二に、その検討を踏まえまして、現行の日本国内法制の課題についてもお話ししたいと思います。最後に、海底ケーブルが持つ経済安全保障上の意義についても簡単にお話ししたいと思います。
まず、国際法上の課題についてです。スライドの六枚目以降になります。
海洋における法秩序といいますのは、海洋が全ての国にとって共有可能な開かれた空間であるということが基礎になって形成されております。現行の海洋法秩序は、一九八二年の国連海洋法条約において規律されています。国連海洋法条約は、海域を領海、排他的経済水域、大陸棚、公海といった海域に分けて、それぞれの海域において沿岸国とその他の利用国が何ができるのかと、あるいは何をしなくてはいけないのかということを定めています。
簡単に申し上げますと、領海内におきましては沿岸国の主権が及んでいます。領海は国家領域の一部です。公海は全ての国がその利用の自由を享受するという開かれた空間であります。排他的経済水域ですけれども、ここでは特に漁業資源を含む天然資源の開発等に関して沿岸国の排他的な権限が及んでおります。これに対して、排他的経済水域における航行については、公海利用の一部としてその自由が全ての国に保障されています。
海洋は、古来より遠距離の交流に不可欠な役割を果たしてきました。そして、十九世紀後半に実用化された海底ケーブルが国際通信の構造を変えたことは申し上げるまでもありません。
そのことを背景にしまして、海底ケーブルの敷設は公海利用の自由の一部であります。排他的経済水域、大陸棚におきましても、その敷設等に当たり沿岸国の同意を得る必要はないというふうにされております。また、海底ケーブルが損壊された場合、その損壊をした船舶の旗国又はその者に管轄を持つ国が処罰などをしなくてはならないことになっています。これに対して、沿岸国はそのような管轄は持っていない。したがって、例えば処罰などをしたい場合には、その管轄を持つ国の同意を得なくてはいけないということになっています。もっとも、これらの自由を享受する際には、お互いに妥当な考慮を払う義務が課されております。
このように、国連海洋法条約では、漁業資源の開発についての管轄は沿岸国が持つと、海底ケーブルの敷設についての管轄は事業者の本国が持つと、ケーブルを損壊した船舶の責任の追及についてはその船舶の旗国が持つと、あるいはその者に管轄を持つものが持つという形で管轄を割り振っているわけです。
それぞれの国が効果的な規制を行っていれば問題はないのかもしれませんが、実際にはそのケーブルの保護のための効果的な法制を持つ国は少ないと言われています。多くの国は、一九八二年の国連海洋法条約、あるいはその前の一九五八年の公海条約を批准する際に制定した法律、場合によっては海底ケーブルが利用され始めた十九世紀の法律をまだ維持しているということです。日本も一九〇六年と、公海条約を批准するときに制定した一九六八年の法律があるのみであります。
そこで、どのような問題が生じているのか、そしてどのような対応がされているのかを五点ほど具体的に御紹介したいと思います。
第一に、まず領海の外側において外国漁船の過失によってケーブルが損壊する場合です。
この場合、沿岸国にはそのケーブル損壊そのものについての管轄権は認められていないのは先ほど申し上げたとおりです。そこで、その沿岸国としましては、後にお話ししますケーブル保護区を設置したり、あるいはそのケーブルの所有者である事業者等を支援する体制を整備しておくことが必要になります。
第二に、いかりを引き揚げるときにケーブルも一緒に引き揚げてしまうということもあります。
この点、停泊したりするのは航行の一部ですので、航行の自由の一部ですので、これも沿岸国の権限は直接には及ばないと解されます。この場合も、やはり同じように保護区を設置したり、あるいは沿岸国と事業者との協力を行う、これが必要になってくると思います。
第三に、ケーブル敷設や修理を行っている船舶に対して妨害を意図して漁船などが接近する例があるそうです。
この場合、ケーブル敷設船舶の旗国は、漁船に対して接近しないように指示する権限というのは持っておりません。漁船ですので、沿岸国がその排他的経済水域において有している権限の範囲内においてそういった活動を制限することは可能だろうと言われております。
第四に、私人がケーブルを意図的に損壊する例もございます。
領海の外でそのような切断がされた場合に、沿岸国は管轄権を持たないということになります。この場合も、同じく船舶の旗国や容疑者の国籍国との協力が必要になります。また、損壊がされた場合の対応プロトコルを策定して関係国や事業者との間で協力する必要性も指摘されています。
第五に、自然災害によるケーブル破断の場合ですけれども、これに対応するような国際法規則はいまだ確立しておりません。少なくとも、敷設する際にそういった災害リスクについて事業者と陸揚げ国が情報を共有しておくことが重要だと考えられます。また、既にされていますけれども、国内における陸揚げ拠点の分散やケーブル保護区の設置も有効だと考えます。
このケーブル保護区ですけれども、これは、国連海洋法条約にはそのような制度はございません。沿岸国は排他的経済水域に、あるいは大陸棚において有している権限の範囲内で設置する、そういった区域、エリアになります。外国漁船の操業区域の指定は、排他的経済水域で沿岸国が有している権限であります。そこで、実例としましては、オーストラリアやニュージーランドがこのような保護区を設置しています。
もっとも、これに対して懸念されるのは、沿岸国は国連海洋法条約が定めている権限を越えてケーブルを保護すると。ケーブルを保護するという名目で、実際はその排他的経済水域とか大陸棚におけるそのケーブルの敷設を制限しようとすると、これが懸念されています。
例えば、国連海洋法条約上、沿岸国は領海の外におけるケーブルの経路設定については同意権は持っておりません。この点、国連海洋法条約の七十九条で、パイプラインについては沿岸国がそのケーブルの経路設定について同意権を持つとされておりますけれども、ケーブルについては沿岸国はそのような権限を持っていないわけです。また、自国に陸揚げされていないケーブルの敷設や修繕について事業者に許可を求める権限も、沿岸国は持っておりません。
しかし、自国の排他的経済水域や大陸棚におけるケーブルの敷設や修繕について、その許可を必要とする国内法を持つ国もございます。条約では、沿岸国が大陸棚における資源の探査、開発等について適当な措置をとる権利を認めておりますので、そのような権利行使としてそのような規制を正当化する見解もあります。しかし、ここまで申し上げたケーブル敷設の自由がそれによって不当に制約されないのかという点も問題になりますので、この点は解釈の明確化が必要な論点となっています。
最後に、国際協力についてですけれども、海底ケーブルに関する問題を扱う国際的なフォーラムは幾つかございます。特に、国際ケーブル保護委員会は、政府主管庁、ケーブル運用者など、利害関係者から成る国際フォーラムであり、情報共有やベストプラクティスの策定において重要な役割を果たしています。しかし、先ほど述べたような国際法規則の限界を乗り越えるために、例えば国家間の権限配分について再考したりとか、あるいは国際法上のケーブル保護義務を新たに設けたりするための国際組織というのはないというのが現状であります。
このほか、例えば欧州海底ケーブル連合におきましては、海底ケーブルの所有者、運用者等の産業界のフォーラムというのがつくられており、欧州周辺のケーブル施設の保護を図っているというプラクティスがございます。また、アジア太平洋安全保障会議におきましては、二〇一四年に海底通信インフラの安全とセキュリティーについて覚書を採択しているということです。また、国連の薬物犯罪事務所のグローバル海上犯罪プログラムにおきましても、海上保安の観点から、海底ケーブルの保護と管理について指針などを策定しております。しかし、いずれも包括的にケーブルの管理などをしているわけではないというのが限界ということになります。
以上を踏まえまして、次に、日本国内法上の課題についてお話ししたいと思います。
スライドは二十一ページに移ります。
日本では、日本の管轄に服する者がケーブルを損壊するかその危険を生じさせた場合には五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が科されるということになっております。これは、国連海洋法条約で定められている旗国あるいはその私人に管轄を持つ国としての義務を実施するものであります。ただ、この罰則は軽微ですし、また適用された事例はないということです。
さらに、電気通信事業法において事業者がケーブル敷設をするときに届出をする手続が定められておりますけれども、これは日本の領海の外の海底ケーブルには適用されません。すなわち、日本の大陸棚あるいは排他的経済水域を通過するケーブルについては、それを規制、管理する法制がないということになります。したがって、この国内法制につきましてはその見直しが必要なのではないかと考えます。
既に日本は海洋基本法に基づいて海洋基本計画を設けて、海洋の包括的な管理を行っております。そこで、その海底ケーブルについても積極的な保護や管理をその計画の中に入れて検討していく必要があると考えられます。
また、海底ケーブルの保護には各省庁や事業者の協力が必要になります。特に、そのケーブルの設置について所轄している総務省、それから損壊事故などが起きた場合の対応をする海上保安庁等、そういった省庁間の協力が必要になると考えられます。
では、最後に、海底ケーブルと経済安全保障についても簡単にお話ししておきたいと思います。
スライドは二十五ページになります。
海底ケーブルの敷設や運用は、これも海運と同じく民間事業者が主体になって実施しています。海底ケーブルの敷設は巨額な事業ですので、コンソーシアムを結成して敷設や運用を行うのが通例となっているということです。しかし、これに対して、近年では、ケーブルの敷設に関して国家が直接関与をしたり、あるいはその運用に制限を付けたりすることが増えてきております。
この点で特に着目されていますのが、いわゆる中国のデジタルシルクロードプロジェクトであります。これは、中国が一帯一路政策の一環として海底ケーブルの敷設を推進しているという動きであります。一帯一路政策の一部として道路や鉄道の建設を行っているわけですけれども、併せて通信インフラも整備すると。その中で、海底ケーブルというのはその中核的な、その計画の中核的な部分を占めているわけであります。
デジタルシルクロードの象徴とも言えるようなプロジェクトが、二〇一七年から開始されているPEACEプロジェクトと呼ばれるものであります。これは、中国の通信事業者であるとか、あるいは銀行とかがコンソーシアムを結成しまして推し進めている海底ケーブル敷設プロジェクトであります。中国とパキスタンとの間には陸路ネットワークがありますので、この海底ケーブルによって中国とアフリカ、それからヨーロッパがじかに結ばれるということになります。
安全保障上の懸念としては、まずこのケーブルを通じて、まず海底状況の常時監視が可能になるということが指摘されています。さらに、中国は陸揚げ局を通じてコンテンツを傍受していると、あるいは通信のコンテンツ規制をしているという調査も出ております。
そこで、経済安全保障上の懸念から、このような展開を阻止しようとする動きもあります。二〇二〇年五月にトランプ政権下で開始されたクリーンネットワークイニシアチブはその代表例でして、これはアメリカとつながる海底ケーブルに中国のHMNの機器、ケーブルを接続することを禁止するような中身になっております。もっとも、このクリーンネットワークイニシアチブにつきましては、そのリスク評価の基準が曖昧であるといった批判もされているところではございます。
以上申し上げたような動向というのは、日本の政策にも影響を与えると考えております。
これ、ここから先はその考え方は分かれると思うんですけれども、まず、一方では、その安定した信頼できる海底ケーブルネットワークが必要であるということで、特に日本はいわゆる信頼ある自由なデジタル流通政策を進めておりますので、その一部としてもそういった海底ケーブルの安全性を担保する必要があるという考え方であります。
しかし、他方で、ネットワークというのはつながっておりますので、日本だけ排除することにはほとんど意味がないどころか、日本にとっては不利益になってしまうと。そのことから、信用できない環境においても安全な通信運用を可能にするような技術を開発することが必要なんだという考え方もあるかと思います。
また、いずれにしましても、海底ケーブル産業における日本企業のプレゼンスを維持する必要があるということは申し上げるまでもございません。
以上、大変雑駁ではございましたけれども、私の報告は以上とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
鶴
鶴保庸介#8
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名し、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いをいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
小野田紀美君。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名し、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いをいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
小野田紀美君。
小
小野田紀美#9
○小野田紀美君 先生方、ありがとうございました。
ちょっと、それぞれかなり違った観点からお話をいただいたので、どこから何を伺おうかというところなんですけれども、まず、石井先生、ケーブルについてなんですけれども、本当にいろいろな見方があるなと思って、ケーブル保護区を設定してちゃんと守っていかないと、意図的にそのケーブルを破壊してこのインフラを破壊しようとする人たちもいるという中で、先ほど妨害を制限できるように保護区を、例えばオーストラリアやニュージーランドとかがやられているということだったんですけれども、ほかにはどういった国がやっているのかということと、あと、それを、保護区をしたとしても、なかなかその権限がなくて言うことを聞かずに入ってきたりする場合に、どうやって守っていくのかというところは非常に先生おっしゃるとおりで難しいなと思っていまして、もうちょっとその権限をと思ったけど、今度逆にこれを利用して侵入させないようにしたりというような使い方も今のこの中国の流れを見ているとやりかねないから、ここの権限をどこまで強めるのかというのは非常に難しいと思うんですが。
この国際法の限界を乗り越えるためにそういう国際組織をつくった方がいいじゃないかみたいなのもある中で、国際組織があっても、先ほど伊藤先生おっしゃったように、PCAはごみだと言っちゃうような国がある中で、どこまでこの利益を中立に判断して、実効力を持ってその判断を下して守らせるようなことができる枠組みをつくることができるのかというのがちょっと想像が付かなくてですね、もしも、石井先生に具体的にこういう枠組みでこういう人たちがこういうふうにつくったら実効力があると思うみたいな、もしアイデアがあれば教えていただきたいなと思います。
この発言だけを見る →ちょっと、それぞれかなり違った観点からお話をいただいたので、どこから何を伺おうかというところなんですけれども、まず、石井先生、ケーブルについてなんですけれども、本当にいろいろな見方があるなと思って、ケーブル保護区を設定してちゃんと守っていかないと、意図的にそのケーブルを破壊してこのインフラを破壊しようとする人たちもいるという中で、先ほど妨害を制限できるように保護区を、例えばオーストラリアやニュージーランドとかがやられているということだったんですけれども、ほかにはどういった国がやっているのかということと、あと、それを、保護区をしたとしても、なかなかその権限がなくて言うことを聞かずに入ってきたりする場合に、どうやって守っていくのかというところは非常に先生おっしゃるとおりで難しいなと思っていまして、もうちょっとその権限をと思ったけど、今度逆にこれを利用して侵入させないようにしたりというような使い方も今のこの中国の流れを見ているとやりかねないから、ここの権限をどこまで強めるのかというのは非常に難しいと思うんですが。
この国際法の限界を乗り越えるためにそういう国際組織をつくった方がいいじゃないかみたいなのもある中で、国際組織があっても、先ほど伊藤先生おっしゃったように、PCAはごみだと言っちゃうような国がある中で、どこまでこの利益を中立に判断して、実効力を持ってその判断を下して守らせるようなことができる枠組みをつくることができるのかというのがちょっと想像が付かなくてですね、もしも、石井先生に具体的にこういう枠組みでこういう人たちがこういうふうにつくったら実効力があると思うみたいな、もしアイデアがあれば教えていただきたいなと思います。
石
石井由梨佳#10
○参考人(石井由梨佳君) ありがとうございます。
まず、ほかにどういう国があるのかということですけれども、例えばバミューダなどが立法はしているということであります。また、その中国も保護区に類するような法制は持っていると。ただ、実際に保護区を設定したりなどはしていないと理解しています。
この保護区ですけれども、オーストラリアの場合もニュージーランドの場合も、あくまで国連海洋法条約上、沿岸国が持っている権限の範囲内でやっていると。したがって、その排他的経済水域においては漁船の活動については管理ができますので、その権限を使ってやっているということになります。
他方で、ナビゲーションについては、基本的には公海の自由が及んでいますので、それについて制限したりするような権限は一般的には沿岸国は持っていないということになっていますので、その意味では限界はあるということなんですけれども、ケーブル保護区の目的は、結局、漁船などが過失によってケーブルを損壊しないようにするということですので、その目的は達成しているのかなと思います。
ケーブルの、テロリストなのか、意図的に破壊するということですけれども、海の底に潜って損壊するのはなかなか大変ですので、やるのであれば例えば陸揚げ局の方を狙うとかいうやり方をすると思いますので、そういった意味では、そこまで保護区をして一切合財船を入れないようにするという必要性はないですし、そのような権限は元々持っていないということになります。
国際組織ですけれども、国際組織でできることというのは、必要な基準、どういった手順で沿岸国がケーブルを保護することができるのかといった指針とかその基準を明らかにして、それを共有して、みんなそれに従ってやれば恐らくケーブルが損壊される率が低くなると、そういったものですので、したがって、国連海洋法条約を例えば実質的に変更するような形で条約を結び直すということは元々できないということですし、その意味では、ですから国際組織に期待するというのは一定の限界があるのかなと思います。
他方で、海底ケーブルの維持については、全ての国が共通した利益を持っているわけですから、その範囲で協力できるところは大きいのかなと思っております。
以上です。
この発言だけを見る →まず、ほかにどういう国があるのかということですけれども、例えばバミューダなどが立法はしているということであります。また、その中国も保護区に類するような法制は持っていると。ただ、実際に保護区を設定したりなどはしていないと理解しています。
この保護区ですけれども、オーストラリアの場合もニュージーランドの場合も、あくまで国連海洋法条約上、沿岸国が持っている権限の範囲内でやっていると。したがって、その排他的経済水域においては漁船の活動については管理ができますので、その権限を使ってやっているということになります。
他方で、ナビゲーションについては、基本的には公海の自由が及んでいますので、それについて制限したりするような権限は一般的には沿岸国は持っていないということになっていますので、その意味では限界はあるということなんですけれども、ケーブル保護区の目的は、結局、漁船などが過失によってケーブルを損壊しないようにするということですので、その目的は達成しているのかなと思います。
ケーブルの、テロリストなのか、意図的に破壊するということですけれども、海の底に潜って損壊するのはなかなか大変ですので、やるのであれば例えば陸揚げ局の方を狙うとかいうやり方をすると思いますので、そういった意味では、そこまで保護区をして一切合財船を入れないようにするという必要性はないですし、そのような権限は元々持っていないということになります。
国際組織ですけれども、国際組織でできることというのは、必要な基準、どういった手順で沿岸国がケーブルを保護することができるのかといった指針とかその基準を明らかにして、それを共有して、みんなそれに従ってやれば恐らくケーブルが損壊される率が低くなると、そういったものですので、したがって、国連海洋法条約を例えば実質的に変更するような形で条約を結び直すということは元々できないということですし、その意味では、ですから国際組織に期待するというのは一定の限界があるのかなと思います。
他方で、海底ケーブルの維持については、全ての国が共通した利益を持っているわけですから、その範囲で協力できるところは大きいのかなと思っております。
以上です。
小
小野田紀美#11
○小野田紀美君 ありがとうございます。
その指針とか基準をどこの国目線で作っていくのかというのも、非常にこれもまたそれぞれの利害が絡んで難しくなりそうだなと思うんですけど、やっぱりやっていかないと新しいところに対応できないという面では、また具体的なものがあれば今後勉強させていただきたいなというふうに思います。
では、伊藤先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、どこから聞こう、本当に。いろいろ問題が多発している中ですけれども、じゃ、今、近々に問題になっていくであろうウクライナの情勢が悪化して万が一が起きた場合の、公海、外国、何でしょう、その海運関係全てに影響してくるであろう、これはもう防衛もそうだと思うんですけど、この辺がどのぐらい影響を受けるのか。それは商業でもそうですし、そのほかの防衛の問題でもそうですし、どれぐらい影響を受けそうで、そしてそこに対して、どの国も答えを持っていないと思いますけど、効果的な対策があれば先生のお考えをお聞かせいただきたいなと思います。
この発言だけを見る →その指針とか基準をどこの国目線で作っていくのかというのも、非常にこれもまたそれぞれの利害が絡んで難しくなりそうだなと思うんですけど、やっぱりやっていかないと新しいところに対応できないという面では、また具体的なものがあれば今後勉強させていただきたいなというふうに思います。
では、伊藤先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、どこから聞こう、本当に。いろいろ問題が多発している中ですけれども、じゃ、今、近々に問題になっていくであろうウクライナの情勢が悪化して万が一が起きた場合の、公海、外国、何でしょう、その海運関係全てに影響してくるであろう、これはもう防衛もそうだと思うんですけど、この辺がどのぐらい影響を受けるのか。それは商業でもそうですし、そのほかの防衛の問題でもそうですし、どれぐらい影響を受けそうで、そしてそこに対して、どの国も答えを持っていないと思いますけど、効果的な対策があれば先生のお考えをお聞かせいただきたいなと思います。
伊
伊藤剛#12
○参考人(伊藤剛君) 御質問ありがとうございます。
私、今さっと思い浮かぶだけでも二つ三つあるのかなというふうに今考えています。
まず第一に、私もこの最初の報告の中でも申し上げましたが、ウクライナ情勢そのものももちろん大きな問題であるんですが、つい数日前にロシアと中国との間の首脳会談が行われて、一般的にはウクライナ情勢に対して中国の習近平が理解示したというふうにしか報道されていないんですが、やはり私にとって一番恐ろしいのは、要するに、基本的にアメリカに対して万感の信頼を寄せている国というのは実際にはそんなに多くはないわけでありまして、もちろん批判も存在すると。そういった国々が、例えばウクライナ情勢と同時に、台湾に対して中国は既に領空侵犯かなり行われておりますが、そういったものが頻発をする、それから北朝鮮からミサイルが飛んでくるといった、いわゆる、どこまで統一的にやっているかというのは分からないわけですが、そういったいわゆる国際的な安定を揺るがす事態というのが散発をするという状態が起きた場合、で、それがある一定以上の危機になった場合、一体その安全保障の頼み手であるアメリカが一体どこまで対応できるかという、そういう課題であります。
もちろん、日本も同盟国として大きな役割を果たさねばならないということになってくるわけでありますが、そういったときにどこまで何ができるかという安全保障上の課題というのが当然出てくるわけでありまして、散発的にいろんなところで課題が生じてしまうと、いわゆる同時多発的にそういった問題が生じるということがやっぱり大きな問題になってくるというのが一点目であります。
二点目は、言うまでもありませんが、このウクライナ情勢も含めて、ロシアにとってみれば、ああいった黒海付近で紛争が生じるということは、この日本までやってくる単に天然ガスだけではなくエネルギー全般における、既に高騰化しておりますが、需要供給のバランスが崩れていってしまうということと。
元々、日本のエネルギーというのは中東から大部分やってくるわけですが、そもそもインド、スリランカ、南シナ海、それからマラッカ等々非常に、あと台湾海峡も含めてそうなんですが、非常に国際的に機微なところをずっと通ってきていると。日本のエネルギー安保の観点からいくと、やっぱりタンカー一つを取っても、やっぱりある一定、まあ二隻か三隻か毎日着かないと日本のこの電気もきちんともたないというようなことがありますので、まあちょっと考えただけでもやっぱり世界情勢の不穏というのは、一般的な生活のみならず、そういうような国際秩序全体における影響が大きくなってくるということは、ちょっと考えただけでも幾つか挙がるんではないかというふうに考える次第です。
以上です。
この発言だけを見る →私、今さっと思い浮かぶだけでも二つ三つあるのかなというふうに今考えています。
まず第一に、私もこの最初の報告の中でも申し上げましたが、ウクライナ情勢そのものももちろん大きな問題であるんですが、つい数日前にロシアと中国との間の首脳会談が行われて、一般的にはウクライナ情勢に対して中国の習近平が理解示したというふうにしか報道されていないんですが、やはり私にとって一番恐ろしいのは、要するに、基本的にアメリカに対して万感の信頼を寄せている国というのは実際にはそんなに多くはないわけでありまして、もちろん批判も存在すると。そういった国々が、例えばウクライナ情勢と同時に、台湾に対して中国は既に領空侵犯かなり行われておりますが、そういったものが頻発をする、それから北朝鮮からミサイルが飛んでくるといった、いわゆる、どこまで統一的にやっているかというのは分からないわけですが、そういったいわゆる国際的な安定を揺るがす事態というのが散発をするという状態が起きた場合、で、それがある一定以上の危機になった場合、一体その安全保障の頼み手であるアメリカが一体どこまで対応できるかという、そういう課題であります。
もちろん、日本も同盟国として大きな役割を果たさねばならないということになってくるわけでありますが、そういったときにどこまで何ができるかという安全保障上の課題というのが当然出てくるわけでありまして、散発的にいろんなところで課題が生じてしまうと、いわゆる同時多発的にそういった問題が生じるということがやっぱり大きな問題になってくるというのが一点目であります。
二点目は、言うまでもありませんが、このウクライナ情勢も含めて、ロシアにとってみれば、ああいった黒海付近で紛争が生じるということは、この日本までやってくる単に天然ガスだけではなくエネルギー全般における、既に高騰化しておりますが、需要供給のバランスが崩れていってしまうということと。
元々、日本のエネルギーというのは中東から大部分やってくるわけですが、そもそもインド、スリランカ、南シナ海、それからマラッカ等々非常に、あと台湾海峡も含めてそうなんですが、非常に国際的に機微なところをずっと通ってきていると。日本のエネルギー安保の観点からいくと、やっぱりタンカー一つを取っても、やっぱりある一定、まあ二隻か三隻か毎日着かないと日本のこの電気もきちんともたないというようなことがありますので、まあちょっと考えただけでもやっぱり世界情勢の不穏というのは、一般的な生活のみならず、そういうような国際秩序全体における影響が大きくなってくるということは、ちょっと考えただけでも幾つか挙がるんではないかというふうに考える次第です。
以上です。
小
小野田紀美#13
○小野田紀美君 時間がそろそろ迫っているので。
三ページ、伊藤先生、役立つ民間人の利用と養成というところが、どういった意味で役立つ人と分かって、見付けて、どういう人を求めたいのかなという具体例があればと思ったんですけど、簡単に、あればお願いします。
この発言だけを見る →三ページ、伊藤先生、役立つ民間人の利用と養成というところが、どういった意味で役立つ人と分かって、見付けて、どういう人を求めたいのかなという具体例があればと思ったんですけど、簡単に、あればお願いします。
伊
伊藤剛#14
○参考人(伊藤剛君) ありがとうございます。
これはいろんな形があるかと思います。
まず第一には、とにかくきちんと日本の国益を維持できるための、先ほど他の先生方も発表されたわけですが、そういった形、民間人をうまく利用して、物流に関しても、あるいはそのケーブルの問題も、私も聞いていて考えたんですが、やっぱり起きた犯罪に対してはある程度対処できるかもしれないけど、じゃどういう秩序をつくっていくかという点に関しては、本来民間会社がつくったものをもうちょっと制度的にきちんとしたものにしていくということが必要ではないかというふうに思うわけであります。ここに中国のような国家が入ってくると、いわゆる、それを自分たちの都合のいいように利用してくると、そういったことが今後、だからどんどん出てくるでありましょうと。
そういったことをやっぱり、役立つ民間人というのは、自分たちも含めてそうですが、やっぱり日本全体の役に立ちたいと考える人たちは今いるわけですから、取っかかりに関しては幾つかアイデアもありますが、まあちょっと時間の都合もありますから、ここでちょっとやめさせていただきます。
この発言だけを見る →これはいろんな形があるかと思います。
まず第一には、とにかくきちんと日本の国益を維持できるための、先ほど他の先生方も発表されたわけですが、そういった形、民間人をうまく利用して、物流に関しても、あるいはそのケーブルの問題も、私も聞いていて考えたんですが、やっぱり起きた犯罪に対してはある程度対処できるかもしれないけど、じゃどういう秩序をつくっていくかという点に関しては、本来民間会社がつくったものをもうちょっと制度的にきちんとしたものにしていくということが必要ではないかというふうに思うわけであります。ここに中国のような国家が入ってくると、いわゆる、それを自分たちの都合のいいように利用してくると、そういったことが今後、だからどんどん出てくるでありましょうと。
そういったことをやっぱり、役立つ民間人というのは、自分たちも含めてそうですが、やっぱり日本全体の役に立ちたいと考える人たちは今いるわけですから、取っかかりに関しては幾つかアイデアもありますが、まあちょっと時間の都合もありますから、ここでちょっとやめさせていただきます。
小
鶴
田
田島麻衣子#17
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
立憲民主党の田島麻衣子です。参議院議員です。
今日は、本当に参考人の先生方、ためになる説明をありがとうございました。
私の方からは共通の質問を幾つかさせていただきたいと思っております。
一問目は、この米中摩擦ということが先生の講義の中でも幾つか出ておりましたけれども、その中で日本がどう、取るべき立ち位置は何かということをお聞きしたいんです。
今、委員会の質問の準備等で私、アメリカの議事録とかも外交委員会の上院、下院見ているんですが、やっぱりこの日米関係よりも、もう米中関係のことを懸念として挙げる国会議員の発言が物すごく多くて、やはり自分の身にしみてアメリカと中国の摩擦というものが非常に高まっているということを感じるんですね。
日本は、やはりその二国間の中に物理的にも存在する国でもありますので、今後、我々がどのような立ち位置を取るべきか。安全保障といいますと、例えば軍事ですとか、それから経済もありますし、エネルギーや食料、いろいろありますので、先生方の御専門の分野で構いませんので、このアメリカと中国との摩擦、それから中国の台頭の中で日本はどのように立場を取っていくべきか、戦略的な観点から御指導いただければと思います。
まずは、どうします、指名して……
この発言だけを見る →立憲民主党の田島麻衣子です。参議院議員です。
今日は、本当に参考人の先生方、ためになる説明をありがとうございました。
私の方からは共通の質問を幾つかさせていただきたいと思っております。
一問目は、この米中摩擦ということが先生の講義の中でも幾つか出ておりましたけれども、その中で日本がどう、取るべき立ち位置は何かということをお聞きしたいんです。
今、委員会の質問の準備等で私、アメリカの議事録とかも外交委員会の上院、下院見ているんですが、やっぱりこの日米関係よりも、もう米中関係のことを懸念として挙げる国会議員の発言が物すごく多くて、やはり自分の身にしみてアメリカと中国の摩擦というものが非常に高まっているということを感じるんですね。
日本は、やはりその二国間の中に物理的にも存在する国でもありますので、今後、我々がどのような立ち位置を取るべきか。安全保障といいますと、例えば軍事ですとか、それから経済もありますし、エネルギーや食料、いろいろありますので、先生方の御専門の分野で構いませんので、このアメリカと中国との摩擦、それから中国の台頭の中で日本はどのように立場を取っていくべきか、戦略的な観点から御指導いただければと思います。
まずは、どうします、指名して……
鶴
田
鶴
伊
伊藤剛#21
○参考人(伊藤剛君) 三人同等ということですので、私の発言は三分ぐらいでというふうに考えております。
私、常々、この課題を考える機会が多いのですが、やはりアメリカと中国、最近は単に経済摩擦だけではなくて、やっぱりその理念に対する闘いというのが非常に出てきたわけであります。片方は民主主義国でありますが、他方はやっぱり、何といいますか、共産党の一党支配の国であって、海洋安全保障一つを取りましても、中国の場合は、いわゆる民間、民兵を使った、いわゆる、何といいますか、先進国として闘うやり方と全く異なるやり方を使ってだんだん影響力を広げてきているというような状況になっています。
こういったいわゆる、従来のいわゆる紛争形態とは異なるパワープロジェクションというのは非常に大きく打ってきています。そういうのはグレーゾーンとも言うわけですが、私も発表の中で申し上げた、そのグレーゾーンにやっぱりきっちり対処するという、まずそういういわゆる封じ込めの要素というのはやっぱり重要ではないかというふうに思います。
同時に、同時に、いつも私思うんですが、この前者の、この方面のことが非常に大きく強調されるわけですが、とはいいながら、さはさりながら、日本の経済にとって中国というのはやはり、やっぱり欠かせない相手になっていることは確かでありまして、そういった、中国自身も責任ある大国になってほしいと、なることが中国にとっても利益だというような形で、やはり一方で、グレーゾーンの対処、封じ込め政策をやりながら、他方で、意図的に対立をすること、オーストラリアと中国との関係が今そうだと思うんですが、結局、どこの誰が得をしているかということになると、アメリカであると。全く当事者ではないところが得になるようなことになっているわけですから、そういったことはやっぱり避けなければならないと。
だから、やっぱりその経済的な権益は権益で、両者別物として考えていくというのがまず出発点ではないかというふうに常に考えるわけであります。
ここで止めます。以上です。
この発言だけを見る →私、常々、この課題を考える機会が多いのですが、やはりアメリカと中国、最近は単に経済摩擦だけではなくて、やっぱりその理念に対する闘いというのが非常に出てきたわけであります。片方は民主主義国でありますが、他方はやっぱり、何といいますか、共産党の一党支配の国であって、海洋安全保障一つを取りましても、中国の場合は、いわゆる民間、民兵を使った、いわゆる、何といいますか、先進国として闘うやり方と全く異なるやり方を使ってだんだん影響力を広げてきているというような状況になっています。
こういったいわゆる、従来のいわゆる紛争形態とは異なるパワープロジェクションというのは非常に大きく打ってきています。そういうのはグレーゾーンとも言うわけですが、私も発表の中で申し上げた、そのグレーゾーンにやっぱりきっちり対処するという、まずそういういわゆる封じ込めの要素というのはやっぱり重要ではないかというふうに思います。
同時に、同時に、いつも私思うんですが、この前者の、この方面のことが非常に大きく強調されるわけですが、とはいいながら、さはさりながら、日本の経済にとって中国というのはやはり、やっぱり欠かせない相手になっていることは確かでありまして、そういった、中国自身も責任ある大国になってほしいと、なることが中国にとっても利益だというような形で、やはり一方で、グレーゾーンの対処、封じ込め政策をやりながら、他方で、意図的に対立をすること、オーストラリアと中国との関係が今そうだと思うんですが、結局、どこの誰が得をしているかということになると、アメリカであると。全く当事者ではないところが得になるようなことになっているわけですから、そういったことはやっぱり避けなければならないと。
だから、やっぱりその経済的な権益は権益で、両者別物として考えていくというのがまず出発点ではないかというふうに常に考えるわけであります。
ここで止めます。以上です。
田
鶴
合
合田浩之#24
○参考人(合田浩之君) 合田でございます。
なかなか難しい話ではありますが、海運というのは基本的には民間企業の実務慣行の中で生きていますから、それは各社の経済判断ということになりますけれども、ただし、近年では、例えば人権、例えば、取引先の相手先が例えば児童労働や強制労働をしているようなところを使っていたりすると、これはもう例えば糾弾されるとか、そのような実務慣行、あるいはそういったものに関わらないというような誓約をするといったようなことがきちんとした企業であればもうごく普通に実務慣行の中に落とし込まれているということを鑑みると、その延長上で考えればいいのかなと。
ですから、アメリカの企業、中国の企業と付き合うといったときに、要は後ろめたい相手と付き合いをしないということの積み重ねということの中で是々非々でやっていくということを、日本企業は基本的にやっているとは思いますが、それを、そういうことを、日本の政府とか、あるいは国民の目の中で、そういうことをきちんと企業はやらなきゃ駄目なのだというような空気を醸成していくと、こういうことなんではないかなというふうに僕は考えるわけであります。
短いですが、以上でございます。
この発言だけを見る →なかなか難しい話ではありますが、海運というのは基本的には民間企業の実務慣行の中で生きていますから、それは各社の経済判断ということになりますけれども、ただし、近年では、例えば人権、例えば、取引先の相手先が例えば児童労働や強制労働をしているようなところを使っていたりすると、これはもう例えば糾弾されるとか、そのような実務慣行、あるいはそういったものに関わらないというような誓約をするといったようなことがきちんとした企業であればもうごく普通に実務慣行の中に落とし込まれているということを鑑みると、その延長上で考えればいいのかなと。
ですから、アメリカの企業、中国の企業と付き合うといったときに、要は後ろめたい相手と付き合いをしないということの積み重ねということの中で是々非々でやっていくということを、日本企業は基本的にやっているとは思いますが、それを、そういうことを、日本の政府とか、あるいは国民の目の中で、そういうことをきちんと企業はやらなきゃ駄目なのだというような空気を醸成していくと、こういうことなんではないかなというふうに僕は考えるわけであります。
短いですが、以上でございます。
鶴
石
石井由梨佳#26
○参考人(石井由梨佳君) これも非常に難しいんですけれども、まず一方では、もう既にお話があったように、中国の政治的、経済的な重要性、日本にとっての重要性というのは改めて申し上げるまでもないのかなと思います。その中で、やはり日本として守るべきものというのは、日本であったり、あるいはその国民の、あるいは日本国内にいる人の安全なのかなと思います。
今日お話しした点で申し上げますと、例えば情報の保全ですね。情報というのは容易にほかの国に移転するわけですけれども、その中で、日本国内にいる人が使っている情報が中国であったり、まあ中国でもどこでもいいんですけれども、ほかの国に容易に渡ってしまって、それが開示されてしまうということがあってはいけないのかなと思います。その点についてはやはり日本国内においてしっかりと保全して、通信の秘密、あるいは通信の秘密よりより広い通信に関連したプライバシーを守っていく必要はあるのかなと考えています。
もう一つは、海底ケーブルにおいて特に顕著なんですけれども、やはり日本企業が中国企業と競争しているということについては意識する必要があるだろうと思います。
実際、お配りしたスライドにも書きましたけれども、元々中国が受注していた、あるいは受注すると思われていたケーブルを日本が、日本のNECが受注したといった例も複数ございます。また、特にオーストラリアは中国の影響力が強く及ぶことを懸念して、中国企業の参入というのはなるべく阻止しようとしていると。
そういった中で、やはり日本としては、中国企業と競争しているわけですから、そのことを意識して日本が持っている安全あるいはトラストですね、そういったものを大事にしていくことが必要なのかなと思っています。
この発言だけを見る →今日お話しした点で申し上げますと、例えば情報の保全ですね。情報というのは容易にほかの国に移転するわけですけれども、その中で、日本国内にいる人が使っている情報が中国であったり、まあ中国でもどこでもいいんですけれども、ほかの国に容易に渡ってしまって、それが開示されてしまうということがあってはいけないのかなと思います。その点についてはやはり日本国内においてしっかりと保全して、通信の秘密、あるいは通信の秘密よりより広い通信に関連したプライバシーを守っていく必要はあるのかなと考えています。
もう一つは、海底ケーブルにおいて特に顕著なんですけれども、やはり日本企業が中国企業と競争しているということについては意識する必要があるだろうと思います。
実際、お配りしたスライドにも書きましたけれども、元々中国が受注していた、あるいは受注すると思われていたケーブルを日本が、日本のNECが受注したといった例も複数ございます。また、特にオーストラリアは中国の影響力が強く及ぶことを懸念して、中国企業の参入というのはなるべく阻止しようとしていると。
そういった中で、やはり日本としては、中国企業と競争しているわけですから、そのことを意識して日本が持っている安全あるいはトラストですね、そういったものを大事にしていくことが必要なのかなと思っています。
田
田島麻衣子#27
○田島麻衣子君 ありがとうございます。非常に勉強になります。
あと三分ぐらいあるんですけれども、短く、また三人の参考人の方々に短くお答えいただきたいんですが。日本の影響力を今後増やしていくためにいろんな考え方、ソフトパワー、ハードパワー、いろいろ両面ありますけれども、この日本の影響力を東シナ海、また東アジアで増やしていくためには何が必要だとお考えになりますか。短く一言でいいので、お教えください。
この発言だけを見る →あと三分ぐらいあるんですけれども、短く、また三人の参考人の方々に短くお答えいただきたいんですが。日本の影響力を今後増やしていくためにいろんな考え方、ソフトパワー、ハードパワー、いろいろ両面ありますけれども、この日本の影響力を東シナ海、また東アジアで増やしていくためには何が必要だとお考えになりますか。短く一言でいいので、お教えください。
鶴
伊
伊藤剛#29
○参考人(伊藤剛君) 日本のソフトパワー、私、これもいろいろなところで、中国はシャープパワーというふうに呼ぶ言い方がありまして、その背後に軍事的な拡大があるということは言うまでもないわけですが、これに対して国際会議等で、いや、日本はそれと対抗するよりは別のスウィートパワーというふうな形で、もっと日本らしい影響力を拡大していった方がいいんじゃないかというようなことを常々申し上げていくわけであります。
やはり基本的に中国というのは、傷ついたナショナリズムといいますか、かつてやっぱり長い歴史の中で植民地にされて、中華民族の偉大なる復興というのもまあそうでしょうし、いわゆる歴史的に過去の栄光を取り戻したいという意識が非常に強いものですから、だから力による現状を変更すると。それが欧米諸国によってやられたものならなおさらであるという感覚が非常に強いわけですから、それにやっぱりきちんと日本なりのアイデンティティーを確立していくということがまず出発点であるというふうに私は考えます。
以上です。
この発言だけを見る →やはり基本的に中国というのは、傷ついたナショナリズムといいますか、かつてやっぱり長い歴史の中で植民地にされて、中華民族の偉大なる復興というのもまあそうでしょうし、いわゆる歴史的に過去の栄光を取り戻したいという意識が非常に強いものですから、だから力による現状を変更すると。それが欧米諸国によってやられたものならなおさらであるという感覚が非常に強いわけですから、それにやっぱりきちんと日本なりのアイデンティティーを確立していくということがまず出発点であるというふうに私は考えます。
以上です。